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亀岡偉民

  • 【亀岡偉民】衆議院議員インタビュー(2024.2)

    【亀岡偉民】衆議院議員インタビュー(2024.2)

     かめおか・よしたみ 1955年生まれ。作新学院高、早稲田大卒。現在5期目。この間復興副大臣などを歴任し、現在、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会委員長を務める。  自由民主党福島県連は昨年11月に総務会を開き、新会長に亀岡偉民衆院議員(68、5期、比例東北)を選出した。内閣支持率の低迷が続き、派閥の政治資金パーティーの裏金疑惑も浮上する中で、どのように信頼回復を果たしていく考えなのか。亀岡衆院議員に今後の抱負について語っていただいた。(取材日・1月6日)  ――自民党県連の新会長に就任した経緯と新会長就任の抱負について。  「昨年10月に県議選を終えたのを機に、県連内で体制を新しくしようとの声が上がりました。そうした中で、前会長の根本匠先生(衆院議員、9期、福島2区選出)から『よろしく頼む』と言われて、お受けしました。県議選の時点で有権者から『増税』と言われるなど、政権与党へのイメージが悪かったのは事実であり、自民党がこれから変わるというイメージを持たせる必要がありました。  抱負は、これからいかに自民党の信頼を取り戻すか、ということに尽きます。『自民党だから応援する』ではなく、『こんな取り組みをしている自民党だから応援したい』と言ってもらえる党にすることが大事です。私たちは『原点に立ち返ろう』と呼びかけ合い、『地方から信頼を得られる自民党にしていくために、いま地元で何をすべきか一緒に考えていきましょう』と党内、県連内で話し合っています。  昨今の政策は大都市中心、大企業中心に偏りがちな面がありますが、地方は中小企業、個人事業主の方が多い。地方から景気を回復させるためには、この方たちを助ける必要があります。与党としてスタートアップ事業などに予算を付けているので、これら事業を活用していただき、実績を積み上げることで、信頼回復につなげていきたいと考えています」  ――衆院選小選挙区の区割りが改定されました。亀岡議員が地盤とする福島1区は福島市、二本松市、伊達市、本宮市、伊達郡、安達郡という構成になります。新たに地盤に加わった地域の課題解決に向けて、どう貢献していく考えですか。  「本宮市は令和元年東日本台風で被害を受けましたが、早急に復旧して中心市街地の開発に取り組んでいます。来春には全国初となる24時間営業の水素ステーションが開設される予定で、最先端を走っています。商工団体と行政が連携を密にし、官民一体で課題解決に取り組んでいる印象があります。同市の高松義行市長と、隣接する大玉村の押山利一村長からは『人口増を目指す』という積極的な目標を聞いて感嘆しました。市町村の取り組みを国がバックアップしたらもっと効果を出せるのではないか、と希望が湧きました。  新たにご縁が生まれた地域ですが、父・亀岡高夫(元建設大臣、農林水産大臣)を知っている方も多く、とても温かい環境に置いていただいたと思っています。  ただ、選挙の区割りに関しては有権者の戸惑いを感じます。政治家はその選挙区の代表として国会に行っているのだから、機械的に区割りを決めるのではなく、まず当事者である政治家の意見を聞くべきだったと思います。1票の格差が2倍以上で違憲状態となるから是正しなければならないとのことですが、大都市と地方の不均衡状態を考えると、人口に基づく区割りには違和感を抱きます。『地方と大都市の1票の格差は違憲ではない』と明記するよう、憲法改正を働きかけるのが地方選出国会議員としての責務と考えています」  ――今後の新型コロナウイルスへの対応と、アフターコロナを見据えた戦略についてうかがいます。  「コロナ禍で商売が立ち行かなくなる人が多く出ました。与党自民党では新たな分野へのチャレンジやスタートアップを支援する事業に予算を付けてきたので、今こそ活用してほしい。