Category

渡辺定己

  • 【鏡石町】政治倫理審査後も続く議会の騒動

    【鏡石町】政治倫理審査後も続く議会の騒動

    込山靖子議員が渡辺定己元議員から不適切な言動を受けたと訴え、政治倫理審査会(政倫審)を設置して審査が行われた問題は、昨年12月に政倫審が報告書をまとめたことで、一応の決着を見たと思われていた。ところが、3月上旬、渡辺元議員が反論文を関係各所に送付したことで、新たな問題が生まれようとしている。 「不適切」認定された元議員が反論 込山靖子議員 渡辺定己元議員  込山議員は昨年8月19日付で古川文雄議長に政治倫理審査請求書を提出した。同請求書は込山議員を含む7人の議員の連名で、渡辺議員から受けた16項目に及ぶ不適切な言動が綴られている。 それから4日後の同23日付で渡辺議員は古川議長に辞職願を提出し、受理された。辞職理由は「健康上の問題」だった。 この経過だけを見ると、政倫審請求を受け、渡辺議員が逃げ出したように映る。実際、そう捉えている関係者もいるが、その前に渡辺議員は入院しており、「このままでは迷惑をかける」、「治療に専念したい」といった考えから辞職したようだ。 これを受け、町議会事務局は県町村議会議長会に対して「政倫審請求書提出後に辞職した議員について、審査することは可能か」等々の問い合わせをしていた。このため、その後の動きに時間を要したが、県町村議会議長会の顧問弁護士から「今回のケースでは辞職した渡辺元議員の審査を行うことが可能である」旨の回答があったという。 ある議員はこう解説する。 「条例文の解釈では、要件を満たした状況で、議長に政倫審請求書を提出し、それが受理された段階で『政倫審は立ち上がっている』ということになる。つまり、昨年8月19日に政倫審請求書を提出した時点で、政倫審は発足している、と。その4日後に渡辺議員が辞職したが、町議会事務局が県町村議会議長会の顧問弁護士に確認したところでは、『審査を行うことは可能で、渡辺元議員への招致要請もできる。ただし、強制はできない』とのことでした」 不適切行為を一部認定  こうした確認を経て、昨年10月、政倫審委員として、畑幸一議員(副議長)、大河原正雄議員、角田真美議員の議員3人と、門脇真弁護士(郡山さくら通り法律事務所)、佐藤玲子氏(町人権擁護委員)、村越栄子氏(町民生児童委員)の民間人3人の計6人が選任された。委員長には門脇弁護士が就いた。 政倫審は昨年11月14日、29日、12月20日と計3回開催され、3回目で報告書をまとめて古川議長に提出した。それによると、審査対象は「渡辺元議員の込山議員に対する行為がセクシャルハラスメント行為、パワーハラスメント行為、議会基本条例第7条第1号(町民の代表として、その品位または名誉を損なう行為を禁止し、その職務に関し不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと)に違反するか否か」である。 審査結果は次の通り。   ×  ×  ×  × 本件審査請求の対象とされる行為のうち、委員会の会議中に、審査対象議員(渡辺元議員)が審査請求代表者(込山議員)に依頼して、審査対象議員の足に湿布を貼ってもらった行為は、審査会の調査によって認定することができる。そして、特段やむを得ない事情も認められない本件当時の状況を踏まえると、当該行為は、議案等の審査等を責務とする委員会活動中における町民の代表者としてふさわしい行為とは言えず、町民の代表者としての品位を損なう行為であり、条例第7条第1号に違反するとの結論に至った。 なお、本件審査請求の対象とされる行為のうち、審査対象議員個人の行為とはいえない行為及び当事者間の金銭請求の当否を求めることにほかならない行為については審査不適との結論に至った。 また、その他の行為については審査会の調査によっても真偽不明であり、その存否について判断できないとの結論に至った。   ×  ×  ×  × この結果を受け、当時の本誌取材に込山議員は次のように述べた。 「(政倫審の報告書は)形式的なものでしかなかったが、一応『不適切』と認められた部分もありますし、町民の中には『もっとやるべきことがあるのではないか』といった声もあるので、私としてはこれで良しとするしかないと思っています。