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坂本浩之

  • 【三春町】坂本浩之町長インタビュー【2023.11】

    【三春町】坂本浩之町長インタビュー【2023.11】

    さかもと・ひろゆき 1956年生まれ。田村高校、専修大学法学部卒。三春町総務課長、副町長などを歴任。2019年9月の町長選で初当選、今年9月に再選を果たす。  ――9月に行われた町長選で無投票再選を飾りました。  「選挙公約を記載したリーフレットを準備するなどして選挙に備えていましたが、無投票になったため、個人演説会もなく、様々な声を聞くことができず残念な部分もあります。選挙で審判を受けるのが本来あるべき形で、無投票によって全町民の信任を得られたわけではないことを自覚しつつ、職務に当たっていきたいと思います」  ――2期目の重要課題についてお聞かせください。  「1つは、1期目から取り組んでいる認定こども園建設と、アウトドア用品大手の『モンベルストア』が出店予定で、それに伴うアウトドア・アクティビティの環境創出です。こども園はすでに着工しており、モンベルストアは間もなく着工します。  また、新たな切り口として住環境を整備したいと思っています。具体的には空き家対策を町として進めていきたい。全国的に空き家の問題が叫ばれていますが、町内でも今後多くの空き家が出てきます。コンパクトシティのまちづくりを進めていくうえでも空き家対策は重要で、それに対する住宅のマスタープランを作成する予定です。  いま町で取り組んでいる第7次長期計画が令和6年で終え、令和7年から第8次長期計画に移行しますが、その中の柱の一つに、住環境の整備を盛り込み、新築や住み替えはもちろん、年を取り夫婦2人、あるいはどちらか一人だけになった時の住まいの流動化ということがあってもいいと思います。例えば、街なかのリフォームした住宅に移り住み思い入れのある元の住宅は残しておく。その方が亡くなってしまい、その住宅を誰も相続しないけど住宅の状態はいい場合は誰か別な方に住んでもらう。そういった形は、手間がかかるため民間業者では難しい。そこを行政として粘り強く地道に行い、少なくとも現在町内に住む方が、住むところがなくなり、町外に出るような事態は避けたいと思っています。  実際、町内には、家主さんから町が10年間の契約でお借りし、リフォームをして若者に貸し出す事業を行っています。現在は外国人実習生が住んでおり、そういった実績もありますから、状態の良い住宅を再利用できると思います。そういった考えにシフトしなければ住宅問題は今後もっと大きくなっていくと思います。簡単なことではありませんが、何もしないというのも行政の怠慢だとも思います。  もう1つは、間もなく町内の農業振興地域内の農用地区域の見直しを終えます。農用地として守っていく農地では、今後、何を栽培するかまだ決まっていないところもあります。町内はピーマンの指定産地になっていますが、すべての農地でピーマンを栽培しているわけではありません。国際情勢により小麦等の値段が高騰しており、国でも輸入に傾き過ぎる大豆と小麦などの栽培の奨励が行われています。とはいえ、農産物は一朝一夕でできるものではありません。町内では以前は大豆栽培が盛んでしたが、そうした過去の事例を踏まえつつ、農家に推奨作物を勧めると同時に、若い方が参入しやすい体制づくりを進めていきたいと考えています」  ――最初にお話があったこども園整備の現状は。  「原材料費高騰の心配がありましたが、事業者の企業努力もあってか大きな遅れはなく、順調に進んでいます。建設地は岩江地区になりますが、近隣から町内に転居する方は同地区に住宅を建てるケースが多く、同地区の住民の平均年齢が若くなっていますから、需要にも見合っていると思います。また、同園は町内東部から郡山市内の職場に通う方の通勤経路の途中に当たるため、利便性もあると思います。いまは広域行政の時代で、保育所や幼稚園も仕組みが変わりつつあり、今後は市町村を乗り越えた利用者の増加も想定しています。これから0歳保育もはじまりますが、今後は子どもを預けるための環境整備と、0歳から18歳のための政策を重点的に行っていきたいと思っています。また、町内唯一の高校である田村高校と連携を図りながら児童・生徒の育成に力を入れたいと考えています」  ――アウトドア用品大手の「モンベル」の店舗が町内にオープン予定で、町は同社と包括連携協定を結びました。  「『モンベルストア』が出店されるのは県内初で、近隣のキャンプ場との連携や登山客が多い会津地方などとも連携しながらつくり上げていきたいと思います。モンベルストアに訪れた方を町内の観光地などに誘導できるようにしたい。通年観光で神社仏閣などを歩いて回ってもらう取り組みに加え、ダム湖であるさくら湖の観光面でも、カヌー発着場の建設が行われています。そういった今までになかったスポーツが楽しめるようになるので期待しています。また、これを機に町民に向けて健康寿命延伸の観点から、町民に歩くことを推奨していきたいと思っています。今後は体力などに応じたコースなどの作成をモンベルと連携できればと考えています」  ――昨年、「滝桜」の天然記念物指定から100周年を迎えました。  「今年の来場者は12万8000人とコロナ前に比べ3割ほど増加しました。まだ5類指定前でしたが、売店も従来通り再開し、飲食の制限もありませんでしたので、その分増えたと見ています。ただ例年より開花が早すぎてバスツアーの来場者がほとんどいなかったのは残念でした」  ――そのほか、今後の重点施策について。  「河川改修が完了し、災害対策はほぼ終えています。ただ、ゲリラ豪雨など予測不可能な災害が多いのが実情で、町内にはアメダスと呼ばれる測定施設がないので町独自で整備しています。また、土砂崩れの危険を回避する傾斜測定を整備していきたいと考えています。そのほか、これからの超高齢化、人口減少の時代を迎えるに当たり、いまのうちに対策を行い、住環境整備やデジタル化によって、対策を講じることが必要になってきます。それらを2期目の任期中に進めていきたいと思っています」  ――今後の抱負。  「様々な政策を行って町民の方と接する中で、町民の方々が安心・安全に生活できる環境を、もっともっとつくっていきたいと感じています。コロナが5類になり、様々な行事で見た町民は皆笑顔でまさしく楽しそうでした。行事など行政が何らかの形で関わっていくと思うので、町民の皆さんが機嫌よく暮らしていただけるような町にしていきたいと思います。そのためにも基本を守り、行政に当たっていきたいと思います」

