Category

石川町

  • 石川町議選連続トップ当選の【乾初美】氏

    石川町議選連続トップ当選の【乾初美】氏

     任期満了に伴う石川町議選が9月3日に投開票され、新議員14人が決まった。同町議選をめぐっては、県議選との兼ね合いから、石川郡内の他町村の関係者も注目していた。注目人物の今後に迫る。 今秋県議選への立候補は明確に否定  選挙結果は別掲の通り。現職10人、新人6人の計16人が立候補し、現職8人、新人6人が当選した。投票率は67・46%で、前回を2・11ポイント下回り、過去最低(補選は除く)だったという。 選 挙 結 果(9月3日投開票、投票率67・46%)当 820 乾   初 美 (37) 無現当 712 近 内 雅 洋 (69) 無現当 701 迎   茂 城 (52) 無新当 676 星   恵 子 (64) 無新当 630 瀬 谷 寿 一 (70) 無現当 568 増 子 美知夫 (73) 無現当 557 小 木 芳 郎 (70) 無現当 547 鈴 木 義 延 (64) 無新当 534 瀬 谷 京 子 (79) 無現当 445 金 沢 和 則 (64) 無新当 443 根 本 重 泰 (64) 無現当 376 菊 池 美知男 (69) 無現当 342 角 田 保 寿 (70) 無新当 331 水野谷 常 子 (60) 無新 207 関 根 信 次 (84) 無現 161 藤 島 一 浩 (60) 無現  この結果に、石川郡内の住民はこんな疑問を口にした。  「乾初美さんが町議選に出たということは、県議選に出る可能性はなくなったと見ていいのか?」  乾氏は前回(2019年)の町議選で1040票を獲得し、トップで初当選を果たした。唯一の4桁得票で、同町民によると「この町の議員選挙で1000票オーバーはそうそうあることではない」という。  本人のSNSに掲載されたプロフィールによると、「学法石川高校卒業後、大学でカウンセリングを学び、震災後、地元石川での子育てを決意し石川町に戻る。2015~2017年まで、政治団体の秘書・事務局として働く」とある。  最初の選挙時は、33歳の若さと女性候補であることなどから、「そうそうあることではない」ほどの得票を得た。今回は女性候補者が4人いたこともあり、前回から200票ほど減らしたが、今後のキャリアアップを期待する声は少なくない。  そんな中で浮上していたのが「県議転身説」だ。一部関係者から「乾氏を県議選に立ててはどうか」と推す声が出ており、その話が広まって前述した石川郡内の住民の疑問につながっている。  県議選は11月2日告示、12日投開票で行われる。石川郡選挙区は定数1で、現在の現職は円谷健市氏(69)。東白川農商(現・修明)高校卒。石川町議を3期務めた後、2011年11月の県議選で初当選した。現在3期目。立憲民主党所属(県議会の会派は県民連合)。  円谷氏は7月、今期限りでの引退を表明した。その場に、会社役員の山田真太郎氏(39)が同席し、県議選に無所属で立候補することを表明した。円谷氏の後継者ということになる。山田氏は石川町出身。日体大体育学部卒。石川町商工会青年部副部長。同町の自動車整備工場で専務を務める。  これより1カ月前、6月には自民党県連職員の武田務氏(42)が自民党公認で立候補することを表明した。武田氏は石川町出身。安積高卒。郡山市の民間企業勤務を経て、2014年8月から同党県連職員を務めている。  現状、この2人による選挙戦が濃厚だが、前出の石川町民によると、「選挙まで2カ月を切ったが、県議選が話題になることはほとんどない。そのくらい、盛り上がり、話題性に欠ける」という。  そうしたこともあり、「乾氏が県議選に立候補すれば面白いのではないか」といった声が余計に広がっていった。 「石川町議として頑張る」 乾初美氏(議会のホームページより)  もっとも、本人に県議選に立候補する意思があったら、9月の石川町議選に出るとは思えない。わずか2カ月後に辞職して鞍替えするとなれば、投票してくれた有権者に対して失礼に当たるからだ。  町内の事情通も、「その可能性はないと言っていい」という。  その根拠の1つに上げたのが、前述した「わずか2カ月後に辞職して鞍替えしたら有権者に失礼」ということ。加えて、「乾氏は改選後に副議長に立候補・就任した。すぐにポストを捨てるくらいなら、最初から副議長に立候補しないだろう。そこからしても、今回の県議選に立候補する考えはないと見ていい。一部の外野の人が勝手に言っているだけ」というのだ。  石川町では9月15日に改選後初となる臨時議会が開かれ、正副議長選挙が行われた。乾氏は副議長に立候補した。そのほか、菊池美知男氏と増子美知夫氏が立候補し、無記名投票の結果、乾氏6票、菊池氏2票、増子氏6票で、乾氏と増子氏が同数で並び、くじ引きの結果、乾氏が副議長に選ばれた。ちなみに、議長選は、近内雅洋氏、瀬谷寿一氏、小木芳郎氏の3人が立候補し、近内氏6票、瀬谷氏5票、小木氏3票で、近内氏が議長に選ばれた。  こうした背景から、乾氏の県議転身はないというのだ。  乾氏に「県議選に……という話が出ているが」と聞くと、次のように答えた。  「それは明確に否定します。石川町議として、町のために頑張っていきます」  これが、冒頭の石川郡内の住民の「乾さんが町議選に出たということは、県議選に出る可能性はなくなったと見ていいのか?」との疑問の答えだ。  前出・町内の事情通はこう話す。  「乾氏は、副議長選で同数得票のくじ引きで当選したように運にも恵まれ、それは大事な要素だと思います。ただ、これからもっと上のステージを目指すとしても、もう1、2期、町議をやってからでも遅くはないでしょう。仮にあと2期(8年)やったとしても、まだ45歳ですからね。そもそも、将来的に楽しみな部分はあるかもしれないが、現状は、『フレッシュな女性議員』というだけですから」  乾氏が町議として実績を積み、期待感を持たせてくれるような存在になれば、「もっと活躍の場を広げられるステージに挑戦してはどうか」といった話になるのかもしれないが、少なくとも、まだそのときではないということだろう。