ほかの議員からは(もっと厳しく審査・追及すべきという意味で)『納得できない』といった意見も出ました。そうした発言で救われた部分もある」 要は「納得したわけではないが、これで矛を収めるしかない」との見解だったのである。 これで一応の決着を見たと思われたが、3月上旬、渡辺元議員が「当事者として今・真実を語る!!」と題した反論文を関係各所に送付した。 本誌も渡辺元議員を取材してそれを受け取り、話を聞いた。一方で、込山議員からも政倫審請求書を提出した直後や、政倫審の結果が出た後に話を聞いているが、双方の主張は180度異なっている。 すなわち、込山議員は「選挙期間中、あるいは当選後の議員活動の中で、渡辺議員からこんなことを言われた」、「こんなことをされた」と訴え、それに対し、渡辺元議員は「それは違う。実際はこうだった」と主張しているのだ。 ほとんどが2人のときの出来事で、客観的な判断材料があるわけではない。そのため、どこまで行っても、水掛け論になってしまう。 実際、先に紹介した政倫審の報告書でも、大部分は「真偽不明で、その存否について判断できない」とされている。唯一、認定されたのは、委員会の会議中に、渡辺議員(当時)が込山議員を呼びつけ、足に湿布を貼らせたという行為。これはほかの議員も見ていた場でのことのため、関係者に確認し「間違いなくそういうことがあった」と認定され、「町民の代表としての品位、名誉を損なう行為」とされたのだ。 政倫審後に反論の理由  一方で、政倫審は渡辺元議員に説明、資料提出、政倫審への出席を求めたが、渡辺元議員はいずれの対応もしなかった。にもかかわらず、ここに来て、反論文を関係各所に送付したのはなぜか。渡辺元議員は次のように説明した。 「今回の件は、(議会内の対立構造の中で)私を貶めようというのが根底にあったのです。だから、相手にするつもりもなかったし、『人の噂も75日』というから黙っていました。ただ、『謝罪しろ』とか、あまりにも騒ぎ立てるので、黙っていられなくなった」 政倫審の結果が出た後、議会内では「不適切と認められた部分について、公開の場(議場)で、渡辺元議員に謝罪を求めるべき」との意見が出た。渡辺元議員の「『謝罪しろ』と騒ぎ立てるので黙っていられなくなった」とのコメントはそのことを指している。なお、3月議会最終日の3月17日、議員から「鏡石町議会として元鏡石町議会議員・渡辺定己氏に公開の議場での謝罪を求める決議(案)」が出されたが、否決された。 一方で、「不適切」と認定された湿布を貼らせた行為については、渡辺元議員はこう説明した。 「私が医師から受けた診断は狭窄症で、時折、極度の神経痛が襲う。あの時(委員会中に込山議員に湿布を貼らせた時)は本当に辛かった。一部は自分で湿布を貼ったが、それ以上は自分でできず、うずくまっていたところに、ちょうど込山議員が目に入り、貼ってくれ、と頼んだ」 「その点については反省し、謝罪もした」という渡辺元議員。ただ、込山議員は「謝罪は受けていない。委員会という執行部やほかの議員が見ている場で、込山議員はオレ(渡辺元議員)の子分だということを示したかったからとしか思えない」と語っていた。 いずれにしても、このことが政倫審で「町民の代表としての品位、名誉を損なう行為」と認められたことだけは事実として残っている。 込山議員は、現職議員の死去に伴い、昨年5月の町長選と同時日程で行われた町議補選(欠員2)に立候補し初当選した。補選に当たり、込山議員に「議員をやってみないか」と打診し、選挙活動の指南・手伝いをしたのが渡辺元議員だった。そういう関係性からスタートして、今回のような事態になった。この補選を巡り、渡辺元議員は「選挙費用を立て替えた。その分を返還してほしい」、込山議員は「私の知らないところで勝手にいろいろされた」といったトラブルも発生している。 込山議員は「最初は(渡辺元議員を)尊敬できる人だと思って、いろいろ勉強させてもらおうと思ったが、実際は全然違った」と言い、渡辺元議員は「(込山議員を)自分の後継者になってもらいたいと思い、目をかけたが裏切られた思いだ」と明かす。 出口の見えない抗争はさらに続くのか。 あわせて読みたい 【鏡石町議会】不適切言動の責任を問われる渡辺定己元議員

