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猪苗代町長選

  • 続・現職退任で混沌とする猪苗代町長選

    続・現職退任で混沌とする猪苗代町長選

     本誌4月号に「現職退任で混沌とする猪苗代町長選 前後氏の後継者と佐瀬氏の一騎打ちか」という記事を掲載した。注目は前後公町長の後継者が誰になるかだったが、前号締め切りから発売までの間に、その人選が定まった。 前後町長が後継者に「道の駅猪苗代」駅長を指名 道の駅猪苗代(HPより)  任期満了に伴う猪苗代町長選は6月13日告示、同18日投開票の日程で行われる。現職・前後公氏は3月定例会の閉会あいさつ(3月20日)で、「6月に行われる町長選には立候補しない。後進に道を譲りたい」と述べた。 記事では、前後氏の退任表明で混沌とする情勢についてリポートした。その中で、「前後町長の後継者と佐瀬真氏の一騎打ちになる公算が高い」と書いた。 佐瀬氏は同町議員で、3月定例会初日の3月7日に、渡辺真一郎議長に辞職願を提出し、本会議で許可された。同時に町長選への立候補を表明した。 佐瀬氏は1953年生まれ。会津高卒。2012年2月の町議選で初当選。2015年6月の町長選に立候補し、前後氏に敗れた。得票は前後氏5458票、佐瀬氏が2781票だった。その後、2016年2月の町議選で返り咲きを果たした。2019年6月の町長選にも立候補し、前後氏と再戦。得票は前後氏が4294票、佐瀬氏が3539票と最初のダブルスコアでの落選から、だいぶ票差を詰めたが当選には届かなかった。2020年の町議選で三度目の返り咲きを果たしたが、前述したようにすでに辞職して町長選に向けた準備に入っている。 過去3回の町長選の結果2011年6月26日投開票当5066前後 公(69)無新4242渡部英一(59)無新投票率72・50%2015年6月21日投開票当5458前後 公(73)無現2781佐瀬 真(61)無新投票率66・83%2019年6月23日投開票当4294前後 公(77)無新3539佐瀬 真(65)無新投票率66・46%  佐瀬氏について、前号記事では町民のこんな見解を紹介した。 「最初の町長選(2015年)は、佐瀬氏本人も『予行演習』と言っていたくらいで、2期目を目指す現職の前後氏に勝てるとは思っていなかったようです。ただ、2回目(2019年)は本気で取りに行くと意気込んでいた。結果は、1回目よりは善戦したものの、現職の前後氏に連敗となりました。その後は地元を離れて仕事をしているという情報もあったが、翌年(2020年)の町議選で復帰したことで、次の町長選も出るつもりだろうと言われていました。ですから、佐瀬氏の立候補表明は予想通りでした」 さらにはこんな声も。 「佐瀬氏は過去2回、町長選に出ていますが、いずれもその翌年の町議選で議員に復帰しています。『町長選がダメでも、また町議に戻ればいい』とでも考えているのではないかと疑ってしまう。少なくとも、私からしたらそういう感じがミエミエで、町民の中にも『どれだけ本気なのか』、『そんな中途半端では応援する気になれない』という人は少なくないと思いますよ」 4月号締め切り(3月27日)時点で、佐瀬氏のほかに立候補の意思を明らかにしている人物はいなかった。ただ、「前後氏の後継者が立候補することが確実視される」と書いた。その背景には、前後氏の後援会関係者からこう聞いていたからだ。 「前後町長は後援会役員に、『今期で引退する。後継者は私が責任を持って決める。私が決めた人で納得してもらえるなら、応援してほしい』と宣言しました」 その中で、名前が挙がっていたのが元町議の神田功氏(70)。2008年の町議選を最後に議員を引退した。現在は、家業である民宿を経営している。 ある関係者によると、「本人(神田氏)は出たかったようで、前後町長も神田氏から『やりたいので応援してほしい』と言われたら、それでもいいと考えていたように思います」という。 一方で、前後氏の支持者はこう話していた。 