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髙橋翔

  • 各地の選挙に出続ける髙橋翔氏の素顔

    各地の選挙に出続ける髙橋翔氏の素顔

    (2022年8月号)  県内各地の選挙に立候補し続けている「ショウ・タカハシ」こと髙橋翔氏(34)。派手なスーツをまとい、SNSでユニークな言動を発信する髙橋氏とはどんな人物で、普段何を考えているのか。既に2022年10月30日投票の知事選への立候補を表明しているが、今まで当選したことは皆無。「落選しても選挙に出続ける理由を知りたい」という好奇心から、2022年7月10日投票の浪江町長選で落選した直後の髙橋氏をインタビューした。(収録は2022年7月14日) あわせて読みたい 【郡山市】選挙漫遊(県議選) 「将来出馬を考える若者の前例になりたい」  ――浪江町長選は同町出身で元県議会議長の吉田栄光氏(58)と争いましたが、結果は5895票差で落選しました。 「これまでの選挙の経験から自分の得票数は投票総数の5%くらいと見ていたので、444票は想定通りでしたが、有権者の反応はさまざまでしたね。遊説中は町内で暮らす人から声をかけられ、SNSでも応援メッセージをもらい、みんながみんな地元出身の自民党県議を支持しているわけじゃないことを実感しました。彼らの言葉を借りれば『県議を5期やってどれくらい約束を守ったんだ』というのが栄光さんへの評価だったのかな。そこをショウ・タカハシが代弁したことに感謝する人が多かったように感じます」 ――髙橋さんのスタンスは「高齢者にあなたの未来を託していいんですか」というものでした。 「58歳は政治家としては若いかもしれないが、3期12年務めたら70歳なので決して若いとは言えない。そこをあえて強調した面はありました。もっと言うと今まで議員を長くやっていたからとかではなく、具体的にどんなビジョンを持って町政に臨もうとしているのか、そこを有権者には真剣に見極めてほしかった。栄光さんの選挙公報を見たけど、正直、県議会議長まで務めた人がこの程度の政策しか打ち出せないのかとガッカリしました。 SNSを一切使わない選挙戦を展開したことにも驚かされました。町民の9割が町外に避難しているのにホームページさえつくらなかった。これからの選挙は、有権者がネットで調べた時、候補者に関する情報がパッと出てくる状態を確実にしておかないとだめ。そうじゃないと、いつまで経っても雰囲気で投票先を決める風潮は変わらない。 実際、僕と栄光さんを比べた時、あまり深く考えずに何となく地元出身の栄光さんを選んだ人は多かったと思います。それならそれで構わないが、だったら有権者には選びっぱなしで終わるのではなく、最後まできちんと監視することもやってほしい。もし任期中に変なことが起きたら有権者にも責任があるんですよ。なぜなら、あなたたちが選んだ町長だからです」 ――主に投票に行く人は安定を求める高齢者なので、尚更『何となく選ぶ』傾向は強いかもしれません。 「それで割を食うのは若者なんです。大前提として若者が投票に行かないのが悪いんですが、かと言ってこれから60代に突入する町長が無難に町政運営していくことが明るい未来につながるのか。若者や子どもたちにプラスにならない状況は、魅力の喪失を意味します。それでなくても浪江町は町民が避難先から戻らず、帰還するのは高齢者ばかりで移住者も増えていない。このままでは消滅待ったなしです。そこまで考えてこの候補者は町の将来を語っているのか、という点を有権者は見極めないとだめなんだと思います」 若者に期待すること  ――髙橋さんは浪江町の将来ビジョンをどう描いていたのですか。 「浪江町には世界最大級の水素製造施設があります。僕は選挙公約に宇宙産業を掲げていますが、宇宙産業は僕の会社にも関わる事業で、水素はその重要な要素でもあります。浪江町では太陽光発電で水素を製造していますが、最大効率で1年間製造したとしても、その量では水素自動車1万台分をまかなえないと思います。もし県内で水素自動車を10万台走らせようとしたら、あの規模では到底足りない。施設をつくったのはいいが、その先をどう考えているのか、民でも官でもいいから示していないのは不満です。 今、ゼロカーボンが盛んに叫ばれています。政府は2035年までに新車販売で電動車100%を実現するとしています。そうした中、僕は民の立場から電気を使わずに水素をつくる画期的な取り組みに挑んでいます。この技術が確立すれば水素が足りなくなることはないし、低コストでの水素製造が可能になります。さらに火力発電などで発生した二酸化炭素と水素からメタンを合成するメタネーション技術によって、新たな燃料(メタン)の製造につながるだけでなく、カーボンニュートラルに一層貢献することもできます。そもそも、水素をつくるために電気を使っている時点で二酸化炭素がどんどん発生しているわけで、それをクリーンエネルギーと呼べるのかという問題もありますが、ともかく、浪江町に最先端の施設があるのは事実なので、そこをベースに主体は民でも官でもいいから、やるんだったら未来を感じさせることをやろうよと言いたいわけです」 ――そういう考えで浪江町長選に挑んだというなら納得がいくが、それが有権者にどこまで伝わったかとなると話は別です。 「今までの有権者は『誰かに任せておけばいい』という他者依存がほとんどだった。しかし、これからは自分事として捉え、票を投じていかなければだめです。特に原発事故で危機に陥った浪江町は、有権者一人ひとりが『町をどうしていくか』という意識を強く持つべきです。 今回の浪江町長選の目的は自分が勝つことではなかった。もし〝アンチ吉田票〟が2~3割あったとしたら、4年後の町長選に地元出身の若手候補が挑めば、今度は勝てる可能性が出てくるわけです。