  • 【三春町】坂本浩之町長インタビュー

    【三春町】坂本浩之町長インタビュー

    1956年生まれ。田村高、専修大法学部卒。1979年に三春町職員となり、総務課長、副町長などを歴任。2019年9月の町長選で初当選を果たした。  ――今年は「滝桜」が天然記念物指定100周年を迎えた記念の年でした。 「昨年度から準備を進め、今年の開花時期には『ぐるっと滝ザクラ』と銘打った期間限定の周遊歩道整備のほか、メモリアルライトアップを行い大変好評でした。来場者数は今年の開花期間が短かったことや、コロナの影響もあって団体客は戻っていませんが、メモリアルライトアップの効果で夜間に訪れる方が多く、最終的に約8万7000人の方においでいただきました。今後もインバウンドを意識した多言語によるPR動画の作成等を行いながら、さらなる観光客誘致に努めていきます」 ――スマートフォンアプリを使用し、三春城をVRで再現する取り組みを進めています。 「広島大学の三浦正幸名誉教授の監修を受け、町民俗資料館所蔵の資料を基に制作しました。制作過程で三春城には日本一険しい崖の上にある三階櫓など3つの日本一があることが分かりました。利用者に大変好評で今後は教育面での利用も考えています。また、来年には新たなVR映像が完成予定です。街なかには神社・仏閣が多々あり、そのうちの10カ寺を2時間ほどで散策できる数珠めぐりなど、観光客の街なか誘致に積極的に取り組んでいますが、新たな起爆材になればと期待しています」 ――来年は河野広中没後100年の記念の年です。 「今年は河野広中の書を中心とした企画展を行いましたが、来年度は没後100年を記念した特別展を開催し、講演会も企画しています。また、自由民権運動を開始した石川町とも連携していきたいと思っています」 ――以前から地域主体となるまちづくりを行っています。 「まちづくり協会を中心にさまざまな取り組みが行われています。特に地域の身近な場所に様々な人が集える場所を設けるサロン事業は町長就任後40カ所ほどとなりました。サロンを通して定期的に地域住民が集まることで、顔なじみの輪が広がり、災害時には地域住民の安否確認やスムーズな避難につながります。今後は生涯学習の場につなげるなど、地域の独自性を生かした場にしたいと思います」 ――今後の抱負を。 「岩江地区は郡山市に隣接し、郡山市より土地価格が安く、転入が多い地域で、子どもの数が増加しています。そこで認定こども園の建設を進め、いよいよ来年度から実施設計が始まります。今後も町の特徴を生かした人口増加策を行っていきたいと思います。また、来年は任期最終年ですので精一杯やっていきたいと思います」 三春町ホームページ 政経東北【2022年11月号】