  • 【石川町】塩田金次郎町長インタビュー【2023.11】

    【石川町】塩田金次郎町長インタビュー【2023.11】

    しおた・きんじろう 1947年生まれ。学法石川高校、亜細亜大学中退。石川町議2期、県議4期を歴任し、2018年9月の町長選で初当選。現在2期目。 若者に留まってもらうための施策に取り組む。  ――2期目がスタートして1年経ちました。現在の率直なご感想は。  「どこの町村も同様ですが、人口減少と少子高齢化に危機感を持っています。これからの町を担っていく若者にどう留まってもらうか、活力をどう高めていくか、そこに注力した政策づくりをしていかなければいけないと感じています」  ――道の駅整備計画の進捗状況はいかがでしょうか。  「議会から『県内では最後発の道の駅で勝負できるのか』、『赤字になったら一般財源を投入するような負の遺産にならないか』などの意見や要望を受け、これまで議論を重ねてきました。そこで導き出した答えは、設計と建設をヤマト(群馬県前橋市)、運営をTTC(静岡県熱海市)に委ねる、官民連携型の『O(維持管理・運営)+DB(設計施工一括)方式』を取り入れることでした。また、民間に委託する条件として、『地場産品を商品として売り出す』、『職員は地元で採用する』などを盛り込みました。2025年度中の開業を目指しており、来年度着工の予定です」  ――ドクターヘリの実績について。  「出動しないことに越したことはないのですが、昨年8月から運用を開始して25人の搬送実績となりました。その中の7人は、ドクターヘリを利用しなければ助からなかったかもしれない、と報告を受けています。町民が安心して暮らせるよう、今後も医療体制の充実に注力していきます」  ――重点事業について。  「子育て支援の一環として、産婦人科・小児科関連の相談をオンラインで受け付けるサービスを4月から開始しました。産婦人科医や小児科医、助産師が妊娠中の悩みや出産のこと、産後の心身の健康、子育ての悩み相談などに応じています。  もう一つは、町立認定こども園の開設について、来年度内を目標として進めています。将来の町を担っていく子どもたちが健康で元気に暮らせるようにしていきます。 先ほど申し上げたように、いずれも若者に留まってもらうための施策となります」  ――今後の抱負を。  「毎回繰り返してお伝えしていることですが、『聞く力』、『交渉する力』、『発信する力』の3つに注力して、町政運営していきます。限られた予算の中で何ができるかを精査し、ある程度絞って目標を定めていくことが重要だと思っています。町民が何を求めているか『聞き』、財源を確保すために『交渉』し、温泉、桜、鉱物、自由民権運動の発祥の地など町の魅力を『発信』していきます」

  • 石川中元講師「男子生徒に性加害」の実態

    石川中元講師「男子生徒に性加害」の実態

     ジャニーズ事務所創業者による性加害に日本社会が注目している。かねてから被害告白はあったが、所属タレントを起用している大手マスコミは黙殺。海外メディアが報じ、元所属タレントが会見したことで無視できなくなった。少年たちへの性加害は芸能界だけではなく、福島県でも起こっていた。中学の男性音楽講師が男子児童・生徒40人余りに性的行為を強いて、一部が罪に問われている。 ジャニーズだけではない少年への性加害   4人の男子児童・生徒に対する強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)に問われているのは石川中学校で音楽講師をしていた西舘成矩被告(40)。事件は昨年10月に被害生徒が別の教員に相談して発覚した。 県教委が調査すると、男子児童・生徒少なくとも42人にわいせつな行為をしていた。同11月に懲戒免職となり、同12月に逮捕・起訴された。現在は保釈中で、福島地裁郡山支部で審理が続いている。今年6月に判決が下される予定だ。 西舘被告は、県教委に「ふざける中で生徒との距離間がつかめなくなった。わいせつやセクハラは女子に対してやってはいけないという認識はあったが、男子にはなかった」と話したという(昨年11月26日付福島民友より)。 西舘被告は、大学で社会科の教員免許を取得し、2007年4月から高校に社会科の講師として赴任していた。その後、大学に通い直し音楽の教員免許を取得。小中学校で音楽講師として働き始めた。罪に問われている性加害のうちで古いものは、20年10月、当時11歳の小学6年生男子Aに対するものだ。 西舘被告は音楽の授業中や休み時間に、Aの性器を服の上から撫でていた。欲求はエスカレートし、放課後、ピアノの練習中に音楽室で2人きりになった際にズボンとパンツを引き下ろし、性器を触った。インターネットで見つけた、自慰行為を教えるウェブサイトをAに見せて、やり方を教えるのを口実にしていたという。わいせつ行為はスマートフォンで撮影していた。Aは戸惑い、言葉を失った。親にも打ち明けられなかった。 西舘被告は「Aと同じように親や他の教員には言わないだろう」と考え、さらに別の子どもたちに手を掛けた。21年4月に石川中に赴任。音楽の授業や休み時間には「冗談半分」で男子生徒たちの性器を衣服の上から触った。罪に問われているだけでも、22年7~10月に少なくとも3人の男子生徒の性器を触るわいせつ行為をしている。犯行場所はいずれも音楽準備室で、やはりスマートフォンで動画に収めていた。  男子生徒Bには、片付けを手伝うように言って2人きりにした。「自慰行為はしたことはあるか」「陰毛は生えたか」。Bに迫り、ズボンとパンツを下ろさせて触る行為に及んだ。撮影した動画は自宅で再視聴し、西舘被告自身の自慰行為に使った。 動画拡散を恐れる被害者・保護者 男子生徒たちへの性加害が行われていた石川中学校。西舘被告は、音楽準備室で2人きりの状況をつくって犯行に及び、被害者には口止めをしていた。  性加害と動画撮影は不可分だ。元交際相手に復讐するために拡散する「リベンジポルノ」や売買目的でサイト、アプリを通じてネットにアップするなど目的はさまざま。一度ネットに流出してしまえば全世界に広がり、完全に消すことはできない。被害者、いや加害者の意図すら離れて流出・転売され、被害者は生きた心地がしない。犯罪組織の収益源となっているケースもある。そこでは子どもの性的虐待映像も取り引きされている。 「ネットに拡散してしまった動画は回収不可能と知りました。まさか自分の息子が被害者になり、動画を撮影されていたことに驚愕しています。息子の一生のトラウマになるのではと不安です」(検察官が読み上げたある生徒の保護者の供述調書) 西舘被告は供述で、子どもたちへの犯行を繰り返した理由をこう話している。 「自分を慕っていて、かわいらしく愛嬌があった。じゃれあうつもりで、嫌がる様子は見えなかった」 一方で「誰にも言わないでね」と口止めしていた。 性犯罪を繰り返す人間には認知のゆがみや依存症の傾向があり、更生には治療的プロセスが不可欠だ。西舘被告は保釈後に石川町内の実家に帰り、依存症解消のプログラムに通っている。県教委や検察の取り調べに対し「もう教壇には立たない」と表明。現在は実家の寺の業務を手伝っている。 6月9日午後1時半から地裁郡山支部で開かれる審理では、検察側の論告求刑、弁護側の最終弁論が行われ、結審する予定。複数の被害者とは示談が成立している。次回の裁判には寺の総代会長が弁護側の証人として出廷し、情状酌量を求める。保護者だけでなく檀家も注目する事件だ。判決は、次回の審理が順調に進めば、同20日午後1時に言い渡される予定。 冒頭で述べたように、西舘被告は県教委に「わいせつやセクハラは女子にはやっていけないという意識はあったが男子にはなかった」と説明していた。誰に対しても許されることではない。歪んだ考えだ。 今回の事件では、男女の身体的性差が明確に分かれる、第二次性徴の過程にある子どもを性の対象と捉え、教師の立場を悪用して犯行に及んだ点を厳しく問わなければならない。この点は、ジャニーズ事務所で絶大な権力を誇った創業者の故・ジャニー喜多川氏と共通している。 密室が用意できた点もジャニーズの事件と同様、性加害行為を覆い隠した。ジャニー喜多川氏はそのための高級ホテルを契約していた。音楽講師だった西舘被告は石川中で、音楽室と準備室という自分が管理する場所を持ち、いずれもそこで犯行に及んでいた。 授業の準備の手伝いという名目なら生徒にも同僚にも怪しまれない。中学では国語や数学などの教員は複数いるが、音楽の教員は1校に付き1人だ。他の担当科目を持つ教員とは別に、自室を持っていることが多い。異変を察知するために、教員たちはクラス担任や担当教科の垣根を越えてコミュニケーションを活発にする必要がある。教員から児童・生徒への虐待行為だけでなく、同僚教員がハラスメント被害を受けているかどうかも発見できるだろう。 西舘被告による性加害は、教えていた小学校で2020年には始まっていた。被害を受けた子どもが自ら周囲の大人に打ち明けるのは困難だ。西舘被告を受け入れた学校では周囲の教員に異変を察する力が求められていたが、被害を防ぐことはできなかった。 あわせて読みたい 【福島県】相次ぐ公務員の性犯罪 【谷賢一】地元紙がもてはやした双葉町移住劇作家の「裏の顔」【性被害】

