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杉岡誠

  • 【飯舘村】杉岡誠村長インタビュー【2023.11】

    【飯舘村】杉岡誠村長インタビュー【2023.11】

    すぎおか・まこと 1976年生まれ。日大理工学部卒。東京工業大大学院理工学研究科博士前期課程修了。飯舘村農政第一係長などを経て2020年月10月の村長選で初当選。 ここに住んでよかったと思う村を目指して。  ――帰還困難区域のうち、5月には長泥地区の特定復興再生拠点区域と拠点区域外の一部である長泥曲田公園の避難指示が解除されましたが、解除された地区について今後どのような取り組みを進めていく考えですか。  「避難指示解除はあくまで地区の再生・発展のための手段ですので、雇用の創出など優先すべきもの、実施できるものから実現していく方針です。現在、資源活用型堆肥製造施設を整備中ですが、同施設がその役割を果たすと思います。また、残る帰還困難区域についても、早期の避難指示解除を目指します」  ――ドラッグストアのハシドラッグと公設民営による出店を目指す他、セブンイレブンの移動販売が始まり、買い物環境の充実が進んでいます。住民の生活環境や利便性向上に向け取り組んでいる事業を教えてください。  「昨年度から村に移住していただいた医師の本田徹先生による訪問診療が浸透してきています。10月から福島交通が運行する路線バス『福島~医大経由南相馬』の運行ルートに飯舘村役場停留所が加わりました。今後も住民のみなさんや村に訪問される方の利便性向上のための事業を進めていきます」  ――休校中の相馬農業高校飯舘校周辺に産業団地を整備する方針を打ち出しました。今後の展望を教えてください。  「整備予定地として、インフラが存在し、整備が容易な村の中心となる場所、アクセスしやすく人が集まりやすい場所、村の産業特性を踏まえ産業集積の拠点となりうる場所を重視しました。令和4年度に実施した候補地調査により予定地としました。村の担い手を育成してきた場所ですので、そのような思いを込めて産業集積を進めたいです」  ――子育て支援や移住・定住に向けた取り組みについて伺います。  「移住については、福島県12市町村移住支援金、ふくしま12市町村移住支援交通費等補助金の他、村単独での支援制度もあります。令和4年度から引き続き、移住サポートセンターを設置し、状況に応じた制度をご案内しています。  子育て応援策として、今年度から赤ちゃん誕生祝金や、小学校、中学校、高校の入学等準備費用の助成として子育て応援支援金を整備しました。また、不妊治療を受ける夫婦を対象に不妊治療費助成も進めています。  さらに、学んで村に帰ってきた方、移住した方が村内の企業に勤める際には奨学金の返還免除や奨学金返還支援事業補助金制度も整備しました。様々な方が住みやすく、帰って良かった、移住して良かったと実感する、選ばれる村を目指します」

  • 【飯舘村】杉岡誠村長インタビュー

    【飯舘村】杉岡誠村長インタビュー

     1976年生まれ。日大理工学部卒。東京工業大大学院理工学研究科博士前期課程修了。飯舘村農政第一係長などを経て2020年10月の村長選で初当選。  ――蕨平地区で「飯舘みらい発電所」の建設が進められています。 「飯舘みらい発電所は、『飯舘バイオパートナーズ』が事業実施主体となって建設・運営をするもので、出力7500㌔㍗、年間売電量5300万㌔㍗時(一般家庭約1万7000軒相当)規模を計画しています。使用燃料は村内間伐材のほか浜通り地域を中心に県内の間伐材や製材の過程で発生するバークなどを年間9万5000㌧使用する計画です。これにより、村内をはじめ県内の森林整備が促進され、里山再生や林業活性化、経済効果、脱炭素社会の推進などに貢献できると期待しています。また、村では発電所からの排熱を利用した『未来志向型農業』として新たな農業展開にも期待しているところです」 ――2022年9月23日から特定復興再生拠点区域の準備宿泊が始まるなど、避難指示解除に向けた取り組みが進められています。 「長泥地区の特定復興再生拠点区域は来春解除を目標に協議や準備を進めています。避難指示解除に当たっては、引き続き住民の皆様のご意見をうかがいながら、国・県各関係機関と協議を進めていきます」 ――移住・定住促進に向けて新規就農者向けの研修宿泊施設の整備が進められています。 「新規就農者向け施設はまだ構想段階ですが、移住・定住促進事業として、7月に『いいたて移住サポートセンター』を開所しました。これは、民間事業者のノウハウを生かし、さらなる移住を推進するほか、交流・移住の最初の窓口対応を担うためのものです。また、8月、9月に村主催で初めて移住体験ツアー『ミチシル旅』を実施しました。第3回目は11月26日から27日に予定しています」 ――その他重点事業について。 「被災から11年半以上が経ち、飯舘村は『選んで住む、住み直す』場所になっています。一方で純農山村として農畜産業が主幹産業の本村ですが、高い技術、経験を必要とする農畜産業以外にも、あらたな意欲的な取り組み、『なりわい』の創出を支援しています。具体的には、木質バイオマス発電事業等による関連産業の強化発展、企業誘致による雇用の場の確保と併せ、商工業分野における『起業』を支援しています。また、ハンドメイド作品の販売など、小規模に事業をスタートさせたい方を支援する『スタートサポート補助金』というメニューも準備し、村でなりわいを興すにあたって細かなニーズに合うように組み立てました。福島県創業促進補助金や自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金など、事業活用希望者への支援も継続して行っており、強力な『なりわい』の創出を推進しています」 飯舘村ホームページ 政経東北【2022年11月号】