浪江町には青年会議所があり、厳しい状況下でも頑張っている若手経営者がたくさんいると聞いています。でも地域のしがらみというか、昔からの先輩・後輩の関係とかが邪魔して栄光さんに気を使っているんでしょうね。 僕から言わせたら、いやいやそうじゃないでしょって(苦笑)。町のことを思うなら30代、40代の若手が栄光さんに挑んでいかないとだめなんじゃないの? もし栄光さんが町長を3期12年務めたら70歳、その間に町の中心を担うのは40、50代になるあなたたちであり、その子どもたちでしょって」 ――ただ〝アンチ吉田票〟、つまり髙橋さんの得票は(投票総数の)2割に届かなかった。 「このままでは2、3期目は無投票で当選するかもしれない。ただ、雰囲気的には今回も無投票っぽかったので、それを阻止できたことは一定の役割を果たせたのかな。問題は4年後です。今回の結果に怖気づいて誰も栄光さんに挑まないのか、それとも『外の人間があれだけ取ったんだから、地元の自分ならもっと取れる』という若者が現れるのか」 ――ズバリ、髙橋さんが選挙に出続ける理由とは。 「僕は国政には興味がなくて、福島県を何とかしたいというのが根底にあります。きっかけは、震災後に都内から郡山市、そして葛尾村に移住し、そこで村のデタラメな復興予算の使われ方を知りました。現状を変えるには村政の若返りが必要と考え、村長選に出ようとしました。ところが、いろいろな人から異様な妨害を受け、こんなことでは福島県や地方は廃れ、若者や子どもたちに未来はないなって。地方はいつまでも国の言いなり、という状況は改めないといけない。国に対し、はっきりものが言える環境を今の若者がつくっていく必要がある。そういう価値観を共有できる若者を一人でも多く増やしたいんです。 正直、僕の考えを高齢者に響かせようという気はありません。僕が発信手段にしているSNSは、初めから高齢者は見ていないだろうと思っているので(苦笑)。僕がターゲットにしているのは、直接的な行動は起こさなくても、今の政治や社会のあり方に疑問を感じているインターネット層です。その人たちが僕の考えに共感してくれれば、次の選挙に僕が出なくても、同じような価値観を持った若者が手を挙げれば、その人たちは『こいつを応援しよう』となると思うんです。 こういうやり方は、伝わらない人には伝わらないが、SNSや選挙情報はアーカイブとして残るので、将来世代には伝わっていく。とりわけ僕が意識しているのは今の高校生です。その子たちが僕ぐらいの年齢になって行動を起こそうとした時、必要になるのは前例です。前例がないと、周りが支援してくれないとか、若いとか、まだ早いとか理由をつけられ、行動を起こしたくても起こせない。でも、今のうちに僕が一番最悪の前例をつくっておけばどうか。僕みたいな外から来た若くて訳の分からないことを言っている奴でも選挙に出たという前例があれば、それよりも地元出身で若くて町の将来を真剣に考えているアイツを応援してやろうじゃないか、という見方になっていくんじゃないか。僕は、若者の意識と同時に、若者が政治に関わることに批判的な大人の意識も変えたいと思っているんです」 髙橋氏の選挙経歴(年齢は当時)◎福島県知事選(2018.10.28)当 内堀 雅雄54650,982町田 和史4235,029髙橋  翔3017,159金山  屯7810,259投票率45.04%◎葛尾村長選(2020.10.25)当 篠木  弘69802髙橋  翔3237投票率70.20%◎国見町長選(2020.11.8)当 引地  真602,398松浦 和子711,719佐藤  孝651,478髙橋  翔3240投票率73.18%◎福島市長選(2021.11.21)当 木幡  浩6172,018髙橋  翔337,364投票率34.79%◎浪江町長選(2022.7.10)当 吉田 栄光586,339髙橋  翔34444投票率49.43%※髙橋氏は2019年8月の郡山市議選、同年11月の県議選(郡山市選挙区)で落選。2016年10月の葛尾村長選、2021年4月の郡山市長選、同12月の相馬市長選に出馬表明したが取りやめている。 これまでの選挙で得たもの 取材は2時間に及んだが話が止まることはなかった  ――この間、4年前の知事選を筆頭に葛尾村長選、国見町長選、福島市長選や郡山市議選、県議選に出馬されていますよね。最終的に出馬を見送ったが、郡山と相馬の市長選も検討されていました。これらの場所は何か意図するところがある? 「僕は〝荒らし目的〟で選挙に出ているわけではなく、明確な意図があって場所を選んでいます。僕は宇宙開発だ何だと言っていますが、出馬している場所は地政学的にも経済的な地の利においても、ちゃんと手を入れればそこを基点に福島県全体を下支えできると確信しています。 相馬から双葉郡にかけてはイノベーション・コースト構想も動いていますし、国も県も集中的に投資を行う方針なので、そこに宇宙開発が加わるのはある意味自然ですよ。ここで日本が得意とするものづくりや開発を推し進めれば、世界中から優秀な人材、多くの企業、投資家らも集まって来ますしね」  ――さまざまな選挙に出てみて何か違いはありましたか。 「葛尾、国見、郡山とあえて連続で出たことで多くの人に知ってもらえたし、それが福島につながった面はあったでしょうね。『悪名は無名に勝る』と言うが、まずは知ってもらわないと批判もされないし、こっちの話も聞いてもらえませんから。僕は誹謗中傷は遠慮したいが、批判コメントは大歓迎なので(笑い)」 ――福島市長選は無投票確実というタイミングで急きょ出馬されましたよね。 「対抗馬が出ると思っていたら誰も出ないので、それはマズいんじゃないのと思って。