  • 【石川町】焼失ホテルが直面する複合苦【石川町母畑字湯前の「ホテル下の湯」】

    【石川町】焼失ホテルが直面する複合苦

     3月6日午後6時40分ごろ、石川町母畑字湯前の「ホテル下の湯」で火を出し、約6時間半後に消し止められた。同ホテルは数年前から休業していた。 母畑温泉の火事と言えば、ちょうど1年前、十数年前に閉館した廃旅館「神泉閣」で不審火が発生したことを本誌昨年4月号でリポートしたが、ホテル下の湯は日中、経営者がおり、鍵もかかっていたため不審火ではなさそう。 鎮火の翌日(8日)、現場を訪れると、一帯には焼け焦げた臭いが充満していた。作業をしていた消防署員によると「出火原因は不明。いくつか思い当たる箇所はあるが、これが原因とは現時点で断定できない」。ただ、消防署員たちはコンセントや電源プラグの状況を念入りに調べており、その辺りが「思い当たる箇所」なのかもしれない。 同ホテルは㈲ホテル下の湯(資本金1000万円、永沼幸三郎社長)が経営。登記簿謄本によると、敷地内には3階建ての旅館、5階建ての集会所・ホテル、2階建ての居宅、2階建ての共同住宅が建っていた。焼け跡を見る限りはどれがどの建物か判然としなかったが、複数の建物が密集していることは分かった。 現場にいた永沼社長に話を聞くことができた。 「この2日間、第一発見時の様子や出火時間など、同じことを十数回も聞かれてウンザリしているよ」(永沼社長) 取材途中にはお見舞いを持って訪れる人もいたが、永沼社長は「気持ちだけで十分。(お見舞いは)いらないよ」と丁重に断っていた。 「鎮火直後から友人・知人が何十人も来ているが(お見舞いは)全て断っている。塩田金次郎町長も来てくれたが、同じく断ったよ。気持ちだけ受け取れば十分だからね」(同) 建物は最も古い箇所で築60年になり、もともと老朽化していたが、そこに令和元年東日本台風の水害が襲った。同ホテルは北須川のすぐ横に建ち、1階が床上浸水したが、建築士による被災状況調査では損害割合20%未満で「半壊には当たらない」と診断された。 満足な補償が見込めない中、永沼社長は国のグループ補助金を使って立て直しを図ろうと考え、2億7000万円の交付を求める申請書を提出した。しかし、県から「既に公募期間を終えている」などの理由で申請書を受け付けてもらえなかった。 そうこうしているうちに新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、営業再開できないまま今日に至っていた。今回の火事は、そうした中で発生したわけ。 「もっとさかのぼれば、12年前には震災と原発事故が起こり、客足が途絶えた。東京電力からは営業損害として賠償金300万円を受け取ったが、それだって逸失利益を考えると十分ではなかった」(同) 永沼社長は客にアンケート調査を行い、原発事故の影響を数値化。それを基に東電と交渉したが、それ以上の賠償は受けられなかった。 原発事故、台風水害、新型コロナウイルス、火事の四重苦に見舞われた同ホテルは今後どうなるのか。 「これから固定資産税について町と相談する予定だが、焼けた建物を解体するには億単位のカネがかかるので、簡単には決断できない。かといって、解体して営業再開するのも難しい。今後どうするかは、すぐには判断できないな」(同) 火事とそれに伴う解体は〝余計な災難〟だったが、似たような境遇に置かれているホテル・旅館は少なくないはずだ。

  • 【福島県】相次ぐ公務員の性犯罪(男性に性交強いた富岡町男性職員)

