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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
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不幸・不運は重なってやってくる(2020年 6月号)

 5月27日現在、福島県では新型コロナウイルスの新規感染者が19日連続で確認されていない。市中感染が広まっている状況はひとまず脱し、全国に発出されていた緊急事態宣言も解除された。だが、そうした動きと反比例するかのように、経済停滞への不安は大きくなっているように感じる。

 企業や店舗の経営者に話を聞いていて感じるのは、新型コロナウイルス感染拡大前の状況がいまになって響いているということだ。会津地方の飲食店経営者によると「暖冬の影響で、今年は年明けから客足が全く伸びなかった」という。昨年秋には消費増税があり、節約ムードが一気に高まった。さらに台風19号が発生して観光自粛ムードに包まれ、もともと観光客でにぎわっていた店舗は業績が悪化した。そこに新型コロナウイルスの感染拡大が影響して客足が完全に途絶えた。経営者は「このままでは廃業。本当に客足は戻るのか」と大きな不安を抱えている。

 本誌2008年1月号の巻頭言で主幹・奥平が「財政と災害が心配だ」と書いた。

 《もうひとつ心配なのは、災害への備えが十分でないことである。関東大震災(1923年)の傷が癒えないうちに世界恐慌(1929年)が始まり、テロやクーデター未遂事件を繰り返して侵略戦争に傾斜していった戦前を思い出す。不幸・不運は重なってやって来る》

 震災・原発事故から10年も経っていない中で続けて自然災害・異常気象・疫病に襲われたことを考えると、決して大げさではない言葉に感じられる。

 政府は、4月に成立した第1次補正予算で25・7兆円の財政支出を行い、5月27日には総額31兆9114億円の第2次補正予算を閣議決定した。財源は全額国債で賄う。医療や雇用、中小企業を支援するために不可欠な予算だが、一方で今年3月末現在の国債残高は987兆5886億円に上っており、国の将来への不安がよぎる。いずれどこかでこの影響は出てくるだろう。平常時から財政状況を改善しておかないと、非常時に思い切った対策を講じられなくなる恐れもあるということだ。同じことは県や市町村にも当てはまる。だからこそ、自治体の動きは細かくウオッチし続けなければならない。

 近いうちに第二波が到来するともいわれているが、第一波を乗り切ったいま、できることはマスク着用、手洗いや消毒、「3密」の回避を徹底したうえで、かつての日常生活を少しずつ取り戻していくことに尽きよう。不幸・不運が形を変えてやってくる前にダメージを少しでも回復させる必要がある。

(志賀)

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