  • 鏡石町議会】不適切言動の責任を問われる渡辺定己元議員

    【鏡石町議会】不適切言動の責任を問われる渡辺定己元議員

     前号に「鏡石町 気になるアノ話 渡辺元議員に対する政倫審設置へ」という記事を掲載した。その後、動きがあったので続報をお届けする。 擁護派議員は政倫審委員に選任されず  この問題を取り上げた発端は8月下旬に「鏡石町の渡辺定己議員が辞職した」との情報が寄せられたことだった。9月号の締め切り直前だったため、ひとまずその時点で分かったことをミニ記事(9月号情報ファインダー)で取り上げた。内容は次の通り。× × × 鏡石町の渡辺定己議員が辞職した。町議会事務局に確認したところ、「8月23日付で辞職願が受理された」という。辞職理由は「健康上の問題」とのこと。会期中ではなかったため、古川文雄議長に辞職願が提出され、古川議長がそれを許可したという流れになる。 渡辺氏は通算5期議員を務め、その間、議長も務めた。同町議会では〝長老〟的な存在だった。 そんな渡辺氏の辞職について、ある関係者はこう話す。 「議員7人の連名で、渡辺議員に対する政治倫理審査請求書が出され、政治倫理審査会での審査を待たずに辞職したのです」 政治倫理審査会(政倫審)は文字通り、政治家の倫理(政治的・道義的責任)を審査する機関で、条例で定められている。 渡辺議員が政倫審にかけられた詳しい理由は分かっていないが、「同僚の女性議員に対して、不適切な言動があった」(前出の関係者)とか。いずれにしても、議員定数12のうち、半数を超える7人の連名で政倫審請求書が出されたのだから余程のことと言える。 「逆に、渡辺氏は『名誉毀損だ』と言っているようで、場合によっては訴訟も辞さない構えだとか」(同) この件については、詳細が分かればあらためて報じることにする。   ×  ×  ×  × 10月号にこの続報を掲載した。 政治倫理審査請求書提出の代表者は込山靖子議員(56)。現職議員の死去に伴い、今年5月の町長選と同時日程で行われた町議補選(欠員2)に立候補し初当選した。同町唯一の女性議員で、渡辺議員から不適切な言動を受けたと訴えた本人だ。 込山議員は議会の非公開の場で、全16項目に及ぶ渡辺議員から受けた不適切な言動を訴え、8月19日付で政倫審請求書を提出したという。渡辺議員はその4日後(同23日付)に辞職したことになる。 込山議員が訴えた内容だが、本誌は本人から、「選挙期間中、あるいは当選後の議員活動の中で、渡辺議員からこんなことを言われた」、「こんなことをされた」といった話を聞いている。とはいえ、その一部は、同僚議員や町職員らが見ている場でのことだったが、ほとんどは2人のときか、2人に加えて渡辺議員に有利な証言をするであろう人しかいないときのことだった。客観的な証拠があるわけではなく、言った・言わないの話になる可能性があるため、詳細は触れなかった。 そのほか、前号記事では、県町村議会議長会に「政倫審請求書提出後に辞職した議員について、審査することは可能か」と問い合わせたところ、「可能」と返答があり、9月16日に開かれた議会全員協議会で、古川議長からその旨の報告があったことに加え、「今後、政倫審を立ち上げて、審査することになる」との関係者コメントを紹介した。 6人の政倫審委員  ただ、その後は具体的な動きがなかったことから、10月3日、込山議員を含む3人の議員で全員協議会開催を要請、同13日に開催された。 その際、本誌に伝わっていた情報では、「渡辺元議員を擁護したい議員らで政倫審委員を固めようとしている」ということだった。 結局、その日は委員選任には至らず、同21日に開かれた全員協議会でようやく「大枠」が決まった。委員は議会から3人、民間人3人の計6人で、議会からは畑幸一議員(副議長)、大河原正雄議員、角田真美議員の3人。このうち畑議員と大河原議員は政治倫理審査請求書に賛同した7人のうちの2人、角田議員は中立の立場という。 「渡辺元議員は『鏡政会』という議会会派のリーダー的存在で、古川議長などがそのメンバーです。