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――2022年3月に発生した福島県沖地震で相馬市は大きな被害を受けました。 「特徴的な被害として挙げられるのは、ほぼ100%の住宅が被災したことです。家財道具が倒れたり、食器類が割れるなどの被害はほとんどの住宅であったと思います。家屋損壊も相当数に上りました。生活の現場で市民はさまざまな苦労を余儀なくされ、それは発災から8カ月経った今も続いています。 屋根には未だにブルーシートが被せられ、屋根瓦の修繕も思うように進んでいません。大工さんもフル回転で対応していますが、ここ20年で大工さんの人数自体が減っており、修繕に当たる人員は不足しているのが実情です。それでも市民の多くは、何とか自宅を再建しようと努力を続けていますが、中には再建を諦め、市営住宅や民間アパートに転居された方も少なくありません。それぞれ事情が異なるので(再建を諦めるという選択は)仕方ないのでしょうが、生活の基盤となる住宅が元通りにならないと『相馬は復旧した』という気持ちにはなれませんね。 産業では、観光業の方々を中心に国のグループ補助金が適用され、復旧費の4分の3が補助されます。それはありがたいことなのですが、残り4分の1は自己負担になります。平時ならまかなう余力があっても、新型コロナウイルス感染症の影響で客足が落ち込む中、自己負担分が今後の経営に影響を与えないか心配されます。また、後継者問題に直面していた事業者の中には先行きが見通せないとして、今回の被災で事業を取りやめたところもあったようです。事業者は千差万別、いろいろと悩みながら今後の経営を考えている状況です。主要な工場については、相馬共同火力新地発電所は現在も一部運転再開に至っていませんが、その他の工場はほぼ稼働しています。 東日本大震災から11年8カ月経ちますが、復興を遂げつつあった中で2021年2月、2022年3月と立て続けに地震に襲われ、市民の間には『大地震がまた来るのではないか』という憂鬱感が広がっています。そこに追い打ちをかけているのが新型コロナの影響による閉塞感と国際情勢の不安定さです。災害から復旧を果たしても、新型コロナの影響があって商売が上手くいかない、そこに原油高、円安、物価高が重なり、相馬市は非常に厳しい状況にあるというのが実感です。 とはいえ、市民がみんな下を向いているかと言うと、そんなことはありません。市職員も...
――2022年3月に発生した福島県沖地震で相馬市は大きな被害を受けました。 「特徴的な被害として挙げられるのは、ほぼ100%の住宅が被災したことです。家財道具が倒れたり、食器類が割れるなどの被害はほとんどの住宅であったと思います。家屋損壊も相当数に上りました。生活の現場で市民はさまざまな苦労を余儀なくされ、それは発災から8カ月経った今も続いています。 屋根には未だにブルーシートが被せられ、屋根瓦の修繕も思うように進んでいません。大工さんもフル回転で対応していますが、ここ20年で大工さんの人数自体が減っており、修繕に当たる人員は不足しているのが実情です。それでも市民の多くは、何とか自宅を再建しようと努力を続けていますが、中には再建を諦め、市営住宅や民間アパートに転居された方も少なくありません。それぞれ事情が異なるので(再建を諦めるという選択は)仕方ないのでしょうが、生活の基盤となる住宅が元通りにならないと『相馬は復旧した』という気持ちにはなれませんね。 産業では、観光業の方々を中心に国のグループ補助金が適用され、復旧費の4分の3が補助されます。それはありがたいことなのですが、残り4分の1は自己負担になります。平時ならまかなう余力があっても、新型コロナウイルス感染症の影響で客足が落ち込む中、自己負担分が今後の経営に影響を与えないか心配されます。また、後継者問題に直面していた事業者の中には先行きが見通せないとして、今回の被災で事業を取りやめたところもあったようです。事業者は千差万別、いろいろと悩みながら今後の経営を考えている状況です。主要な工場については、相馬共同火力新地発電所は現在も一部運転再開に至っていませんが、その他の工場はほぼ稼働しています。 東日本大震災から11年8カ月経ちますが、復興を遂げつつあった中で2021年2月、2022年3月と立て続けに地震に襲われ、市民の間には『大地震がまた来るのではないか』という憂鬱感が広がっています。そこに追い打ちをかけているのが新型コロナの影響による閉塞感と国際情勢の不安定さです。災害から復旧を果たしても、新型コロナの影響があって商売が上手くいかない、そこに原油高、円安、物価高が重なり、相馬市は非常に厳しい状況にあるというのが実感です。 とはいえ、市民がみんな下を向いているかと言うと、そんなことはありません。市職員も...