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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
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「最終処分場化」が進む双葉郡(2019年 9月号)

 東京電力は福島第二原発(富岡町、楢葉町)の全4基を正式に廃炉にする方針を決定し、7月24日、東京電力ホールディングスの小早川智明社長が県庁で内堀雅雄知事に伝えた。小早川社長は’冢Г40年以上かかる見通しであること、同原発の使用済み核燃料を保管する貯蔵施設を敷地内に新設したい考えを明かし、内堀知事は「(使用済み核燃料は)県外に搬出することが大前提」としながらも、「やむを得ない」と受け入れる考えを示したという。楢葉町の松本幸英町長と富岡町の宮本皓一町長もこの考えを了承したが、町財政が成り立たなくなるため、電源立地地域対策交付金に代わる財政措置を国に求めている。

 県内全10基の廃炉が正式決定したことは喜ばしいが、「国・東電主導の廃炉作業」、「原発に頼らざるを得ない立地自治体」という構図が、子どもたちの世代にまで続いていくことに空しさも感じる。

 双葉郡はあと何年経てば脱原発を果たせるのか。

 廃炉作業は想定外のことも起こり得るので、長期化は避けられない。チェルノブイリ原発のように「石棺化」し、安全に維持管理しながら技術開発を待つ可能性もあるだろう。

 中間貯蔵施設は2045年3月までを貯蔵期間としており、その後は県外で最終処分する方針となっている。だが、最終処分場のめどは立っていないし、県外での受け入れ先があるとも思えない。

 福島第一原発内の汚染水を浄化処理した後に残る水の処分方法についても、議論は全く前進していない。東電は水のタンクが約3年後に満杯になる見通しを立て危機感を煽っているが、今年8月の経済産業省の小委員会では「敷地周辺に用地を確保して増設できないのか」といった疑問が出た。

 8月5日には双葉地方市町村圏組合管理の「クリーンセンターふたば」(大熊町)が、帰還困難区域で発生した特定廃棄物を受け入れることが決定した。環境省が所有する富岡町の最終処分場(旧フクシマエコテック)でも特定廃棄物を受け入れている。

 放射性廃棄物は原発周辺に集約して処理した方が効率的なのだろうが、原発事故で甚大な被害を受けた双葉郡住民にさらなる犠牲を強いることになる。少なくとも、国は中間貯蔵施設を整備するに当たり「30年後に県外で最終処分する」と約束し法制化したわけで、それに関してはきちんと守ってもらわなければならない。本誌昨年8月号巻頭言でも触れたが、中間貯蔵施設から除染廃棄物が搬出できなかったときに備え、違約金支払いを求める対応を考えるなど、県を挙げていまから準備しておく必要がある。

(志賀)

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