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  • 【上杉謙太郎】衆議院議員インタビュー

    【上杉謙太郎】衆議院議員インタビュー

    うえすぎ・けんたろう 1975年生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。荒井広幸参院議員秘書などを経て2017年の衆院選(比例東北)で初当選。現在2期目。外務大臣政務官などを歴任。  衆議院小選挙区の区割り改定を受け、県南・県中地域からなっていたこれまでの3区は、新2区と新3区に再編された。県南を地盤とする自民党の上杉謙太郎衆院議員(48)は、小選挙区を離れて比例東北から立候補することになった。自身を育ててくれた支援者への思いと、今後の方針を聞いた。  ――区割り改定を受け県衆院比例区支部長に就任しました。次期衆院選では比例東北ブロックから立候補します。これまでの経緯と現在の心境を教えてください。 「今回の区割り変更によって次の選挙については選挙区から出馬できず比例に回ることとなりました。私自身大変残念でありますし、今は状況を受け入れておりますが、昨年以来自分の中で相当な葛藤がありました。それはやはり今までご支援いただいていた旧3区の皆様の直接的な支部長ではなくなってしまうからです。これは地元の代表たる代議士にとっては致命的なことです。加えて、旧3区の皆様には秘書時代から含めると20年弱お世話になっています。本当に大切な方々であります。支援者の皆様に大変心苦しく申し訳ない思いでおります。法改正により仕方のないこととはいっても、複雑な思いの中で了承いたしました。 新2区には旧3区から須賀川、田村、石川地方が再編されています。旧2区時代の選挙全てに根本匠先生が出馬しており、かつ1度を除き全勝しています。また根本先生は自民党県連会長であり、岸田文雄総裁が率いる派閥の事務総長でもあり、実績も多々あります。新2区の大票田となる郡山市を地盤としており、そもそも新2区における支部長選任にあたっては私は選択肢に入っていなかったようです。一方新3区は、そもそも3区支部長が私であったことと、新3区に残った県南は前回選挙で私が勝利していることから、私も菅家一郎先生とともに選択肢に上がっておりました。どちらを選挙区支部長にするかについて、会津と県南における有権者数、両地域における過去の選挙での得票数や選挙区での党員の確保数、参議院選挙をはじめ自らが選対本部長等を務める選挙での貢献度、会津地域の地域性が選定の基準となったようです。 最終的には党本部と県連、私も菅家先生も所属する派閥の清和会で調整が進みました。その結果、次回の選挙における新3区支部長には菅家先生、比例に私ということになりました。菅家先生は前回選挙で対立候補に負けている地域で巻き返し勝利すること、私は県南で菅家先生を勝たせること、つまり会津と県南で協力すれば、新3区での勝算はあるという判断からのことでした。 私は選挙区で戦えなくなってしまいましたが、一歩引いた形で黒子に徹し、次の選挙でお二人が当選できるよう、お二人の選対本部長として戦います。すでに各地域支部を両代議士に繋ぐ会や、私の若手の後援会の皆様との懇親会などスタートしています。挨拶回りもスタートしています。そういった形で2区に再編された須賀川、田村、石川地方では根本先生の支持を訴え、3区に残った県南では菅家先生への支持を訴えていきます。また選挙以外では今までと変わらず旧3区の皆様の要望を聞き、地元の声を国政に届ける活動をしていきます。私のその後については、3区でのコスタリカを含めて、まずは次の選挙でお二人の選挙を全力で戦うことで初めて道が拓けてくると考えています」 ――上杉議員が地盤としていた旧3区は新2区と新3区に分断されます。 「昨年夏以降複数回にわたって東京選出の先輩議員らから『東京で出ないか』との提案がありましたが、その度に即座にお断りしてきました。お世話になってきた旧3区の人たちと今後も活動していくことが私の使命だと考えているからです。比例東北で出るのであれば、比例は東北全域が選挙区となるので、分断された旧3区の地域も今までと変わらず私の選挙区ということになります。そういう意味では、考え方によっては、今までお世話になった党員や後援会の人たちと関係を続けていけるというプラスの面もあります。