  • 【三春町】坂本浩之町長インタビュー【2023.11】

    さかもと・ひろゆき 1956年生まれ。田村高校、専修大学法学部卒。三春町総務課長、副町長などを歴任。2019年9月の町長選で初当選、今年9月に再選を果たす。  ――9月に行われた町長選で無投票再選を飾りました。  「選挙公約を記載したリーフレットを準備するなどして選挙に備えていましたが、無投票になったため、個人演説会もなく、様々な声を聞くことができず残念な部分もあります。選挙で審判を受けるのが本来あるべき形で、無投票によって全町民の信任を得られたわけではないことを自覚しつつ、職務に当たっていきたいと思います」  ――2期目の重要課題についてお聞かせください。  「1つは、1期目から取り組んでいる認定こども園建設と、アウトドア用品大手の『モンベルストア』が出店予定で、それに伴うアウトドア・アクティビティの環境創出です。こども園はすでに着工しており、モンベルストアは間もなく着工します。  また、新たな切り口として住環境を整備したいと思っています。具体的には空き家対策を町として進めていきたい。全国的に空き家の問題が叫ばれていますが、町内でも今後多くの空き家が出てきます。コンパクトシティのまちづくりを進めていくうえでも空き家対策は重要で、それに対する住宅のマスタープランを作成する予定です。  いま町で取り組んでいる第7次長期計画が令和6年で終え、令和7年から第8次長期計画に移行しますが、その中の柱の一つに、住環境の整備を盛り込み、新築や住み替えはもちろん、年を取り夫婦2人、あるいはどちらか一人だけになった時の住まいの流動化ということがあってもいいと思います。例えば、街なかのリフォームした住宅に移り住み思い入れのある元の住宅は残しておく。その方が亡くなってしまい、その住宅を誰も相続しないけど住宅の状態はいい場合は誰か別な方に住んでもらう。そういった形は、手間がかかるため民間業者では難しい。そこを行政として粘り強く地道に行い、少なくとも現在町内に住む方が、住むところがなくなり、町外に出るような事態は避けたいと思っています。  実際、町内には、家主さんから町が10年間の契約でお借りし、リフォームをして若者に貸し出す事業を行っています。現在は外国人実習生が住んでおり、そういった実績もありますから、状態の良い住宅を再利用できると思います。そういった考えにシフトしなければ住宅問題は今後もっと大きくなっていくと思います。簡単なことではありませんが、何もしないというのも行政の怠慢だとも思います。  もう1つは、間もなく町内の農業振興地域内の農用地区域の見直しを終えます。農用地として守っていく農地では、今後、何を栽培するかまだ決まっていないところもあります。町内はピーマンの指定産地になっていますが、すべての農地でピーマンを栽培しているわけではありません。国際情勢により小麦等の値段が高騰しており、国でも輸入に傾き過ぎる大豆と小麦などの栽培の奨励が行われています。とはいえ、農産物は一朝一夕でできるものではありません。町内では以前は大豆栽培が盛んでしたが、そうした過去の事例を踏まえつつ、農家に推奨作物を勧めると同時に、若い方が参入しやすい体制づくりを進めていきたいと考えています」  ――最初にお話があったこども園整備の現状は。  「原材料費高騰の心配がありましたが、事業者の企業努力もあってか大きな遅れはなく、順調に進んでいます。建設地は岩江地区になりますが、近隣から町内に転居する方は同地区に住宅を建てるケースが多く、同地区の住民の平均年齢が若くなっていますから、需要にも見合っていると思います。また、同園は町内東部から郡山市内の職場に通う方の通勤経路の途中に当たるため、利便性もあると思います。いまは広域行政の時代で、保育所や幼稚園も仕組みが変わりつつあり、今後は市町村を乗り越えた利用者の増加も想定しています。これから0歳保育もはじまりますが、今後は子どもを預けるための環境整備と、0歳から18歳のための政策を重点的に行っていきたいと思っています。また、町内唯一の高校である田村高校と連携を図りながら児童・生徒の育成に力を入れたいと考えています」  ――アウトドア用品大手の「モンベル」の店舗が町内にオープン予定で、町は同社と包括連携協定を結びました。  「『モンベルストア』が出店されるのは県内初で、近隣のキャンプ場との連携や登山客が多い会津地方などとも連携しながらつくり上げていきたいと思います。モンベルストアに訪れた方を町内の観光地などに誘導できるようにしたい。通年観光で神社仏閣などを歩いて回ってもらう取り組みに加え、ダム湖であるさくら湖の観光面でも、カヌー発着場の建設が行われています。そういった今までになかったスポーツが楽しめるようになるので期待しています。また、これを機に町民に向けて健康寿命延伸の観点から、町民に歩くことを推奨していきたいと思っています。今後は体力などに応じたコースなどの作成をモンベルと連携できればと考えています」  ――昨年、「滝桜」の天然記念物指定から100周年を迎えました。  「今年の来場者は12万8000人とコロナ前に比べ3割ほど増加しました。まだ5類指定前でしたが、売店も従来通り再開し、飲食の制限もありませんでしたので、その分増えたと見ています。ただ例年より開花が早すぎてバスツアーの来場者がほとんどいなかったのは残念でした」  ――そのほか、今後の重点施策について。  「河川改修が完了し、災害対策はほぼ終えています。ただ、ゲリラ豪雨など予測不可能な災害が多いのが実情で、町内にはアメダスと呼ばれる測定施設がないので町独自で整備しています。また、土砂崩れの危険を回避する傾斜測定を整備していきたいと考えています。そのほか、これからの超高齢化、人口減少の時代を迎えるに当たり、いまのうちに対策を行い、住環境整備やデジタル化によって、対策を講じることが必要になってきます。それらを2期目の任期中に進めていきたいと思っています」  ――今後の抱負。  「様々な政策を行って町民の方と接する中で、町民の方々が安心・安全に生活できる環境を、もっともっとつくっていきたいと感じています。コロナが5類になり、様々な行事で見た町民は皆笑顔でまさしく楽しそうでした。行事など行政が何らかの形で関わっていくと思うので、町民の皆さんが機嫌よく暮らしていただけるような町にしていきたいと思います。そのためにも基本を守り、行政に当たっていきたいと思います」