    【福島県】相次ぐ公務員の性犯罪

     公務員の性犯罪が県内で相次いでいる。町職員、中学教師、警察官、自衛官と職種は多様。教師と警官に至っては立場を利用した犯行だ。「お堅い公務員だから間違ったことはしない」という性善説は捨て、住民が監視を続ける必要がある。 男性に性交強いた富岡町男性職員【町の性的少数者支援策にも影響か】  1月24日、準強制性交などに問われている元富岡町職員北原玄季被告(22)=いわき市・本籍大熊町=の初公判が地裁郡山支部で開かれた。郡山市や相双地区で、睡眠作用がある薬を知人男性にだまして飲ませ、性交に及んだとして、同日時点で二つの事件で罪に問われている。被害者は薬の作用で記憶を失っていた。北原被告は他にも同様の事件を起こしており、追起訴される予定。次回は2月20日午後2時半から。 北原被告は高校卒業後の2019年4月に入庁。税務課課税係を経て、退職時は総務課財政係の主事を務めていた。20年ごろから不眠症治療薬を処方され、一連の犯行に使用した。 昨年5月には、市販ドリンクに睡眠薬を混ぜた物を相双地区の路上で知人男性に勧め犯行に及んだ。同9月の郡山市の犯行では、「酔い止め」と称し、酒と一緒に別の知人男性に飲ませていた。 懸念されるのは、富岡町が県内で初めて導入しようとしている、性的少数者のカップルの関係を公的に証明する「パートナーシップ制度」への影響だ。多様性を認める社会に合致し、移住にもつながる可能性のある取り組みだが、いかんせんタイミングが悪かった。町も影響がないことを祈っている様子。 優先すべきは厳罰を求めている被害者の感情だ。薬を盛られ、知らない間に性暴力を受けるのは恐怖でしかない。罪が確定してからになるだろうが、山本育男町長は「性別に関係なく性暴力は許さない」というメッセージを出す必要がある。 男子の下半身触った石川中男性講師【保護者が恐れる動画拡散の可能性】  石川中学校の音楽講師・西舘成矩被告(40)は、男子生徒42人の下半身を触ったとして昨年11月に懲戒免職。その後、他の罪も判明し、強制わいせつや児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)で逮捕・起訴された。 県教委の聞き取りに「女子に対してやってはいけないという認識はあったが、男子にはなかった」と話していたという(昨年11月26日付福島民友)。 事情通が内幕を語る。 「あいつは地元の寺の息子だよ。生徒には人気があったらしいな。被害に遭った子どもが友達に『触られた』と話したらしい。そしたらその友達がたまげちゃって、別の先生に話して公になった」 当人たちは「おふざけ」の延長と捉えていたとのこと。ただ、10代前半の男子は、性に興味津々でも正しい知識は十分身に着いていないだろう。監督すべき教師としてあるまじき行為だ。 西舘被告は一部行為の動画撮影に及んでいた。それらはネットを介し世界中で売買されている可能性もある。子どもの将来と保護者の不安を考えれば「トンデモ教師が起こしたワイセツ事件」と矮小化するのは早計だ。注目度の高い初公判は2月14日午後1時半から地裁郡山支部で開かれる予定。 うやむやにされる「警察官の犯罪」【巡査部長が原発被災地で下着物色】  浜通りの被災地をパトロールする部署の男性巡査部長(38)が、大熊町、富岡町の空き家に侵入し女性用の下着を盗んでいた。配属後間もない昨年4月下旬から犯行を50~60回繰り返し、自宅からはスカートやワンピースなど約1000点が見つかった(昨年12月8日付福島民友)。1人の巡回が多く、行動を不審に思った同僚が上司に報告し、発覚したという。県警は逮捕せず、書類のみ地検に送った。巡査部長は懲戒免職になっている。  県警は犯人の実名を公表していないが、《児嶋洋平本部長は、「任意捜査の内容はこれまでも(実名は)言ってきていない」などと説明した》(同12月21日付朝日新聞)。身内に甘い。  通常は押収物を武道場に並べるセレモニーがあるが、今回はないようだ。昨年6月に郡山市の会社員の男が下着泥棒で逮捕された時は、1000点以上の押収物を陳列した。容疑は同じだが、立場を利用した犯行という点でより悪質なのに、対応に一貫性がない。  初犯であり、社会的制裁を受けているとして不起訴処分(起訴猶予)になる可能性が高いが、物色された被災者の怒りは収まらないだろう。 判然としない強制わいせつ自衛官【裁判に揺れる福島・郡山両駐屯地】 五ノ井さんに集団で強制わいせつした男性自衛官たちが勤務していた陸自郡山駐屯地  昨年12月5日、陸上自衛隊福島駐屯地の吾妻修平・3等陸曹(27)=福島市=が強制わいせつ容疑で逮捕された(同6日付福島民報)。5月25日夜、市内の屋外駐車場で面識のない20代女性の体を触るなどわいせつな行為をしたという。事件の日、吾妻3等陸曹は午後から非番だった。2月7日午前11時から福島地裁で初公判が予定されている。 県内の陸自駐屯地をめぐっては、郡山駐屯地で男性自衛官たちからわいせつな行為を受けた元自衛官五ノ井里奈さん(23)=宮城県出身=が国と加害者を相手取り民事訴訟を起こす準備を進めている。刑事では強制わいせつ事件として、検察が再捜査しているが、嫌疑不十分で不起訴になる可能性もある。五ノ井さんは最悪の事態を考え提訴を検討したということだろう。 加害者が県内出身者かどうかが駐屯地を受け入れている郡山市民の関心事だが、明らかになる日は近い。 あわせて読みたい セクハラの舞台となった陸上自衛隊郡山駐屯地【五ノ井里奈さん】 【開店前の飲食店に並ぶ福島市職員】本誌取材で分かったサボりの実態 会津若松市職員「公金詐取事件」を追う

  • 【石川町】塩田金次郎町長インタビュー

    【石川町】塩田金次郎町長インタビュー

     1947年生まれ。学法石川高校、亜細亜大学中退。石川町議2期、県議4期を歴任し、2018年9月の町長選で初当選。現在2期目。  ――8月の町長選で2度目の当選を果たしました。率直な感想をおうかがいします。 「2期目当選という責任の重さを感じています。コロナ禍という厳しい時代に入り、さらに物価や原油の高騰、ウクライナ問題、円安など、厳しい状況は続いています。町の生き残りをかけて、町民の声に寄り添い、町民のニーズに応えながら、しっかりと町づくりに取り組んでいかなければならないと思っています」 ――新型コロナウイルスのワクチン接種状況はいかがでしょうか。 「順調に進んでおり、65歳以上の町民の84%が4回目の接種を終えました。今後はオミクロン株対応ワクチンの接種を県や国の指導を受けながら進めていきます。これまで『町民の命と健康を守っていく』という基本理念のもと『広報いしかわ』などで感染防止のマナー、エチケット、ルールなどを啓蒙してきました。今後も町民へのワクチン接種の呼びかけなど、精力的に取り組んでいきます」 ――道の駅整備計画の進捗について。 「令和7年度の完成に向けて計画を進めています。場所は西部工業団地付近の大橋地区に決まり、2万5000平方㍍規模になります。また道の駅の運営は公民連携で行っていく方針です」 ――重点事業についておうかがいします。 「1つは石川町に合った医療体制の構築です。8月にドクターヘリポートが完成し、郡山には15分、福島には30分でアクセスできるようになりました。今後は町にある8つの医院と連携を強化し、町民の安心を確保していきます。 2つは人口減少対策として子育て支援を充実させます。小中学校の給食費全額補助、お子さんの一時預かりや送迎などのファミリーサポートの充実、最高200万円の補助や5年間の固定資産税免除などの若者世代の一戸建て推進補助に取り組んでいきます」 ――今後の抱負。 「『聞く力』、『交渉する力』、『発信する力』の3つに注力して取り組んでいきます。聞く力は、町の集会所や自治センターに直接出向き、町民と対話し、どのような要望があるかを聞いていきます。交渉する力は、必要な情報や有用な事業がないか、積極的に県や国に出向き交渉していければと思っています。発信する力は、本町の弱点であるPR不足を解消していきます。温泉、桜、鉱物、自由民権運動の発祥の地など、町の魅力がたくさんある中で、石川町観光物産協会を法人化することによって、より専門的に、よりダイレクトに情報発信できるよう取り組んでいきます」 石川町ホームページ 政経東北【2022年11月号】