しかし、選挙で出馬し、『上杉謙太郎』と名前を書いてもらうからこそ代議士ですので、大変辛いことですし、法改正と党本部の判断によるものとは言え、ご支援いただいてきた方々には本当に申し訳なく思います。私は福島県で生まれ育った訳ではありませんが、骨を埋めるつもりで白河に来て家族共々住んでいます。子供達も白河で育っています。未熟な私ですが、地元の支援者の皆様に政治家として育てていただき、次の選挙では『対立候補に勝てるかもしれない』というところまで来ていました。それが、お世話になった選挙区が分断されただけでなく、小選挙区からも身を引かなければならなくなったこの現状は、本当のところかなり受け入れ難いことでしたし、戦いにおいてはまさに次こそが勝負という時でしたから、まさにはしごを外されたような感覚があります。 今は受け入れて話せていますが、昨年から今年の春までの選挙区調整期間は本当に『まな板の鯉』状態でした。『今の3区の皆さんとこれからも政治活動を続けていきます。動く気はありません』というのが揺るがぬ本心で、この点を党本部、県連に伝えてきました。とはいえ、私がいったん引くことで、党内も県連内も対立することなく収まる結果となったことはよかったと思います。しっかりと謙虚に受け止めて自分の与えられた職務を全うし邁進していきます」 ――新3区支部長の菅家一郎衆院議員とは、どのような関係性を築いていきたいですか。 「何が何でも菅家先生に当選してもらう、そのために一丸となります。新3区の県南地方では必ず対立候補以上の得票数が得られるよう県議の先生方や各地域支部の皆様と協力をして菅家先生を連れて歩きます。すでに始まっています。まずは県南で菅家先生が受け入れてもらえるようご理解をいただきながら活動していきます。自分以外の選挙でも汗を流す。それを一生懸命やることが比例支部長に与えられた職務とも考えています」 ――次期衆院選に向けて、有権者にメッセージをお願いします。 「比例に行くからといって今までのご縁が切れる、離れてしまうということは一切ありません。これからもお世話になりますし、今後は複雑な立ち位置になりますが、選挙においては根本先生と菅家先生の当選のために、おそらく旧3区地域の各選対に入り、支援者の皆様とともに選挙を戦います。ある意味、今まで候補者として街宣車で外に出てしまっていたので支援者の方々と会えるのがほんの一瞬ということが多かったのですが、今度は選挙区の候補者ではないので支援者の方々と近くで頻繁に顔を突き合わせてある意味一緒に選挙活動ができます。そのような形で両代議士をしっかりと当選させるのが、比例で優遇された私に与えられた責任です。 東北全部が選挙区になりますが、目下、旧3区と新3区の声を両代議士と県議の先生らと連携して地元の皆様の声を国政に届けていきます」 【上杉謙太郎】衆議院議員のホームページ

  • 【玄葉光一郎】衆議院議員インタビュー

    【玄葉光一郎】衆議院議員インタビュー

    げんば・こういちろう 1964年生まれ。安積高校、上智大学法学部卒。民主党政権時に外務大臣、国家戦略担当大臣、内閣府特命担当大臣、同党政策調査会長などを歴任。現在、立憲民主党東日本大震災復興対策本部長。10期目。  衆議院小選挙区の区割り変更に伴い、立憲民主党の玄葉光一郎衆院議員(59)は、地盤としてきた改定前の福島3区が分割されることになった。党内での候補者調整の経緯と新たな選挙区となる新福島2区での意気込みを、衆院解散の緊迫感が増す6月中旬に聞いた。支持率が低迷する同党の野党第一党としての責任についても尋ねてみた。  ――衆院小選挙区定数「10増10減」に伴い、定数1減の本県では区割りが変更となる中、立憲民主党は次の衆院選で新しい福島2区(郡山市、田村市、須賀川市、田村郡、岩瀬郡、石川郡)に玄葉代議士の擁立を決定しました。経緯と今後の選挙戦略についてうかがいます。 「中選挙区時代も含めると10期もお世話になってきた選挙区が二つに分割されるということで、体が引き裂かれる思いです。新2区、新3区のどちらを選んでも現職が既にいる状況が生まれてしまいました。 自分はどちらに重点を置いて活動すべきかということで、後援会の皆さんと丁寧に議論を重ねました。私が生まれ育ったのは田村で、主な地盤にしてきたのは田村、須賀川、岩瀬、石川地方です。一方、郡山も地元と言っていい。