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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
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首長に求められる役割(2018年 3月号)

 4年前の25年度は福島、郡山、いわき3市などで現職が6連敗し、「現職落選ドミノ」と呼ばれた。ただ、2月1日付の河北新報によると、実は今年度も現職は8勝6敗と苦戦しており、25年度の7勝6敗に似たような状況となっている。特に、南相馬市長選(1月21日投開票)、伊達市長選(1月28日投開票)と、2週連続で現職を抑えて新人が当選したのが象徴的だった。

 132頁から今年度初当選を果たした福島・伊達・田村3市長のインタビューを掲載しているが、共通して感じるのは、震災・原発事故からの復興という色合いがずいぶん薄くなっていることだ。

 県内を取材していてもそう感じることが多くなった。4年前は震災・原発事故の記憶が生々しく、一刻も早い放射能汚染対策や復興まちづくりを求める声が圧倒的だった。だが、最近は「首長には汚染対策や復興ばかりでなく、さまざまな課題と向き合ってほしい」という意見が聞かれるようになった。そうした変化が首長選に影響したのかもしれない。

 南相馬市長選はその典型だった。前市長の桜井勝延氏は震災・原発事故後、さまざまな場面で国と対峙し、原発被災地の苦難を伝えるために、積極的に情報発信していた。当初はそうした点が評価されていたが、「成功体験にとらわれ、そのことばかり熱心だった感が否めず、"次のステージ"に進みたい市民との乖離が大きかった」(浜通りの行政関係者)。

 かつては震災・原発事故への対策の遅れが「停滞」と受け止められていたが、いまはそれらの対策にこだわり、ほかの課題に目を向けないことが「停滞」と受け取られてしまう、と。首長に求められる役割もこの7年で変わっているということだろう。

 秋には知事選(11月11日任期満了)が控えている。前回は自民党県連内での対立を経て、自民・民主・公明・社民各党から支持を受けた当時副知事の内堀雅雄氏が初当選を果たした。だが、与野党相乗りだったことに加え、脱原発が候補者間で合意争点化したこともあって選挙戦は低調に終わった。選挙後には「原発被災地である福島県知事選ですら脱原発が大きな争点にならなかったことが、後の原発再稼働の呼び水になった」と嘆く声も聞かれた。

 県政においても、求められるのは首長選同様、停滞感を感じさせないリーダーだろう。高支持率を誇る内堀氏は再選立候補に関する態度をまだ示していないが、知事選を機に、内堀県政の実績・課題や知事が果たした役割を検証し、本県の将来について活発な議論が行われることを期待したい。

(志賀)

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