  • 石川町議選連続トップ当選の【乾初美】氏

     任期満了に伴う石川町議選が9月3日に投開票され、新議員14人が決まった。同町議選をめぐっては、県議選との兼ね合いから、石川郡内の他町村の関係者も注目していた。注目人物の今後に迫る。 今秋県議選への立候補は明確に否定  選挙結果は別掲の通り。現職10人、新人6人の計16人が立候補し、現職8人、新人6人が当選した。投票率は67・46%で、前回を2・11ポイント下回り、過去最低(補選は除く)だったという。 選 挙 結 果(9月3日投開票、投票率67・46%)当 820 乾   初 美 (37) 無現当 712 近 内 雅 洋 (69) 無現当 701 迎   茂 城 (52) 無新当 676 星   恵 子 (64) 無新当 630 瀬 谷 寿 一 (70) 無現当 568 増 子 美知夫 (73) 無現当 557 小 木 芳 郎 (70) 無現当 547 鈴 木 義 延 (64) 無新当 534 瀬 谷 京 子 (79) 無現当 445 金 沢 和 則 (64) 無新当 443 根 本 重 泰 (64) 無現当 376 菊 池 美知男 (69) 無現当 342 角 田 保 寿 (70) 無新当 331 水野谷 常 子 (60) 無新 207 関 根 信 次 (84) 無現 161 藤 島 一 浩 (60) 無現  この結果に、石川郡内の住民はこんな疑問を口にした。  「乾初美さんが町議選に出たということは、県議選に出る可能性はなくなったと見ていいのか?」  乾氏は前回(2019年)の町議選で1040票を獲得し、トップで初当選を果たした。唯一の4桁得票で、同町民によると「この町の議員選挙で1000票オーバーはそうそうあることではない」という。  本人のSNSに掲載されたプロフィールによると、「学法石川高校卒業後、大学でカウンセリングを学び、震災後、地元石川での子育てを決意し石川町に戻る。2015~2017年まで、政治団体の秘書・事務局として働く」とある。  最初の選挙時は、33歳の若さと女性候補であることなどから、「そうそうあることではない」ほどの得票を得た。今回は女性候補者が4人いたこともあり、前回から200票ほど減らしたが、今後のキャリアアップを期待する声は少なくない。  そんな中で浮上していたのが「県議転身説」だ。一部関係者から「乾氏を県議選に立ててはどうか」と推す声が出ており、その話が広まって前述した石川郡内の住民の疑問につながっている。  県議選は11月2日告示、12日投開票で行われる。石川郡選挙区は定数1で、現在の現職は円谷健市氏(69)。東白川農商(現・修明)高校卒。石川町議を3期務めた後、2011年11月の県議選で初当選した。現在3期目。立憲民主党所属(県議会の会派は県民連合)。  円谷氏は7月、今期限りでの引退を表明した。その場に、会社役員の山田真太郎氏(39)が同席し、県議選に無所属で立候補することを表明した。円谷氏の後継者ということになる。山田氏は石川町出身。日体大体育学部卒。石川町商工会青年部副部長。同町の自動車整備工場で専務を務める。  これより1カ月前、6月には自民党県連職員の武田務氏(42)が自民党公認で立候補することを表明した。武田氏は石川町出身。安積高卒。郡山市の民間企業勤務を経て、2014年8月から同党県連職員を務めている。  現状、この2人による選挙戦が濃厚だが、前出の石川町民によると、「選挙まで2カ月を切ったが、県議選が話題になることはほとんどない。そのくらい、盛り上がり、話題性に欠ける」という。  そうしたこともあり、「乾氏が県議選に立候補すれば面白いのではないか」といった声が余計に広がっていった。 「石川町議として頑張る」 乾初美氏(議会のホームページより)  もっとも、本人に県議選に立候補する意思があったら、9月の石川町議選に出るとは思えない。わずか2カ月後に辞職して鞍替えするとなれば、投票してくれた有権者に対して失礼に当たるからだ。  町内の事情通も、「その可能性はないと言っていい」という。  その根拠の1つに上げたのが、前述した「わずか2カ月後に辞職して鞍替えしたら有権者に失礼」ということ。加えて、「乾氏は改選後に副議長に立候補・就任した。すぐにポストを捨てるくらいなら、最初から副議長に立候補しないだろう。そこからしても、今回の県議選に立候補する考えはないと見ていい。一部の外野の人が勝手に言っているだけ」というのだ。  石川町では9月15日に改選後初となる臨時議会が開かれ、正副議長選挙が行われた。乾氏は副議長に立候補した。そのほか、菊池美知男氏と増子美知夫氏が立候補し、無記名投票の結果、乾氏6票、菊池氏2票、増子氏6票で、乾氏と増子氏が同数で並び、くじ引きの結果、乾氏が副議長に選ばれた。ちなみに、議長選は、近内雅洋氏、瀬谷寿一氏、小木芳郎氏の3人が立候補し、近内氏6票、瀬谷氏5票、小木氏3票で、近内氏が議長に選ばれた。  こうした背景から、乾氏の県議転身はないというのだ。  乾氏に「県議選に……という話が出ているが」と聞くと、次のように答えた。  「それは明確に否定します。石川町議として、町のために頑張っていきます」  これが、冒頭の石川郡内の住民の「乾さんが町議選に出たということは、県議選に出る可能性はなくなったと見ていいのか?」との疑問の答えだ。  前出・町内の事情通はこう話す。  「乾氏は、副議長選で同数得票のくじ引きで当選したように運にも恵まれ、それは大事な要素だと思います。ただ、これからもっと上のステージを目指すとしても、もう1、2期、町議をやってからでも遅くはないでしょう。仮にあと2期(8年)やったとしても、まだ45歳ですからね。そもそも、将来的に楽しみな部分はあるかもしれないが、現状は、『フレッシュな女性議員』というだけですから」  乾氏が町議として実績を積み、期待感を持たせてくれるような存在になれば、「もっと活躍の場を広げられるステージに挑戦してはどうか」といった話になるのかもしれないが、少なくとも、まだそのときではないということだろう。