安積高校に通いましたし、郡山の経済圏で生活してきました。妻も郡山出身で縁が深い。最終的に新2区を活動の基盤にすると決めて、その上で馬場雄基代議士との競合をどうするかということになりました。 県連は当初からコスタリカ方式を進める方針でしたが、立憲民主党では比例枠がそもそも限られています。今後2回にわたり福島県で比例枠を一つずつ確保するのはかなり困難と予想されていました。 私自身、小選挙区で出る選択と比例で立候補し名簿順位で優遇を受ける選択の両方がありましたが、馬場代議士からは『まずは先輩が小選挙区で出てほしい』という話がありました。考え抜いた結果、私が小選挙区で当落のリスクを負うのが適切なのではないかと腹を据えました。ただし、そのためには馬場代議士が比例東北ブロック名簿で1位の優遇を受けることが前提になります。党本部に働きかけて、最終決定しました。 過去の選挙を振り返ると、当選を4回果たすまでは揺るがない支持をいただくために無我夢中でした。新しい区割りでの選挙は、若手時代と同様のチャレンジ精神が必要だと考えています。試練ではありますが、変化を新しいエネルギーに変えようと、原点に立ち返り精力的に選挙区内を回っています。新たな出会いの中に政治家の使命と喜びを日々見つけています」 ――日本維新の会が選挙の度に勢いを増していますが、野党第一党の座にある立憲民主党の現状をどのように捉えていますか。 「私は選挙に関しては、所属する党を前面に出して戦ったことはこれまで一度たりともありません。玄葉光一郎という政治家個人の力を訴えてきた姿勢は今後も変わりません。それで有権者を引き付けられなかったら、政治家としての魅力不足だと捉えています。 党の現状については、私は代表ではないので、責任を持って言える立場にありません。ただ個人的には、立憲民主、維新、国民民主による3派連合が望ましいと思っています。3派連合ができたら、いくつかの共通の公約を掲げ、選挙区調整をして、さらには共通の総理候補を立てて政権を狙う。もっとも、現状はそれができる段階ではありませんが。 維新や国民民主と現政権に代わる共通の総理候補を立てるまでの信頼関係を築けなかったことは、野党第一党の責任と捉えています。ただ、やはり政治に緊張感をもたらすために、野党は可能な限り協力すべきです」 ――5月8日から新型コロナウイルスの感染症法の位置付けが2類相当から5類に引き下げられました。今後求められる対策についてうかがいます。 「現政権に足りないのは、アフターコロナについて、地方に活力を与える分散型国土を目指し、人口減少抑止につなげようとする視点です。コロナ禍で一時、東京は転出超過になりました。私はコロナ禍を機に分散型国土を実現するため、思い切った手を打ってはどうかと予算委員会で岸田文雄総理に提案しました。例えば、私立大学の一学部でもいいので、地方に移してもらう。そのために協力してくれる私学には助成金を大幅に優遇する。また5G、6Gなどの次世代通信システムを東京から整備するのではなく、地方から整備するといった政策です。 しかし、コロナ禍が収束に向かうと、再び地方から都市への転入超過に戻ってしまいました。第二次安倍政権以降、東京一極集中はますます進んでいるように思います。自公政権は分散型国土を本気でつくる気がない。 少子化対策は、手当と同時に分散型国土の整備を進めなければ効果が得られません。 賃金が正規雇用よりも低い非正規雇用の割合が増え、結婚・出産に踏み切れない要因になっています。地方と都市の格差が広がり、若年層の所得が伸びていない点を直視しないと、少子化問題は克服できないと考えています」 ――東京電力福島第一原発でトリチウムを含んだ処理水の海洋放出が始まろうとしていますが、依然として安全性や風評被害を懸念する声が後を絶ちません。本県選出代議士として海洋放出の是非ならびに風評被害問題をどう解決すべきと考えますか。 「技術的には大丈夫なのだろうと信じたい。ただ『燃料デブリに触れた水』を海に流すのは歴史上初めてのことです。100%安心ではないという方の気持ちは分かります。 この間、私は二つのことを求めてきました。一つは、トリチウムの分離技術を最大限追求すること。もう一つは、海洋放出を福島県だけに押し付けるのではなく、県外でもタンク1杯分でいいから引き受けてもらってはどうか、と。残念ながら、それらに対する努力の形跡は全く見られていません。 