言わば、古川議長は渡辺元議員に議長にしてもらった立場。ですから、古川議長は今回の件についても、渡辺元議員を擁護しようという姿勢がアリアリでした。ただ、10月13日の全員協議会で、『鏡石町議会は近隣自治体議会から低レベルだと揶揄されるような状況。いまこそ、きちんとした形で政倫審を行うべき』といった指摘があり、それが古川議長にも響いたのではないでしょうか。その結果、渡辺元議員を擁護しようという形ではなく、しっかり審査できるようなメンバー構成になった、と」(ある議員) 民間委員3人はいずれも女性を入れたい意向で、弁護士1人と、町内の女性団体の役員や町第三者委員経験者などを軸に選定する方針だが、まだ具体的には決まっていない。 ともかく、当初、本誌に伝わっていた「政倫審委員を渡辺元議員擁護派で固めようとしている」といった形にはならず、きちんと審査されそうなのは進展と言えそうだ。 ところで、前号記事で「今後、政倫審が設置され……」と書いたが、条例文の解釈では、要件を満たした状況で、議長に政倫審請求書を提出し、それが受理された段階で「政倫審は立ち上がっている」ということになるようだ。 つまり、8月19日に政倫審請求書を提出した時点で、政倫審は発足している、と。その4日後に渡辺議員が辞職したわけだが、「町議会事務局が県町村議会議長会の顧問弁護士に確認したところ、審査を行うことは可能で渡辺元議員への招致要請もできるが、強制はできないとのことでした」(前出の議員)という。 民間委員は10月末に開催される全員協議会で決定するようで、本誌は締め切りの関係上、その成り行きを確認できていない。ただ、いずれにしても民間委員の選任が行われ、込山議員が訴えた「渡辺議員から受けた不適切な言動」の真偽や、倫理に反するかどうかが明らかにされていくことになろう。 最後に前出の議員はこう話した。 「今回の件は、渡辺元議員を罰することが目的ではありません。議会のあり方、町民から付託された議員はどうあるべきか、ということを明確にするのが目的で、そのためにも政倫審ではしっかりと審査していかなければならないと思います」 あわせて読みたい 【鏡石町】政治倫理審査後も続く議会の騒動

  • 【鏡石町】政治倫理審査後も続く議会の騒動

    込山靖子議員が渡辺定己元議員から不適切な言動を受けたと訴え、政治倫理審査会(政倫審)を設置して審査が行われた問題は、昨年12月に政倫審が報告書をまとめたことで、一応の決着を見たと思われていた。ところが、3月上旬、渡辺元議員が反論文を関係各所に送付したことで、新たな問題が生まれようとしている。 「不適切」認定された元議員が反論 込山靖子議員 渡辺定己元議員  込山議員は昨年8月19日付で古川文雄議長に政治倫理審査請求書を提出した。同請求書は込山議員を含む7人の議員の連名で、渡辺議員から受けた16項目に及ぶ不適切な言動が綴られている。 それから4日後の同23日付で渡辺議員は古川議長に辞職願を提出し、受理された。辞職理由は「健康上の問題」だった。 この経過だけを見ると、政倫審請求を受け、渡辺議員が逃げ出したように映る。実際、そう捉えている関係者もいるが、その前に渡辺議員は入院しており、「このままでは迷惑をかける」、「治療に専念したい」といった考えから辞職したようだ。 これを受け、町議会事務局は県町村議会議長会に対して「政倫審請求書提出後に辞職した議員について、審査することは可能か」等々の問い合わせをしていた。このため、その後の動きに時間を要したが、県町村議会議長会の顧問弁護士から「今回のケースでは辞職した渡辺元議員の審査を行うことが可能である」旨の回答があったという。 ある議員はこう解説する。 「条例文の解釈では、要件を満たした状況で、議長に政倫審請求書を提出し、それが受理された段階で『政倫審は立ち上がっている』ということになる。つまり、昨年8月19日に政倫審請求書を提出した時点で、政倫審は発足している、と。その4日後に渡辺議員が辞職したが、町議会事務局が県町村議会議長会の顧問弁護士に確認したところでは、『審査を行うことは可能で、渡辺元議員への招致要請もできる。