  • 【石川町】塩田金次郎町長インタビュー【2023.11】

    しおた・きんじろう 1947年生まれ。学法石川高校、亜細亜大学中退。石川町議2期、県議4期を歴任し、2018年9月の町長選で初当選。現在2期目。 若者に留まってもらうための施策に取り組む。  ――2期目がスタートして1年経ちました。現在の率直なご感想は。  「どこの町村も同様ですが、人口減少と少子高齢化に危機感を持っています。これからの町を担っていく若者にどう留まってもらうか、活力をどう高めていくか、そこに注力した政策づくりをしていかなければいけないと感じています」  ――道の駅整備計画の進捗状況はいかがでしょうか。  「議会から『県内では最後発の道の駅で勝負できるのか』、『赤字になったら一般財源を投入するような負の遺産にならないか』などの意見や要望を受け、これまで議論を重ねてきました。そこで導き出した答えは、設計と建設をヤマト(群馬県前橋市)、運営をTTC(静岡県熱海市)に委ねる、官民連携型の『O(維持管理・運営)+DB(設計施工一括)方式』を取り入れることでした。また、民間に委託する条件として、『地場産品を商品として売り出す』、『職員は地元で採用する』などを盛り込みました。2025年度中の開業を目指しており、来年度着工の予定です」  ――ドクターヘリの実績について。  「出動しないことに越したことはないのですが、昨年8月から運用を開始して25人の搬送実績となりました。その中の7人は、ドクターヘリを利用しなければ助からなかったかもしれない、と報告を受けています。町民が安心して暮らせるよう、今後も医療体制の充実に注力していきます」  ――重点事業について。  「子育て支援の一環として、産婦人科・小児科関連の相談をオンラインで受け付けるサービスを4月から開始しました。産婦人科医や小児科医、助産師が妊娠中の悩みや出産のこと、産後の心身の健康、子育ての悩み相談などに応じています。  もう一つは、町立認定こども園の開設について、来年度内を目標として進めています。将来の町を担っていく子どもたちが健康で元気に暮らせるようにしていきます。 先ほど申し上げたように、いずれも若者に留まってもらうための施策となります」  ――今後の抱負を。  「毎回繰り返してお伝えしていることですが、『聞く力』、『交渉する力』、『発信する力』の3つに注力して、町政運営していきます。限られた予算の中で何ができるかを精査し、ある程度絞って目標を定めていくことが重要だと思っています。町民が何を求めているか『聞き』、財源を確保すために『交渉』し、温泉、桜、鉱物、自由民権運動の発祥の地など町の魅力を『発信』していきます」

  • 石川中元講師「男子生徒に性加害」の実態

     ジャニーズ事務所創業者による性加害に日本社会が注目している。かねてから被害告白はあったが、所属タレントを起用している大手マスコミは黙殺。海外メディアが報じ、元所属タレントが会見したことで無視できなくなった。少年たちへの性加害は芸能界だけではなく、福島県でも起こっていた。中学の男性音楽講師が男子児童・生徒40人余りに性的行為を強いて、一部が罪に問われている。 ジャニーズだけではない少年への性加害   4人の男子児童・生徒に対する強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)に問われているのは石川中学校で音楽講師をしていた西舘成矩被告(40)。事件は昨年10月に被害生徒が別の教員に相談して発覚した。 県教委が調査すると、男子児童・生徒少なくとも42人にわいせつな行為をしていた。同11月に懲戒免職となり、同12月に逮捕・起訴された。現在は保釈中で、福島地裁郡山支部で審理が続いている。今年6月に判決が下される予定だ。 西舘被告は、県教委に「ふざける中で生徒との距離間がつかめなくなった。わいせつやセクハラは女子に対してやってはいけないという認識はあったが、男子にはなかった」と話したという(昨年11月26日付福島民友より)。 西舘被告は、大学で社会科の教員免許を取得し、2007年4月から高校に社会科の講師として赴任していた。その後、大学に通い直し音楽の教員免許を取得。小中学校で音楽講師として働き始めた。罪に問われている性加害のうちで古いものは、20年10月、当時11歳の小学6年生男子Aに対するものだ。 西舘被告は音楽の授業中や休み時間に、Aの性器を服の上から撫でていた。欲求はエスカレートし、放課後、ピアノの練習中に音楽室で2人きりになった際にズボンとパンツを引き下ろし、性器を触った。インターネットで見つけた、自慰行為を教えるウェブサイトをAに見せて、やり方を教えるのを口実にしていたという。わいせつ行為はスマートフォンで撮影していた。Aは戸惑い、言葉を失った。親にも打ち明けられなかった。 西舘被告は「Aと同じように親や他の教員には言わないだろう」と考え、さらに別の子どもたちに手を掛けた。21年4月に石川中に赴任。音楽の授業や休み時間には「冗談半分」で男子生徒たちの性器を衣服の上から触った。罪に問われているだけでも、22年7~10月に少なくとも3人の男子生徒の性器を触るわいせつ行為をしている。犯行場所はいずれも音楽準備室で、やはりスマートフォンで動画に収めていた。  男子生徒Bには、片付けを手伝うように言って2人きりにした。「自慰行為はしたことはあるか」「陰毛は生えたか」。Bに迫り、ズボンとパンツを下ろさせて触る行為に及んだ。撮影した動画は自宅で再視聴し、西舘被告自身の自慰行為に使った。 動画拡散を恐れる被害者・保護者 男子生徒たちへの性加害が行われていた石川中学校。西舘被告は、音楽準備室で2人きりの状況をつくって犯行に及び、被害者には口止めをしていた。  性加害と動画撮影は不可分だ。元交際相手に復讐するために拡散する「リベンジポルノ」や売買目的でサイト、アプリを通じてネットにアップするなど目的はさまざま。一度ネットに流出してしまえば全世界に広がり、完全に消すことはできない。被害者、いや加害者の意図すら離れて流出・転売され、被害者は生きた心地がしない。犯罪組織の収益源となっているケースもある。そこでは子どもの性的虐待映像も取り引きされている。 「ネットに拡散してしまった動画は回収不可能と知りました。まさか自分の息子が被害者になり、動画を撮影されていたことに驚愕しています。息子の一生のトラウマになるのではと不安です」(検察官が読み上げたある生徒の保護者の供述調書) 西舘被告は供述で、子どもたちへの犯行を繰り返した理由をこう話している。 「自分を慕っていて、かわいらしく愛嬌があった。じゃれあうつもりで、嫌がる様子は見えなかった」 一方で「誰にも言わないでね」と口止めしていた。 性犯罪を繰り返す人間には認知のゆがみや依存症の傾向があり、更生には治療的プロセスが不可欠だ。西舘被告は保釈後に石川町内の実家に帰り、依存症解消のプログラムに通っている。県教委や検察の取り調べに対し「もう教壇には立たない」と表明。現在は実家の寺の業務を手伝っている。 6月9日午後1時半から地裁郡山支部で開かれる審理では、検察側の論告求刑、弁護側の最終弁論が行われ、結審する予定。複数の被害者とは示談が成立している。次回の裁判には寺の総代会長が弁護側の証人として出廷し、情状酌量を求める。保護者だけでなく檀家も注目する事件だ。判決は、次回の審理が順調に進めば、同20日午後1時に言い渡される予定。 冒頭で述べたように、西舘被告は県教委に「わいせつやセクハラは女子にはやっていけないという意識はあったが男子にはなかった」と説明していた。誰に対しても許されることではない。歪んだ考えだ。 今回の事件では、男女の身体的性差が明確に分かれる、第二次性徴の過程にある子どもを性の対象と捉え、教師の立場を悪用して犯行に及んだ点を厳しく問わなければならない。この点は、ジャニーズ事務所で絶大な権力を誇った創業者の故・ジャニー喜多川氏と共通している。 密室が用意できた点もジャニーズの事件と同様、性加害行為を覆い隠した。ジャニー喜多川氏はそのための高級ホテルを契約していた。音楽講師だった西舘被告は石川中で、音楽室と準備室という自分が管理する場所を持ち、いずれもそこで犯行に及んでいた。 授業の準備の手伝いという名目なら生徒にも同僚にも怪しまれない。中学では国語や数学などの教員は複数いるが、音楽の教員は1校に付き1人だ。他の担当科目を持つ教員とは別に、自室を持っていることが多い。異変を察知するために、教員たちはクラス担任や担当教科の垣根を越えてコミュニケーションを活発にする必要がある。教員から児童・生徒への虐待行為だけでなく、同僚教員がハラスメント被害を受けているかどうかも発見できるだろう。 西舘被告による性加害は、教えていた小学校で2020年には始まっていた。被害を受けた子どもが自ら周囲の大人に打ち明けるのは困難だ。西舘被告を受け入れた学校では周囲の教員に異変を察する力が求められていたが、被害を防ぐことはできなかった。 あわせて読みたい 【福島県】相次ぐ公務員の性犯罪 【谷賢一】地元紙がもてはやした双葉町移住劇作家の「裏の顔」【性被害】

