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品川萬里

  • 【郡山市】品川萬里市長インタビュー

    【郡山市】品川萬里市長インタビュー

     しながわ・まさと 1944年生まれ。東京大学法学部を卒業後、旧郵政省に入省。郵政審議官を経てNTTデータ副社長、法政大学教授など。現在市長3期目。  ――新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に引き下げられました。 「県の移行計画では9月末までに入院受け入れ医療機関を51医療機関から131医療機関へ、対応病床数も766病床から786病床へ段階的に拡大し、未対応であった医療機関に対しても働きかけを行うこととしています。外来診療体制も現在の689医療機関からすべての医療機関に働きかけ、インフルエンザと同等に幅広い医療機関による外来診療体制を構築することとしています。このことにより、これまで一部の医療機関での診療や入院であったものからすべての医療機関での診療等が可能となり、郡山市内においても診療可能となる医療機関の増加が想定されることから、診療や入院の受け入れを行ってきた医療機関の負担は軽減されると考えられます。 一方、これまで診療や入院の受け入れを行ってこなかった医療機関では新たな感染防止対策をとるなどの負担が考えられますが、県では必要となる感染防止等の設備整備の補助や院内感染発生に伴う休止・縮小に対する支援、個人防護具の配布等の財政支援措置を準備しています。市としては県や医師会などと連携してサポートを行っていきます。 ワクチン接種については5月8日から『令和5年春開始接種』が始まり、本市でも4月24日から接種券を発送しています。市民の皆様には羅患時の重症化リスクを低減し、ひいては医療機関の負担軽減に結び付くと考えられることから、接種についてご検討をお願い致します」 ――一家4人死亡事故を受け、市道を点検した結果、危険交差点が222カ所あることが判明しました。 「2月3日までに222カ所の点検を行い、180カ所で対策を検討していましたが、その後、郡山地区交通安全協会や郡山市交通対策協議会などから新たに61カ所の交差点の情報が寄せられ、それらの点検を行った結果、58カ所を追加し、238カ所の交差点で対策が必要であると判定しています。対策工事については市民の皆様の安全を確保するため迅速な対応に努め、昨年度中に区画線・路面表示の対策を5カ所実施し、現在は133カ所について工事発注の手続きを進めており、カラー舗装の工事を6月に、カーブミラーや路面標示などの工事を7月までに完了する見込みです。残り100カ所についても県公安委員会と連携し、1日も早い完了を目指します」 ――開成山公園と公園内の体育施設がPFIを導入した新しい公園・体育施設に生まれ変わります。 「開成山公園は2017年の都市公園法改正により創設されたPark―PFIを活用し整備を行うこととしました。体育施設はPFI法及び郡山市PFIガイドライン等に基づき19年度にPFI導入可能性調査を行った結果、施設改修と維持管理・運営を一体的に行うPFI事業としての効果が十分に発揮できると判断しました。開成山公園は目指すべき姿を『郡山の「未来を切り拓く」セントラルパーク』とし、自由広場の芝生化、駐車場の拡充及びトイレの改修・新築等といった公園施設の整備とともに、民間事業者による飲食店等の新設など市制施行100周年の節目となる2024年のリニューアルオープンを目指し、民間事業者との協奏による整備を行っていきます。さらには気候変動に対応する防災機能の強化、ベビーファースト、SDGsを実現させるべく、市民の財産である開成山公園をより有効活用し、秘めたる力を発揮させていくとともに、先人たちの偉業に思いを馳せながら『次の100年』を目指した公園整備を行っていきます。体育施設は年齢、障がいの有無などに関わらず、すべての市民がスポーツに親しみ、各種プロスポーツ大会や大規模大会が開催される市のスポーツの拠点形成を目指します。改修工事は宝来屋郡山体育館が今年10月から2024年9月まで、郡山ヒロセ開成山陸上競技場が24年2月から25年3月末まで、ヨーク開成山スタジアムが24年8月から25年3月末まで、開成山弓道場が24年12月から25年3月末までとなっており、オープン時期は施設により異なります」 ――今年度の重点施策について。 