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昨年秋、全国の商工会議所で役員の一斉改選があり、相馬商工会議所は草野清貴会頭(草野建設代表取締役会長)の続投が決まった。3期目の任期をスタートさせた草野会頭に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う会員事業所への影響や、昨年3月の福島県沖地震からの復旧状況などについて話を聞いた。 ――3期目がスタートしました。 「東日本大震災以降も度重なる災害で大きな被害を受け、旅館などでは未だ再開できていないところもあります。加えて、コロナ禍に伴う消費低迷やエネルギー価格・資材高騰により、経済環境は悪化し各事業所の業績はますます低下しています。そうした中、会頭に再任したのは非常に身の引き締まる思いです。今後も職員と一緒に会員が少しでも元気を取り戻せるよう個々の課題に寄り添いながら重責を全うしていきたいと思います」 ――昨年3月に福島県沖を震源とする地震が発生しました。 「被害額は合計約81億円で、会員事業所93%に何らかの被害がありました。2021年2月の地震と比較すると5倍の被害額です。会議所では、直ちにグループ補助金適用の要望を行い、制度適用に至りました。ただ、2021年2月の地震でも申請している事業所が多く、職員も申請手続き支援を行いましたが、複雑な作業となりました。現時点で施設復旧のための見積金額は約91億円、うち補助金申請金額は約79億円となっています。一方で、二重の借金を抱えることになるところが多く、後継者問題もあって再開をためらう事業所が多いのが現状です。そんな中、市内に一軒だけあった豆腐店が震災の影響で閉店してしまい非常に残念です。宿泊施設は、再開を決めたものの、人手不足や資材調達遅延の影響もあり、まだ着工になっていない事業所もあります。県内では宿泊割引などが行われていますが、市内の事業所はそういった経緯から参画できなかったところも多くあるため、継続して宿泊割引支援を行ってほしいと思います」 ――コロナに加え、円高や物価高など厳しい状況が続いています。 「東日本大震災、新型コロナ、福島県沖地震など、際限なく苦境に立たされながら必死に営業努力を続ける管内事業所には敬意を表したいと思います。会議所としても、少しでも会員事業所のお役に立てるよう職員に呼び掛けています。 新型コロナに関しては、国の方針は新たな行動制限を行わず、感染拡大防止と社会経済活動両立を図る、まさにウ...
福島県の衆院小選挙区は5から4に減る。現1区の地盤が分断される亀岡偉民衆院議員(67、自民、比例東北)は「1票の格差」という人口を尺度にした考え方が都市と地方の格差をより広げていると問題視する。また、岸田文雄首相が訴える企業への賃上げ要請には、大都市と地方の経済格差是正の視点が必要と注文を付ける。 ――小選挙区の「10増10減」が行われました。亀岡議員が地盤とする福島1区は新たに福島市、伊達市、二本松市、伊達郡、安達郡に改定されました。影響を受ける議員としての見解をうかがいます。 「国会議員の意見をもっと聞くべきです。審議会が勝手に決めればいいというものではないですし、人口ベースで形式的に決めればいいというものでもありません。そもそも私は『1票の格差』という考えが、都市と地方の均衡の観点から間違っていると思います。『違憲状態』とされていますが、ある意味では地方の実情に合わせて憲法改正が必要になってきたのではないかと思います。地方のために『人口ベースの格差』という考えをなくすべきです」 ――新1区の支部長について、地元は亀岡議員を推薦し、自民党本部は「保留」としました。 「比例で2回復活したことを考えなければいけないのは確かだとしても、地元の方々の応援を受け、10万票以上を得て戦ってきました。『保留』という決定について、党執行部との協議は全然ありませんでした。県連から推薦が上がれば通常は公認されますが、おかしな話になっています。結論がいつになるか知りません。一生懸命地元の皆さんとやってきて支部長に認めないというのはあり得ないことと思っています。他県でも似たようなことが起きており、当該議員から反発が起きかねない状況です。一生懸命やってきた議員たちが自民党を離れる可能性すらあります」 注:2月10日、亀岡偉民氏が正式に新1区の支部長に就いた。 ――地元紙には、自民党本部が公認しなかった場合、無所属での立候補もあるという記事が載りました。 「出るに決まっています。我々はもともと自民党のために働いているわけではない。国民のために働いているんですから。その目的を達成するために、一緒に働く政党を自民党にしようと言っているだけです。勘違いしたら大変なことになります」 ――そのような中、現在描いている選挙戦略についてうかがいます。 「全く考えていません。支部長ではないので動けない...
