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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
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国を訴える心構え(2018年 1月号)

 昨年10月、中間貯蔵施設が予定より3年遅れで稼働を始めた。敷地は未だに4割超しか確保されておらず、約1200人の地権者との交渉が残っているが、国は現状の"一部稼働"から"本格稼働"を目指し必要な取り組みを進めている。

 中間貯蔵施設は、受け入れを容認した大熊・双葉両町には申し訳ないが、復興には絶対に欠かせないものだ。県内には、除染廃棄物が入れられたフレコンバッグが大量に存在する。その総量は推定で最大約2200万立方叩東京ドーム18杯分にも相当する。生活圏に近い場所に設置された仮置き場に"黒い袋"が山積みされた光景は異様の一言。早期搬出を願っている人は少なくあるまい。

 各地の仮置き場から中間貯蔵施設の保管場への搬入は、28年4月に試験輸送から本格輸送に移行しており、現在は1日約500立方辰搬入されている。今後、施設が拡大・拡充していけば搬入量も増え、フレコンバッグを目にすることもなくなるだろう。

 問題は、その後である。中間貯蔵施設は「中間」という名の通り、あくまで一時的な貯蔵場所にすぎず、すべての除染廃棄物は30年後(2045年)に県外に搬出することになっている。法律にもきちんと明記されている、いわば「国との約束」だ。ところが県民のほとんどは、県外搬出は不可能と考えている。受け入れ先が担保されたうえで県外搬出を約束するならともかく、受け入れる都道府県が存在しない以上は搬出したくてもできないからだ。

 このままいけば中間貯蔵施設から最終処分場にすり替わるのは確実で、県民はいまから覚悟を決めておく必要がある。とはいえ、ただ泣き寝入りするのも悔しい。そこで言いたいのが、覚悟と同時に国を訴える心構えもしておこう、ということである。

 思い起こされるのは長崎県の諫早湾干拓事業だ。潮受け堤防の水門が閉じられたことをめぐり、国は開門を求める住民と開門に反対する住民の双方から訴えられ、裁判所は「開けろ」「開けてはならない」と異なる司法判断を下した。除染廃棄物の県外搬出をめぐっても、裁判になれば「搬出しろ」「搬出してはならない」と真逆の命令が出されそうだが、いずれにしてもなし崩し的に留め置かれる可能性が高い。

 30年後、法律をつくった当事者(政治家、官僚)は誰もいまい。実現しないと分かっていながら「県外搬出は国との約束だ」と声高に言う首長たちも無責任。だったら国に対しては、約束を破ったらそれなりの補償をしてもらう――という行動に打って出るのは必然であろう。

(佐藤)

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