国が商売の継続を支援し、地方から新たに起業する流れが活発になってほしいですね。  借金返済を迫られると、再起しようとする気持ちを失ってしまうのは事実です。そのため金利の据え置きを再延長できる仕組みを検討して、返せる時に返してもらうやり方で、事業者の方には経営に専念していただき、地方の経済を立て直していくことが大事だと思います」  ――東京電力福島第一原発で増え続ける放射性トリチウムなどを含んだ水(処理水)の海洋放出が始まりました。放出後の本県の風評問題についてどう捉えていますか。  「結果的に、福島県沖の水産物の値段は下がりませんでした。日本中の方に買い支えていただいたおかげです。一方で、県内では風評の影響でインバウンド客が1人も来なくなった地区があり、観光業には大きな打撃となりました。単なる風評被害ではなく『政治的風評被害』と呼ぶべき状況になっています。  やめさせるには風評の元となっている処理水のタンクをどうにかしなければなりません。もし、福島県民がこぞって『タンクを全部なくさない限り風評はなくならない』と考え、双葉町や大熊町のために処理水放出を受け入れていたら、国内で反対の声が上がることはなかっただろうし、諸外国が反対できる状況にもならなかったのではないでしょうか。県内で反対の声が上がったから、日本を批判するための外交に使われた感があります。反対ではなく、どのようにして、タンクが置かれている双葉町、大熊町を守り、復興につなげていけるかが重要だと思います。反対のための反対は止めるべきだし、前に進むためにも、県民の理解を得られるように努力を続けていくしかありません」  ――自民党安倍派・二階派における政治資金パーティーをめぐる裏金問題の影響で、岸田内閣の支持率が低下しています。  「県連会長として、県内の自民党国会議員に聞き取りしましたが、裏金作りは誰も行っていません。パーティー券販売分の一部を受け取る仕組みが慣例としてあり、『収支報告書に書かないでくれ』と言われていたのでどう記載するか会計担当者が苦慮していた実態はありましたが、裏金にした人は1人もいません。  裏金が何を指すのか明確でないままに『裏金問題』と報道されたダメージはものすごく大きいです。『裏金』と言われたものは慣例に起因し、記載が曖昧だったためではないでしょうか。政治資金規正法ができたときに、古くからの慣例を切り替えられなかったかことが問題につながっていると捉えています。  これから検察がどのような捜査をするかは分かりませんが、『裏金』と事実でないことを報道するとしたら大きな問題だと思います。ただ、政治家としては『駄目なものは駄目』としっかり正していきましょうという思いがあります。早く襟を正すことが大事だと考えています」  ――有権者へのメッセージを。  「異常な物価高の中、国民の皆さんに安心してもらえる環境をつくることが私の役目だと考えます。バラマキではなく、理解を得ながら『一緒に頑張りましょう』と並走できる体制で取り組まなければなりません。国民の皆様にはもう一度元気を持ってもらえる政策をつくりながら、政治も進めていくことを示していきたい。地方から経済再生につながる取り組みを進めていきます」

  • 【亀岡偉民】衆議院議員

    【亀岡偉民】衆議院議員インタビュー

    かめおか・よしたみ 1955年生まれ。作新学院高、早稲田大卒。2005年の衆院選で初当選、現在5期目。この間、復興大臣政務官、衆院文部科学委員長、文部科学副大臣、復興副大臣などを歴任。現在、衆院拉致問題特別委員長を務める。  福島県の衆院小選挙区は5から4に減る。現1区の地盤が分断される亀岡偉民衆院議員(67、自民、比例東北)は「1票の格差」という人口を尺度にした考え方が都市と地方の格差をより広げていると問題視する。また、岸田文雄首相が訴える企業への賃上げ要請には、大都市と地方の経済格差是正の視点が必要と注文を付ける。  ――小選挙区の「10増10減」が行われました。亀岡議員が地盤とする福島1区は新たに福島市、伊達市、二本松市、伊達郡、安達郡に改定されました。