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  • 郡山4人死亡事故で加害者に禁錮3年

    郡山4人死亡事故で加害者に禁錮3年

     郡山市大平町の市道交差点で発生した一家4人死亡事故で、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)の罪に問われた福島市泉の会社員高橋俊被告(25)に対し、地裁郡山支部は4月10日、禁錮3年(求刑禁錮3年6カ月)の判決を言い渡した。 裁判では、初めて通る道路にもかかわらず、助手席に置いたスマホに知人女性から連絡があるかどうか、気にしながら運転していたことが分かった。交差点に一時停止の標識などが設置されておらず、停止線も消えかかっていたのを踏まえ、小野寺健太裁判官は「過失の程度は重大であったとまでは言えないが、結果の重大性も考慮すれば、執行猶予を付けることは相当ではない」とした。 記者は夜、実際に現場を走ったが、坂道で加速するのに見通しが悪く、減速しながら慎重に降りた。判決によると高橋被告は約60㌔で交差点に入ったというから、漫然と運転した結果が悲劇を生み出したと言える。 あわせて読みたい 【専門家が指摘】他人事じゃない【郡山市】一家4人死亡事故 郡山市・警察が放置してきた危険【交差点一覧】

  • 郡山市・警察が放置してきた危険【交差点一覧】

    郡山市・警察が放置してきた危険【交差点一覧】

     1月に郡山市大平町で発生した交通死亡事故を受けて、市が危険な市道交差点をピックアップしたところ、222カ所が危険個所とされた。対象となる交差点で対策が講じられたが、これまで改善を要望し続けてきた住民は「死亡事故が起きて初めて動くのか」と冷ややかな反応を見せる。(志賀) 「改善要望を無視された」と嘆く住民 郡山市大平町の事故現場  郡山市大平町の交通死亡事故は、市道交差点で乗用車が軽乗用車に衝突し、近くに住む一家4人が死亡したというもので、全国的に報道された。現場となった交差点は一時停止標識がなく、道路標示が消えかかっていたため、市は市道交差点の総点検に着手した。 危険交差点は各地区の住民の意見を踏まえて抽出された。対象基準は「一時停止の規制が無く優先道路が分かりづらい」、「出会い頭の事故が発生しやすい」、「スピードが出やすく大事故につながりやすい」、「ヒヤリハットの事例が多い」など。合計222カ所が挙げられ、郡山国道事務所、福島県県中建設事務所、警察(郡山署、郡山北署)と連携しながら現場を確認。その結果、180カ所で新たな対策が必要とされた。 道路の区画線(白線)やカーブミラー、街灯は道路管理者(国、県、市町村)の管轄。「横断歩道」などの道路標示、道路標識、信号機などは都道府県公安委員会(警察)の管轄となっている。180カ所のうち市対応分は152カ所(区画線、道路標示78カ所、交差点内のカラー舗装44カ所、カーブミラー設置30カ所)、公安委員会対応分は28カ所(停止線の補修等28カ所)だった。 それ以外の42カ所は道路管理者、公安委員会でできる対策がすでに講じられているとして「対策不要」とされた。とは言え、各地区の住民らが危険と感じているのに放置するのは違和感が残る。そうした姿勢が事故につながるのではないか。 ピックアップされた危険交差点は別表の通り。グーグルストリートビューを活用して現地の状況を確認すると、見通しが悪かったり、道路標示が消えて見えにくくなっているところが多い。 郡山市の危険交差点222カ所 中田町高倉字三渡(221番)。坂・カーブ・三叉路で見通しが悪い ※市発表の資料を基に作成。要望理由の「ヒヤリ」は事故発生の恐れがある(ヒヤリハット)、「見通し」は見通しが悪い、「優先」は優先道路が分かりにくい個所。対策の「市」、「公安」は点検の結果、市、公安委員会のいずれかが対応した個所。「なし」は市・公安委員会による新たな対策が不要とされた個所。 