その少し前に『シン・福島県知事をつくる会』という組織をつくり、メンバー同士で話し合った結果、福島は出る意義があるよねって。もともと郡山市長選の出馬を取りやめた後、いわきか福島で出ようという話はあった。でも、いわきは現職と新人合わせて4人も出たから、いわきはいいだろって。 福島市長選は直前に手を挙げた割に(投票総数の)9%くらい得票できたので、若者や無党派層が多い場所では意外と取れるんだなと実感しましたね」 ――郡山市長選の出馬を取りやめた理由は何だったんですか。 「僕はやる気だったんですが、同じく出馬していた(元市議の)馬場大造さんから(元県議の)勅使河原正之さんと組もうと誘われ、取り下げたんです。すると『ショウ・タカハシが出ないのはつまらない』という声が結構届いて(笑い)。若手の僕が高齢の候補者たちを相手に何票取れるのか、興味を持って見ている人が一定数いたことを知れたのは価値がありましたね」 ――その結果、郡山市長選は高齢の新人(勅使河原氏、当時69歳)が高齢の現職(品川萬里氏、同76歳)に挑む構図になってしまった。 「そこは申し訳ないことをしたと思いました(笑い)。ただ、僕としては『出来上がった選対本部』とはどんなものか見てみたい思いもあったので、市議選、県議選を何度も経験しているテッシー(勅使河原氏)や後援者と対等関係で選対に関わることができたのは収穫でした」 ――収穫とは? 「選挙ってこう戦うのねっていうのが見えた半面、選対内はネットが全く使えない高齢者ばかりだった。若手もいたけど、ネットを使おうと進言する人がいない。だから僕は、テッシーの遊説追跡ライブ配信や開票ライブ配信をしたんです。逆に僕は、選対内の人たちから『怖そうな人だと思っていた』とか『直接話してみたら意外と真面目なんだね』といった意見が聞けて、僕は高齢者からそう見られていたんだというのが分かった。まぁ、予想はしていたんですけどね(笑い)。でも、そういう意見を取り入れたら自分がどんどん丸くなり、思い切った発言や型破りな行動ができなくなってしまうので、そこは今までの路線を変えるつもりはありません」 供託金1千万円を用意  ――選挙や政治において、若者と高齢者はどういう関係にあればいいと思いますか。 「若者はフットワークが軽いし、柔軟な考え方ができるし、決断も早い。でも、知識や経験が足りない。その足りない部分を高齢者がサポートするのが理想じゃないか。政治で言えば若者が表に出て動き回り、決断もして、だめなら責任を取る。高齢者は裏方として知恵を出し、アドバイスをする。 郡山市長選の時、僕はテッシーに言ったんです。当選して市長になったら、市議会に僕を副市長にする議案を出してくれって。それが通ったら、テッシーの評価は上がりますよと。そして4年後、もし僕が市長になったら、今度はテッシーを重鎮に据えればいいんじゃないのって。70代中盤に差し掛かる人が連続して市長を務めるより、1期務めたら裏方に回った方がいいと思ったので、テッシーにもそう言ったんです。実は浪江町長選の演説でも『栄光さん、僕の脇にいてもいいんですよ。その方がカッコイイですよ』って言ったんですけどね(笑い)」 ――とはいえ、髙橋さんもこれから年齢を重ねていきますよね。その時どうされますか。 「今後10年選挙に出続けたとすると僕は40代半ばになるが、その時、20代、30代の候補者が首長選の相手だったら恥ずかしくて戦えない。地元のために頑張ろうとしている若者を自分は邪魔するのかと、いたたまれなくなるでしょうね。その時は潔く降りて、若者に自分の経験を伝えながら応援する立場に回ります。 そもそも選挙に出るってことは、根底に自分の町をよくしたいという思いがあるはず。私利私欲や利権狙いでは話にならないけど、町を思っての行動ならわざわざ争わなくてもいい。今の世の中、リーダーにふさわしい人材が少ないのに、そこで潰し合ってどうするのって」 ――既に出馬表明している知事選まで残り3カ月余となりました。 「4年前は名乗りを上げるための選挙だった。そこからあちこちの選挙に出て、同じ選挙に再び挑むのは今回が初めて。何が起きるか楽しみな半面、こう言っては何ですけど内堀雅雄さんの3選は確定事項ですから(笑い)。でも皆さん、それでいいんですか、何となく選んで大丈夫ですかって言いたいですけどね。 幸い全国的には、この4年間で僕くらいの年齢の首長が増えてきた。若い市町村議はもっと増えている。そういう人たちを当選させようという雰囲気が醸成されつつあるのはいいことだと思います。僕自身は当選することが目的ではなく、先ほど言った将来の若者たちの前例になれればいいので(笑い)」 ――そうは言っても、選挙に出るにはお金がかかります。世間では、これだけ選挙に出続ける髙橋さんをお金持ち、資産家と思っている人も多いようです。 「いやいや、お金は自分で会社を三つ経営(※)して稼いでいるだけです。いわゆるプロの政治家は『選挙期間が始まる前に勝負はついている』って言うけど、僕は選挙前は普通に仕事をしているし、選挙運動をするのは告示後なんで(笑い)。それと僕は無駄遣いをしない。他人よりお金のつくり方、使い方が上手なだけなんだと思いますよ。 ※㈱アルストロメリア、㈱ユーチャリス、一般社団法人NEO電工協会S.H.I.O.N(本社はいずれも郡山市中田町海老根)の代表を務める  よく『お金がなくて選挙に出られない』と言う人がいますか、なぜって思いますけどね。確かに国政選挙や知事選になると供託金は300万円なので安くないが、やる気があれば100万円(市長選の供託金)くらい用意できるでしょって。選挙運動も旧来のやり方をしていたら、お金は出ていくばかり。そのお金は公営制度で見てもらえるお金(公費負担)以外の部分。