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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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子どもを守るのは大人の務め(2018年 7月号)

 東京都目黒区で、当時5歳の女児が3月に死亡した事件は両親による虐待が原因だった。女児は父親から日常的に暴力を振るわれていた。衝撃的だったのは、女児が父親から命じられ、平仮名の練習をさせられていたことだ。「あしたはもっと できるようにするから おねがい ゆるして」。女児は懸命に覚えた平仮名でノートに記し、そして亡くなった。子は親を選べないというが、こんな不幸で残酷な出来事を見過ごしていいはずがない。

 先月発生した大阪府北部地震では、高槻市内の小学4年生の女子児童が倒壊したブロック塀の下敷きになり死亡した。ブロック塀をめぐっては、防災専門家が3年前に市教委と学校に危険性を指摘し、翌月には再度学校に注意を促すメールを送っていた。

 どちらのケースにも言えるのは「守れたはずの命を守れなかった」ということである。

 虐待死した女児の場合は、以前住んでいた香川県で児童相談所が一時保護したり、香川県警が父親を傷害容疑で二度も書類送検したが不起訴になっていた。都内に引っ越してきた後は品川児童相談所が家庭訪問したが、女児の様子は確認できなかった。

 一方、女子児童の場合は、防災専門家から指摘された時点で改修や取り壊しができたはず。呆れるのは、市教委は2年前に点検を行っていたが、専門的な資格を持たない職員が目視や棒で叩くなどの簡易な確認で済ませていたことだ。

 子どもを守るのは大人の務め。そんな当たり前のことができなくなっている現状に、社会の歪みを感じずにはいられない。

 翻って、福島県で起きた原発事故を「子どもを守る」という視点から考えたい。先月、東電の小早川智明社長が内堀雅雄知事に福島第二原発を廃炉にする方針を伝えたことは、原発ゼロの県土づくりの"土台"を子どもたちに提供できる点で喜ばしい。半面、甲状腺検査では甲状腺がんと診断された子どもに治療費等の支援は行われているものの、県は「原発事故による影響とは考えにくい」との見解を崩さず、不安を覚える患者・家族の気持ちと乖離が生じている。避難区域外から県外に避難したいわゆる自主避難者は、避難先で子どもがいじめに遭うかもしれないと怯えているが、唯一の支援でもあった家賃補助が県から打ち切られ、半ば見放された格好の彼ら・彼女らは、もはや県を頼ることもできず苦しんでいる。

 福島県の子どもたちはわれわれが守る――内堀知事をはじめここに暮らす大人たちが、口先だけでなくなぜ行動で示せないのか、情けない。

(佐藤)

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