「少子高齢化・人口減少の中にあっても持続的発展を遂げる都市を目指すため、今年度の市政執行方針を『「ベビーファースト(子本主義)実現型」課題解決先進都市の創生』と定め、子どもの視点に立ったまちづくりを推進していきます。主な施策としては学校給食の公費負担を実施したことです。私は教科書が無償であるのと同様に『給食は食育教育の教科書である』と考えているため、本年度から市独自の施策として中学校の給食費を全額公費負担とし、小学校の給食費も国の地方創生臨時交付金を活用し、全額公費負担としたところです。また、DXの推進に加え、気候変動や地球温暖化対策といったGXの推進にも重点を置き、2050年の二酸化炭素排出量実質ゼロ目標の実現を目指します」  ――来年、市制施行100周年を迎えます。 「明治時代に行われた安積開拓をきっかけに全国各地から士族が移住してきました。安積疏水は農業の発展はもとより、疏水を利用した水力発電により養蚕などの産業や工業の発展をもたらしました。1924年に郡山町と小原田村が合併し郡山市となり、その後も幾度かの合併を経て65年の大合併により現在の形となりました。この間、東日本大震災や自然災害など幾多の困難もありましたが、多くの先人たちが築き上げた礎のおかげで、市制100周年を迎えることができると考えています。次の100年に向け、先人たちの思いをつなぎ、安積開拓の理念『開物成務』のもと、市民や事業者が自由かつ存分に活躍してもらえる、自治力のある都市の実現を図っていきます。 記念事業についてはオール郡山で記念事業に取り組むため、次代を担う世代の方々や市民活動団体関係者、報道機関などの22名で構成された『郡山市制施行100周年記念事業プロモーション委員会』において、市の政策との整合性にも留意しつつ、記念事業が次の100年を見据え、未来メッセージを発信していく意義のあるものとなるよう検討していただいています。委員会からは音楽イベントの開催、プロスポーツの記念試合開催などのほか、歴史・観光・子ども・産業などのアイデアをいただいており、今後、記念事業の内容について検討していきます」 ――今後の抱負を。 「『誰一人取り残されない』SDGsの基本理念のもと、市民・団体・事業者などの皆様との『公民協奏』『セーフコミュニティ活動』の推進を念頭に各種施策を総合的・持続的に実施することにより、市民・事業者の皆様が思う存分に活躍できるまちづくりを進めてまいります」 郡山市のホームページ

  • 保土谷化学と険悪ムード!?の品川萬里郡山市長

    保土谷化学と険悪ムード!?の品川萬里郡山市長

     保土谷化学工業㈱郡山工場(郡山市谷島町4―5)が敷地内で水素ステーションの開設を目指している。現在、2024年秋の開所に向けて準備中だが、地元経済人はこの取り組みを歓迎する一方、同社に対する郡山市の姿勢に苦言を呈している。 水素ステーションの開設を目指す保土谷化学  水素ステーションの開設は、1月13日付の地元紙に掲載された「ふくしまトップインタビュー」という記事で、同社の武居厚志郡山工場長の紹介とともに明かされた。 《今年は新事業をスタートさせる予定だ。工場敷地内に商業用定置式の水素ステーション開設を目指す。過酸化水素の原料用に製造した水素の一部を燃料電池車(FCV)向けに販売する。販売する水素の全てを自社製で賄うのは全国初の試みで、年内の着工、2024(令和6)年の開所を想定している》 これに先立って水素ステーション開設を報じた昨年12月29日付の福島民報では▽利便性を高めるため、敷地東側の東部幹線沿いでの開所を検討、▽周辺にコンビニや飲食店などを誘致し、JR郡山駅東口の活性化につなげる、という方針も紹介されていた。 同記事によると、水素は郡山工場の主力製品である過酸化水素の原料の一つとして同工場内で製造している。これまでは余剰分を他社に販売していた。水素ステーションが開設されれば、製造と供給を同一敷地内で行う全国初のケースになる。 郡山工場の担当者はこう話す。 「計画の詳細はまだ発表していません。今は『2024年秋の開所を目指す』という段階で、今後、水素ステーション建設に関する国、県、市の補助金を申請予定です」 担当者によると、県内で水素を製造しているところは限られ、市内では同社のみだという。 「これまでの水素ステーションは別の場所で製造した水素を(ステーションまで)輸送していました。