  • 【三春町】坂本浩之町長インタビュー

    1956年生まれ。田村高、専修大法学部卒。1979年に三春町職員となり、総務課長、副町長などを歴任。2019年9月の町長選で初当選を果たした。  ――今年は「滝桜」が天然記念物指定100周年を迎えた記念の年でした。 「昨年度から準備を進め、今年の開花時期には『ぐるっと滝ザクラ』と銘打った期間限定の周遊歩道整備のほか、メモリアルライトアップを行い大変好評でした。来場者数は今年の開花期間が短かったことや、コロナの影響もあって団体客は戻っていませんが、メモリアルライトアップの効果で夜間に訪れる方が多く、最終的に約8万7000人の方においでいただきました。今後もインバウンドを意識した多言語によるPR動画の作成等を行いながら、さらなる観光客誘致に努めていきます」 ――スマートフォンアプリを使用し、三春城をVRで再現する取り組みを進めています。 「広島大学の三浦正幸名誉教授の監修を受け、町民俗資料館所蔵の資料を基に制作しました。制作過程で三春城には日本一険しい崖の上にある三階櫓など3つの日本一があることが分かりました。利用者に大変好評で今後は教育面での利用も考えています。また、来年には新たなVR映像が完成予定です。街なかには神社・仏閣が多々あり、そのうちの10カ寺を2時間ほどで散策できる数珠めぐりなど、観光客の街なか誘致に積極的に取り組んでいますが、新たな起爆材になればと期待しています」 ――来年は河野広中没後100年の記念の年です。 「今年は河野広中の書を中心とした企画展を行いましたが、来年度は没後100年を記念した特別展を開催し、講演会も企画しています。また、自由民権運動を開始した石川町とも連携していきたいと思っています」 ――以前から地域主体となるまちづくりを行っています。 「まちづくり協会を中心にさまざまな取り組みが行われています。特に地域の身近な場所に様々な人が集える場所を設けるサロン事業は町長就任後40カ所ほどとなりました。サロンを通して定期的に地域住民が集まることで、顔なじみの輪が広がり、災害時には地域住民の安否確認やスムーズな避難につながります。今後は生涯学習の場につなげるなど、地域の独自性を生かした場にしたいと思います」 ――今後の抱負を。 「岩江地区は郡山市に隣接し、郡山市より土地価格が安く、転入が多い地域で、子どもの数が増加しています。そこで認定こども園の建設を進め、いよいよ来年度から実施設計が始まります。今後も町の特徴を生かした人口増加策を行っていきたいと思います。また、来年は任期最終年ですので精一杯やっていきたいと思います」 三春町ホームページ 政経東北【2022年11月号】