  • 【石川町】焼失ホテルが直面する複合苦

     3月6日午後6時40分ごろ、石川町母畑字湯前の「ホテル下の湯」で火を出し、約6時間半後に消し止められた。同ホテルは数年前から休業していた。 母畑温泉の火事と言えば、ちょうど1年前、十数年前に閉館した廃旅館「神泉閣」で不審火が発生したことを本誌昨年4月号でリポートしたが、ホテル下の湯は日中、経営者がおり、鍵もかかっていたため不審火ではなさそう。 鎮火の翌日(8日)、現場を訪れると、一帯には焼け焦げた臭いが充満していた。作業をしていた消防署員によると「出火原因は不明。いくつか思い当たる箇所はあるが、これが原因とは現時点で断定できない」。ただ、消防署員たちはコンセントや電源プラグの状況を念入りに調べており、その辺りが「思い当たる箇所」なのかもしれない。 同ホテルは㈲ホテル下の湯(資本金1000万円、永沼幸三郎社長)が経営。登記簿謄本によると、敷地内には3階建ての旅館、5階建ての集会所・ホテル、2階建ての居宅、2階建ての共同住宅が建っていた。焼け跡を見る限りはどれがどの建物か判然としなかったが、複数の建物が密集していることは分かった。 現場にいた永沼社長に話を聞くことができた。 「この2日間、第一発見時の様子や出火時間など、同じことを十数回も聞かれてウンザリしているよ」(永沼社長) 取材途中にはお見舞いを持って訪れる人もいたが、永沼社長は「気持ちだけで十分。(お見舞いは)いらないよ」と丁重に断っていた。 「鎮火直後から友人・知人が何十人も来ているが(お見舞いは)全て断っている。塩田金次郎町長も来てくれたが、同じく断ったよ。気持ちだけ受け取れば十分だからね」(同) 建物は最も古い箇所で築60年になり、もともと老朽化していたが、そこに令和元年東日本台風の水害が襲った。同ホテルは北須川のすぐ横に建ち、1階が床上浸水したが、建築士による被災状況調査では損害割合20%未満で「半壊には当たらない」と診断された。 満足な補償が見込めない中、永沼社長は国のグループ補助金を使って立て直しを図ろうと考え、2億7000万円の交付を求める申請書を提出した。しかし、県から「既に公募期間を終えている」などの理由で申請書を受け付けてもらえなかった。 そうこうしているうちに新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、営業再開できないまま今日に至っていた。今回の火事は、そうした中で発生したわけ。 「もっとさかのぼれば、12年前には震災と原発事故が起こり、客足が途絶えた。東京電力からは営業損害として賠償金300万円を受け取ったが、それだって逸失利益を考えると十分ではなかった」(同) 永沼社長は客にアンケート調査を行い、原発事故の影響を数値化。それを基に東電と交渉したが、それ以上の賠償は受けられなかった。 原発事故、台風水害、新型コロナウイルス、火事の四重苦に見舞われた同ホテルは今後どうなるのか。 「これから固定資産税について町と相談する予定だが、焼けた建物を解体するには億単位のカネがかかるので、簡単には決断できない。かといって、解体して営業再開するのも難しい。今後どうするかは、すぐには判断できないな」(同) 火事とそれに伴う解体は〝余計な災難〟だったが、似たような境遇に置かれているホテル・旅館は少なくないはずだ。