ただし、強制はできない』とのことでした」 不適切行為を一部認定  こうした確認を経て、昨年10月、政倫審委員として、畑幸一議員(副議長)、大河原正雄議員、角田真美議員の議員3人と、門脇真弁護士(郡山さくら通り法律事務所)、佐藤玲子氏(町人権擁護委員)、村越栄子氏(町民生児童委員)の民間人3人の計6人が選任された。委員長には門脇弁護士が就いた。 政倫審は昨年11月14日、29日、12月20日と計3回開催され、3回目で報告書をまとめて古川議長に提出した。それによると、審査対象は「渡辺元議員の込山議員に対する行為がセクシャルハラスメント行為、パワーハラスメント行為、議会基本条例第7条第1号(町民の代表として、その品位または名誉を損なう行為を禁止し、その職務に関し不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと)に違反するか否か」である。 審査結果は次の通り。   ×  ×  ×  × 本件審査請求の対象とされる行為のうち、委員会の会議中に、審査対象議員(渡辺元議員)が審査請求代表者(込山議員)に依頼して、審査対象議員の足に湿布を貼ってもらった行為は、審査会の調査によって認定することができる。そして、特段やむを得ない事情も認められない本件当時の状況を踏まえると、当該行為は、議案等の審査等を責務とする委員会活動中における町民の代表者としてふさわしい行為とは言えず、町民の代表者としての品位を損なう行為であり、条例第7条第1号に違反するとの結論に至った。 なお、本件審査請求の対象とされる行為のうち、審査対象議員個人の行為とはいえない行為及び当事者間の金銭請求の当否を求めることにほかならない行為については審査不適との結論に至った。 また、その他の行為については審査会の調査によっても真偽不明であり、その存否について判断できないとの結論に至った。   ×  ×  ×  × この結果を受け、当時の本誌取材に込山議員は次のように述べた。 「(政倫審の報告書は)形式的なものでしかなかったが、一応『不適切』と認められた部分もありますし、町民の中には『もっとやるべきことがあるのではないか』といった声もあるので、私としてはこれで良しとするしかないと思っています。ほかの議員からは(もっと厳しく審査・追及すべきという意味で)『納得できない』といった意見も出ました。そうした発言で救われた部分もある」 要は「納得したわけではないが、これで矛を収めるしかない」との見解だったのである。 これで一応の決着を見たと思われたが、3月上旬、渡辺元議員が「当事者として今・真実を語る!!」と題した反論文を関係各所に送付した。 本誌も渡辺元議員を取材してそれを受け取り、話を聞いた。一方で、込山議員からも政倫審請求書を提出した直後や、政倫審の結果が出た後に話を聞いているが、双方の主張は180度異なっている。 すなわち、込山議員は「選挙期間中、あるいは当選後の議員活動の中で、渡辺議員からこんなことを言われた」、「こんなことをされた」と訴え、それに対し、渡辺元議員は「それは違う。実際はこうだった」と主張しているのだ。 ほとんどが2人のときの出来事で、客観的な判断材料があるわけではない。そのため、どこまで行っても、水掛け論になってしまう。 実際、先に紹介した政倫審の報告書でも、大部分は「真偽不明で、その存否について判断できない」とされている。唯一、認定されたのは、委員会の会議中に、渡辺議員(当時)が込山議員を呼びつけ、足に湿布を貼らせたという行為。これはほかの議員も見ていた場でのことのため、関係者に確認し「間違いなくそういうことがあった」と認定され、「町民の代表としての品位、名誉を損なう行為」とされたのだ。 政倫審後に反論の理由  一方で、政倫審は渡辺元議員に説明、資料提出、政倫審への出席を求めたが、渡辺元議員はいずれの対応もしなかった。にもかかわらず、ここに来て、反論文を関係各所に送付したのはなぜか。渡辺元議員は次のように説明した。 「今回の件は、(議会内の対立構造の中で)私を貶めようというのが根底にあったのです。だから、相手にするつもりもなかったし、『人の噂も75日』というから黙っていました。