「神田氏はもともとは前後町長の対立側にいた人物で、もし、神田氏が前後町長の後継者に指名されたら、後援会関係者の中には、『神田氏では納得できない』という人も出てくるかもしれない」 前後氏後継者の人物評 【公式】にへい盛一(二瓶盛一)後援会ホームページ より  その後、3月28日に道の駅猪苗代駅長の二瓶盛一氏が立候補表明したことが伝えられた。以下は福島民友(3月29日付)より。 《任期満了に伴い6月13日告示、同18日投票で行われる猪苗代町長選で、新人で道の駅猪苗代駅長の二瓶盛一氏(69)は28日、立候補を表明した。同町で記者会見を開き、「町の未来を考えて立候補を決意した。観光誘客の一層の充実を図りたい」と語った。二瓶氏は猪苗代町出身。中央大経済学部卒。福島民報社専務、ラジオ福島専務、民報印刷社長を経て、2020年から道の駅猪苗代の駅長を務める》 二瓶氏について、前後氏の後援会関係者はこう話す。 「地元紙で報じられたように、二瓶氏は福島民報社出身で、同社専務、ラジオ福島専務、民報印刷社長などを務めたほか、同社系のゴルフ場にいたこともあり、誘客施設での経験もあったことから、前後町長が『力を貸してほしい』と頼んで、道の駅駅長として招聘した人物です。『真面目で一生懸命』というのが周囲の評価で、道の駅では売り上げを伸ばしたと聞きます。行政経験はないものの、学歴(中央大経済学部卒)も申し分なく、いまの時代は経営感覚を持った人の方がいいといった考えから、後継者に指名したようです」 前後町長は後援会関係者に「二瓶氏を後継者に据えたい」旨を伝え、了承されたという。選挙では前後町長の後援会が全面バックアップすることになる。 町内では「前後町長の支援があるのは大きいが、あまり知名度がないのがネックだろう」との声が聞かれた。ただ、前出・前後氏の後援会関係者は「猪苗代町出身で、町内には親戚もいるから、知名度云々は、そこまでの不安材料ではない」と打ち消した。 一方で、ある有力者は次のように話す。 「4月2日にリステル猪苗代で猪苗代青年会議所の45周年式典があり、その席で会った。町長選への立候補表明後、初めての公の場だったが、顔と名前を売ろうとガツガツした感じではなく悠然と構えていた。そういう性格なんでしょうね」 こうして、同町長選は「前後町長の後継者」である二瓶氏と佐瀬氏の争いになることが濃厚となったわけだが、どんな点が争点になるのか、有権者がどのような審判を下すのかが注目される。 その後(追記6/5) 2023年6月1日、猪苗代町長選に新人・高橋翔氏が出馬表明。 https://twitter.com/ShowTakahashi/status/1664169426277777408 あわせて読みたい 各地の選挙に出続ける髙橋翔氏の素顔

  • 続・現職退任で混沌とする猪苗代町長選

    現職退任で混沌とする猪苗代町長選

     任期満了に伴う猪苗代町長選は6月13日告示、同18日投開票の日程で行われる。現職・前後公氏は今期限りでの退任を表明しており、次の舵取り役が誰になるのかが注目されている。(※記事は3月27日時点での情勢をまとめたもの) 前後氏の後継者と佐瀬氏の一騎打ちか 前後公町長  猪苗代町議会3月定例会の最終日(3月20日)。閉会のあいさつに立った前後公町長は、同議会に上程した議案が議決されたことへの感謝を述べた後、「私事ですが」として、こう話した。 「6月に行われる町長選には立候補しない。3期12年、東日本大震災・原発事故があった中、年間100万人が訪れる道の駅猪苗代がオープンし、認定こども園2カ所も開所することができた。中学校統合の道筋もできた。後進に道を譲りたい」 前後氏は1941年生まれ。日本大学東北工業高(現・日大東北高)卒。1961年に町職員となり、生涯学習課長などを務めた。2011年の町長選で初当選し、3期目。 現在81歳で、県内市町村長では最年長になる。年齢的な面で、以前から関係者の間では「今期までだろう」と言われており、その見立て通りの退任表明だった。 「就任して少し経ったころは、疲れているのかなと思うこともあったが、町長の職務に慣れてきてからは就任前より元気なのではないかと思うくらい、気力が充実していたように感じます。酒席などに出ても長居することは少なく、健康面にはかなり気を使っていました。実際、この間、大きな病気をしたことはない。