影響を受ける議員としての見解をうかがいます。 「国会議員の意見をもっと聞くべきです。審議会が勝手に決めればいいというものではないですし、人口ベースで形式的に決めればいいというものでもありません。そもそも私は『1票の格差』という考えが、都市と地方の均衡の観点から間違っていると思います。『違憲状態』とされていますが、ある意味では地方の実情に合わせて憲法改正が必要になってきたのではないかと思います。地方のために『人口ベースの格差』という考えをなくすべきです」 ――新1区の支部長について、地元は亀岡議員を推薦し、自民党本部は「保留」としました。 「比例で2回復活したことを考えなければいけないのは確かだとしても、地元の方々の応援を受け、10万票以上を得て戦ってきました。『保留』という決定について、党執行部との協議は全然ありませんでした。県連から推薦が上がれば通常は公認されますが、おかしな話になっています。結論がいつになるか知りません。一生懸命地元の皆さんとやってきて支部長に認めないというのはあり得ないことと思っています。他県でも似たようなことが起きており、当該議員から反発が起きかねない状況です。一生懸命やってきた議員たちが自民党を離れる可能性すらあります」 注:2月10日、亀岡偉民氏が正式に新1区の支部長に就いた。 ――地元紙には、自民党本部が公認しなかった場合、無所属での立候補もあるという記事が載りました。 「出るに決まっています。我々はもともと自民党のために働いているわけではない。国民のために働いているんですから。その目的を達成するために、一緒に働く政党を自民党にしようと言っているだけです。勘違いしたら大変なことになります」 ――そのような中、現在描いている選挙戦略についてうかがいます。 「全く考えていません。支部長ではないので動けないのです。弊害ばかりです。どのような結果になろうとも、あとは有権者がどう判断するかです。ただ、選挙運動が上手いだけの人が勝つような社会ではどうしようもないと思います。私は30年以上政治の道を歩んできました。本当に国会議員に働いてほしかったら、働ける環境を作らないといけない。選挙運動ばかりやっていたら、政治家としての本来の仕事が何もできなくなってしまいます」 ――本県は震災・原発事故からの復興が道半ばです。一昨年2月、昨年3月には福島県沖地震が発生し、甚大な被害に見舞われました。 「福島県は多重災害に見舞われています。復旧・復興のために迅速に予算を確保する、これこそが国会議員の責務と奔走しました。激甚災害の指定を待っていたのでは遅いと考え、官邸や国交省と直接協議し、財務省には必要な予算をつけるよう強く働きかけました。『被災地の議員がやらなければ誰がやるんだ』という思いで仕事をしました。 県内の被災地は全て回りました。東日本大震災でも甚大な被害を受けたのに2年連続で大きな地震に見舞われ、とりわけ相馬地方は大変な状況でした。『補助金をもらって事業を続けており、借金の返済も残っているのでやめるにやめられない』と泣いている事業者の方もいました。被災者の置かれている状況を官邸や省庁は直視し、必要な支援策をさらに講じるべきです」 ――東京電力福島第一原発で増え続けるトリチウムなどを含んだALPS処理水の海洋放出をめぐり、安全性への懸念や風評被害を心配する声が後を絶ちません。 「私は、処理水タンクが存在すること自体が風評被害だと思っています。1000基以上のタンクを今後も並べたままで風評被害がなくなるかと言うとなくならないでしょう。決断の時期が来ているのは事実です。風評被害を絶対出さないようにしながら、危険性を煽る人たちには『落ち着いてくれ』と説得しなければなりません。世界で一番安心・安全な基準で海洋放出するのだから、それは認めてほしいとお願いしたい。理解を得て納得してもらうために努力を続けていくしかありません」 ――政府は防衛戦略の変更や装備の拡充を打ち出しています。 「ロシアによるウクライナ侵略を受け、国民の8割が防衛力を強化するべきだというアンケート結果をもとに政府は大きく舵を切ったのだと思います。