そこで当社は、自社で製造した水素を有効活用したい考えから、敷地内に水素ステーションを開設しようと考えました」(同) 市内では佐藤燃料㈱が県内2番目の商業用定置式水素ステーションを2022年2月に開設している。 佐藤燃料と共同で水素ステーションを開設した日本水素ステーションネットワーク合同会社(東京都千代田区)の資料「水素ステーションの現状と課題」(2022年7月28日付)によると、東北6県のFCV台数(東北運輸局の次世代自動車普及状況より、同年5月末時点)は469台だが、このうち福島は351台と7割超を占める。2位が宮城112台、あとは山形4台、青森2台、岩手・秋田0台だから、福島県での普及が際立っていることが分かる。  福島県は2016年に策定した福島新エネ社会構想に基づき、水素社会の実現に取り組んでいる。FCDの台数が抜きん出て多いのはその表れで、それだけ水素ステーションの需要も見込めるということだ。ましてや郡山工場の場合、水素を製造しているとなれば、同じ敷地内にステーションを開設することでより円滑な供給が期待できる。加えてコンビニや飲食店が誘致されれば、東京ドーム6個分という広大な工場敷地により殺風景に映る駅東口の光景が見違えることも考えられる。 「コンビニや飲食店があれば水素を充填中の待ち時間を有効に使っていただけると思います。水素ステーションの付加価値を高められるよう併設を目指したい」(前出・担当者) 改まらない〝上から目線〟  実は、本誌は昨年秋、ある経済人からこれらの話を耳にしていた。この経済人は「水素製造が主力となり広い工場敷地が余っているため、民営公園を整備することも考えているようだ」とも話し「停滞する駅東口開発の弾みになる」と水素ステーション開設に期待を滲ませていたが、同時に興味深かったのは、同社に対する郡山市の姿勢に苦言を呈したことだった。 「菅野利和副市長と村上一郎副市長が郡山工場を訪ね『工場敷地内に道路を通したい』と協力を要請したそうです。二人はドローンで撮影したと思われる航空写真を示し『この辺りにこういう道路を通したい』『用地は無償で協力してほしい』と言ったそうです」(経済人) この要請に、同社の松本祐人社長は後日、親しい知人に「そういう話は失礼だ」「株主もいるのに用地を無償で協力できるはずがない」と不快感を露わにしたという。 「駅東口開発を進めたい品川萬里市長は、これまでも郡山工場にいろいろな話を持ちかけてきたが、どれも一方的な要請で、同社と協議しながら共同歩調で進める様子は皆無だという。同社としては長年お世話になっている同市の発展に協力したいが、一緒に取り組むという姿勢ではなく『こうやるから協力してくれ』と〝上から目線〟のやり方が改まらないので、心底協力したいという気持ちになれないようです」(同) 郡山駅東口の開発は同市の懸案事項だが、カギを握るのが一帯で操業する郡山工場の行方にある。すなわち、代替地を用意して移転してもらうか、あるいは、現在地で操業を続けるにしても広大な工場敷地をどうにか活用できないかといった話は、公式に議論されることなく与太話の類いに長年終始している。 同社の松本社長は滝田康雄会頭をはじめ郡山商工会議所と良好な関係を築いており、滝田会頭が音頭を取るまちづくり構想「郡山グランドデザインプロジェクト」に協力する意向も持っているが、いかんせん同会議所と同市の関係が良好とは言い難いため、地元経済界からは 「品川市長が本気で駅東口開発を進めたいなら、郡山工場や同会議所に丁寧にアプローチすべきだ」 という苦言が以前から漏れているのだ。今回の道路整備をめぐる要請も、事実であれば丁寧さを欠いているのは明らかだ。 「同市が本気で道路を通したければ『駅東口をこういう形で発展させたい。そのためには、ここに道路が必要なので協力してほしい』とアプローチすべきだ。その青写真もないまま、単に『道路を通したい』では同社も協力する気持ちになれないと思います」(前出・経済人) 前出・郡山工場の担当者に、副市長二人から協力要請があったか尋ねると、 「市職員の方と非公式にお会いする機会は結構あるが、公式にそういう打診が来たことはありません」 と言うから「非公式の相談」はあったのかもしれない。 菅野副市長と村上副市長にも文書で質問したが「回答は差し控える」(広聴広報課)。 水素ステーションが開設され、コンビニや飲食店が併設されても、工場敷地にはまだまだ余裕がある。前出・経済人が言う「民営公園」は郡山工場の担当者が「そこまでは考えていない」と否定しており不透明だが、品川市長が本気で駅東口開発に取り組むなら、郡山工場を同列のパートナーと見なし、共同歩調を取る姿勢を見せないと停滞打破にはつながらないのではないか。 あわせて読みたい ゼビオ「本社移転」の波紋