ただ、いまは元気でも任期中に何かあったら迷惑がかかるという思いはずっとあったようです」(ある支持者) 近隣の関係者はこう評価する。 「よく『開かれた町政』ということを掲げる人がいますが、前後町長は任期中、一度も町長室の扉を閉めたことがなく、文字通り『開かれた』町政だった。そうして町民と気軽に接することができるようにしたのは立派だったと思います。もっとも、本当に気軽に町長室に入っていく町民はあまりいなかったでしょうけどね。それに対して、ある首長は部屋(市町村長室)の鍵をかけておくんですから、えらい違いですよ」 この間、本誌記者も幾度となく前後町長と面会したが、確かに町長室の扉が閉められた(閉まっていた)のは見たことがない。前後町長はよく「誰かに聞かれて困るようなことは何もない」、「(扉を閉めて)密室で何をしているのかと思われるよりはよっぽどいい」、「誰でも入ってきて要望等、言いたいことを言ってくれたらいい」と言っていた。 さて、前後町長退任後の町長選だが、同町議員の佐瀬真氏が3月定例会初日の3月7日に、渡辺真一郎議長に辞職願を提出し、本会議で許可された。同時に町長選への立候補を表明した。なお、議員辞職は会期中であれば議会の許可が必要になり、閉会中だと議長の権限で辞職の可否を決めることができる。 佐瀬氏は1953年生まれ。会津高卒。2012年2月の町議選で初当選。2015年6月の町長選に立候補し、前後氏に敗れた。その後、2016年2月の町議選で返り咲きを果たした。2019年6月の町長選にも立候補し、前後氏と再戦。最初のダブルスコアでの落選から、だいぶ票差を詰めたが当選には届かなかった。2020年の町議選で三度返り咲きを果たしたが、前述したようにすでに辞職して町長選に向けた準備に入っている。 ある町民はこう話す。 「最初の町長選(2015年)は、佐瀬氏本人も『予行演習』と言っていたくらいで、2期目を目指す現職の前後氏に勝てるとは思っていなかったようです。ただ、2回目(2019年)は本気で取りに行くと意気込んでいた。結果は、1回目よりは善戦したものの、現職の前後氏に連敗となりました。その後は地元を離れて仕事をしているという情報もあったが、翌年(2020年)の町議選で復帰したことで、次の町長選も出るつもりだろうと言われていました。ですから、佐瀬氏の立候補表明は予想通りでした」 前後町長の後継者は誰に  一方で、別の町民は次のように語った。 「佐瀬氏は過去2回、町長選に出ていますが、いずれもその翌年の町議選で議員に復帰しています。『町長選がダメでも、また議員に戻ればいい』とでも考えているのではないかと疑ってしまう。少なくとも、私からしたらそういう感じがミエミエで、町民の中にも『どれだけ本気なのか』、『そんな中途半端では応援する気になれない』という人は少なくないと思いますよ」 確かに、同様の声を町内で何度か耳にした。町長選の8カ月後に町議選がある並びというも良くない。ちなみに、2020年の町議選は無投票で、町によると、記録が残る1964年以降で初めてのことだったという。労せずして議員に返り咲いたことになる。 3月27日時点で、佐瀬氏のほかに立候補の意思を明らかにしている人物はいないが、前後氏の後継者が立候補することが確実視される。 前後氏の後援会関係者は次のように話す。 「前後町長は後援会役員に、『今期で引退する。後継者は私が責任を持って決める。私が決めた人で納得してもらえるなら、応援してほしい』と宣言しました」 そんな中で、名前が挙がるのが元町議の神田功氏(70)。過去にも町長選の候補者に名前が挙がったことがあった。 「その時は家族の理解が得られなかったようだ。それと関係しているかどうかは分からないが、直前で息子さんが亡くなり、町長選どころではなくなった」(ある町民) 神田氏は2008年の町議選を最後に議員を引退した。現在は、家業である民宿を経営している。 「もともとは前後町長の対立側にいた人物で、もし、神田氏が前後町長の後継者に指名されたら、後援会関係者の中には、『神田氏では納得できない』という人も出てくるかもしれない」(前後氏の支持者) いずれにしても、前後町長の後継者と佐瀬氏の一騎打ちになる公算が高く、有権者がどのような判断を下すのかが注目される。 あわせて読みたい 続・現職退任で混沌とする猪苗代町長選

