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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
月刊政経東北
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役所・役場はこんな時こそ役に立て(2019年 11月号)

 10月12日から13日にかけて襲来した台風19号により、県内では河川氾濫や土砂災害、浸水被害などが各所で発生し、甚大な被害をもたらした。さらに、25日夜にも激しい雨に見舞われ、さらなる被害を引き起こした。

 県の発表によると、10月26日13時現在で、死者29人、行方不明者1人、家屋の全壊・半壊・一部損壊1200棟余、浸水被害は床上・床下合わせて1万3000棟余、避難者数は1620人となっている。被害が大きかった地域では、いまなお不自由な生活を強いられているのだ。

 そんな中、被災地を取材すると、住民から行政に対する不満の声を耳にすることも少なくない。被害が大きかった地域では、ある議員から「『早く対応してほしい』と、毎日住民の方からお叱りを受けている」といった話も聞いた。議員(議会)は、行政機関とは別の独立した存在(組織)だが、一般住民からしたら、「議員=行政機関の一員」といった認識に近いのだろう。そのため、住民から「早く何とかしてほしい」、「役場・役所に伝えろ」といった形で、お叱りを受けているものと思われる。

 もっともそれは、その議員が「御用聞き」や「各種手伝い」に徹しているからこそ、そういった不満も目の当たりにできるわけで、その点では住民の役に立っていると言っていい。

 それに比べ、行政機関はどうか。次頁からの特集で一部被災地の行政への不満についてもリポートしているが、スムーズに対応できているとは言い難い。やむを得ない面も多分にあるが、それよりも不思議なのは、なぜ首長が職員に対して「少しでも手が空いたら、まちに出て片付けなどの手伝いをしたり、どういう対応が必要かを肌で感じてこい」といった指示を出さないのか。そうした対応こそが本来、行政のあるべき姿だ。

 東日本大震災・原発事故の際、被災地の住民からは「役場(役所)職員なんて、普段、大した仕事をしていないのだから、こういう時くらいは一生懸命働いてもらいたい」といった意見が聞かれた。

 おそらく、役所・役場職員もそれなりには働いているのだろうし、ましてや災害時は各種対応に追われることも多いに違いない。ただ、実際問題として民間の感覚からすると、役所・役場の仕事が「ヌルい」と感じるのは事実で、住民は前述のような捉え方になる。今回の台風被害でも同様だろう。

 いざという時、住民の助けになれないような役所・役場では存在意義がない。

(末永)

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