だったら、どうすればお金をかけずに選挙ができるか考えればいいし、実際、僕はそれをネット選挙で実践しているので。 もともと僕の選挙は、1000万円の供託金を使い切るところからスタートしている。最初に1000万円の予算を用意し、4年前、300万円の知事選から始まった。ただ郡山市議選と県議選は法定得票数を超えたため、供託金が没収されず30万円と60万円が戻ってきた(笑い)。これまでに550万円が没収されているので、残りは450万円。ここから知事選に300万円供託するので、残る予算は150万円です」 時代が僕に追いついてくる  ――選挙に出るには家族の理解も欠かせない。髙橋さんのご家族の反応は。 「郡山市内で地元出身の妻、子ども3人、妻の両親と暮らしていますが、最初、両親の反応は良くなかった(笑い)。でも、僕は全然気にならなくて、妻も理解のある人なので助かっています。最初は何の相談もせず選挙に出ていたんですが、途中からは『ここと、ここと、ここの選挙に出るから』って伝えるようになりました。 子どもは小学2年の長男、幼稚園の長女、もうすぐ2歳になる次女です。長男は最初、父親のポスターが貼ってあったり、ユーチューブに動画が上がっているのを不思議がっていたけど、今は普通のこととして捉えているみたい(笑い)」 https://www.youtube.com/watch?v=wPKZ34aRHtc  ――最後に、あとどれくらい選挙に出続けるんでしょうか。 「ショウ・タカハシは何回も負けているのにメンタルが強いよねって言う人がいますが、それを大前提に選挙に出ているので、100戦あるうち40連敗したとしても、そこで僕の考え方にマッチした時代に変われば残り60戦は全勝できるイメージなので、時代は必ずショウ・タカハシに追いついてくると思っています。その時の僕の活躍の場は、政治でもビジネスでも構いません(笑い)」 あわせて読みたい 続・現職退任で混沌とする猪苗代町長選 郡山の補選で露呈した福島県議への無関心 【郡山市】選挙漫遊(県議選)

  • 郡山の補選で露呈した県議への無関心

    郡山の補選で露呈した福島県議への無関心

     郡山市の政界関係者の間で同市選挙区県議補選(欠員1)の投票結果に注目が集まっている。同補選には前市議の新人佐藤徹哉氏(自民党)と会社経営の新人髙橋翔氏(諸派)が立候補し、内堀雅雄知事が3選を果たした知事選と同じ10月30日に投開票された。  当6万5987 佐藤 徹哉54    1万9532 髙橋  翔34                  投票率34・72% 当選した佐藤徹哉氏(上)と髙橋翔氏  表面的な数字だけ見れば、自民党公認で公明党の支援を受けた佐藤氏の大勝は不思議ではない。注目されるのは高橋氏の得票数だ。  「正直、1万9500票も取るとは思わなかった。旧統一教会の問題など岸田内閣に対する反発が自民党公認の佐藤氏には逆風になった」(ある自民党員)  髙橋氏がここまで得票できた要因を、ある保守系の郡山市議は 「髙橋氏はもともと知事選に出ると言っていたのに、告示日(10月13日)になって急きょ県議補選に方針転換した。メディアはその間、知事選の立候補予定者として髙橋氏の顔と名前をずっと報じたからね」  と〝恨み節〟を語っていたが、立候補表明した以上、メディアはその事実を報じざるを得ない。ちなみに本誌も、8月号に「知事選立候補を前提」とした髙橋氏のインタビュー記事を掲載している。  選挙後、髙橋氏に県議補選に変更した理由を尋ねると、次のように説明した。  「知事選は当初、複数の候補者が手を挙げていたが、告示日時点で三つ巴(内堀氏、草野芳明氏、髙橋氏)になった。しかし対現職で考えた時、新人2人が挑むのは現職批判票の分散を招き、私が一つの指針にしている『対立候補の得票率10%』を超えるのは難しい。そこで、私が県議補選に回ることでどちらも一騎打ちの構図とすれば、無投票阻止と得票率10%を同時に目指せると考えた。そもそも市議をそそくさと辞めた人を県議に無投票で当選させることは、一郡山市民として納得できなかった。もちろん、共産党が知事選に候補者を立てていなければ私は確実に出馬しており、県議補選には子育て世代の若手を擁立する予定だった」  そんな県議補選をめぐっては、投票率や無効票にも注目が集まった。  例えば、知事選の郡山市だけの投票率は37・44%、投票総数は9万8614票だったが、県議補選は34・72%、8万5519票で、県議補選の方が投票率は2・72㌽低く、投票総数も1万3095票少なかった。  これは告示日の違いが影響している。すなわち知事選は10月13日、県議補選は同20日だったが、近年は期日前投票が増えているため、先行した知事選は投票したものの県議補選は投票しなかった人が1万3000人超もいたということだ。県議補選への関心の低さがうかがえる。  無効票の数も特筆される。知事選5816票に対し県議補選6910票と、投票総数が知事選より8分の1も少ない県議補選の方が1100票余も多かった。県議補選の投票用紙に「内堀雅雄」と書かかれたケースが散見されたという話もあるが、郡山市選管によると「無効票にそれだけの差がついた理由はよく分からない」という。  地元ジャーナリストはこんな危機感を示す。  「有権者にとって県議はいかに遠い存在であるかが明白になった。当選した佐藤氏は、髙橋氏の急な方針転換で選挙戦となり少しは知名度アップを果たせたかもしれないが、知事選と同日選になったことで、県議への無関心さが露呈した形です」  投票率低下は全国的な傾向だが、2023年秋に控える県議選の本選で有権者の関心をどこまで集められるか。 福島県議会のホームページ あわせて読みたい 【高額報酬】存在感が希薄な福島県議会 渡辺義信県議会議長に「白河市長」待望論!?

