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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
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中途半端な復興(2019年 3月号)

 震災・原発事故から丸8年経過する。

 中通り・会津地方ではいわゆる風評被害は残るものの、震災・原発事故の影響を感じることは少なくなった。ただ、浜通りではあらゆる分野に影響が残っており、真の意味での復興はまだ遠いと感じる。

 こうした現実とは裏腹に、10年の節目が近づくにつれて、県内外で「そろそろ復興は終わりだ」といったムードが漂い始めている。復興庁設置期限、福島イノベーション・コースト構想の実現目標、モニタリングポストの撤去期限など、多くの計画で2020年(年度)が目安として設定されている。それらは言うまでもなく、「復興五輪」とうたわれている東京五輪・パラリンピックを意識したものだ。世界に向けて、福島復興をPRしたい思惑があるのだろうが、復興が進んでいない現実も広く知ってほしい。

 腹立たしいのは、原発事故の加害者である東電もこうしたムードに乗じて、損害賠償について不誠実な対応に終始していることだ。住民らが原子力損害賠償紛争解決センターに申し込み、同センターから和解案が示されても、東電が受諾を拒否するケースが相次いでいる。もっと社会的に糾弾されるべきだ。

 五輪終了後に支援体制が一気に下火になり、中途半端な復興状況のまま停滞することが何より怖い。

 思えば福島県は震災・原発事故の"複合被災地"ゆえに、岩手県や宮城県と比べ、「復興がひと段落した」という感覚が得られにくかった。震災復旧が終わっても放射能汚染問題が残り、生活再建・事業再開が進んでも偏見やいわゆる風評被害が残り、除染が完了しても浜通りに中間貯蔵施設が残った。これでは復興に向けた機運を高めるのは難しい。

 県外の人から「なぜ福島県民は国や東電に対し、デモなどの形で怒りを示さなかったのか」と問われることがあったが、中途半端な状況に置かれ、対応するので精いっぱいだったことが背景にあったのだろう。沖縄県名護市辺野古沿岸部の埋め立てをめぐる県民投票で、反対票が7割を占め、政府や米国に県民の意思を明確に示した姿がまぶしく見える。

 原発事故の加害者である国・東電は被害者に対し誠実に向き合い、すべての被害の回復を実現しなければならない。そのためにも、県(内堀雅雄知事)が先頭に立ち、国や東電に対し責任を取るよう訴えていく必要がある。

 県民にとって節目の3月、今号は震災・原発事故特集号とした。中途半端な8年目だからこそ見えてきた課題も多い。復興の在り方を考えるきっかけになれば幸いだ。

(志賀)

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