ただ、『謝罪しろ』とか、あまりにも騒ぎ立てるので、黙っていられなくなった」 政倫審の結果が出た後、議会内では「不適切と認められた部分について、公開の場(議場)で、渡辺元議員に謝罪を求めるべき」との意見が出た。渡辺元議員の「『謝罪しろ』と騒ぎ立てるので黙っていられなくなった」とのコメントはそのことを指している。なお、3月議会最終日の3月17日、議員から「鏡石町議会として元鏡石町議会議員・渡辺定己氏に公開の議場での謝罪を求める決議(案)」が出されたが、否決された。 一方で、「不適切」と認定された湿布を貼らせた行為については、渡辺元議員はこう説明した。 「私が医師から受けた診断は狭窄症で、時折、極度の神経痛が襲う。あの時(委員会中に込山議員に湿布を貼らせた時)は本当に辛かった。一部は自分で湿布を貼ったが、それ以上は自分でできず、うずくまっていたところに、ちょうど込山議員が目に入り、貼ってくれ、と頼んだ」 「その点については反省し、謝罪もした」という渡辺元議員。ただ、込山議員は「謝罪は受けていない。委員会という執行部やほかの議員が見ている場で、込山議員はオレ(渡辺元議員)の子分だということを示したかったからとしか思えない」と語っていた。 いずれにしても、このことが政倫審で「町民の代表としての品位、名誉を損なう行為」と認められたことだけは事実として残っている。 込山議員は、現職議員の死去に伴い、昨年5月の町長選と同時日程で行われた町議補選(欠員2)に立候補し初当選した。補選に当たり、込山議員に「議員をやってみないか」と打診し、選挙活動の指南・手伝いをしたのが渡辺元議員だった。そういう関係性からスタートして、今回のような事態になった。この補選を巡り、渡辺元議員は「選挙費用を立て替えた。その分を返還してほしい」、込山議員は「私の知らないところで勝手にいろいろされた」といったトラブルも発生している。 込山議員は「最初は(渡辺元議員を)尊敬できる人だと思って、いろいろ勉強させてもらおうと思ったが、実際は全然違った」と言い、渡辺元議員は「(込山議員を)自分の後継者になってもらいたいと思い、目をかけたが裏切られた思いだ」と明かす。 出口の見えない抗争はさらに続くのか。 あわせて読みたい 【鏡石町議会】不適切言動の責任を問われる渡辺定己元議員

  • 【鏡石町議会】不適切言動の責任を問われる渡辺定己元議員

     前号に「鏡石町 気になるアノ話 渡辺元議員に対する政倫審設置へ」という記事を掲載した。その後、動きがあったので続報をお届けする。 擁護派議員は政倫審委員に選任されず  この問題を取り上げた発端は8月下旬に「鏡石町の渡辺定己議員が辞職した」との情報が寄せられたことだった。9月号の締め切り直前だったため、ひとまずその時点で分かったことをミニ記事(9月号情報ファインダー)で取り上げた。内容は次の通り。× × × 鏡石町の渡辺定己議員が辞職した。町議会事務局に確認したところ、「8月23日付で辞職願が受理された」という。辞職理由は「健康上の問題」とのこと。会期中ではなかったため、古川文雄議長に辞職願が提出され、古川議長がそれを許可したという流れになる。 渡辺氏は通算5期議員を務め、その間、議長も務めた。同町議会では〝長老〟的な存在だった。 そんな渡辺氏の辞職について、ある関係者はこう話す。 「議員7人の連名で、渡辺議員に対する政治倫理審査請求書が出され、政治倫理審査会での審査を待たずに辞職したのです」 政治倫理審査会(政倫審)は文字通り、政治家の倫理(政治的・道義的責任)を審査する機関で、条例で定められている。 渡辺議員が政倫審にかけられた詳しい理由は分かっていないが、「同僚の女性議員に対して、不適切な言動があった」(前出の関係者)とか。いずれにしても、議員定数12のうち、半数を超える7人の連名で政倫審請求書が出されたのだから余程のことと言える。 「逆に、渡辺氏は『名誉毀損だ』と言っているようで、場合によっては訴訟も辞さない構えだとか」(同) この件については、詳細が分かればあらためて報じることにする。   ×  ×  ×  × 10月号にこの続報を掲載した。 政治倫理審査請求書提出の代表者は込山靖子議員(56)。現職議員の死去に伴い、今年5月の町長選と同時日程で行われた町議補選(欠員2)に立候補し初当選した。