住所     要望理由対策1並木五丁目1-8ヒヤリなし2桑野五丁目1-5ヒヤリなし3桑野四丁目4-71ヒヤリ公安4咲田一丁目174-4ヒヤリなし5咲田二丁目54-5ヒヤリ公安6若葉町11-5見通しなし7神明町136-2ヒヤリ公安8長者二丁目5-29見通しなし9緑町13-13見通しなし10亀田二丁目21-7見通し市11島一丁目9-20ヒヤリ市12島一丁目137ヒヤリ市13島一丁目147ヒヤリ市14島二丁目32、34、36、37の角見通しなし15台新二丁目7-13見通し市16台新二丁目15-11見通し市17静町35-23見通し市18静町106-1見通し市19鶴見担二丁目130ヒヤリ市20菜根一丁目176ヒヤリなし21菜根一丁目296-1ヒヤリ市22菜根二丁目6-12見通し市23開成二丁目457-2ヒヤリ市24香久池一丁目129-1ヒヤリ市25図景二丁目105-2ヒヤリ公安26五百渕山21-4見通し市27名倉67-1見通し市28名倉78-2ヒヤリ市29久留米二丁目101ヒヤリ市30久留米三丁目26-5ヒヤリなし31久留米三丁目28-1ヒヤリ市32久留米三丁目96-4ヒヤリ市33久留米三丁目116-5見通し市34久留米五丁目3-1ヒヤリ公安35久留米五丁目111-35見通し市36横塚一丁目63-1ヒヤリ市37横塚一丁目126-4ヒヤリ公安38横塚六丁目26ヒヤリなし39方八町二丁目94-2優先なし40方八町二丁目245-4ヒヤリ公安41芳賀一丁目67ヒヤリ市42緑ケ丘西二丁目6-9優先公安43緑ケ丘西三丁目11-7見通し市44緑ケ丘西四丁目8-5見通し公安45緑ヶ丘西四丁目10-8見通し市46緑ヶ丘西四丁目14-2見通し市47緑ケ丘東一丁目2-20ヒヤリなし48緑ケ丘東二丁目11-1見通しなし49緑ケ丘東二丁目19-13優先市50緑ケ丘東五丁目1-1見通し市51緑ケ丘東六丁目10-1見通し市52緑ヶ丘東八丁目 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 また、緑ヶ丘団地などのニュータウン、住宅地も目立つ。住宅が立ち並び見通しが悪いのに、交通量が多いことが要因と思われる。 住民は地区内の危険交差点について、どう感じているのか。 7カ所の危険交差点がピックアップされた久留米地区の國分晴朗・久留米町会連合会長は「子どもたちが通るところもあるので心配」と語る。 「久留米は人口が多い住宅地(住民基本台帳人口6350人=1月1日現在)。地区内の子どもたちは柴宮小学校やさくら小学校に通っているが、交通量の多い通りを歩くので、事故につながらないか心配です」 例えば、久留米公民館近くの交差点(30番、写真参照)。四方向に一時停止標識が設置されているが、西側(内環状線側)から来た車は建物や駐車車両が視界に入り、交差車両が確認しづらい。 久留米三丁目の交差点(30番)。住宅地だが交通量が多い  東側から来る車からは、150㍍先に内環状線の信号が見える。青信号のタイミングには、一時停止をおざなりにして、急いで発信する車があるという。そうした中、危うく事故になる状況がたびたび発生しているようだ。もっとも、一時停止標識は設置されているので、今回の点検では「対策不要」となった。 同連合会では子どもたちの交通安全を守るため、関係機関と連携し、毎年1回、危険個所チェックを実施。地元住民は「柴宮小・地域子ども見守り隊」を組織して登下校時の見守り活動を行っており、市の2022年度セーフコミュニティ賞を受賞した。さらに年2回、市道路維持課の担当者を招き、各町会長が危険個所の改善を直接要望する場も設けている。ただ、「『近すぎる間隔で信号は設置できない』などの理由で要望は受け入れられておらず、危険交差点の解消には至っていない」(同)。 「本気度が感じられない」 片平町字新蟻塚(107番)。ブロック塀で右側からの車が全く見えない  郊外部の片平町でも、危険交差点が5カ所挙げられていた。片平町区長会の鹿又進会長は「いずれも見通しが悪かったり、優先順位が分かりづらい個所。改善されることに期待したい」と話す。 一方、同地区内で団体責任者を務める男性は「これまで信号機設置などを要望し続けてきたが、実現しなかった。市内で死亡事故が起きてから動き出すのでは遅すぎる」と憤る。 「朝夕は市中心部に向かう通勤車両が多い。