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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
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2020年への期待と不安(2017年 12月号)

 東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年は節目の年ということもあり、さまざまな事業の達成期限に設定されていることが多い。

 原発事故で避難区域が設定された12市町村の復興について語り合う「福島12市町村の将来像に関する有識者検討会」では、2020年を当面の復興の目標として位置付けた。オリンピック・パラリンピックが開催されるタイミングで、本県をはじめとする東北地方の復興を世界にアピールするためだ。

 浜通りの地域経済の復興に向けて新産業の創出を目指す「イノベーション・コースト構想」も2020年を実現目標期限に定めているほか、浜通りと中通りをつなぐ「相馬福島道路」も2020年度末までに全線開通となる予定だ。

 再生可能エネルギーに関しては、県は2040年をめどに県内のエネルギー需要量の100%以上を再生可能エネルギーで生み出すことを目標に掲げており、2015(平成27)年度26・6%から2020年度40%まで引き上げる方針だ。政府も福島全県を新たなエネルギー社会のモデル創出拠点に位置付ける「福島新エネ社会構想」を決定し、後押ししている。

 復興関連事業に予算を重点配分する「復興・創生期間」は2020年度で終了し、復興庁も併せて廃止される予定となっている。

 こうして見ると、2020年を大きな目標に設定し、国を挙げてその目標に取り組んでいることが分かる。もっとも、そのことで「復興はひと段落した」という感じになり、逆に風化が加速して、関連予算や関心が縮小するのではないかという不安が残る。 

 福島第一原発では燃料デブリの取り出し工法が2019年度までに決定される方針だが、スムーズに進むかは分からないし、大きなトラブルが起きないとも限らない。再び大地震が発生する可能性もある。

 福島市ではオリンピックの野球・ソフトボールの一部試合が開催されるので県内でも盛り上がるだろうし、政府はここぞとばかり福島県の復興をアピールするだろう。ただ、不十分な賠償制度や見通しの立たない原発廃炉・中間貯蔵施設、人口減少、一次産業の再生、いわゆる風評被害の払拭など、課題が山積していることを考えると、喜んでばかりもいられない。明確に期限を設定することで、そこまでに終わることが目的にすり替わってしまい、課題解決が軽視されてしまう恐れもある。

 復興PRも大事だが、原発事故はまだ続いており、支援を必要としていることも県などが中心となって発信し続けていく必要があろう。

(志賀)

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