  • 【福島県】相次ぐ公務員の性犯罪

     公務員の性犯罪が県内で相次いでいる。町職員、中学教師、警察官、自衛官と職種は多様。教師と警官に至っては立場を利用した犯行だ。「お堅い公務員だから間違ったことはしない」という性善説は捨て、住民が監視を続ける必要がある。 男性に性交強いた富岡町男性職員【町の性的少数者支援策にも影響か】  1月24日、準強制性交などに問われている元富岡町職員北原玄季被告(22)=いわき市・本籍大熊町=の初公判が地裁郡山支部で開かれた。郡山市や相双地区で、睡眠作用がある薬を知人男性にだまして飲ませ、性交に及んだとして、同日時点で二つの事件で罪に問われている。被害者は薬の作用で記憶を失っていた。北原被告は他にも同様の事件を起こしており、追起訴される予定。次回は2月20日午後2時半から。 北原被告は高校卒業後の2019年4月に入庁。税務課課税係を経て、退職時は総務課財政係の主事を務めていた。20年ごろから不眠症治療薬を処方され、一連の犯行に使用した。 昨年5月には、市販ドリンクに睡眠薬を混ぜた物を相双地区の路上で知人男性に勧め犯行に及んだ。同9月の郡山市の犯行では、「酔い止め」と称し、酒と一緒に別の知人男性に飲ませていた。 懸念されるのは、富岡町が県内で初めて導入しようとしている、性的少数者のカップルの関係を公的に証明する「パートナーシップ制度」への影響だ。多様性を認める社会に合致し、移住にもつながる可能性のある取り組みだが、いかんせんタイミングが悪かった。町も影響がないことを祈っている様子。 優先すべきは厳罰を求めている被害者の感情だ。薬を盛られ、知らない間に性暴力を受けるのは恐怖でしかない。罪が確定してからになるだろうが、山本育男町長は「性別に関係なく性暴力は許さない」というメッセージを出す必要がある。 男子の下半身触った石川中男性講師【保護者が恐れる動画拡散の可能性】  石川中学校の音楽講師・西舘成矩被告(40)は、男子生徒42人の下半身を触ったとして昨年11月に懲戒免職。その後、他の罪も判明し、強制わいせつや児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)で逮捕・起訴された。 県教委の聞き取りに「女子に対してやってはいけないという認識はあったが、男子にはなかった」と話していたという(昨年11月26日付福島民友)。 事情通が内幕を語る。 「あいつは地元の寺の息子だよ。生徒には人気があったらしいな。被害に遭った子どもが友達に『触られた』と話したらしい。そしたらその友達がたまげちゃって、別の先生に話して公になった」 当人たちは「おふざけ」の延長と捉えていたとのこと。ただ、10代前半の男子は、性に興味津々でも正しい知識は十分身に着いていないだろう。監督すべき教師としてあるまじき行為だ。 西舘被告は一部行為の動画撮影に及んでいた。それらはネットを介し世界中で売買されている可能性もある。子どもの将来と保護者の不安を考えれば「トンデモ教師が起こしたワイセツ事件」と矮小化するのは早計だ。注目度の高い初公判は2月14日午後1時半から地裁郡山支部で開かれる予定。 うやむやにされる「警察官の犯罪」【巡査部長が原発被災地で下着物色】  浜通りの被災地をパトロールする部署の男性巡査部長(38)が、大熊町、富岡町の空き家に侵入し女性用の下着を盗んでいた。配属後間もない昨年4月下旬から犯行を50~60回繰り返し、自宅からはスカートやワンピースなど約1000点が見つかった(昨年12月8日付福島民友)。1人の巡回が多く、行動を不審に思った同僚が上司に報告し、発覚したという。県警は逮捕せず、書類のみ地検に送った。巡査部長は懲戒免職になっている。  県警は犯人の実名を公表していないが、《児嶋洋平本部長は、「任意捜査の内容はこれまでも(実名は)言ってきていない」などと説明した》(同12月21日付朝日新聞)。身内に甘い。  通常は押収物を武道場に並べるセレモニーがあるが、今回はないようだ。昨年6月に郡山市の会社員の男が下着泥棒で逮捕された時は、1000点以上の押収物を陳列した。容疑は同じだが、立場を利用した犯行という点でより悪質なのに、対応に一貫性がない。  初犯であり、社会的制裁を受けているとして不起訴処分(起訴猶予)になる可能性が高いが、物色された被災者の怒りは収まらないだろう。 判然としない強制わいせつ自衛官【裁判に揺れる福島・郡山両駐屯地】 五ノ井さんに集団で強制わいせつした男性自衛官たちが勤務していた陸自郡山駐屯地  昨年12月5日、陸上自衛隊福島駐屯地の吾妻修平・3等陸曹(27)=福島市=が強制わいせつ容疑で逮捕された(同6日付福島民報)。5月25日夜、市内の屋外駐車場で面識のない20代女性の体を触るなどわいせつな行為をしたという。事件の日、吾妻3等陸曹は午後から非番だった。2月7日午前11時から福島地裁で初公判が予定されている。 県内の陸自駐屯地をめぐっては、郡山駐屯地で男性自衛官たちからわいせつな行為を受けた元自衛官五ノ井里奈さん(23)=宮城県出身=が国と加害者を相手取り民事訴訟を起こす準備を進めている。刑事では強制わいせつ事件として、検察が再捜査しているが、嫌疑不十分で不起訴になる可能性もある。五ノ井さんは最悪の事態を考え提訴を検討したということだろう。 加害者が県内出身者かどうかが駐屯地を受け入れている郡山市民の関心事だが、明らかになる日は近い。 あわせて読みたい セクハラの舞台となった陸上自衛隊郡山駐屯地【五ノ井里奈さん】 【開店前の飲食店に並ぶ福島市職員】本誌取材で分かったサボりの実態 会津若松市職員「公金詐取事件」を追う

  • 【石川町】塩田金次郎町長インタビュー

     1947年生まれ。学法石川高校、亜細亜大学中退。石川町議2期、県議4期を歴任し、2018年9月の町長選で初当選。現在2期目。  ――8月の町長選で2度目の当選を果たしました。率直な感想をおうかがいします。 「2期目当選という責任の重さを感じています。コロナ禍という厳しい時代に入り、さらに物価や原油の高騰、ウクライナ問題、円安など、厳しい状況は続いています。町の生き残りをかけて、町民の声に寄り添い、町民のニーズに応えながら、しっかりと町づくりに取り組んでいかなければならないと思っています」 ――新型コロナウイルスのワクチン接種状況はいかがでしょうか。 「順調に進んでおり、65歳以上の町民の84%が4回目の接種を終えました。今後はオミクロン株対応ワクチンの接種を県や国の指導を受けながら進めていきます。これまで『町民の命と健康を守っていく』という基本理念のもと『広報いしかわ』などで感染防止のマナー、エチケット、ルールなどを啓蒙してきました。今後も町民へのワクチン接種の呼びかけなど、精力的に取り組んでいきます」 ――道の駅整備計画の進捗について。 「令和7年度の完成に向けて計画を進めています。場所は西部工業団地付近の大橋地区に決まり、2万5000平方㍍規模になります。また道の駅の運営は公民連携で行っていく方針です」 ――重点事業についておうかがいします。 「1つは石川町に合った医療体制の構築です。8月にドクターヘリポートが完成し、郡山には15分、福島には30分でアクセスできるようになりました。今後は町にある8つの医院と連携を強化し、町民の安心を確保していきます。 2つは人口減少対策として子育て支援を充実させます。小中学校の給食費全額補助、お子さんの一時預かりや送迎などのファミリーサポートの充実、最高200万円の補助や5年間の固定資産税免除などの若者世代の一戸建て推進補助に取り組んでいきます」 ――今後の抱負。 「『聞く力』、『交渉する力』、『発信する力』の3つに注力して取り組んでいきます。聞く力は、町の集会所や自治センターに直接出向き、町民と対話し、どのような要望があるかを聞いていきます。交渉する力は、必要な情報や有用な事業がないか、積極的に県や国に出向き交渉していければと思っています。発信する力は、本町の弱点であるPR不足を解消していきます。温泉、桜、鉱物、自由民権運動の発祥の地など、町の魅力がたくさんある中で、石川町観光物産協会を法人化することによって、より専門的に、よりダイレクトに情報発信できるよう取り組んでいきます」 石川町ホームページ 政経東北【2022年11月号】