通学する児童・生徒が危険なので、市や公安委員会に信号機設置を要望してきたが、実現しなかった。今回の点検も『対策不要』とされた個所が40カ所以上あるし、そもそも『いつまでにどう対策する』というスケジュールも明確ではない。交通死亡事故を受けてとりあえず動いた感がアリアリで本気度が感じられません。結局、見守り隊など地元住民の〝共助〟で何とか対応するしかないのでしょう」 公安委員会の窓口である郡山署に問い合わせたところ、「住民から要望を受けて県単位で優先順位を付け、限られた予算で対策を講じている。すべての要望に応えられないことはご理解いただきたい」と説明した。ちなみに、県警本部交通規制課が公表している報告書には「人口減少による税収減少などで財源不足が見込まれる中、信号機をはじめとした交通安全施設等の整備事業予算も減少する」との見通しが記されている。今後、安全対策の要望はますます通りにくくなるのかもしれない。 市道路維持課によると、定期的に道路パトロールは行っているが、総延長約3400㌔の市道を細かくチェックするのは困難なうえ、これまでは路面の穴、ガードレールや側溝蓋の損傷など異常個所を重点的にチェックしていたという。その結果、222カ所もの危険交差点を見過ごしてきたことになる。 事故を受けて郡山国道事務所、県中建設事務所も過去に事故が発生した交差点などを洗い出し、国道3カ所、県道41カ所が抽出された。 国道は国道49号沿いの田村町金谷、開成五丁目、桑野二丁目の各交差点。いずれも信号機がない交差点で、2017~20年の4年間で出合い頭の事故が2件以上発生している。担当者によると、現在、対応策を検討中とのこと。 県道に関しては場所を公表していないそうだが、現地を確認したうえで、必要に応じて消えかかった区画線を引き直すなど、緊急的に対応しているという。 悲惨な事故が二度と発生しないようにするためには、まず地区住民の声を聞き、危険個所を関係機関同士で共有する仕組みをつくる必要があろう。そのうえで、既存の対策を講じてもなお危険性が高い場所に関しては、市が中心となり違うアプローチの対策を模索していくべきだ。マップアプリ・SNSを活用した注意呼びかけ、交通安全啓蒙の看板設置、見守り隊活動補助金の拡充などさまざまな方法が考えられる。あらゆる対策により改善していく姿勢が求められる。 死亡事故公判の行方 大平町の交通死亡事故現場(事故直後に撮影)  さて、危険交差点総点検の発端となった大平町での死亡事故に関しては、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)の罪に問われた高橋俊被告の初公判が3月16日、地裁郡山支部で開かれた。 報道によると、検察側は冒頭陳述などで▽事故当時は時速60㌔で走行、▽本来約80㍍手前で交差点を認識できるはずなのに、前方不注意で、気付いたのは約30㍍手前だった、▽22・3㍍手前で軽乗用車に気付きブレーキをかけたが間に合わなかったと主張。禁錮3年6月を求刑した。これに対し、弁護側は▽脇見運転や危険運転はしていない、▽道路の一時停止線が消えかかっているなど「事故を誘発するような危険な状況だった」として、執行猶予付き判決を求めた。 本誌記者2人は、傍聴券を求めて抽選に並んだが2人とも外れた。券を手にし、傍聴することができた裁判マニアが話す。 「傍聴席には被害者の遺族十数人の席が割り当てられていました。被告は背広にネクタイを締めた姿で出廷し、検察官が読み上げる起訴状の内容について『間違いありません』と認めました。テレビや新聞では『高橋被告は知人女性からの連絡を待ちながら目的地を決めずに車を運転していた』と報じていますが、それは事実の一部。裁判では、高橋被告は既婚者で子どもがいることが明かされました。知人女性と連絡を取り合い、待ち合わせ場所を決める中での事故だったのではないでしょうか。事故後は保釈金を払い、身体拘束を解かれました。香典を遺族に渡そうとしましたが会うのを拒否され、親族が代わりに渡しています」 弁護側の証人として、母親と職場の上司が出廷。上司は営業の仕事態度は真面目であったこと、罪が確定するまでは休職中であることを述べた。