科学的に大丈夫と示せても、残念ながら、近隣の韓国、中国だけではなくアメリカも含めた7割以上の人が『処理水が海に流れたら福島の農産品は買わない』というアンケート結果があります。他国から視察に来てもらい、丁寧に説明する必要があります。海外で安心して県産農産品を買ってもらうには、並大抵の努力では足りないと思います」 ――最後に、有権者にメッセージをお願いします。 「区割りの変化を新しいエネルギーに変えていきます。これまでお世話になった選挙区が引き裂かれてしまったことは大きな試練ですが、いまはチャレンジの機会と捉え直しています。有権者の皆さん、特に郡山の皆さんとは新たな出会いを通じ、しっかりとした絆を築けるようにしていきたい。お世話になった方々への恩を忘れず、多くの皆さんのためにしっかり汗をかき、必ず期待に応えていきたいと思っています」

  • 難航が予想される衆院選新4区の候補者選び

    難航が予想される衆院選新4区の候補者選び

     政府は10月21日、いわゆる「1票の格差」是正に向けて、衆議院議員選挙の小選挙区定数を「10増10減」することなどを盛り込んだ公職選挙法改正案を閣議決定した。12月10日に会期末を迎える今国会で成立する見通し。成立後、1カ月の周知期間を経て施行され、次の衆院選から新たな区割りが適用される。 新たな選挙区割りでは、福島県の選挙区は現行の5から4に減る。 新1区=福島市、二本松市、伊達市、本宮市、伊達郡、安達郡。 新2区=郡山市、須賀川市、田村市、岩瀬郡、石川郡、田村郡。 新3区=白河市、会津若松市、喜多方市、西白河郡、東白川郡、南会津郡、耶麻郡、河沼郡、大沼郡。 新4区=いわき市、相馬市、南相馬市、双葉郡、相馬郡。 衆議院小選挙区の区割り改定等について(福島県HP)  地方振興局の管轄エリアごとに再編・切り貼りした格好となった。 本県関係の衆議院議員は小選挙区、比例区併せて9議員。選挙区が1つ減ればその分当選できない人が出るわけで、各議員にとっては死活問題だろう。 本誌10月号では、現3区を地盤とする玄葉光一郎氏(58、立民、10期)が新2区への転出をうかがって、地盤作りに努めている様子をリポートした。それ以外の選挙区に関しても、現職議員がこれまでの地盤以外での動きを活発化させているという話が漏れ聞こえてくる。報道によると、公職選挙法改正案が成立次第、自民党などが候補者調整に速やかに入る方針とのことなので、今後、陣容が固まるものとみられる。 今後の動向という意味で気になるのは新4区だろう。 「震災・原発事故の影響を受けた浜通り」として一体感があるように見えるが、福島第一原発による避難指示の有無や被害状況は自治体によって違う。 政治的な背景という意味でも現1区の相馬市・南相馬市と、現5区のいわき市では全く異なる。 現5区選出の衆議院議員はいわき市を地盤とする吉野正芳氏(74、自民、8期)。2020年に脳梗塞を患って以降、骨折したことなどもあって、健康不安説が浮上した(2020年12月号参照)。現在は回復しているが、年齢を考えると次も立候補するのは難しいのではないかと囁かれている。 仮に吉野氏が引退したら誰が後釜に入るのか。かつて吉野氏とコスタリカを組むなどしのぎを削った元衆院議員・坂本剛二氏の息子で、同党県議の坂本竜太郎氏が立候補に強い意欲を見せているが、まだ正式には方針が固まっていない様子。大票田であるいわき市ではこれまで複数の国会議員を誕生させてきた経緯があり、自民党いわき総支部などを中心に候補者選定が進むと思われる。 ただ、浪江町が福島国際研究教育機構の整備地に選ばれ、相双地域の復興が進む中で、その意向も無視できなくなるだろう。 福島県内の選挙事情に詳しい東北大学大学院情報科学研究科(政治学)の河村和徳准教授は次のように語る。 「自民党いわき総支部の中で“後継者争い”が進む中、相双地方の意向も加わってくれば、さらに混乱模様となることが予想されます」 新4区は震災・原発事故被災地の復興まちづくり、福島第一原発・福島第二原発の廃炉推進、県外最終処分を予定している中間貯蔵施設への対応、福島イノベーション・コースト構想の進展など多くの課題を抱えている。国や県に要望する機会が増えると思われるが、そうした役割を果たす国会議員をどこから選出するのか。吉野氏の意向も含めて、今後の動向を注視したい。 あわせて読みたい 区割り改定に揺れる福島県内衆院議員 【福島県】自民・新3区支部長をめぐる綱引き 【福島県】衆議院区割り改定に翻弄される若手議員