敵基地攻撃力を有し『やられたらやり返す能力がある』ということを相手に示さないと、いいようにやられてしまいます。抑止力を持つことについては、納得してくれる国民は多いと思います」 ――防衛費増額の財源のうち、復興特別所得税の一部を事実上転用する形で財源を確保することに対して被災地から批判の声が上がっています。また、岸田内閣の支持率も低迷しています。 「2・1%の財源を1・1%にしたとしても、その分、税の徴収期間を延長するので内実は減りません。私たち被災地の議員はそこを理解したうえで同意しました。復興には長い時間を要するので、長い間財源が確保できることについて異論はありませんでした。 岸田首相は、支持率は下がってもやるべきことはやっている、国民はそう評価していると私は捉えています。岸田首相は物価・燃料・電気代高騰対策など必要な政策を迅速に打ち出し、国民の声に真摯に答えようとしていますが、これに対する野党の煽りと一部のマスコミ報道でマイナス評価につながっているのではないでしょうか」 ――最後に、有権者へのメッセージをお願いします。 「岸田首相は企業に対し賃上げを要請していますが、地方では人手不足に拍車がかかると懸念しています。首都圏で時給が上がったおかげで、地方から人材が流出しているからです。給料を上げるのはいいことですが、上げたくても上げられない地方の中小企業にとっては中央との格差が広がる一方です。大企業なら、首相から上げてほしいと言われれば上げられるでしょう。では、その分のしわ寄せがどこに行くかというと、地方の下請け企業に来る可能性があります。人手不足は進んでいるのに中小企業の給料は上がらない、こうした状況を解消しなければなりません。岸田内閣には都市と地方の格差を真剣に考えてほしい。 要するに衆院区割りと一緒です。『1票の格差』を解消すると言いながら、逆に都市と地方の格差を助長している。均衡な発展のため大都市中心主義の生活を是正し、どんな山の中にいても平等な生活ができる社会にしなければなりません。そのために私は今後も尽力していきます」 【亀岡偉民】衆議院議員のホームページ 掲載号:政経東北【2023年2月号】

  • 【亀岡偉民】衆議院議員インタビュー(2024.2)

     かめおか・よしたみ 1955年生まれ。作新学院高、早稲田大卒。現在5期目。この間復興副大臣などを歴任し、現在、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会委員長を務める。  自由民主党福島県連は昨年11月に総務会を開き、新会長に亀岡偉民衆院議員(68、5期、比例東北)を選出した。内閣支持率の低迷が続き、派閥の政治資金パーティーの裏金疑惑も浮上する中で、どのように信頼回復を果たしていく考えなのか。亀岡衆院議員に今後の抱負について語っていただいた。(取材日・1月6日)  ――自民党県連の新会長に就任した経緯と新会長就任の抱負について。  「昨年10月に県議選を終えたのを機に、県連内で体制を新しくしようとの声が上がりました。そうした中で、前会長の根本匠先生(衆院議員、9期、福島2区選出)から『よろしく頼む』と言われて、お受けしました。県議選の時点で有権者から『増税』と言われるなど、政権与党へのイメージが悪かったのは事実であり、自民党がこれから変わるというイメージを持たせる必要がありました。  抱負は、これからいかに自民党の信頼を取り戻すか、ということに尽きます。『自民党だから応援する』ではなく、『こんな取り組みをしている自民党だから応援したい』と言ってもらえる党にすることが大事です。私たちは『原点に立ち返ろう』と呼びかけ合い、『地方から信頼を得られる自民党にしていくために、いま地元で何をすべきか一緒に考えていきましょう』と党内、県連内で話し合っています。  昨今の政策は大都市中心、大企業中心に偏りがちな面がありますが、地方は中小企業、個人事業主の方が多い。地方から景気を回復させるためには、この方たちを助ける必要があります。