死亡した一家の親族も意見陳述し、「法律で与えられる最大の刑罰を科してほしい」、「4人の未来を返してほしい」と訴えた。高橋被告は声を震わせながら「本当に申し訳ないことをした」、「二度と運転しない」と何度も繰り返したという。 裁判は即日結審。判決は4月10日午前10時からの予定。危険交差点への対策と併せて、公判の行方にも注目したい。 あわせて読みたい 【専門家が指摘】他人事じゃない【郡山市】一家4人死亡事故 郡山4人死亡事故で加害者に禁錮3年 【福島市歩道暴走事故の真相】死亡事故を誘発した97歳独居男の外食事情 日本損害保険協会「交通事故多発交差点マップ」を検証

  • 郡山4人死亡事故で加害者に禁錮3年

     郡山市大平町の市道交差点で発生した一家4人死亡事故で、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)の罪に問われた福島市泉の会社員高橋俊被告(25)に対し、地裁郡山支部は4月10日、禁錮3年(求刑禁錮3年6カ月)の判決を言い渡した。 裁判では、初めて通る道路にもかかわらず、助手席に置いたスマホに知人女性から連絡があるかどうか、気にしながら運転していたことが分かった。交差点に一時停止の標識などが設置されておらず、停止線も消えかかっていたのを踏まえ、小野寺健太裁判官は「過失の程度は重大であったとまでは言えないが、結果の重大性も考慮すれば、執行猶予を付けることは相当ではない」とした。 記者は夜、実際に現場を走ったが、坂道で加速するのに見通しが悪く、減速しながら慎重に降りた。判決によると高橋被告は約60㌔で交差点に入ったというから、漫然と運転した結果が悲劇を生み出したと言える。 あわせて読みたい 【専門家が指摘】他人事じゃない【郡山市】一家4人死亡事故 郡山市・警察が放置してきた危険【交差点一覧】

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     1月に郡山市大平町で発生した交通死亡事故を受けて、市が危険な市道交差点をピックアップしたところ、222カ所が危険個所とされた。対象となる交差点で対策が講じられたが、これまで改善を要望し続けてきた住民は「死亡事故が起きて初めて動くのか」と冷ややかな反応を見せる。(志賀) 「改善要望を無視された」と嘆く住民 郡山市大平町の事故現場  郡山市大平町の交通死亡事故は、市道交差点で乗用車が軽乗用車に衝突し、近くに住む一家4人が死亡したというもので、全国的に報道された。現場となった交差点は一時停止標識がなく、道路標示が消えかかっていたため、市は市道交差点の総点検に着手した。 危険交差点は各地区の住民の意見を踏まえて抽出された。対象基準は「一時停止の規制が無く優先道路が分かりづらい」、「出会い頭の事故が発生しやすい」、「スピードが出やすく大事故につながりやすい」、「ヒヤリハットの事例が多い」など。合計222カ所が挙げられ、郡山国道事務所、福島県県中建設事務所、警察(郡山署、郡山北署)と連携しながら現場を確認。その結果、180カ所で新たな対策が必要とされた。 道路の区画線(白線)やカーブミラー、街灯は道路管理者(国、県、市町村)の管轄。「横断歩道」などの道路標示、道路標識、信号機などは都道府県公安委員会(警察)の管轄となっている。180カ所のうち市対応分は152カ所(区画線、道路標示78カ所、交差点内のカラー舗装44カ所、カーブミラー設置30カ所)、公安委員会対応分は28カ所(停止線の補修等28カ所)だった。 それ以外の42カ所は道路管理者、公安委員会でできる対策がすでに講じられているとして「対策不要」とされた。とは言え、各地区の住民らが危険と感じているのに放置するのは違和感が残る。そうした姿勢が事故につながるのではないか。 ピックアップされた危険交差点は別表の通り。グーグルストリートビューを活用して現地の状況を確認すると、見通しが悪かったり、道路標示が消えて見えにくくなっているところが多い。 郡山市の危険交差点222カ所 中田町高倉字三渡(221番)。坂・カーブ・三叉路で見通しが悪い ※市発表の資料を基に作成。