  • 【上杉謙太郎】衆議院議員インタビュー

    うえすぎ・けんたろう 1975年生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。荒井広幸参院議員秘書などを経て2017年の衆院選(比例東北)で初当選。現在2期目。外務大臣政務官などを歴任。  衆議院小選挙区の区割り改定を受け、県南・県中地域からなっていたこれまでの3区は、新2区と新3区に再編された。県南を地盤とする自民党の上杉謙太郎衆院議員(48)は、小選挙区を離れて比例東北から立候補することになった。自身を育ててくれた支援者への思いと、今後の方針を聞いた。  ――区割り改定を受け県衆院比例区支部長に就任しました。次期衆院選では比例東北ブロックから立候補します。これまでの経緯と現在の心境を教えてください。 「今回の区割り変更によって次の選挙については選挙区から出馬できず比例に回ることとなりました。私自身大変残念でありますし、今は状況を受け入れておりますが、昨年以来自分の中で相当な葛藤がありました。それはやはり今までご支援いただいていた旧3区の皆様の直接的な支部長ではなくなってしまうからです。これは地元の代表たる代議士にとっては致命的なことです。加えて、旧3区の皆様には秘書時代から含めると20年弱お世話になっています。本当に大切な方々であります。支援者の皆様に大変心苦しく申し訳ない思いでおります。法改正により仕方のないこととはいっても、複雑な思いの中で了承いたしました。 新2区には旧3区から須賀川、田村、石川地方が再編されています。旧2区時代の選挙全てに根本匠先生が出馬しており、かつ1度を除き全勝しています。また根本先生は自民党県連会長であり、岸田文雄総裁が率いる派閥の事務総長でもあり、実績も多々あります。新2区の大票田となる郡山市を地盤としており、そもそも新2区における支部長選任にあたっては私は選択肢に入っていなかったようです。一方新3区は、そもそも3区支部長が私であったことと、新3区に残った県南は前回選挙で私が勝利していることから、私も菅家一郎先生とともに選択肢に上がっておりました。どちらを選挙区支部長にするかについて、会津と県南における有権者数、両地域における過去の選挙での得票数や選挙区での党員の確保数、参議院選挙をはじめ自らが選対本部長等を務める選挙での貢献度、会津地域の地域性が選定の基準となったようです。 最終的には党本部と県連、私も菅家先生も所属する派閥の清和会で調整が進みました。その結果、次回の選挙における新3区支部長には菅家先生、比例に私ということになりました。菅家先生は前回選挙で対立候補に負けている地域で巻き返し勝利すること、私は県南で菅家先生を勝たせること、つまり会津と県南で協力すれば、新3区での勝算はあるという判断からのことでした。 私は選挙区で戦えなくなってしまいましたが、一歩引いた形で黒子に徹し、次の選挙でお二人が当選できるよう、お二人の選対本部長として戦います。すでに各地域支部を両代議士に繋ぐ会や、私の若手の後援会の皆様との懇親会などスタートしています。挨拶回りもスタートしています。そういった形で2区に再編された須賀川、田村、石川地方では根本先生の支持を訴え、3区に残った県南では菅家先生への支持を訴えていきます。また選挙以外では今までと変わらず旧3区の皆様の要望を聞き、地元の声を国政に届ける活動をしていきます。私のその後については、3区でのコスタリカを含めて、まずは次の選挙でお二人の選挙を全力で戦うことで初めて道が拓けてくると考えています」 ――上杉議員が地盤としていた旧3区は新2区と新3区に分断されます。 「昨年夏以降複数回にわたって東京選出の先輩議員らから『東京で出ないか』との提案がありましたが、その度に即座にお断りしてきました。お世話になってきた旧3区の人たちと今後も活動していくことが私の使命だと考えているからです。比例東北で出るのであれば、比例は東北全域が選挙区となるので、分断された旧3区の地域も今までと変わらず私の選挙区ということになります。そういう意味では、考え方によっては、今までお世話になった党員や後援会の人たちと関係を続けていけるというプラスの面もあります。