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     本誌4月号に「現職退任で混沌とする猪苗代町長選 前後氏の後継者と佐瀬氏の一騎打ちか」という記事を掲載した。注目は前後公町長の後継者が誰になるかだったが、前号締め切りから発売までの間に、その人選が定まった。 前後町長が後継者に「道の駅猪苗代」駅長を指名 道の駅猪苗代(HPより)  任期満了に伴う猪苗代町長選は6月13日告示、同18日投開票の日程で行われる。現職・前後公氏は3月定例会の閉会あいさつ(3月20日)で、「6月に行われる町長選には立候補しない。後進に道を譲りたい」と述べた。 記事では、前後氏の退任表明で混沌とする情勢についてリポートした。その中で、「前後町長の後継者と佐瀬真氏の一騎打ちになる公算が高い」と書いた。 佐瀬氏は同町議員で、3月定例会初日の3月7日に、渡辺真一郎議長に辞職願を提出し、本会議で許可された。同時に町長選への立候補を表明した。 佐瀬氏は1953年生まれ。会津高卒。2012年2月の町議選で初当選。2015年6月の町長選に立候補し、前後氏に敗れた。得票は前後氏5458票、佐瀬氏が2781票だった。その後、2016年2月の町議選で返り咲きを果たした。2019年6月の町長選にも立候補し、前後氏と再戦。得票は前後氏が4294票、佐瀬氏が3539票と最初のダブルスコアでの落選から、だいぶ票差を詰めたが当選には届かなかった。2020年の町議選で三度目の返り咲きを果たしたが、前述したようにすでに辞職して町長選に向けた準備に入っている。 過去3回の町長選の結果2011年6月26日投開票当5066前後 公(69)無新4242渡部英一(59)無新投票率72・50%2015年6月21日投開票当5458前後 公(73)無現2781佐瀬 真(61)無新投票率66・83%2019年6月23日投開票当4294前後 公(77)無新3539佐瀬 真(65)無新投票率66・46%  佐瀬氏について、前号記事では町民のこんな見解を紹介した。 「最初の町長選(2015年)は、佐瀬氏本人も『予行演習』と言っていたくらいで、2期目を目指す現職の前後氏に勝てるとは思っていなかったようです。ただ、2回目(2019年)は本気で取りに行くと意気込んでいた。結果は、1回目よりは善戦したものの、現職の前後氏に連敗となりました。その後は地元を離れて仕事をしているという情報もあったが、翌年(2020年)の町議選で復帰したことで、次の町長選も出るつもりだろうと言われていました。ですから、佐瀬氏の立候補表明は予想通りでした」 さらにはこんな声も。 「佐瀬氏は過去2回、町長選に出ていますが、いずれもその翌年の町議選で議員に復帰しています。『町長選がダメでも、また町議に戻ればいい』とでも考えているのではないかと疑ってしまう。少なくとも、私からしたらそういう感じがミエミエで、町民の中にも『どれだけ本気なのか』、『そんな中途半端では応援する気になれない』という人は少なくないと思いますよ」 4月号締め切り(3月27日)時点で、佐瀬氏のほかに立候補の意思を明らかにしている人物はいなかった。ただ、「前後氏の後継者が立候補することが確実視される」と書いた。その背景には、前後氏の後援会関係者からこう聞いていたからだ。 「前後町長は後援会役員に、『今期で引退する。後継者は私が責任を持って決める。私が決めた人で納得してもらえるなら、応援してほしい』と宣言しました」 その中で、名前が挙がっていたのが元町議の神田功氏(70)。2008年の町議選を最後に議員を引退した。現在は、家業である民宿を経営している。 ある関係者によると、「本人(神田氏)は出たかったようで、前後町長も神田氏から『やりたいので応援してほしい』と言われたら、それでもいいと考えていたように思います」という。 一方で、前後氏の支持者はこう話していた。 「神田氏はもともとは前後町長の対立側にいた人物で、もし、神田氏が前後町長の後継者に指名されたら、後援会関係者の中には、『神田氏では納得できない』という人も出てくるかもしれない」 前後氏後継者の人物評 【公式】にへい盛一(二瓶盛一)後援会ホームページ より  その後、3月28日に道の駅猪苗代駅長の二瓶盛一氏が立候補表明したことが伝えられた。