与党としてスタートアップ事業などに予算を付けているので、これら事業を活用していただき、実績を積み上げることで、信頼回復につなげていきたいと考えています」  ――衆院選小選挙区の区割りが改定されました。亀岡議員が地盤とする福島1区は福島市、二本松市、伊達市、本宮市、伊達郡、安達郡という構成になります。新たに地盤に加わった地域の課題解決に向けて、どう貢献していく考えですか。  「本宮市は令和元年東日本台風で被害を受けましたが、早急に復旧して中心市街地の開発に取り組んでいます。来春には全国初となる24時間営業の水素ステーションが開設される予定で、最先端を走っています。商工団体と行政が連携を密にし、官民一体で課題解決に取り組んでいる印象があります。同市の高松義行市長と、隣接する大玉村の押山利一村長からは『人口増を目指す』という積極的な目標を聞いて感嘆しました。市町村の取り組みを国がバックアップしたらもっと効果を出せるのではないか、と希望が湧きました。  新たにご縁が生まれた地域ですが、父・亀岡高夫(元建設大臣、農林水産大臣)を知っている方も多く、とても温かい環境に置いていただいたと思っています。  ただ、選挙の区割りに関しては有権者の戸惑いを感じます。政治家はその選挙区の代表として国会に行っているのだから、機械的に区割りを決めるのではなく、まず当事者である政治家の意見を聞くべきだったと思います。1票の格差が2倍以上で違憲状態となるから是正しなければならないとのことですが、大都市と地方の不均衡状態を考えると、人口に基づく区割りには違和感を抱きます。『地方と大都市の1票の格差は違憲ではない』と明記するよう、憲法改正を働きかけるのが地方選出国会議員としての責務と考えています」  ――今後の新型コロナウイルスへの対応と、アフターコロナを見据えた戦略についてうかがいます。  「コロナ禍で商売が立ち行かなくなる人が多く出ました。与党自民党では新たな分野へのチャレンジやスタートアップを支援する事業に予算を付けてきたので、今こそ活用してほしい。国が商売の継続を支援し、地方から新たに起業する流れが活発になってほしいですね。  借金返済を迫られると、再起しようとする気持ちを失ってしまうのは事実です。そのため金利の据え置きを再延長できる仕組みを検討して、返せる時に返してもらうやり方で、事業者の方には経営に専念していただき、地方の経済を立て直していくことが大事だと思います」  ――東京電力福島第一原発で増え続ける放射性トリチウムなどを含んだ水(処理水)の海洋放出が始まりました。放出後の本県の風評問題についてどう捉えていますか。  「結果的に、福島県沖の水産物の値段は下がりませんでした。日本中の方に買い支えていただいたおかげです。一方で、県内では風評の影響でインバウンド客が1人も来なくなった地区があり、観光業には大きな打撃となりました。単なる風評被害ではなく『政治的風評被害』と呼ぶべき状況になっています。  やめさせるには風評の元となっている処理水のタンクをどうにかしなければなりません。もし、福島県民がこぞって『タンクを全部なくさない限り風評はなくならない』と考え、双葉町や大熊町のために処理水放出を受け入れていたら、国内で反対の声が上がることはなかっただろうし、諸外国が反対できる状況にもならなかったのではないでしょうか。県内で反対の声が上がったから、日本を批判するための外交に使われた感があります。反対ではなく、どのようにして、タンクが置かれている双葉町、大熊町を守り、復興につなげていけるかが重要だと思います。反対のための反対は止めるべきだし、前に進むためにも、県民の理解を得られるように努力を続けていくしかありません」  ――自民党安倍派・二階派における政治資金パーティーをめぐる裏金問題の影響で、岸田内閣の支持率が低下しています。  「県連会長として、県内の自民党国会議員に聞き取りしましたが、裏金作りは誰も行っていません。パーティー券販売分の一部を受け取る仕組みが慣例としてあり、『収支報告書に書かないでくれ』と言われていたのでどう記載するか会計担当者が苦慮していた実態はありましたが、裏金にした人は1人もいません。  