澁川問屋会長の澁川惠男氏が会津若松商工会議所の会頭に再任され、3期目が始動した。経済は新型コロナウイルスによる打撃から回復傾向にあるが、円安、物価高、燃料高騰が企業の経営を圧迫。澁川氏は「全国旅行支援」の効果をより高めるため、観光のオフシーズンにも実施することを提言する。 ――会頭職3期目を迎えました。これまでを振り返っての感想をお聞かせください。 「2016年に初めて会頭に選任いただいた時から、長期的視野による『持続可能な地域の創生』をテーマに掲げ、2500会員の負託に応えるべく、地域経済発展の牽引役として全力で取り組んでまいりました。若者が暮らして楽しいまちづくりを目指す『市街地再開発事業』をはじめ、行政とともに実施した『プレミアム商品券事業』、国のコロナ対策に合わせた『独自の事業者支援制度』、正常な企業活動再開に向けた『コロナワクチン職域接種事業』など、数々のコロナ対策事業を実践し、これらの事業展開が会員の皆様から大きな支持を得ることにつながって、今回3期目の職責をお任せいただくことになったと受け止めております。気を引き締めて負託に応えられるよう努めてまいります」 ――新型コロナウイルスの第8波が到来しています。管内の経済状況を教えてください。 「日本商工会議所の11月調査によると、新型コロナによる経営への影響は、『続いている』とした回答がようやく6割を下回りました。インバウンド復活や全国旅行支援により活動回復が進み、業界は改善傾向にあります。ただ、感染拡大の兆候から消費マインドの低下を懸念する声もあります。 コロナ禍での忘年会シーズンは3度目となります。大半の飲食業にとって12月は最も売り上げが伸びる書き入れ時です。第8波の影響は懸念されますが、行動制限が緩和されていますので、客足回復の兆しが見られています。『コロナ禍前にはほど遠いが、前年よりは増えている』といった状況だと思います」 ――円安、物価高、燃料高騰が続いていますが、管内への影響について教えてください。 「物価高で仕入価格が上昇し、利幅が小さくなっていることに加え、電気代やガス代などの光熱費も上昇し、経営を圧迫しています。深刻なのは『儲けが出ない』ということです。全業種的にB tо Bにおけるコスト増加分の価格転嫁についても、なかなか進んでおりません。価格転嫁できた企業は1割に...
――最初に新年の抱負を。 「昨年は、国道118号鳳坂トンネルや国道252号本名バイパスの開通、令和元年東日本台風で被災した河川の改修など、本県の復旧・復興に向けたプロジェクトが大きく前進した年でありました。 一方で、3月の福島県沖地震や8月の豪雨災害、年末の鳥インフルエンザ発生など度重なる災害に見舞われた年でもありました。そうした中でも、会員企業が一致団結し災害対応等に尽力した結果、県民生活の安全安心の確保に努めることができたと考えています。 本年は、昨年末に成立した補正予算により、防災・減災、国土強靭化関連工事が相次いで発注される見込みであることに加え、復興関連の道路整備、令和元年東日本台風関連の河川整備も大詰めを迎えることから、会員企業の総力を挙げて施工体制を強化し、円滑な受注や工事進捗を図ることで県土の発展に貢献していきたいと考えています」 ――コロナ禍、物価高など中小企業を取り巻く環境は厳しいものとなっていますが、県内の建設業界においてはいかがでしょうか。 「長引く新型コロナウイルス感染症の影響に加え、ロシアのウクライナ侵攻以来、原油及び原材料価格が高騰し、世界経済に大きな影響が生じています。 本県建設業界においても、生コンクリートやアスファルト合材及び鋼材など各種建設資材の値上がりに伴うコスト増の影響により、民間建築を中心に工事の中止や先送りが相次ぎ厳しい受注状況が続いています。加えて経費の増大に伴う価格転嫁が困難なことから会員企業の経営環境にも大きな影響を及ぼしています」 ――2023年度の重点事業について。 「2024年4月から、建設業においても時間外労働時間の罰則付上限規制が適用となります。今後は働き方改革への取り組みがより重要になります。当協会としては、発注者の協力を得ながら遠隔臨場などICTを活用した工事管理の効率化を進めるとともに、協会内のワーキンググループにおいて好事例の情報共有を図るなど、各会員企業における働き方改革の取り組みを積極的に支援していきたいと考えています。 建設業は高齢化が進んでおり、担い手の確保が長年の課題となっています。若者に建設業を選んでもらうためには、建設業界全体で週休2日の実現や他業種に見劣りしない収入も必要です。 当協会としては、地域の暮らしを支えるやりがいのある仕事として、一層の労働環境の改善や、ものづくりの楽し...