しかし、選挙で出馬し、『上杉謙太郎』と名前を書いてもらうからこそ代議士ですので、大変辛いことですし、法改正と党本部の判断によるものとは言え、ご支援いただいてきた方々には本当に申し訳なく思います。私は福島県で生まれ育った訳ではありませんが、骨を埋めるつもりで白河に来て家族共々住んでいます。子供達も白河で育っています。未熟な私ですが、地元の支援者の皆様に政治家として育てていただき、次の選挙では『対立候補に勝てるかもしれない』というところまで来ていました。それが、お世話になった選挙区が分断されただけでなく、小選挙区からも身を引かなければならなくなったこの現状は、本当のところかなり受け入れ難いことでしたし、戦いにおいてはまさに次こそが勝負という時でしたから、まさにはしごを外されたような感覚があります。 今は受け入れて話せていますが、昨年から今年の春までの選挙区調整期間は本当に『まな板の鯉』状態でした。『今の3区の皆さんとこれからも政治活動を続けていきます。動く気はありません』というのが揺るがぬ本心で、この点を党本部、県連に伝えてきました。とはいえ、私がいったん引くことで、党内も県連内も対立することなく収まる結果となったことはよかったと思います。しっかりと謙虚に受け止めて自分の与えられた職務を全うし邁進していきます」 ――新3区支部長の菅家一郎衆院議員とは、どのような関係性を築いていきたいですか。 「何が何でも菅家先生に当選してもらう、そのために一丸となります。新3区の県南地方では必ず対立候補以上の得票数が得られるよう県議の先生方や各地域支部の皆様と協力をして菅家先生を連れて歩きます。すでに始まっています。まずは県南で菅家先生が受け入れてもらえるようご理解をいただきながら活動していきます。自分以外の選挙でも汗を流す。それを一生懸命やることが比例支部長に与えられた職務とも考えています」 ――次期衆院選に向けて、有権者にメッセージをお願いします。 「比例に行くからといって今までのご縁が切れる、離れてしまうということは一切ありません。これからもお世話になりますし、今後は複雑な立ち位置になりますが、選挙においては根本先生と菅家先生の当選のために、おそらく旧3区地域の各選対に入り、支援者の皆様とともに選挙を戦います。ある意味、今まで候補者として街宣車で外に出てしまっていたので支援者の方々と会えるのがほんの一瞬ということが多かったのですが、今度は選挙区の候補者ではないので支援者の方々と近くで頻繁に顔を突き合わせてある意味一緒に選挙活動ができます。そのような形で両代議士をしっかりと当選させるのが、比例で優遇された私に与えられた責任です。 東北全部が選挙区になりますが、目下、旧3区と新3区の声を両代議士と県議の先生らと連携して地元の皆様の声を国政に届けていきます」 【上杉謙太郎】衆議院議員のホームページ

  • 【玄葉光一郎】衆議院議員インタビュー

    げんば・こういちろう 1964年生まれ。安積高校、上智大学法学部卒。民主党政権時に外務大臣、国家戦略担当大臣、内閣府特命担当大臣、同党政策調査会長などを歴任。現在、立憲民主党東日本大震災復興対策本部長。10期目。  衆議院小選挙区の区割り変更に伴い、立憲民主党の玄葉光一郎衆院議員(59)は、地盤としてきた改定前の福島3区が分割されることになった。党内での候補者調整の経緯と新たな選挙区となる新福島2区での意気込みを、衆院解散の緊迫感が増す6月中旬に聞いた。支持率が低迷する同党の野党第一党としての責任についても尋ねてみた。  ――衆院小選挙区定数「10増10減」に伴い、定数1減の本県では区割りが変更となる中、立憲民主党は次の衆院選で新しい福島2区(郡山市、田村市、須賀川市、田村郡、岩瀬郡、石川郡)に玄葉代議士の擁立を決定しました。経緯と今後の選挙戦略についてうかがいます。 「中選挙区時代も含めると10期もお世話になってきた選挙区が二つに分割されるということで、体が引き裂かれる思いです。新2区、新3区のどちらを選んでも現職が既にいる状況が生まれてしまいました。 自分はどちらに重点を置いて活動すべきかということで、後援会の皆さんと丁寧に議論を重ねました。私が生まれ育ったのは田村で、主な地盤にしてきたのは田村、須賀川、岩瀬、石川地方です。一方、郡山も地元と言っていい。安積高校に通いましたし、郡山の経済圏で生活してきました。妻も郡山出身で縁が深い。