裏金が何を指すのか明確でないままに『裏金問題』と報道されたダメージはものすごく大きいです。『裏金』と言われたものは慣例に起因し、記載が曖昧だったためではないでしょうか。政治資金規正法ができたときに、古くからの慣例を切り替えられなかったかことが問題につながっていると捉えています。  これから検察がどのような捜査をするかは分かりませんが、『裏金』と事実でないことを報道するとしたら大きな問題だと思います。ただ、政治家としては『駄目なものは駄目』としっかり正していきましょうという思いがあります。早く襟を正すことが大事だと考えています」  ――有権者へのメッセージを。  「異常な物価高の中、国民の皆さんに安心してもらえる環境をつくることが私の役目だと考えます。バラマキではなく、理解を得ながら『一緒に頑張りましょう』と並走できる体制で取り組まなければなりません。国民の皆様にはもう一度元気を持ってもらえる政策をつくりながら、政治も進めていくことを示していきたい。地方から経済再生につながる取り組みを進めていきます」

  • 【亀岡偉民】衆議院議員インタビュー

    かめおか・よしたみ 1955年生まれ。作新学院高、早稲田大卒。2005年の衆院選で初当選、現在5期目。この間、復興大臣政務官、衆院文部科学委員長、文部科学副大臣、復興副大臣などを歴任。現在、衆院拉致問題特別委員長を務める。  福島県の衆院小選挙区は5から4に減る。現1区の地盤が分断される亀岡偉民衆院議員(67、自民、比例東北)は「1票の格差」という人口を尺度にした考え方が都市と地方の格差をより広げていると問題視する。また、岸田文雄首相が訴える企業への賃上げ要請には、大都市と地方の経済格差是正の視点が必要と注文を付ける。  ――小選挙区の「10増10減」が行われました。亀岡議員が地盤とする福島1区は新たに福島市、伊達市、二本松市、伊達郡、安達郡に改定されました。影響を受ける議員としての見解をうかがいます。 「国会議員の意見をもっと聞くべきです。審議会が勝手に決めればいいというものではないですし、人口ベースで形式的に決めればいいというものでもありません。そもそも私は『1票の格差』という考えが、都市と地方の均衡の観点から間違っていると思います。『違憲状態』とされていますが、ある意味では地方の実情に合わせて憲法改正が必要になってきたのではないかと思います。地方のために『人口ベースの格差』という考えをなくすべきです」 ――新1区の支部長について、地元は亀岡議員を推薦し、自民党本部は「保留」としました。 「比例で2回復活したことを考えなければいけないのは確かだとしても、地元の方々の応援を受け、10万票以上を得て戦ってきました。『保留』という決定について、党執行部との協議は全然ありませんでした。県連から推薦が上がれば通常は公認されますが、おかしな話になっています。結論がいつになるか知りません。一生懸命地元の皆さんとやってきて支部長に認めないというのはあり得ないことと思っています。他県でも似たようなことが起きており、当該議員から反発が起きかねない状況です。一生懸命やってきた議員たちが自民党を離れる可能性すらあります」 注:2月10日、亀岡偉民氏が正式に新1区の支部長に就いた。 ――地元紙には、自民党本部が公認しなかった場合、無所属での立候補もあるという記事が載りました。 「出るに決まっています。我々はもともと自民党のために働いているわけではない。国民のために働いているんですから。その目的を達成するために、一緒に働く政党を自民党にしようと言っているだけです。勘違いしたら大変なことになります」 ――そのような中、現在描いている選挙戦略についてうかがいます。 「全く考えていません。支部長ではないので動けないのです。弊害ばかりです。どのような結果になろうとも、あとは有権者がどう判断するかです。ただ、選挙運動が上手いだけの人が勝つような社会ではどうしようもないと思います。私は30年以上政治の道を歩んできました。本当に国会議員に働いてほしかったら、働ける環境を作らないといけない。