  • 【郡山市】品川萬里市長インタビュー

     しながわ・まさと 1944年生まれ。東京大学法学部を卒業後、旧郵政省に入省。郵政審議官を経てNTTデータ副社長、法政大学教授など。現在市長3期目。  ――新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に引き下げられました。 「県の移行計画では9月末までに入院受け入れ医療機関を51医療機関から131医療機関へ、対応病床数も766病床から786病床へ段階的に拡大し、未対応であった医療機関に対しても働きかけを行うこととしています。外来診療体制も現在の689医療機関からすべての医療機関に働きかけ、インフルエンザと同等に幅広い医療機関による外来診療体制を構築することとしています。このことにより、これまで一部の医療機関での診療や入院であったものからすべての医療機関での診療等が可能となり、郡山市内においても診療可能となる医療機関の増加が想定されることから、診療や入院の受け入れを行ってきた医療機関の負担は軽減されると考えられます。 一方、これまで診療や入院の受け入れを行ってこなかった医療機関では新たな感染防止対策をとるなどの負担が考えられますが、県では必要となる感染防止等の設備整備の補助や院内感染発生に伴う休止・縮小に対する支援、個人防護具の配布等の財政支援措置を準備しています。市としては県や医師会などと連携してサポートを行っていきます。 ワクチン接種については5月8日から『令和5年春開始接種』が始まり、本市でも4月24日から接種券を発送しています。市民の皆様には羅患時の重症化リスクを低減し、ひいては医療機関の負担軽減に結び付くと考えられることから、接種についてご検討をお願い致します」 ――一家4人死亡事故を受け、市道を点検した結果、危険交差点が222カ所あることが判明しました。 「2月3日までに222カ所の点検を行い、180カ所で対策を検討していましたが、その後、郡山地区交通安全協会や郡山市交通対策協議会などから新たに61カ所の交差点の情報が寄せられ、それらの点検を行った結果、58カ所を追加し、238カ所の交差点で対策が必要であると判定しています。対策工事については市民の皆様の安全を確保するため迅速な対応に努め、昨年度中に区画線・路面表示の対策を5カ所実施し、現在は133カ所について工事発注の手続きを進めており、カラー舗装の工事を6月に、カーブミラーや路面標示などの工事を7月までに完了する見込みです。残り100カ所についても県公安委員会と連携し、1日も早い完了を目指します」 ――開成山公園と公園内の体育施設がPFIを導入した新しい公園・体育施設に生まれ変わります。 「開成山公園は2017年の都市公園法改正により創設されたPark―PFIを活用し整備を行うこととしました。体育施設はPFI法及び郡山市PFIガイドライン等に基づき19年度にPFI導入可能性調査を行った結果、施設改修と維持管理・運営を一体的に行うPFI事業としての効果が十分に発揮できると判断しました。開成山公園は目指すべき姿を『郡山の「未来を切り拓く」セントラルパーク』とし、自由広場の芝生化、駐車場の拡充及びトイレの改修・新築等といった公園施設の整備とともに、民間事業者による飲食店等の新設など市制施行100周年の節目となる2024年のリニューアルオープンを目指し、民間事業者との協奏による整備を行っていきます。さらには気候変動に対応する防災機能の強化、ベビーファースト、SDGsを実現させるべく、市民の財産である開成山公園をより有効活用し、秘めたる力を発揮させていくとともに、先人たちの偉業に思いを馳せながら『次の100年』を目指した公園整備を行っていきます。体育施設は年齢、障がいの有無などに関わらず、すべての市民がスポーツに親しみ、各種プロスポーツ大会や大規模大会が開催される市のスポーツの拠点形成を目指します。改修工事は宝来屋郡山体育館が今年10月から2024年9月まで、郡山ヒロセ開成山陸上競技場が24年2月から25年3月末まで、ヨーク開成山スタジアムが24年8月から25年3月末まで、開成山弓道場が24年12月から25年3月末までとなっており、オープン時期は施設により異なります」 ――今年度の重点施策について。 