  • 各地の選挙に出続ける髙橋翔氏の素顔

    (2022年8月号)  県内各地の選挙に立候補し続けている「ショウ・タカハシ」こと髙橋翔氏(34)。派手なスーツをまとい、SNSでユニークな言動を発信する髙橋氏とはどんな人物で、普段何を考えているのか。既に2022年10月30日投票の知事選への立候補を表明しているが、今まで当選したことは皆無。「落選しても選挙に出続ける理由を知りたい」という好奇心から、2022年7月10日投票の浪江町長選で落選した直後の髙橋氏をインタビューした。(収録は2022年7月14日) あわせて読みたい 【郡山市】選挙漫遊(県議選) 「将来出馬を考える若者の前例になりたい」  ――浪江町長選は同町出身で元県議会議長の吉田栄光氏(58)と争いましたが、結果は5895票差で落選しました。 「これまでの選挙の経験から自分の得票数は投票総数の5%くらいと見ていたので、444票は想定通りでしたが、有権者の反応はさまざまでしたね。遊説中は町内で暮らす人から声をかけられ、SNSでも応援メッセージをもらい、みんながみんな地元出身の自民党県議を支持しているわけじゃないことを実感しました。彼らの言葉を借りれば『県議を5期やってどれくらい約束を守ったんだ』というのが栄光さんへの評価だったのかな。そこをショウ・タカハシが代弁したことに感謝する人が多かったように感じます」 ――髙橋さんのスタンスは「高齢者にあなたの未来を託していいんですか」というものでした。 「58歳は政治家としては若いかもしれないが、3期12年務めたら70歳なので決して若いとは言えない。そこをあえて強調した面はありました。もっと言うと今まで議員を長くやっていたからとかではなく、具体的にどんなビジョンを持って町政に臨もうとしているのか、そこを有権者には真剣に見極めてほしかった。栄光さんの選挙公報を見たけど、正直、県議会議長まで務めた人がこの程度の政策しか打ち出せないのかとガッカリしました。 SNSを一切使わない選挙戦を展開したことにも驚かされました。町民の9割が町外に避難しているのにホームページさえつくらなかった。これからの選挙は、有権者がネットで調べた時、候補者に関する情報がパッと出てくる状態を確実にしておかないとだめ。そうじゃないと、いつまで経っても雰囲気で投票先を決める風潮は変わらない。 実際、僕と栄光さんを比べた時、あまり深く考えずに何となく地元出身の栄光さんを選んだ人は多かったと思います。それならそれで構わないが、だったら有権者には選びっぱなしで終わるのではなく、最後まできちんと監視することもやってほしい。もし任期中に変なことが起きたら有権者にも責任があるんですよ。なぜなら、あなたたちが選んだ町長だからです」 ――主に投票に行く人は安定を求める高齢者なので、尚更『何となく選ぶ』傾向は強いかもしれません。 「それで割を食うのは若者なんです。大前提として若者が投票に行かないのが悪いんですが、かと言ってこれから60代に突入する町長が無難に町政運営していくことが明るい未来につながるのか。若者や子どもたちにプラスにならない状況は、魅力の喪失を意味します。それでなくても浪江町は町民が避難先から戻らず、帰還するのは高齢者ばかりで移住者も増えていない。このままでは消滅待ったなしです。そこまで考えてこの候補者は町の将来を語っているのか、という点を有権者は見極めないとだめなんだと思います」 若者に期待すること  ――髙橋さんは浪江町の将来ビジョンをどう描いていたのですか。 「浪江町には世界最大級の水素製造施設があります。僕は選挙公約に宇宙産業を掲げていますが、宇宙産業は僕の会社にも関わる事業で、水素はその重要な要素でもあります。浪江町では太陽光発電で水素を製造していますが、最大効率で1年間製造したとしても、その量では水素自動車1万台分をまかなえないと思います。もし県内で水素自動車を10万台走らせようとしたら、あの規模では到底足りない。施設をつくったのはいいが、その先をどう考えているのか、民でも官でもいいから示していないのは不満です。 今、ゼロカーボンが盛んに叫ばれています。政府は2035年までに新車販売で電動車100%を実現するとしています。そうした中、僕は民の立場から電気を使わずに水素をつくる画期的な取り組みに挑んでいます。この技術が確立すれば水素が足りなくなることはないし、低コストでの水素製造が可能になります。さらに火力発電などで発生した二酸化炭素と水素からメタンを合成するメタネーション技術によって、新たな燃料(メタン)の製造につながるだけでなく、カーボンニュートラルに一層貢献することもできます。そもそも、水素をつくるために電気を使っている時点で二酸化炭素がどんどん発生しているわけで、それをクリーンエネルギーと呼べるのかという問題もありますが、ともかく、浪江町に最先端の施設があるのは事実なので、そこをベースに主体は民でも官でもいいから、やるんだったら未来を感じさせることをやろうよと言いたいわけです」 ――そういう考えで浪江町長選に挑んだというなら納得がいくが、それが有権者にどこまで伝わったかとなると話は別です。 「今までの有権者は『誰かに任せておけばいい』という他者依存がほとんどだった。しかし、これからは自分事として捉え、票を投じていかなければだめです。特に原発事故で危機に陥った浪江町は、有権者一人ひとりが『町をどうしていくか』という意識を強く持つべきです。 今回の浪江町長選の目的は自分が勝つことではなかった。もし〝アンチ吉田票〟が2~3割あったとしたら、4年後の町長選に地元出身の若手候補が挑めば、今度は勝てる可能性が出てくるわけです。