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「処理済み汚染水」海洋放出の最大の問題点(2022年 8月号)

 原子力規制委員会は7月22日に臨時会議を開き、東京電力福島第一原発から排出される「処理済み汚染水」の海洋放出計画について、正式に認可した。東電が昨年12月に実施計画を提出しており、これを受けて原子力規制委が審査を行い、「計画の安全性に問題はない」と結論付けた。東電の計画によると、「処理済み汚染水」に含まれる放射性物質トリチウムの濃度を、国の基準の40分の1未満になるように希釈して、海底トンネルを新設し、それを通して沖合約1㌔地点で放出するという。

 今後、東電は県、大熊・双葉両町と協議を行い、同意を取り付けたうえで、放出設備の本格工事に入る方針。来春の放出開始を目指しており、放出期間は数十年と見込んでいる。

 これに対し、県内漁業者からは反発の声が出ており、今後はそれ以外にも、さまざまな団体等から反対声明が出されるだろう。

 この問題について、本誌は昨年5月号「処理水放出の前にやるべきことをやれ!」という記事をはじめ、折に触れて問題点を指摘してきたので参照していただきたい。

 一方で、筆者が考える最大の問題は、以前のこの稿でも書いたが、「これから何十年も海洋放出が続く中、その間、誤って基準値超の放射能濃度のものを放出したり、何らかの理由で流出したり、といったミスや事故が起きない保証はない」、「この間の東電の無責任な原発賠償対応などを見ると、そういった事故やミスが起きたとき、同様のことが起こると考えられる」ということ。

 前述したように、放出期間は数十年と見込まれ、その間にミスや事故は間違いなく起きる。そうなると、県内では原発事故直後にあったような、いわゆる風評被害に見舞われる可能性が高い。それによって生じた被害は東電が賠償することになっているが、東電はこれまでの原発賠償に当たり、原賠審の指針を都合よく解釈し、自分たちに都合のいいデータばかりを示して「こういう状況だから、原発事故の影響はない。だから賠償支払い義務はない」といった主張を繰り返してきた。今回の「処理済み汚染水」海洋放出に関しても、東電主導で賠償が実施される以上、その二の舞になることが容易に想像される。

 それを避けるには、東電から地元自治体(県や関係市町村)に対して、相応の金額(数兆円程度?)を供託させ、何か問題が発生したら、それ元手に地元主導で対応できるようにすべき。それが「処理済み汚染水」海洋放出を認める絶対条件だ。

(末永)

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