最終的に新2区を活動の基盤にすると決めて、その上で馬場雄基代議士との競合をどうするかということになりました。 県連は当初からコスタリカ方式を進める方針でしたが、立憲民主党では比例枠がそもそも限られています。今後2回にわたり福島県で比例枠を一つずつ確保するのはかなり困難と予想されていました。 私自身、小選挙区で出る選択と比例で立候補し名簿順位で優遇を受ける選択の両方がありましたが、馬場代議士からは『まずは先輩が小選挙区で出てほしい』という話がありました。考え抜いた結果、私が小選挙区で当落のリスクを負うのが適切なのではないかと腹を据えました。ただし、そのためには馬場代議士が比例東北ブロック名簿で1位の優遇を受けることが前提になります。党本部に働きかけて、最終決定しました。 過去の選挙を振り返ると、当選を4回果たすまでは揺るがない支持をいただくために無我夢中でした。新しい区割りでの選挙は、若手時代と同様のチャレンジ精神が必要だと考えています。試練ではありますが、変化を新しいエネルギーに変えようと、原点に立ち返り精力的に選挙区内を回っています。新たな出会いの中に政治家の使命と喜びを日々見つけています」 ――日本維新の会が選挙の度に勢いを増していますが、野党第一党の座にある立憲民主党の現状をどのように捉えていますか。 「私は選挙に関しては、所属する党を前面に出して戦ったことはこれまで一度たりともありません。玄葉光一郎という政治家個人の力を訴えてきた姿勢は今後も変わりません。それで有権者を引き付けられなかったら、政治家としての魅力不足だと捉えています。 党の現状については、私は代表ではないので、責任を持って言える立場にありません。ただ個人的には、立憲民主、維新、国民民主による3派連合が望ましいと思っています。3派連合ができたら、いくつかの共通の公約を掲げ、選挙区調整をして、さらには共通の総理候補を立てて政権を狙う。もっとも、現状はそれができる段階ではありませんが。 維新や国民民主と現政権に代わる共通の総理候補を立てるまでの信頼関係を築けなかったことは、野党第一党の責任と捉えています。ただ、やはり政治に緊張感をもたらすために、野党は可能な限り協力すべきです」 ――5月8日から新型コロナウイルスの感染症法の位置付けが2類相当から5類に引き下げられました。今後求められる対策についてうかがいます。 「現政権に足りないのは、アフターコロナについて、地方に活力を与える分散型国土を目指し、人口減少抑止につなげようとする視点です。コロナ禍で一時、東京は転出超過になりました。私はコロナ禍を機に分散型国土を実現するため、思い切った手を打ってはどうかと予算委員会で岸田文雄総理に提案しました。例えば、私立大学の一学部でもいいので、地方に移してもらう。そのために協力してくれる私学には助成金を大幅に優遇する。また5G、6Gなどの次世代通信システムを東京から整備するのではなく、地方から整備するといった政策です。 しかし、コロナ禍が収束に向かうと、再び地方から都市への転入超過に戻ってしまいました。第二次安倍政権以降、東京一極集中はますます進んでいるように思います。自公政権は分散型国土を本気でつくる気がない。 少子化対策は、手当と同時に分散型国土の整備を進めなければ効果が得られません。 賃金が正規雇用よりも低い非正規雇用の割合が増え、結婚・出産に踏み切れない要因になっています。地方と都市の格差が広がり、若年層の所得が伸びていない点を直視しないと、少子化問題は克服できないと考えています」 ――東京電力福島第一原発でトリチウムを含んだ処理水の海洋放出が始まろうとしていますが、依然として安全性や風評被害を懸念する声が後を絶ちません。本県選出代議士として海洋放出の是非ならびに風評被害問題をどう解決すべきと考えますか。 「技術的には大丈夫なのだろうと信じたい。ただ『燃料デブリに触れた水』を海に流すのは歴史上初めてのことです。100%安心ではないという方の気持ちは分かります。 この間、私は二つのことを求めてきました。一つは、トリチウムの分離技術を最大限追求すること。もう一つは、海洋放出を福島県だけに押し付けるのではなく、県外でもタンク1杯分でいいから引き受けてもらってはどうか、と。残念ながら、それらに対する努力の形跡は全く見られていません。 