浪江町には青年会議所があり、厳しい状況下でも頑張っている若手経営者がたくさんいると聞いています。でも地域のしがらみというか、昔からの先輩・後輩の関係とかが邪魔して栄光さんに気を使っているんでしょうね。 僕から言わせたら、いやいやそうじゃないでしょって(苦笑)。町のことを思うなら30代、40代の若手が栄光さんに挑んでいかないとだめなんじゃないの? もし栄光さんが町長を3期12年務めたら70歳、その間に町の中心を担うのは40、50代になるあなたたちであり、その子どもたちでしょって」 ――ただ〝アンチ吉田票〟、つまり髙橋さんの得票は(投票総数の)2割に届かなかった。 「このままでは2、3期目は無投票で当選するかもしれない。ただ、雰囲気的には今回も無投票っぽかったので、それを阻止できたことは一定の役割を果たせたのかな。問題は4年後です。今回の結果に怖気づいて誰も栄光さんに挑まないのか、それとも『外の人間があれだけ取ったんだから、地元の自分ならもっと取れる』という若者が現れるのか」 ――ズバリ、髙橋さんが選挙に出続ける理由とは。 「僕は国政には興味がなくて、福島県を何とかしたいというのが根底にあります。きっかけは、震災後に都内から郡山市、そして葛尾村に移住し、そこで村のデタラメな復興予算の使われ方を知りました。現状を変えるには村政の若返りが必要と考え、村長選に出ようとしました。ところが、いろいろな人から異様な妨害を受け、こんなことでは福島県や地方は廃れ、若者や子どもたちに未来はないなって。地方はいつまでも国の言いなり、という状況は改めないといけない。国に対し、はっきりものが言える環境を今の若者がつくっていく必要がある。そういう価値観を共有できる若者を一人でも多く増やしたいんです。 正直、僕の考えを高齢者に響かせようという気はありません。僕が発信手段にしているSNSは、初めから高齢者は見ていないだろうと思っているので(苦笑)。僕がターゲットにしているのは、直接的な行動は起こさなくても、今の政治や社会のあり方に疑問を感じているインターネット層です。その人たちが僕の考えに共感してくれれば、次の選挙に僕が出なくても、同じような価値観を持った若者が手を挙げれば、その人たちは『こいつを応援しよう』となると思うんです。 こういうやり方は、伝わらない人には伝わらないが、SNSや選挙情報はアーカイブとして残るので、将来世代には伝わっていく。とりわけ僕が意識しているのは今の高校生です。その子たちが僕ぐらいの年齢になって行動を起こそうとした時、必要になるのは前例です。前例がないと、周りが支援してくれないとか、若いとか、まだ早いとか理由をつけられ、行動を起こしたくても起こせない。でも、今のうちに僕が一番最悪の前例をつくっておけばどうか。僕みたいな外から来た若くて訳の分からないことを言っている奴でも選挙に出たという前例があれば、それよりも地元出身で若くて町の将来を真剣に考えているアイツを応援してやろうじゃないか、という見方になっていくんじゃないか。僕は、若者の意識と同時に、若者が政治に関わることに批判的な大人の意識も変えたいと思っているんです」 髙橋氏の選挙経歴(年齢は当時)◎福島県知事選(2018.10.28)当 内堀 雅雄54650,982町田 和史4235,029髙橋  翔3017,159金山  屯7810,259投票率45.04%◎葛尾村長選(2020.10.25)当 篠木  弘69802髙橋  翔3237投票率70.20%◎国見町長選(2020.11.8)当 引地  真602,398松浦 和子711,719佐藤  孝651,478髙橋  翔3240投票率73.18%◎福島市長選(2021.11.21)当 木幡  浩6172,018髙橋  翔337,364投票率34.79%◎浪江町長選(2022.7.10)当 吉田 栄光586,339髙橋  翔34444投票率49.43%※髙橋氏は2019年8月の郡山市議選、同年11月の県議選(郡山市選挙区)で落選。2016年10月の葛尾村長選、2021年4月の郡山市長選、同12月の相馬市長選に出馬表明したが取りやめている。 これまでの選挙で得たもの 取材は2時間に及んだが話が止まることはなかった  ――この間、4年前の知事選を筆頭に葛尾村長選、国見町長選、福島市長選や郡山市議選、県議選に出馬されていますよね。最終的に出馬を見送ったが、郡山と相馬の市長選も検討されていました。これらの場所は何か意図するところがある? 「僕は〝荒らし目的〟で選挙に出ているわけではなく、明確な意図があって場所を選んでいます。僕は宇宙開発だ何だと言っていますが、出馬している場所は地政学的にも経済的な地の利においても、ちゃんと手を入れればそこを基点に福島県全体を下支えできると確信しています。 相馬から双葉郡にかけてはイノベーション・コースト構想も動いていますし、国も県も集中的に投資を行う方針なので、そこに宇宙開発が加わるのはある意味自然ですよ。ここで日本が得意とするものづくりや開発を推し進めれば、世界中から優秀な人材、多くの企業、投資家らも集まって来ますしね」  ――さまざまな選挙に出てみて何か違いはありましたか。 「葛尾、国見、郡山とあえて連続で出たことで多くの人に知ってもらえたし、それが福島につながった面はあったでしょうね。『悪名は無名に勝る』と言うが、まずは知ってもらわないと批判もされないし、こっちの話も聞いてもらえませんから。僕は誹謗中傷は遠慮したいが、批判コメントは大歓迎なので(笑い)」 ――福島市長選は無投票確実というタイミングで急きょ出馬されましたよね。 「対抗馬が出ると思っていたら誰も出ないので、それはマズいんじゃないのと思って。その少し前に『シン・福島県知事をつくる会』という組織をつくり、メンバー同士で話し合った結果、福島は出る意義があるよねって。