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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
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「少女被ばく問題」で地元紙の対応に違和感(2019年 2月号)

 東京新聞1月21日付1面に「11歳少女100ミリシーベルト被ばく」という記事が掲載され、中面に関連記事が載った。同記事は放射線医学総合研究所(放医研)への情報開示請求で入手した資料等を基に書かれたもので、原発事故直後、双葉町にいた少女が甲状腺に推計100ミリシーベルト程度の被ばくをしたと報告されていたとしている。

 具体的には、原発事故直後、県職員の放射線技師がGMサーベイメータで原発周辺から避難してきた人のスクリーニングを行ったところ、11歳の少女から「頸部5―7万cpm」が計測された。それを検査応援に来ていた徳島大のチームに伝え、同チームは汚染の程度から少女の甲状腺に取り込まれた放射性ヨウ素を「十数キロベクレル相当」と試算。これを基に放医研の会議で「甲状腺等価線量で100ミリシーベルト程度」と報告されたという。ただ、その報告は公表されなかった。この点に関して、放医研は「簡易的に算出されたもので、精密に検討していない」とコメントしたという。

 この問題については、東京新聞に記事が掲載された日(1月21日)の夜、NHKのニュースでも報じられたほか、同日、朝日新聞のウェブ版にも関連記事が掲載された。朝日新聞ウェブ版の記事は、翌22日付の紙面に掲載された。その後、朝日新聞は1月25日付の県版で、さらに詳細な記事を掲載している。東京新聞の記事がきっかけで、各メディアが後追いした格好だ。

 ところが、福島民報・福島民友の地元2紙はこの件を一切触れていない(1月28日現在)。原発事故の被災地である福島県において、県民の健康問題は非常に大きな課題だ。にもかかわらず、地元紙が触れないのは違和感しかない。県民の中には県の各種健康調査を懐疑的に見ている人もおり、地元紙の対応はそれを増長させるものと言える。

 一方で、東京新聞や朝日新聞の記事によると、等価線量であって実効線量ではないことなどから、影響は少ないとみて、その後の少女の調査は行われず、現在は所在も不明という。この問題の重大さは専門家の意見を聞かなければ分からない部分も多いが、各種報道によると、少女は事故当時、双葉町で友達と外で遊んでいたと話したというから、同じように事故当時、屋外で遊んでいたり、作業をしており、同程度の被ばくをした人もいるに違いない。

 何よりも優先すべきは県民の健康を守ることで、そのためには、あらゆる可能性を排除しないことが重要だと感じる。

(末永)

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