以下は福島民友(3月29日付)より。 《任期満了に伴い6月13日告示、同18日投票で行われる猪苗代町長選で、新人で道の駅猪苗代駅長の二瓶盛一氏(69)は28日、立候補を表明した。同町で記者会見を開き、「町の未来を考えて立候補を決意した。観光誘客の一層の充実を図りたい」と語った。二瓶氏は猪苗代町出身。中央大経済学部卒。福島民報社専務、ラジオ福島専務、民報印刷社長を経て、2020年から道の駅猪苗代の駅長を務める》 二瓶氏について、前後氏の後援会関係者はこう話す。 「地元紙で報じられたように、二瓶氏は福島民報社出身で、同社専務、ラジオ福島専務、民報印刷社長などを務めたほか、同社系のゴルフ場にいたこともあり、誘客施設での経験もあったことから、前後町長が『力を貸してほしい』と頼んで、道の駅駅長として招聘した人物です。『真面目で一生懸命』というのが周囲の評価で、道の駅では売り上げを伸ばしたと聞きます。行政経験はないものの、学歴(中央大経済学部卒)も申し分なく、いまの時代は経営感覚を持った人の方がいいといった考えから、後継者に指名したようです」 前後町長は後援会関係者に「二瓶氏を後継者に据えたい」旨を伝え、了承されたという。選挙では前後町長の後援会が全面バックアップすることになる。 町内では「前後町長の支援があるのは大きいが、あまり知名度がないのがネックだろう」との声が聞かれた。ただ、前出・前後氏の後援会関係者は「猪苗代町出身で、町内には親戚もいるから、知名度云々は、そこまでの不安材料ではない」と打ち消した。 一方で、ある有力者は次のように話す。 「4月2日にリステル猪苗代で猪苗代青年会議所の45周年式典があり、その席で会った。町長選への立候補表明後、初めての公の場だったが、顔と名前を売ろうとガツガツした感じではなく悠然と構えていた。そういう性格なんでしょうね」 こうして、同町長選は「前後町長の後継者」である二瓶氏と佐瀬氏の争いになることが濃厚となったわけだが、どんな点が争点になるのか、有権者がどのような審判を下すのかが注目される。 その後(追記6/5) 2023年6月1日、猪苗代町長選に新人・高橋翔氏が出馬表明。 https://twitter.com/ShowTakahashi/status/1664169426277777408 あわせて読みたい 各地の選挙に出続ける髙橋翔氏の素顔

  • 現職退任で混沌とする猪苗代町長選

     任期満了に伴う猪苗代町長選は6月13日告示、同18日投開票の日程で行われる。現職・前後公氏は今期限りでの退任を表明しており、次の舵取り役が誰になるのかが注目されている。(※記事は3月27日時点での情勢をまとめたもの) 前後氏の後継者と佐瀬氏の一騎打ちか 前後公町長  猪苗代町議会3月定例会の最終日(3月20日)。閉会のあいさつに立った前後公町長は、同議会に上程した議案が議決されたことへの感謝を述べた後、「私事ですが」として、こう話した。 「6月に行われる町長選には立候補しない。3期12年、東日本大震災・原発事故があった中、年間100万人が訪れる道の駅猪苗代がオープンし、認定こども園2カ所も開所することができた。中学校統合の道筋もできた。後進に道を譲りたい」 前後氏は1941年生まれ。日本大学東北工業高(現・日大東北高)卒。1961年に町職員となり、生涯学習課長などを務めた。2011年の町長選で初当選し、3期目。 現在81歳で、県内市町村長では最年長になる。年齢的な面で、以前から関係者の間では「今期までだろう」と言われており、その見立て通りの退任表明だった。 「就任して少し経ったころは、疲れているのかなと思うこともあったが、町長の職務に慣れてきてからは就任前より元気なのではないかと思うくらい、気力が充実していたように感じます。酒席などに出ても長居することは少なく、健康面にはかなり気を使っていました。実際、この間、大きな病気をしたことはない。ただ、いまは元気でも任期中に何かあったら迷惑がかかるという思いはずっとあったようです」(ある支持者) 近隣の関係者はこう評価する。 