要望理由の「ヒヤリ」は事故発生の恐れがある(ヒヤリハット)、「見通し」は見通しが悪い、「優先」は優先道路が分かりにくい個所。対策の「市」、「公安」は点検の結果、市、公安委員会のいずれかが対応した個所。「なし」は市・公安委員会による新たな対策が不要とされた個所。 住所     要望理由対策1並木五丁目1-8ヒヤリなし2桑野五丁目1-5ヒヤリなし3桑野四丁目4-71ヒヤリ公安4咲田一丁目174-4ヒヤリなし5咲田二丁目54-5ヒヤリ公安6若葉町11-5見通しなし7神明町136-2ヒヤリ公安8長者二丁目5-29見通しなし9緑町13-13見通しなし10亀田二丁目21-7見通し市11島一丁目9-20ヒヤリ市12島一丁目137ヒヤリ市13島一丁目147ヒヤリ市14島二丁目32、34、36、37の角見通しなし15台新二丁目7-13見通し市16台新二丁目15-11見通し市17静町35-23見通し市18静町106-1見通し市19鶴見担二丁目130ヒヤリ市20菜根一丁目176ヒヤリなし21菜根一丁目296-1ヒヤリ市22菜根二丁目6-12見通し市23開成二丁目457-2ヒヤリ市24香久池一丁目129-1ヒヤリ市25図景二丁目105-2ヒヤリ公安26五百渕山21-4見通し市27名倉67-1見通し市28名倉78-2ヒヤリ市29久留米二丁目101ヒヤリ市30久留米三丁目26-5ヒヤリなし31久留米三丁目28-1ヒヤリ市32久留米三丁目96-4ヒヤリ市33久留米三丁目116-5見通し市34久留米五丁目3-1ヒヤリ公安35久留米五丁目111-35見通し市36横塚一丁目63-1ヒヤリ市37横塚一丁目126-4ヒヤリ公安38横塚六丁目26ヒヤリなし39方八町二丁目94-2優先なし40方八町二丁目245-4ヒヤリ公安41芳賀一丁目67ヒヤリ市42緑ケ丘西二丁目6-9優先公安43緑ケ丘西三丁目11-7見通し市44緑ケ丘西四丁目8-5見通し公安45緑ヶ丘西四丁目10-8見通し市46緑ヶ丘西四丁目14-2見通し市47緑ケ丘東一丁目2-20ヒヤリなし48緑ケ丘東二丁目11-1見通しなし49緑ケ丘東二丁目19-13優先市50緑ケ丘東五丁目1-1見通し市51緑ケ丘東六丁目10-1見通し市52緑ヶ丘東八丁目 (前田公園前十字路)見通し市53大平町字前田116-2見通し市54大平町字御前田53見通しなし55大平町字御前田59-45見通し市56大平町字向川原80-4見通しなし57荒井町字東195見通し市58阿久津町字風早87-2見通し市59舞木町字岩ノ作44-6見通し市60町東一丁目245見通しなし61町東二丁目67見通しなし62町東三丁目142-2見通し市63新屋敷1-91見通し市64富田町字墨染18見通し公安65富田町字十文字2見通し市66富田町字大十内85-246ヒヤリ市67富田町字音路90-20見通し市68富田東二丁目1優先市69富田町字細田85-1優先公安70富田町日吉ヶ丘53優先市71大槻町字西宮前26ヒヤリ公安72大槻町字南反田18−3ヒヤリなし73大槻町字室ノ木33-8見通し市74大槻町字原田東13-93ヒヤリ市75大槻町字葉槻22-1優先市76笹川一丁目184-32見通し市77安積一丁目155見通し市78安積一丁目38見通しなし79安積町二丁目350番1見通し公安80安積町日出山字一本松100番18見通しなし81三穂田町川田二丁目62-2見通し市82三穂田町川田三丁目156見通し市83三穂田町川田字駒隠1-4見通し公安84三穂田町川田字小樋41見通し公安85三穂田町川田字北宿3-2見通し公安86三穂田町野田字中沢目9見通し公安87三穂田町鍋山字松川53見通しなし88三穂田町駒屋二丁目62ヒヤリ市89三穂田町駒屋字上佐武担2-2見通し公安90三穂田町八幡字北山10-13見通し公安91三穂田町八幡字北山7-12見通しなし92三穂田町富岡字下茂内56見通し市93三穂田町富岡字下間川67ヒヤリ公安94三穂田町富岡字藤沼18-9見通しなし95三穂田町山口字横山5-4見通しなし96三穂田町山口字川底原22優先公安97逢瀬町多田野字清水池125見通し市98逢瀬町多田野字上中丸56-1見通し市99逢瀬町多田野字家向61見通し市100逢瀬町多田野字柳河原77-2優