同町唯一の女性議員で、渡辺議員から不適切な言動を受けたと訴えた本人だ。 込山議員は議会の非公開の場で、全16項目に及ぶ渡辺議員から受けた不適切な言動を訴え、8月19日付で政倫審請求書を提出したという。渡辺議員はその4日後(同23日付)に辞職したことになる。 込山議員が訴えた内容だが、本誌は本人から、「選挙期間中、あるいは当選後の議員活動の中で、渡辺議員からこんなことを言われた」、「こんなことをされた」といった話を聞いている。とはいえ、その一部は、同僚議員や町職員らが見ている場でのことだったが、ほとんどは2人のときか、2人に加えて渡辺議員に有利な証言をするであろう人しかいないときのことだった。客観的な証拠があるわけではなく、言った・言わないの話になる可能性があるため、詳細は触れなかった。 そのほか、前号記事では、県町村議会議長会に「政倫審請求書提出後に辞職した議員について、審査することは可能か」と問い合わせたところ、「可能」と返答があり、9月16日に開かれた議会全員協議会で、古川議長からその旨の報告があったことに加え、「今後、政倫審を立ち上げて、審査することになる」との関係者コメントを紹介した。 6人の政倫審委員  ただ、その後は具体的な動きがなかったことから、10月3日、込山議員を含む3人の議員で全員協議会開催を要請、同13日に開催された。 その際、本誌に伝わっていた情報では、「渡辺元議員を擁護したい議員らで政倫審委員を固めようとしている」ということだった。 結局、その日は委員選任には至らず、同21日に開かれた全員協議会でようやく「大枠」が決まった。委員は議会から3人、民間人3人の計6人で、議会からは畑幸一議員(副議長)、大河原正雄議員、角田真美議員の3人。このうち畑議員と大河原議員は政治倫理審査請求書に賛同した7人のうちの2人、角田議員は中立の立場という。 「渡辺元議員は『鏡政会』という議会会派のリーダー的存在で、古川議長などがそのメンバーです。言わば、古川議長は渡辺元議員に議長にしてもらった立場。ですから、古川議長は今回の件についても、渡辺元議員を擁護しようという姿勢がアリアリでした。ただ、10月13日の全員協議会で、『鏡石町議会は近隣自治体議会から低レベルだと揶揄されるような状況。いまこそ、きちんとした形で政倫審を行うべき』といった指摘があり、それが古川議長にも響いたのではないでしょうか。その結果、渡辺元議員を擁護しようという形ではなく、しっかり審査できるようなメンバー構成になった、と」(ある議員) 民間委員3人はいずれも女性を入れたい意向で、弁護士1人と、町内の女性団体の役員や町第三者委員経験者などを軸に選定する方針だが、まだ具体的には決まっていない。 ともかく、当初、本誌に伝わっていた「政倫審委員を渡辺元議員擁護派で固めようとしている」といった形にはならず、きちんと審査されそうなのは進展と言えそうだ。 ところで、前号記事で「今後、政倫審が設置され……」と書いたが、条例文の解釈では、要件を満たした状況で、議長に政倫審請求書を提出し、それが受理された段階で「政倫審は立ち上がっている」ということになるようだ。 つまり、8月19日に政倫審請求書を提出した時点で、政倫審は発足している、と。その4日後に渡辺議員が辞職したわけだが、「町議会事務局が県町村議会議長会の顧問弁護士に確認したところ、審査を行うことは可能で渡辺元議員への招致要請もできるが、強制はできないとのことでした」(前出の議員)という。 民間委員は10月末に開催される全員協議会で決定するようで、本誌は締め切りの関係上、その成り行きを確認できていない。ただ、いずれにしても民間委員の選任が行われ、込山議員が訴えた「渡辺議員から受けた不適切な言動」の真偽や、倫理に反するかどうかが明らかにされていくことになろう。 最後に前出の議員はこう話した。 「今回の件は、渡辺元議員を罰することが目的ではありません。議会のあり方、町民から付託された議員はどうあるべきか、ということを明確にするのが目的で、そのためにも政倫審ではしっかりと審査していかなければならないと思います」 あわせて読みたい 【鏡石町】政治倫理審査後も続く議会の騒動