「よく『開かれた町政』ということを掲げる人がいますが、前後町長は任期中、一度も町長室の扉を閉めたことがなく、文字通り『開かれた』町政だった。そうして町民と気軽に接することができるようにしたのは立派だったと思います。もっとも、本当に気軽に町長室に入っていく町民はあまりいなかったでしょうけどね。それに対して、ある首長は部屋(市町村長室)の鍵をかけておくんですから、えらい違いですよ」 この間、本誌記者も幾度となく前後町長と面会したが、確かに町長室の扉が閉められた(閉まっていた)のは見たことがない。前後町長はよく「誰かに聞かれて困るようなことは何もない」、「(扉を閉めて)密室で何をしているのかと思われるよりはよっぽどいい」、「誰でも入ってきて要望等、言いたいことを言ってくれたらいい」と言っていた。 さて、前後町長退任後の町長選だが、同町議員の佐瀬真氏が3月定例会初日の3月7日に、渡辺真一郎議長に辞職願を提出し、本会議で許可された。同時に町長選への立候補を表明した。なお、議員辞職は会期中であれば議会の許可が必要になり、閉会中だと議長の権限で辞職の可否を決めることができる。 佐瀬氏は1953年生まれ。会津高卒。2012年2月の町議選で初当選。2015年6月の町長選に立候補し、前後氏に敗れた。その後、2016年2月の町議選で返り咲きを果たした。2019年6月の町長選にも立候補し、前後氏と再戦。最初のダブルスコアでの落選から、だいぶ票差を詰めたが当選には届かなかった。2020年の町議選で三度返り咲きを果たしたが、前述したようにすでに辞職して町長選に向けた準備に入っている。 ある町民はこう話す。 「最初の町長選(2015年)は、佐瀬氏本人も『予行演習』と言っていたくらいで、2期目を目指す現職の前後氏に勝てるとは思っていなかったようです。ただ、2回目(2019年)は本気で取りに行くと意気込んでいた。結果は、1回目よりは善戦したものの、現職の前後氏に連敗となりました。その後は地元を離れて仕事をしているという情報もあったが、翌年(2020年)の町議選で復帰したことで、次の町長選も出るつもりだろうと言われていました。ですから、佐瀬氏の立候補表明は予想通りでした」 前後町長の後継者は誰に  一方で、別の町民は次のように語った。 「佐瀬氏は過去2回、町長選に出ていますが、いずれもその翌年の町議選で議員に復帰しています。『町長選がダメでも、また議員に戻ればいい』とでも考えているのではないかと疑ってしまう。少なくとも、私からしたらそういう感じがミエミエで、町民の中にも『どれだけ本気なのか』、『そんな中途半端では応援する気になれない』という人は少なくないと思いますよ」 確かに、同様の声を町内で何度か耳にした。町長選の8カ月後に町議選がある並びというも良くない。ちなみに、2020年の町議選は無投票で、町によると、記録が残る1964年以降で初めてのことだったという。労せずして議員に返り咲いたことになる。 3月27日時点で、佐瀬氏のほかに立候補の意思を明らかにしている人物はいないが、前後氏の後継者が立候補することが確実視される。 前後氏の後援会関係者は次のように話す。 「前後町長は後援会役員に、『今期で引退する。後継者は私が責任を持って決める。私が決めた人で納得してもらえるなら、応援してほしい』と宣言しました」 そんな中で、名前が挙がるのが元町議の神田功氏(70)。過去にも町長選の候補者に名前が挙がったことがあった。 「その時は家族の理解が得られなかったようだ。それと関係しているかどうかは分からないが、直前で息子さんが亡くなり、町長選どころではなくなった」(ある町民) 神田氏は2008年の町議選を最後に議員を引退した。現在は、家業である民宿を経営している。 「もともとは前後町長の対立側にいた人物で、もし、神田氏が前後町長の後継者に指名されたら、後援会関係者の中には、『神田氏では納得できない』という人も出てくるかもしれない」(前後氏の支持者) いずれにしても、前後町長の後継者と佐瀬氏の一騎打ちになる公算が高く、有権者がどのような判断を下すのかが注目される。 あわせて読みたい 続・現職退任で混沌とする猪苗代町長選