先市101逢瀬町多田野字南原26見通し市102逢瀬町河内字西荒井123優先市103逢瀬町河内字藤田185見通し公安104片平町字庚坦原14-507優先市105片平町字元大谷地27-3優先市106片平町字森48-2優先市107片平町字新蟻塚99-5見通し市108片平町字樋下68優先市109東原一丁目44見通しなし110東原一丁目120見通し市111東原一丁目229見通し市112東原一丁目250見通し市113東原二丁目127見通し市114東原二丁目141見通し市115東原二丁目235見通し市116東原三丁目246ヒヤリ市117喜久田町字双又30-19見通し市118喜久田町堀之内字北原6-9優先市119喜久田町早稲原字伝左エ門原優先市120日和田町高倉字牛ケ鼻130-1優先市121日和田町高倉字鶴番367-1優先市122日和田町高倉字南台23-1見通し公安123日和田町梅沢字衛門次郎原123優先市124日和田町梅沢字衛門次郎原150-2見通し市125日和田町梅沢字新屋敷115-1見通し市126日和田町字鶴見坦139優先市127日和田町字鶴見坦88優先市128日和田町字鶴見坦156優先市129日和田町字沼田29-1見通しなし130日和田町字原町25-1見通し市131日和田町字水神前145優先市132日和田町字水神前169優先市133日和田町字水神前184優先市134日和田町字境田17優先市135日和田町字鶴見坦40-54見通し公安136八山田二丁目204優先市137八山田三丁目204優先市138八山田四丁目160優先市139八山田五丁目452優先市140八山田西二丁目242優先なし141八山田西三丁目149優先なし142八山田西三丁目164優先なし143八山田西四丁目9優先市144八山田西四丁目30優先市145八山田西四丁目83優先なし146八山田西四丁目179優先市147八山田西五丁目284優先市148富久山町八山田字細田原3-18見通し市149富久山町八山田字坂下1-1優先市150富久山町八山田字舘前103-2見通しなし151富久山町八山田字菱池17-4見通し市152富久山町久保田字本木93見通し市153富久山町久保田字我妻117優先市154富久山町久保田字我妻136優先なし155富久山町久保田字石堂35-4優先市156富久山町久保田字石堂22優先市157富久山町久保田字本木54-2見通しなし158富久山町久保田字我妻79-1見通し市159富久山町久保田字麓山115-3見通しなし160富久山町久保田字麓山54-3見通しなし161富久山町久保田字三御堂12-2優先市162富久山町久保田字三御堂15-1優先なし163富久山町久保田字下河原123-1優先市164富久山町久保田字下河原38-2優先市165富久山町久保田字古坦131-4優先なし166富久山町久保田字三御堂122-2優先市167富久山町久保田字三御堂129-10優先なし168富久山町福原字猪田29-1見通し市169富久山町福原字左内90-63見通し市170湖南町三代字原木1148優先市171湖南町三代字御代1155-2優先市172湖南町福良字畑田181-1優先市173湖南町舟津字ヲボケ沼1見通し市174湖南町舘字上高野52優先市175熱海町安子島字北原24-54見通し市176上伊豆島一丁目25見通し市177田村町小川字岡市6見通し市178田村町小川字戸ノ内80-4見通し市179田村町山中字上野90-2見通し市180田村町山中字鬼越91-1見通し市181田村町山中字鬼越518-3優先市182田村町山中字枇杷沢264-6見通し市183田村町金沢字大谷地234-10見通し市184田村町谷田川字北田9見通し市185田村町谷田川字町畑11-1見通しなし186田村町守山字湯ノ川85-1見通し市187田村町正直字南17-1見通し市188田村町正直字北22-3見通し市189田村町金屋字水上35-1見通し市190田村町金屋字水上4見通し市191田村町金屋字マセ口14-2見通し市192田村町金屋字西川原80-3見通しなし193田村町上行合字北古川97優先市194田村町下行合字古道内122-2優先市195田村町下行合字宮田130-25優先市196田村町