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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
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政経東北速報解説版
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無症状感染の連鎖を止めよ(2021年 1月号)

 福島市で新型コロナウイルスが猛威を振るっている。12月に入り、スナックと福島西部病院で大規模なクラスターが発生。同市の新型コロナ患者の病床使用率が70%を超えたことから、木幡浩市長は医師会と共同で「緊急警報」を発令した。県全体を見ても12月19日の検査分で県内最多となる35人の感染が確認されるなど、拡大の一途をたどっている。

 感染拡大の原因には夜の街やGoToなどが挙げられるが、一番は無症状感染者が知らぬ間に感染を広げていることだろう。本人に感染の自覚がなければ、普段通り出勤するし登校もする。買い物や食事にも行く。そういう人たちと濃厚接触した人が感染し、再び無症状だったら感染は広がる一方だ。

 止める術はある。PCR検査の拡充だ。無症状感染者を見つけるには単純に検査数を増やせばいい。現状は、かかりつけ医や帰国者・接触者相談センターに相談し、医師の判断がないと検査を受けられない。県内では自費によるPCR検査を行っている医療機関もあるが、1〜3万円の出費を要する。

 これでは感染が心配されても、検査費用の高さから二の足を踏んでしまう。いつでも、どこでも、何度でもPCR検査を受けられるようにならないと、無症状感染の連鎖は抑え込めない。

 東京では工務店などを傘下に置く木下グループやベンチャー子会社が駅前に検査センターを開設し、3000円前後でPCR検査を実施。唾液を容器に入れるだけの手軽さで、翌日には結果が出る。県内ではまだ見られないが、フットワークの軽い民間がその気になれば地方にも定着する可能性が高い。

 このように、人々が安心を得ようとする動きは原発事故直後の県内でも見られた。目に見えない放射性物質がどこに、どれくらい降り注いだかを知るため、人々は線量計を欲した。当時は専門家や調査機関しか持っていなかった線量計が、さまざまなメーカーによって生産され、小さくて軽くて安価な製品が普及した。精度に問題はあったかもしれないが、示された数値は一応の目安になった。前述・検査センターの開設は、線量計の生産―普及と重なる。

 都内では世田谷区がいち早くPCR検査の拡充に乗り出し(世田谷モデル)、他の区にも広まりつつあるが、県内ではそうした動きは見られない。トップの内堀雅雄知事が一言「やる」と言えばできるだろうに、そうならないのは残念だ。

 行政に期待できない以上、民間の取り組みを待つしかないのか。県に先んじて「やる」と言う市町村長は現れないものか。

(佐藤仁)

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