「少子高齢化・人口減少の中にあっても持続的発展を遂げる都市を目指すため、今年度の市政執行方針を『「ベビーファースト(子本主義)実現型」課題解決先進都市の創生』と定め、子どもの視点に立ったまちづくりを推進していきます。主な施策としては学校給食の公費負担を実施したことです。私は教科書が無償であるのと同様に『給食は食育教育の教科書である』と考えているため、本年度から市独自の施策として中学校の給食費を全額公費負担とし、小学校の給食費も国の地方創生臨時交付金を活用し、全額公費負担としたところです。また、DXの推進に加え、気候変動や地球温暖化対策といったGXの推進にも重点を置き、2050年の二酸化炭素排出量実質ゼロ目標の実現を目指します」  ――来年、市制施行100周年を迎えます。 「明治時代に行われた安積開拓をきっかけに全国各地から士族が移住してきました。安積疏水は農業の発展はもとより、疏水を利用した水力発電により養蚕などの産業や工業の発展をもたらしました。1924年に郡山町と小原田村が合併し郡山市となり、その後も幾度かの合併を経て65年の大合併により現在の形となりました。この間、東日本大震災や自然災害など幾多の困難もありましたが、多くの先人たちが築き上げた礎のおかげで、市制100周年を迎えることができると考えています。次の100年に向け、先人たちの思いをつなぎ、安積開拓の理念『開物成務』のもと、市民や事業者が自由かつ存分に活躍してもらえる、自治力のある都市の実現を図っていきます。 記念事業についてはオール郡山で記念事業に取り組むため、次代を担う世代の方々や市民活動団体関係者、報道機関などの22名で構成された『郡山市制施行100周年記念事業プロモーション委員会』において、市の政策との整合性にも留意しつつ、記念事業が次の100年を見据え、未来メッセージを発信していく意義のあるものとなるよう検討していただいています。委員会からは音楽イベントの開催、プロスポーツの記念試合開催などのほか、歴史・観光・子ども・産業などのアイデアをいただいており、今後、記念事業の内容について検討していきます」 ――今後の抱負を。 「『誰一人取り残されない』SDGsの基本理念のもと、市民・団体・事業者などの皆様との『公民協奏』『セーフコミュニティ活動』の推進を念頭に各種施策を総合的・持続的に実施することにより、市民・事業者の皆様が思う存分に活躍できるまちづくりを進めてまいります」 郡山市のホームページ

  • 保土谷化学と険悪ムード!?の品川萬里郡山市長

     保土谷化学工業㈱郡山工場(郡山市谷島町4―5)が敷地内で水素ステーションの開設を目指している。現在、2024年秋の開所に向けて準備中だが、地元経済人はこの取り組みを歓迎する一方、同社に対する郡山市の姿勢に苦言を呈している。 水素ステーションの開設を目指す保土谷化学  水素ステーションの開設は、1月13日付の地元紙に掲載された「ふくしまトップインタビュー」という記事で、同社の武居厚志郡山工場長の紹介とともに明かされた。 《今年は新事業をスタートさせる予定だ。工場敷地内に商業用定置式の水素ステーション開設を目指す。過酸化水素の原料用に製造した水素の一部を燃料電池車(FCV)向けに販売する。販売する水素の全てを自社製で賄うのは全国初の試みで、年内の着工、2024(令和6)年の開所を想定している》 これに先立って水素ステーション開設を報じた昨年12月29日付の福島民報では▽利便性を高めるため、敷地東側の東部幹線沿いでの開所を検討、▽周辺にコンビニや飲食店などを誘致し、JR郡山駅東口の活性化につなげる、という方針も紹介されていた。 同記事によると、水素は郡山工場の主力製品である過酸化水素の原料の一つとして同工場内で製造している。これまでは余剰分を他社に販売していた。水素ステーションが開設されれば、製造と供給を同一敷地内で行う全国初のケースになる。 郡山工場の担当者はこう話す。 「計画の詳細はまだ発表していません。今は『2024年秋の開所を目指す』という段階で、今後、水素ステーション建設に関する国、県、市の補助金を申請予定です」 担当者によると、県内で水素を製造しているところは限られ、市内では同社のみだという。 「これまでの水素ステーションは別の場所で製造した水素を(ステーションまで)輸送していました。そこで当社は、自社で製造した水素を有効活用したい考えから、敷地内に水素ステーションを開設しようと考えました」(同) 市内では佐藤燃料㈱が県内2番目の商業用定置式水素ステーションを2022年2月に開設している。 