もともと郡山市長選の出馬を取りやめた後、いわきか福島で出ようという話はあった。でも、いわきは現職と新人合わせて4人も出たから、いわきはいいだろって。 福島市長選は直前に手を挙げた割に(投票総数の)9%くらい得票できたので、若者や無党派層が多い場所では意外と取れるんだなと実感しましたね」 ――郡山市長選の出馬を取りやめた理由は何だったんですか。 「僕はやる気だったんですが、同じく出馬していた(元市議の)馬場大造さんから(元県議の)勅使河原正之さんと組もうと誘われ、取り下げたんです。すると『ショウ・タカハシが出ないのはつまらない』という声が結構届いて(笑い)。若手の僕が高齢の候補者たちを相手に何票取れるのか、興味を持って見ている人が一定数いたことを知れたのは価値がありましたね」 ――その結果、郡山市長選は高齢の新人(勅使河原氏、当時69歳)が高齢の現職(品川萬里氏、同76歳)に挑む構図になってしまった。 「そこは申し訳ないことをしたと思いました(笑い)。ただ、僕としては『出来上がった選対本部』とはどんなものか見てみたい思いもあったので、市議選、県議選を何度も経験しているテッシー(勅使河原氏)や後援者と対等関係で選対に関わることができたのは収穫でした」 ――収穫とは? 「選挙ってこう戦うのねっていうのが見えた半面、選対内はネットが全く使えない高齢者ばかりだった。若手もいたけど、ネットを使おうと進言する人がいない。だから僕は、テッシーの遊説追跡ライブ配信や開票ライブ配信をしたんです。逆に僕は、選対内の人たちから『怖そうな人だと思っていた』とか『直接話してみたら意外と真面目なんだね』といった意見が聞けて、僕は高齢者からそう見られていたんだというのが分かった。まぁ、予想はしていたんですけどね(笑い)。でも、そういう意見を取り入れたら自分がどんどん丸くなり、思い切った発言や型破りな行動ができなくなってしまうので、そこは今までの路線を変えるつもりはありません」 供託金1千万円を用意  ――選挙や政治において、若者と高齢者はどういう関係にあればいいと思いますか。 「若者はフットワークが軽いし、柔軟な考え方ができるし、決断も早い。でも、知識や経験が足りない。その足りない部分を高齢者がサポートするのが理想じゃないか。政治で言えば若者が表に出て動き回り、決断もして、だめなら責任を取る。高齢者は裏方として知恵を出し、アドバイスをする。 郡山市長選の時、僕はテッシーに言ったんです。当選して市長になったら、市議会に僕を副市長にする議案を出してくれって。それが通ったら、テッシーの評価は上がりますよと。そして4年後、もし僕が市長になったら、今度はテッシーを重鎮に据えればいいんじゃないのって。70代中盤に差し掛かる人が連続して市長を務めるより、1期務めたら裏方に回った方がいいと思ったので、テッシーにもそう言ったんです。実は浪江町長選の演説でも『栄光さん、僕の脇にいてもいいんですよ。その方がカッコイイですよ』って言ったんですけどね(笑い)」 ――とはいえ、髙橋さんもこれから年齢を重ねていきますよね。その時どうされますか。 「今後10年選挙に出続けたとすると僕は40代半ばになるが、その時、20代、30代の候補者が首長選の相手だったら恥ずかしくて戦えない。地元のために頑張ろうとしている若者を自分は邪魔するのかと、いたたまれなくなるでしょうね。その時は潔く降りて、若者に自分の経験を伝えながら応援する立場に回ります。 そもそも選挙に出るってことは、根底に自分の町をよくしたいという思いがあるはず。私利私欲や利権狙いでは話にならないけど、町を思っての行動ならわざわざ争わなくてもいい。今の世の中、リーダーにふさわしい人材が少ないのに、そこで潰し合ってどうするのって」 ――既に出馬表明している知事選まで残り3カ月余となりました。 「4年前は名乗りを上げるための選挙だった。そこからあちこちの選挙に出て、同じ選挙に再び挑むのは今回が初めて。何が起きるか楽しみな半面、こう言っては何ですけど内堀雅雄さんの3選は確定事項ですから(笑い)。でも皆さん、それでいいんですか、何となく選んで大丈夫ですかって言いたいですけどね。 幸い全国的には、この4年間で僕くらいの年齢の首長が増えてきた。若い市町村議はもっと増えている。そういう人たちを当選させようという雰囲気が醸成されつつあるのはいいことだと思います。僕自身は当選することが目的ではなく、先ほど言った将来の若者たちの前例になれればいいので(笑い)」 ――そうは言っても、選挙に出るにはお金がかかります。世間では、これだけ選挙に出続ける髙橋さんをお金持ち、資産家と思っている人も多いようです。 「いやいや、お金は自分で会社を三つ経営(※)して稼いでいるだけです。いわゆるプロの政治家は『選挙期間が始まる前に勝負はついている』って言うけど、僕は選挙前は普通に仕事をしているし、選挙運動をするのは告示後なんで(笑い)。それと僕は無駄遣いをしない。他人よりお金のつくり方、使い方が上手なだけなんだと思いますよ。 ※㈱アルストロメリア、㈱ユーチャリス、一般社団法人NEO電工協会S.H.I.O.N(本社はいずれも郡山市中田町海老根)の代表を務める  よく『お金がなくて選挙に出られない』と言う人がいますか、なぜって思いますけどね。確かに国政選挙や知事選になると供託金は300万円なので安くないが、やる気があれば100万円(市長選の供託金)くらい用意できるでしょって。選挙運動も旧来のやり方をしていたら、お金は出ていくばかり。そのお金は公営制度で見てもらえるお金(公費負担)以外の部分。