手代木字三斗蒔34優先市197田村町手代木字永作236-1優先市198田村町桜ケ丘一丁目59優先公安199田村町桜ケ丘一丁目170見通し公安200田村町桜ケ丘一丁目226見通しなし201田村町桜ケ丘二丁目1見通し市202田村町桜ケ丘二丁目2見通し市203田村町桜ケ丘二丁目27見通し市204田村町桜ケ丘二丁目90見通し市205田村町桜ケ丘二丁目115、297-17見通し市206田村町桜ケ丘二丁目144見通し公安207田村町桜ケ丘二丁目203見通し市208田村町桜ケ丘二丁目295-54見通し市209田村町桜ケ丘二丁目365見通し市210田村町守山字権現壇165-1見通し市211西田町鬼生田字前田407優先公安212西田町鬼生田字石堂1194優先市213西田町土棚字内出694-2見通しなし214中田町下枝字五百目55見通し市215中田町柳橋字石畑520-9見通し市216中田町柳橋字久根込564優先市217中田町柳橋字小中里217優先市218中田町牛字縊本字袋内1-1優先市219中田町高倉字弥五郎253優先市220中田町高倉字弥五郎202見通し市221中田町高倉字三渡13-2見通し市222中田町高倉字宮ノ脇198-1見通し市  また、緑ヶ丘団地などのニュータウン、住宅地も目立つ。住宅が立ち並び見通しが悪いのに、交通量が多いことが要因と思われる。 住民は地区内の危険交差点について、どう感じているのか。 7カ所の危険交差点がピックアップされた久留米地区の國分晴朗・久留米町会連合会長は「子どもたちが通るところもあるので心配」と語る。 「久留米は人口が多い住宅地(住民基本台帳人口6350人=1月1日現在)。地区内の子どもたちは柴宮小学校やさくら小学校に通っているが、交通量の多い通りを歩くので、事故につながらないか心配です」 例えば、久留米公民館近くの交差点(30番、写真参照)。四方向に一時停止標識が設置されているが、西側(内環状線側)から来た車は建物や駐車車両が視界に入り、交差車両が確認しづらい。 久留米三丁目の交差点(30番)。住宅地だが交通量が多い  東側から来る車からは、150㍍先に内環状線の信号が見える。青信号のタイミングには、一時停止をおざなりにして、急いで発信する車があるという。そうした中、危うく事故になる状況がたびたび発生しているようだ。もっとも、一時停止標識は設置されているので、今回の点検では「対策不要」となった。 同連合会では子どもたちの交通安全を守るため、関係機関と連携し、毎年1回、危険個所チェックを実施。地元住民は「柴宮小・地域子ども見守り隊」を組織して登下校時の見守り活動を行っており、市の2022年度セーフコミュニティ賞を受賞した。さらに年2回、市道路維持課の担当者を招き、各町会長が危険個所の改善を直接要望する場も設けている。ただ、「『近すぎる間隔で信号は設置できない』などの理由で要望は受け入れられておらず、危険交差点の解消には至っていない」(同)。 「本気度が感じられない」 片平町字新蟻塚(107番)。ブロック塀で右側からの車が全く見えない  郊外部の片平町でも、危険交差点が5カ所挙げられていた。片平町区長会の鹿又進会長は「いずれも見通しが悪かったり、優先順位が分かりづらい個所。改善されることに期待したい」と話す。 一方、同地区内で団体責任者を務める男性は「これまで信号機設置などを要望し続けてきたが、実現しなかった。市内で死亡事故が起きてから動き出すのでは遅すぎる」と憤る。 「朝夕は市中心部に向かう通勤車両が多い。通学する児童・生徒が危険なので、市や公安委員会に信号機設置を要望してきたが、実現しなかった。今回の点検も『対策不要』とされた個所が40カ所以上あるし、そもそも『いつまでにどう対策する』というスケジュールも明確ではない。交通死亡事故を受けてとりあえず動いた感がアリアリで本気度が感じられません。結局、見守り隊など地元住民の〝共助〟で何とか対応するしかないのでしょう」 公安委員会の窓口である郡山署に問い合わせたところ、「住民から要望を受けて県単位で優先順位を付け、限られた予算で対策を講じている。すべての要望に応えられないことはご理解いただきたい」と説明した。