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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
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廃炉法の意義(2020年 1月号)

 昨年12月に開かれた経済産業省の廃炉・汚染水対策チーム第5回会合で、福島第一原発の廃炉工程表「中長期ロードマップ」の改訂案が示された。今回で5回目の改訂。具体的には―藕羌 2号機)の燃料取り出し方法の確定、▲廖璽詁眷確措茲蟒个傾法の検討・変更、1染水・廃棄物対策、ち澗旅程の一部見直しなどが行われた。

 廃炉は当然達成してもらわなければ困るが、その作業は未知数の連続だ。そうした中で、そもそもの疑問として浮かぶのは、そんな重大作業をなぜ東電主導で行わせるのかということだ。改訂案にも「廃炉・汚染水対策は東京電力自らが責任を持って行うこと」「30〜40年後の廃止措置完了を目標に国も前面に立つ」と書かれ、主体は東電で、国はサポート役というニュアンスが伝わってくる。

 旧ソ連研究者の尾松亮氏(41)が一貫して主張するのは「廃炉に関する法律が存在しないのはおかしい」ということだ。1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発。その廃炉作業が進むウクライナでは、1998年に制定した「チェルノブイリ廃炉法」のもとで廃炉工程表を定める一方、作業員の身分保障を行うなどしている。その意義は、工程表が従事者の都合で勝手に変更されることを防ぎ、関連予算を確実に確保し、極めて困難なミッションに作業員が安心して臨める環境をつくる――等々を法的に担保することにある。いつ完了するか分からない廃炉を未来にきちんと引き継ぐには、法律が欠かせないというわけだ。

 ひるがえって日本はどうか。何でも東電任せで、国は「前面に立つ」と言いながら実態はアドバイザーにすぎない。そのくせ何か問題が起きると「それは国が決めることだ」(東電)、「東電がきちんとやると思う」(政府)と主体を曖昧にさせる。このような無責任な対応は、関連法に責任の所在を明記しておけば決して起こらないはずだ。

 冷静に考えれば廃炉も、どの作業を終えれば廃炉完了なのか。廃炉完了に30〜40年かかるという年数も、事故発生から間もなく9年経つのにずっと30〜40年で変わっていない。本来なら、9年を差し引いて「あと21〜31年で完了」のはずだが、廃炉完了の必要条件がきちんと定義されていないからゴールがまるで見えてこない。

 東電任せの中長期ロードマップの改訂で満足している場合ではない。ウクライナに倣って必要な法整備を行い、廃炉が国主導で進む環境を早急につくるべきだ。

(佐藤)

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