だったら、どうすればお金をかけずに選挙ができるか考えればいいし、実際、僕はそれをネット選挙で実践しているので。 もともと僕の選挙は、1000万円の供託金を使い切るところからスタートしている。最初に1000万円の予算を用意し、4年前、300万円の知事選から始まった。ただ郡山市議選と県議選は法定得票数を超えたため、供託金が没収されず30万円と60万円が戻ってきた(笑い)。これまでに550万円が没収されているので、残りは450万円。ここから知事選に300万円供託するので、残る予算は150万円です」 時代が僕に追いついてくる  ――選挙に出るには家族の理解も欠かせない。髙橋さんのご家族の反応は。 「郡山市内で地元出身の妻、子ども3人、妻の両親と暮らしていますが、最初、両親の反応は良くなかった(笑い)。でも、僕は全然気にならなくて、妻も理解のある人なので助かっています。最初は何の相談もせず選挙に出ていたんですが、途中からは『ここと、ここと、ここの選挙に出るから』って伝えるようになりました。 子どもは小学2年の長男、幼稚園の長女、もうすぐ2歳になる次女です。長男は最初、父親のポスターが貼ってあったり、ユーチューブに動画が上がっているのを不思議がっていたけど、今は普通のこととして捉えているみたい(笑い)」 https://www.youtube.com/watch?v=wPKZ34aRHtc  ――最後に、あとどれくらい選挙に出続けるんでしょうか。 「ショウ・タカハシは何回も負けているのにメンタルが強いよねって言う人がいますが、それを大前提に選挙に出ているので、100戦あるうち40連敗したとしても、そこで僕の考え方にマッチした時代に変われば残り60戦は全勝できるイメージなので、時代は必ずショウ・タカハシに追いついてくると思っています。その時の僕の活躍の場は、政治でもビジネスでも構いません(笑い)」 あわせて読みたい 続・現職退任で混沌とする猪苗代町長選 郡山の補選で露呈した福島県議への無関心 【郡山市】選挙漫遊(県議選)

  • 郡山の補選で露呈した福島県議への無関心

     郡山市の政界関係者の間で同市選挙区県議補選(欠員1)の投票結果に注目が集まっている。同補選には前市議の新人佐藤徹哉氏(自民党)と会社経営の新人髙橋翔氏(諸派)が立候補し、内堀雅雄知事が3選を果たした知事選と同じ10月30日に投開票された。  当6万5987 佐藤 徹哉54    1万9532 髙橋  翔34                  投票率34・72% 当選した佐藤徹哉氏(上)と髙橋翔氏  表面的な数字だけ見れば、自民党公認で公明党の支援を受けた佐藤氏の大勝は不思議ではない。注目されるのは高橋氏の得票数だ。  「正直、1万9500票も取るとは思わなかった。旧統一教会の問題など岸田内閣に対する反発が自民党公認の佐藤氏には逆風になった」(ある自民党員)  髙橋氏がここまで得票できた要因を、ある保守系の郡山市議は 「髙橋氏はもともと知事選に出ると言っていたのに、告示日(10月13日)になって急きょ県議補選に方針転換した。メディアはその間、知事選の立候補予定者として髙橋氏の顔と名前をずっと報じたからね」  と〝恨み節〟を語っていたが、立候補表明した以上、メディアはその事実を報じざるを得ない。ちなみに本誌も、8月号に「知事選立候補を前提」とした髙橋氏のインタビュー記事を掲載している。  選挙後、髙橋氏に県議補選に変更した理由を尋ねると、次のように説明した。  「知事選は当初、複数の候補者が手を挙げていたが、告示日時点で三つ巴(内堀氏、草野芳明氏、髙橋氏)になった。しかし対現職で考えた時、新人2人が挑むのは現職批判票の分散を招き、私が一つの指針にしている『対立候補の得票率10%』を超えるのは難しい。そこで、私が県議補選に回ることでどちらも一騎打ちの構図とすれば、無投票阻止と得票率10%を同時に目指せると考えた。そもそも市議をそそくさと辞めた人を県議に無投票で当選させることは、一郡山市民として納得できなかった。もちろん、共産党が知事選に候補者を立てていなければ私は確実に出馬しており、県議補選には子育て世代の若手を擁立する予定だった」  そんな県議補選をめぐっては、投票率や無効票にも注目が集まった。  例えば、知事選の郡山市だけの投票率は37・44%、投票総数は9万8614票だったが、県議補選は34・72%、8万5519票で、県議補選の方が投票率は2・72㌽低く、投票総数も1万3095票少なかった。  これは告示日の違いが影響している。すなわち知事選は10月13日、県議補選は同20日だったが、近年は期日前投票が増えているため、先行した知事選は投票したものの県議補選は投票しなかった人が1万3000人超もいたということだ。県議補選への関心の低さがうかがえる。  無効票の数も特筆される。知事選5816票に対し県議補選6910票と、投票総数が知事選より8分の1も少ない県議補選の方が1100票余も多かった。県議補選の投票用紙に「内堀雅雄」と書かかれたケースが散見されたという話もあるが、郡山市選管によると「無効票にそれだけの差がついた理由はよく分からない」という。  地元ジャーナリストはこんな危機感を示す。  「有権者にとって県議はいかに遠い存在であるかが明白になった。当選した佐藤氏は、髙橋氏の急な方針転換で選挙戦となり少しは知名度アップを果たせたかもしれないが、知事選と同日選になったことで、県議への無関心さが露呈した形です」  投票率低下は全国的な傾向だが、2023年秋に控える県議選の本選で有権者の関心をどこまで集められるか。 福島県議会のホームページ あわせて読みたい 【高額報酬】存在感が希薄な福島県議会 渡辺義信県議会議長に「白河市長」待望論!?