ちなみに、県警本部交通規制課が公表している報告書には「人口減少による税収減少などで財源不足が見込まれる中、信号機をはじめとした交通安全施設等の整備事業予算も減少する」との見通しが記されている。今後、安全対策の要望はますます通りにくくなるのかもしれない。 市道路維持課によると、定期的に道路パトロールは行っているが、総延長約3400㌔の市道を細かくチェックするのは困難なうえ、これまでは路面の穴、ガードレールや側溝蓋の損傷など異常個所を重点的にチェックしていたという。その結果、222カ所もの危険交差点を見過ごしてきたことになる。 事故を受けて郡山国道事務所、県中建設事務所も過去に事故が発生した交差点などを洗い出し、国道3カ所、県道41カ所が抽出された。 国道は国道49号沿いの田村町金谷、開成五丁目、桑野二丁目の各交差点。いずれも信号機がない交差点で、2017~20年の4年間で出合い頭の事故が2件以上発生している。担当者によると、現在、対応策を検討中とのこと。 県道に関しては場所を公表していないそうだが、現地を確認したうえで、必要に応じて消えかかった区画線を引き直すなど、緊急的に対応しているという。 悲惨な事故が二度と発生しないようにするためには、まず地区住民の声を聞き、危険個所を関係機関同士で共有する仕組みをつくる必要があろう。そのうえで、既存の対策を講じてもなお危険性が高い場所に関しては、市が中心となり違うアプローチの対策を模索していくべきだ。マップアプリ・SNSを活用した注意呼びかけ、交通安全啓蒙の看板設置、見守り隊活動補助金の拡充などさまざまな方法が考えられる。あらゆる対策により改善していく姿勢が求められる。 死亡事故公判の行方 大平町の交通死亡事故現場(事故直後に撮影)  さて、危険交差点総点検の発端となった大平町での死亡事故に関しては、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)の罪に問われた高橋俊被告の初公判が3月16日、地裁郡山支部で開かれた。 報道によると、検察側は冒頭陳述などで▽事故当時は時速60㌔で走行、▽本来約80㍍手前で交差点を認識できるはずなのに、前方不注意で、気付いたのは約30㍍手前だった、▽22・3㍍手前で軽乗用車に気付きブレーキをかけたが間に合わなかったと主張。禁錮3年6月を求刑した。これに対し、弁護側は▽脇見運転や危険運転はしていない、▽道路の一時停止線が消えかかっているなど「事故を誘発するような危険な状況だった」として、執行猶予付き判決を求めた。 本誌記者2人は、傍聴券を求めて抽選に並んだが2人とも外れた。券を手にし、傍聴することができた裁判マニアが話す。 「傍聴席には被害者の遺族十数人の席が割り当てられていました。被告は背広にネクタイを締めた姿で出廷し、検察官が読み上げる起訴状の内容について『間違いありません』と認めました。テレビや新聞では『高橋被告は知人女性からの連絡を待ちながら目的地を決めずに車を運転していた』と報じていますが、それは事実の一部。裁判では、高橋被告は既婚者で子どもがいることが明かされました。知人女性と連絡を取り合い、待ち合わせ場所を決める中での事故だったのではないでしょうか。事故後は保釈金を払い、身体拘束を解かれました。香典を遺族に渡そうとしましたが会うのを拒否され、親族が代わりに渡しています」 弁護側の証人として、母親と職場の上司が出廷。上司は営業の仕事態度は真面目であったこと、罪が確定するまでは休職中であることを述べた。死亡した一家の親族も意見陳述し、「法律で与えられる最大の刑罰を科してほしい」、「4人の未来を返してほしい」と訴えた。高橋被告は声を震わせながら「本当に申し訳ないことをした」、「二度と運転しない」と何度も繰り返したという。 裁判は即日結審。判決は4月10日午前10時からの予定。危険交差点への対策と併せて、公判の行方にも注目したい。 あわせて読みたい 【専門家が指摘】他人事じゃない【郡山市】一家4人死亡事故 郡山4人死亡事故で加害者に禁錮3年 【福島市歩道暴走事故の真相】死亡事故を誘発した97歳独居男の外食事情 日本損害保険協会「交通事故多発交差点マップ」を検証