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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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「責任の所在」をはっきりさせよ(2018年 4月号)

 避難区域から避難した人たちと比べて、それ以外の地域から避難したいわゆる自主避難者は、それぞれの避難先で肩身の狭い思いを強いられている。

 「原発事故から7年も経つのに避難生活を続けるのはヘン」「放射線の健康被害は無いと専門家も言っている」「大抵の県民は日常生活に戻っている」――そんな言葉に自主避難者たちは苦しめられ、中には子どもがイジメに遭っては困ると福島県から避難してきたことを周囲に打ち明けないまま避難生活を継続している人も少なくない。避難区域からの避難者と違い東電からの賠償金も微々たる額なのに、事情を理解していない人から「多額の賠償金をもらっているくせに」と勘違いされていることも不憫だ。 避難したことで放射線への不安から逃れることはできたが、それ以外の要因が重なり避難先で安心を得られない状況が続いているとすれば、自主避難者たちは一体何のために避難したのか。

 そもそも、自主避難者をこんな酷い目に遭わせたのは誰か、という観点に立てば答えは簡単に見つかる。言わずもがな、加害者は東電と国である。

 そんな構図は、もはや誰もが分かり切ったことなのだから、3月15日の京都地裁、翌16日の東京地裁で出された判決は本来であればマスコミで大きく取り上げられるべき出来事ではないはずだ。自主避難者たちが両地裁で起こした集団訴訟は、裁判所が自主避難の合理性を認め、東電と国に損害賠償を命じた。自主避難の合理性があると認められる期間や賠償額には違和感を覚えるものの、「自主避難は間違いではなかった」と思える法的拠り所ができたという点では意義のある判決と言える。

 もっとも、そうした司法判断とは逆に、自主避難者に対する住宅の無償提供が行政から打ち切られたり、その後、家賃を支払わない人は退去や家賃支払いを迫られ、場合によっては提訴されるなど、被害者であるはずの自主避難者が追い込まれるケースが散見される。もし家賃が欲しければ、行政は東電や国に請求するのがスジではないのか。

 それもこれも、加害者と被害者がこれほどはっきりしているのに、東電と国がいつまで経っても謝罪せず、そのことが自主避難者に「自己責任」を生じさせる原因にもなっている。自主避難者は、原発事故がなければ避難することもなかった。そこに「自己責任」が発生する余地は皆無。責任は東電と国にあることを明確にし、きちんと謝罪させなければ、いくら裁判で勝訴し続けても自主避難者の気が真に晴れることはないのではないか。

(佐藤)

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