佐藤燃料と共同で水素ステーションを開設した日本水素ステーションネットワーク合同会社(東京都千代田区)の資料「水素ステーションの現状と課題」(2022年7月28日付)によると、東北6県のFCV台数(東北運輸局の次世代自動車普及状況より、同年5月末時点)は469台だが、このうち福島は351台と7割超を占める。2位が宮城112台、あとは山形4台、青森2台、岩手・秋田0台だから、福島県での普及が際立っていることが分かる。  福島県は2016年に策定した福島新エネ社会構想に基づき、水素社会の実現に取り組んでいる。FCDの台数が抜きん出て多いのはその表れで、それだけ水素ステーションの需要も見込めるということだ。ましてや郡山工場の場合、水素を製造しているとなれば、同じ敷地内にステーションを開設することでより円滑な供給が期待できる。加えてコンビニや飲食店が誘致されれば、東京ドーム6個分という広大な工場敷地により殺風景に映る駅東口の光景が見違えることも考えられる。 「コンビニや飲食店があれば水素を充填中の待ち時間を有効に使っていただけると思います。水素ステーションの付加価値を高められるよう併設を目指したい」(前出・担当者) 改まらない〝上から目線〟  実は、本誌は昨年秋、ある経済人からこれらの話を耳にしていた。この経済人は「水素製造が主力となり広い工場敷地が余っているため、民営公園を整備することも考えているようだ」とも話し「停滞する駅東口開発の弾みになる」と水素ステーション開設に期待を滲ませていたが、同時に興味深かったのは、同社に対する郡山市の姿勢に苦言を呈したことだった。 「菅野利和副市長と村上一郎副市長が郡山工場を訪ね『工場敷地内に道路を通したい』と協力を要請したそうです。二人はドローンで撮影したと思われる航空写真を示し『この辺りにこういう道路を通したい』『用地は無償で協力してほしい』と言ったそうです」(経済人) この要請に、同社の松本祐人社長は後日、親しい知人に「そういう話は失礼だ」「株主もいるのに用地を無償で協力できるはずがない」と不快感を露わにしたという。 「駅東口開発を進めたい品川萬里市長は、これまでも郡山工場にいろいろな話を持ちかけてきたが、どれも一方的な要請で、同社と協議しながら共同歩調で進める様子は皆無だという。同社としては長年お世話になっている同市の発展に協力したいが、一緒に取り組むという姿勢ではなく『こうやるから協力してくれ』と〝上から目線〟のやり方が改まらないので、心底協力したいという気持ちになれないようです」(同) 郡山駅東口の開発は同市の懸案事項だが、カギを握るのが一帯で操業する郡山工場の行方にある。すなわち、代替地を用意して移転してもらうか、あるいは、現在地で操業を続けるにしても広大な工場敷地をどうにか活用できないかといった話は、公式に議論されることなく与太話の類いに長年終始している。 同社の松本社長は滝田康雄会頭をはじめ郡山商工会議所と良好な関係を築いており、滝田会頭が音頭を取るまちづくり構想「郡山グランドデザインプロジェクト」に協力する意向も持っているが、いかんせん同会議所と同市の関係が良好とは言い難いため、地元経済界からは 「品川市長が本気で駅東口開発を進めたいなら、郡山工場や同会議所に丁寧にアプローチすべきだ」 という苦言が以前から漏れているのだ。今回の道路整備をめぐる要請も、事実であれば丁寧さを欠いているのは明らかだ。 「同市が本気で道路を通したければ『駅東口をこういう形で発展させたい。そのためには、ここに道路が必要なので協力してほしい』とアプローチすべきだ。その青写真もないまま、単に『道路を通したい』では同社も協力する気持ちになれないと思います」(前出・経済人) 前出・郡山工場の担当者に、副市長二人から協力要請があったか尋ねると、 「市職員の方と非公式にお会いする機会は結構あるが、公式にそういう打診が来たことはありません」 と言うから「非公式の相談」はあったのかもしれない。 菅野副市長と村上副市長にも文書で質問したが「回答は差し控える」(広聴広報課)。 水素ステーションが開設され、コンビニや飲食店が併設されても、工場敷地にはまだまだ余裕がある。前出・経済人が言う「民営公園」は郡山工場の担当者が「そこまでは考えていない」と否定しており不透明だが、品川市長が本気で駅東口開発に取り組むなら、郡山工場を同列のパートナーと見なし、共同歩調を取る姿勢を見せないと停滞打破にはつながらないのではないか。 あわせて読みたい ゼビオ「本社移転」の波紋