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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
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モノ言えぬ空気の弊害(2018年 10月号)

 9月20日に行われた自民党総裁選は、安倍晋三総裁(首相)が石破茂元幹事長を破り、連続3選を果たした。結果だけ見れば順当だが、中身を分析するとある特徴が浮かび上がってくる。国会議員票と地方票は405票ずつで計810票。このうち安倍氏は553票(国会議員票329、地方票224)、石破氏は254票(同73、同181)を獲得した(国会議員票に無効3あり)。国会議員票は8割が安倍氏に流れたが、地方票は4割以上が石破氏に流れ、違いが鮮明となった。これは何を意味するのか。

 選挙中、問題視されたのは安倍陣営の露骨な圧力だ。「安倍氏に投票しなければ干すと言われた」「石破氏を応援するなら辞表を書けと迫られた」という趣旨の話は、石破派の斎藤健農林水産大臣を筆頭に地方議員からも数多く聞かれた。しかし、国会議員の大半がそんな圧力に屈したのに対し、地方議員は反発を隠そうとしなかった。

 今の選挙制度では「公認権」を持つ首相の力は絶大だ。国政選挙で当選するためには党の公認が欠かせない。しかし、首相に逆らえば党から公認してもらえず、カネもヒトもモノもない中で厳しい選挙戦を余儀なくされる。国会議員はバッジを失えばタダの人。引き続き国会議員を務めたかったら、不満があっても首相の言うことを聞くしかない。

 これに対し、地方議員は公認権を気にする必要がなく、頼みの綱は自ら開拓した支持者たち。加えて地方議員は、国会議員より有権者との距離が近く、安倍政権に対する低評価を直接肌で感じ取っているから、全面的に支持する人は少ない。

 アベノミクスの失速、官僚の不祥事、モリカケ問題等々、安倍政権に対する世間の評価は散々だ。にもかかわらず、そんな安倍首相にモノ申せない国会議員と、モノ申した地方議員――どちらが政治家として正常であるかは言うまでもない。

 翻って福島県。間もなく知事選が告示されるが、現職の内堀雅雄氏は盤石の選挙態勢で再選が確実視されている。そんな内堀氏を、各政党だけでなく市町村長までもがこぞって支持し、町村会等が推薦する状況に、ある首長経験者は「これでは内堀氏のやり方に問題があっても何も言えなくなってしまう」と指摘するが、安倍陣営のような圧力がなくてもモノが言いづらくなる雰囲気は、一強他弱の中ではどうしても生まれやすい。当選を重ねるうちに、内堀氏がどういう知事になっていくか分からないが、モノが言えない、あるいはモノを言っても聞き入れられない空気は政治を腐敗させるだけだ。

(佐藤)

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