選挙運動ばかりやっていたら、政治家としての本来の仕事が何もできなくなってしまいます」 ――本県は震災・原発事故からの復興が道半ばです。一昨年2月、昨年3月には福島県沖地震が発生し、甚大な被害に見舞われました。 「福島県は多重災害に見舞われています。復旧・復興のために迅速に予算を確保する、これこそが国会議員の責務と奔走しました。激甚災害の指定を待っていたのでは遅いと考え、官邸や国交省と直接協議し、財務省には必要な予算をつけるよう強く働きかけました。『被災地の議員がやらなければ誰がやるんだ』という思いで仕事をしました。 県内の被災地は全て回りました。東日本大震災でも甚大な被害を受けたのに2年連続で大きな地震に見舞われ、とりわけ相馬地方は大変な状況でした。『補助金をもらって事業を続けており、借金の返済も残っているのでやめるにやめられない』と泣いている事業者の方もいました。被災者の置かれている状況を官邸や省庁は直視し、必要な支援策をさらに講じるべきです」 ――東京電力福島第一原発で増え続けるトリチウムなどを含んだALPS処理水の海洋放出をめぐり、安全性への懸念や風評被害を心配する声が後を絶ちません。 「私は、処理水タンクが存在すること自体が風評被害だと思っています。1000基以上のタンクを今後も並べたままで風評被害がなくなるかと言うとなくならないでしょう。決断の時期が来ているのは事実です。風評被害を絶対出さないようにしながら、危険性を煽る人たちには『落ち着いてくれ』と説得しなければなりません。世界で一番安心・安全な基準で海洋放出するのだから、それは認めてほしいとお願いしたい。理解を得て納得してもらうために努力を続けていくしかありません」 ――政府は防衛戦略の変更や装備の拡充を打ち出しています。 「ロシアによるウクライナ侵略を受け、国民の8割が防衛力を強化するべきだというアンケート結果をもとに政府は大きく舵を切ったのだと思います。敵基地攻撃力を有し『やられたらやり返す能力がある』ということを相手に示さないと、いいようにやられてしまいます。抑止力を持つことについては、納得してくれる国民は多いと思います」 ――防衛費増額の財源のうち、復興特別所得税の一部を事実上転用する形で財源を確保することに対して被災地から批判の声が上がっています。また、岸田内閣の支持率も低迷しています。 「2・1%の財源を1・1%にしたとしても、その分、税の徴収期間を延長するので内実は減りません。私たち被災地の議員はそこを理解したうえで同意しました。復興には長い時間を要するので、長い間財源が確保できることについて異論はありませんでした。 岸田首相は、支持率は下がってもやるべきことはやっている、国民はそう評価していると私は捉えています。岸田首相は物価・燃料・電気代高騰対策など必要な政策を迅速に打ち出し、国民の声に真摯に答えようとしていますが、これに対する野党の煽りと一部のマスコミ報道でマイナス評価につながっているのではないでしょうか」 ――最後に、有権者へのメッセージをお願いします。 「岸田首相は企業に対し賃上げを要請していますが、地方では人手不足に拍車がかかると懸念しています。首都圏で時給が上がったおかげで、地方から人材が流出しているからです。給料を上げるのはいいことですが、上げたくても上げられない地方の中小企業にとっては中央との格差が広がる一方です。大企業なら、首相から上げてほしいと言われれば上げられるでしょう。では、その分のしわ寄せがどこに行くかというと、地方の下請け企業に来る可能性があります。人手不足は進んでいるのに中小企業の給料は上がらない、こうした状況を解消しなければなりません。岸田内閣には都市と地方の格差を真剣に考えてほしい。 要するに衆院区割りと一緒です。『1票の格差』を解消すると言いながら、逆に都市と地方の格差を助長している。均衡な発展のため大都市中心主義の生活を是正し、どんな山の中にいても平等な生活ができる社会にしなければなりません。そのために私は今後も尽力していきます」 【亀岡偉民】衆議院議員のホームページ 掲載号:政経東北【2023年2月号】