ホーム
バックナンバー
ウェブ連載「巻頭言」
ウェブアーカイブ
政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
月刊政経東北
政経東北速報解説版
ご挨拶/会社概要
株式会社東邦出版
福島県福島市南矢野目鼓原1-2
TEL:024-554-6101(代表)
FAX:024-554-6103
Email:info@seikeitohoku.com

国がやらないなら自治体がやれ(2020年 9月号)

 8月24日、東京都世田谷区は区内すべての介護施設や保育所・幼稚園の職員など約2万3000人のうち、希望者に対し、新型コロナウイルスのPCR検査を行うと発表した。発熱などの症状がなくても検査を受けることが可能。自分で前鼻腔(鼻の入り口1〜2舵婉瓠砲鬚未阿ぁ検体を採取する。総額約4億円の費用は区が全額公費負担。9月中旬から2カ月かけ、1日1000人程度検査する。

 同区の保坂展人区長は以前から、誰でもいつでも何度でも検査できる「世田谷モデル」構想を打ち出している。唾液などの検体を数人分まとめて検査し、陰性の場合は全員を陰性と判断する「プール方式」を導入することで、1日最大3000件の検査を実施するというもので、今回の検査はその第一弾。

 同区では現在、医師会や保健所により1日最大300件の検査が行われているが、基本的には感染者か濃厚接触者でない限り検査は受けられない。「世田谷モデル」が実現すれば、症状が無くても検査を受けられるようになり、無症状感染者を早い段階で発見し、感染拡大を未然に防ぐことができる。

 医療関係者からは「検査の精度は確保できるのか」、「検査後に感染するケースも考えられる」といった懸念も指摘されている。だが、無症状感染者が無自覚のまま感染を拡大させるリスクに加え、感染を危惧して思うように経済活動ができない会社もある中で、そうした状況を変えようと自治体独自で検査拡大に踏み切ったことは大きな意義がある。

 日本は欧米と比べれば感染者数、死者数とも少ないとされているが、それは致死率の低いアジア型だったからであり、アジア圏内で比較すると人口当たりの感染者数・死者数は多い。

 にもかかわらず、政府のPCR検査拡充の動きは鈍く、相変わらずクラスター潰しに全力を注いでいる。おそらく従来の指定感染症と同じく保健所や衛生研究所を中心とした検査態勢を組んでいるので、検査を拡充するのに抵抗があるのだろう。それならば従来の体制を見直し、担当大臣を決めて対応すれば早く事が運ぶのに、それをやろうとしない。感染者が多い大都市圏などの地域ではPCR検査を受けるまでに数日かかるため、待っている間に家庭内感染が起きることも想定される。

 現在の第2波を乗り越えても、冬に再度感染拡大するのではないかと言われている。国の動きが鈍いなら、世田谷区のように自治体が独自にやるしかない。PCR検査を拡充し、感染拡大を食い止めるべきだ。県内自治体はすぐに動く必要がある。

(志賀)

巻頭言一覧に戻る