科学的に大丈夫と示せても、残念ながら、近隣の韓国、中国だけではなくアメリカも含めた7割以上の人が『処理水が海に流れたら福島の農産品は買わない』というアンケート結果があります。他国から視察に来てもらい、丁寧に説明する必要があります。海外で安心して県産農産品を買ってもらうには、並大抵の努力では足りないと思います」 ――最後に、有権者にメッセージをお願いします。 「区割りの変化を新しいエネルギーに変えていきます。これまでお世話になった選挙区が引き裂かれてしまったことは大きな試練ですが、いまはチャレンジの機会と捉え直しています。有権者の皆さん、特に郡山の皆さんとは新たな出会いを通じ、しっかりとした絆を築けるようにしていきたい。お世話になった方々への恩を忘れず、多くの皆さんのためにしっかり汗をかき、必ず期待に応えていきたいと思っています」

  • 難航が予想される衆院選新4区の候補者選び

     政府は10月21日、いわゆる「1票の格差」是正に向けて、衆議院議員選挙の小選挙区定数を「10増10減」することなどを盛り込んだ公職選挙法改正案を閣議決定した。12月10日に会期末を迎える今国会で成立する見通し。成立後、1カ月の周知期間を経て施行され、次の衆院選から新たな区割りが適用される。 新たな選挙区割りでは、福島県の選挙区は現行の5から4に減る。 新1区=福島市、二本松市、伊達市、本宮市、伊達郡、安達郡。 新2区=郡山市、須賀川市、田村市、岩瀬郡、石川郡、田村郡。 新3区=白河市、会津若松市、喜多方市、西白河郡、東白川郡、南会津郡、耶麻郡、河沼郡、大沼郡。 新4区=いわき市、相馬市、南相馬市、双葉郡、相馬郡。 衆議院小選挙区の区割り改定等について(福島県HP)  地方振興局の管轄エリアごとに再編・切り貼りした格好となった。 本県関係の衆議院議員は小選挙区、比例区併せて9議員。選挙区が1つ減ればその分当選できない人が出るわけで、各議員にとっては死活問題だろう。 本誌10月号では、現3区を地盤とする玄葉光一郎氏(58、立民、10期)が新2区への転出をうかがって、地盤作りに努めている様子をリポートした。それ以外の選挙区に関しても、現職議員がこれまでの地盤以外での動きを活発化させているという話が漏れ聞こえてくる。報道によると、公職選挙法改正案が成立次第、自民党などが候補者調整に速やかに入る方針とのことなので、今後、陣容が固まるものとみられる。 今後の動向という意味で気になるのは新4区だろう。 「震災・原発事故の影響を受けた浜通り」として一体感があるように見えるが、福島第一原発による避難指示の有無や被害状況は自治体によって違う。 政治的な背景という意味でも現1区の相馬市・南相馬市と、現5区のいわき市では全く異なる。 現5区選出の衆議院議員はいわき市を地盤とする吉野正芳氏(74、自民、8期)。2020年に脳梗塞を患って以降、骨折したことなどもあって、健康不安説が浮上した(2020年12月号参照)。現在は回復しているが、年齢を考えると次も立候補するのは難しいのではないかと囁かれている。 仮に吉野氏が引退したら誰が後釜に入るのか。かつて吉野氏とコスタリカを組むなどしのぎを削った元衆院議員・坂本剛二氏の息子で、同党県議の坂本竜太郎氏が立候補に強い意欲を見せているが、まだ正式には方針が固まっていない様子。大票田であるいわき市ではこれまで複数の国会議員を誕生させてきた経緯があり、自民党いわき総支部などを中心に候補者選定が進むと思われる。 ただ、浪江町が福島国際研究教育機構の整備地に選ばれ、相双地域の復興が進む中で、その意向も無視できなくなるだろう。 福島県内の選挙事情に詳しい東北大学大学院情報科学研究科(政治学)の河村和徳准教授は次のように語る。 「自民党いわき総支部の中で“後継者争い”が進む中、相双地方の意向も加わってくれば、さらに混乱模様となることが予想されます」 新4区は震災・原発事故被災地の復興まちづくり、福島第一原発・福島第二原発の廃炉推進、県外最終処分を予定している中間貯蔵施設への対応、福島イノベーション・コースト構想の進展など多くの課題を抱えている。国や県に要望する機会が増えると思われるが、そうした役割を果たす国会議員をどこから選出するのか。吉野氏の意向も含めて、今後の動向を注視したい。 あわせて読みたい 区割り改定に揺れる福島県内衆院議員 【福島県】自民・新3区支部長をめぐる綱引き 【福島県】衆議院区割り改定に翻弄される若手議員