  • 【飯舘村】杉岡誠村長インタビュー【2023.11】

    すぎおか・まこと 1976年生まれ。日大理工学部卒。東京工業大大学院理工学研究科博士前期課程修了。飯舘村農政第一係長などを経て2020年月10月の村長選で初当選。 ここに住んでよかったと思う村を目指して。  ――帰還困難区域のうち、5月には長泥地区の特定復興再生拠点区域と拠点区域外の一部である長泥曲田公園の避難指示が解除されましたが、解除された地区について今後どのような取り組みを進めていく考えですか。  「避難指示解除はあくまで地区の再生・発展のための手段ですので、雇用の創出など優先すべきもの、実施できるものから実現していく方針です。現在、資源活用型堆肥製造施設を整備中ですが、同施設がその役割を果たすと思います。また、残る帰還困難区域についても、早期の避難指示解除を目指します」  ――ドラッグストアのハシドラッグと公設民営による出店を目指す他、セブンイレブンの移動販売が始まり、買い物環境の充実が進んでいます。住民の生活環境や利便性向上に向け取り組んでいる事業を教えてください。  「昨年度から村に移住していただいた医師の本田徹先生による訪問診療が浸透してきています。10月から福島交通が運行する路線バス『福島~医大経由南相馬』の運行ルートに飯舘村役場停留所が加わりました。今後も住民のみなさんや村に訪問される方の利便性向上のための事業を進めていきます」  ――休校中の相馬農業高校飯舘校周辺に産業団地を整備する方針を打ち出しました。今後の展望を教えてください。  「整備予定地として、インフラが存在し、整備が容易な村の中心となる場所、アクセスしやすく人が集まりやすい場所、村の産業特性を踏まえ産業集積の拠点となりうる場所を重視しました。令和4年度に実施した候補地調査により予定地としました。村の担い手を育成してきた場所ですので、そのような思いを込めて産業集積を進めたいです」  ――子育て支援や移住・定住に向けた取り組みについて伺います。  「移住については、福島県12市町村移住支援金、ふくしま12市町村移住支援交通費等補助金の他、村単独での支援制度もあります。令和4年度から引き続き、移住サポートセンターを設置し、状況に応じた制度をご案内しています。  子育て応援策として、今年度から赤ちゃん誕生祝金や、小学校、中学校、高校の入学等準備費用の助成として子育て応援支援金を整備しました。また、不妊治療を受ける夫婦を対象に不妊治療費助成も進めています。  さらに、学んで村に帰ってきた方、移住した方が村内の企業に勤める際には奨学金の返還免除や奨学金返還支援事業補助金制度も整備しました。様々な方が住みやすく、帰って良かった、移住して良かったと実感する、選ばれる村を目指します」

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     1976年生まれ。日大理工学部卒。東京工業大大学院理工学研究科博士前期課程修了。飯舘村農政第一係長などを経て2020年10月の村長選で初当選。  ――蕨平地区で「飯舘みらい発電所」の建設が進められています。 「飯舘みらい発電所は、『飯舘バイオパートナーズ』が事業実施主体となって建設・運営をするもので、出力7500㌔㍗、年間売電量5300万㌔㍗時(一般家庭約1万7000軒相当)規模を計画しています。使用燃料は村内間伐材のほか浜通り地域を中心に県内の間伐材や製材の過程で発生するバークなどを年間9万5000㌧使用する計画です。これにより、村内をはじめ県内の森林整備が促進され、里山再生や林業活性化、経済効果、脱炭素社会の推進などに貢献できると期待しています。また、村では発電所からの排熱を利用した『未来志向型農業』として新たな農業展開にも期待しているところです」 ――2022年9月23日から特定復興再生拠点区域の準備宿泊が始まるなど、避難指示解除に向けた取り組みが進められています。 「長泥地区の特定復興再生拠点区域は来春解除を目標に協議や準備を進めています。避難指示解除に当たっては、引き続き住民の皆様のご意見をうかがいながら、国・県各関係機関と協議を進めていきます」 ――移住・定住促進に向けて新規就農者向けの研修宿泊施設の整備が進められています。 「新規就農者向け施設はまだ構想段階ですが、移住・定住促進事業として、7月に『いいたて移住サポートセンター』を開所しました。これは、民間事業者のノウハウを生かし、さらなる移住を推進するほか、交流・移住の最初の窓口対応を担うためのものです。また、8月、9月に村主催で初めて移住体験ツアー『ミチシル旅』を実施しました。第3回目は11月26日から27日に予定しています」 ――その他重点事業について。 「被災から11年半以上が経ち、飯舘村は『選んで住む、住み直す』場所になっています。一方で純農山村として農畜産業が主幹産業の本村ですが、高い技術、経験を必要とする農畜産業以外にも、あらたな意欲的な取り組み、『なりわい』の創出を支援しています。具体的には、木質バイオマス発電事業等による関連産業の強化発展、企業誘致による雇用の場の確保と併せ、商工業分野における『起業』を支援しています。また、ハンドメイド作品の販売など、小規模に事業をスタートさせたい方を支援する『スタートサポート補助金』というメニューも準備し、村でなりわいを興すにあたって細かなニーズに合うように組み立てました。福島県創業促進補助金や自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金など、事業活用希望者への支援も継続して行っており、強力な『なりわい』の創出を推進しています」 飯舘村ホームページ 政経東北【2022年11月号】