――新型コロナウイルスの町内への影響と対策について。 「当町は大内宿や湯野上温泉に代表されるように県内有数の観光地があり、新型コロナウイルス感染症の影響は他市町村と比較しても大きいものがあります。今年度に入り、観光客数は増加傾向にあったものの、第8波の到来により、観光客数が減少し、地域経済の停滞が懸念されます。一般家庭においても、原油・物価の高騰もあり、収入の減少やそれに伴う個人消費の落ち込みが予想され、経済面・生活面の両方での対応が不可欠と考えています。 そこで町では、昨年11月の第2回臨時議会において、消費の下支えを通じた生活者の支援や地域経済の活性化を図ることを目的に、全ての町民を対象とした町内店舗で利用できる商品券を一人当たり1万円発行する『電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金』の予算を計上しました。さらには、電力・ガス・食料品等の価格高騰対策として、非課税世帯等1世帯当たり5万円を給付する『電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金』の予算を計上し、経済面・生活面の両方から住民の皆さまを支援していく所存です。 また、昨年12月より『Welcome しもごう ご褒美 宿プラン』を実施しており、こちらは対象となる町内の民宿・旅館で宿泊料金税込み5500円以上の利用に対して45%の割引を付与するなど、観光振興にも注力しており、町内経済の活性化を図ってまいります。 町内のワクチン接種率については、昨年12月2日時点で60歳以上の方々の4回目接種率が88・9%、75歳以上の方々については91・8%となっており、県の平均よりも上回っていると見ています。5回目接種も始まっているので、より多くの方々が接種を受けられるよう円滑に進めていく考えです」 ――今年度は第6次下郷町総合計画の3年目となっています。 「新型コロナウイルス感染症の影響により、各種イベントや式典等が中止となっておりますが、新型コロナウイルス感染症が終息し、人の流れが戻ってきたタイミングに備えて、観光資源の磨き上げと新たな素材の創出に取り組んでいきます。全国でも珍しい茅葺の駅舎である湯野上温泉駅は、多くの観光客が訪れることもあり、現在駅前広場の整備を進めており、今後、住民と観光客の交流の場となる観光産業の拠点としての役割が期待されています。また、紅葉シーズンに多くの観光客が訪れる観音...
令和元年東日本台風での水害を受け、福島河川国道事務所では〝令和の大改修〟と呼ばれる10カ年計画「阿武隈川緊急治水対策プロジェクト」を実施している。昨年5月に赴任した同国道事務所の丸山和基事務所長に、プロジェクトの進捗状況に加え、管内の道路事業やその他の重点事業等について話を聞いた。 ――昨年、事務所長として赴任されました。福島県、東北地方の勤務は初めてとのことですが、管内の印象はいかがでしょうか。 「福島県には大変温かい人柄の方が多く、海や山や湖など豊かな自然に囲まれ、空気も美味しいと感じています。福島県は北海道、岩手県に続いて3番目に広い都道府県なので、まだ訪問できていない地域もありますが、これから時間をかけて足を運んで地域への理解を一層深めていきたいと考えています」 ――〝令和の大改修〟と呼ばれ、令和10(2028)年度までの計画で事業が進められている「阿武隈川緊急治水対策プロジェクト」の進捗状況はいかがでしょうか。 「阿武隈川緊急治水対策プロジェクトでは、阿武隈川本川・支川における抜本的な治水対策を実施しているところです。現在の進捗状況は、被災した80個所の施設復旧が完了しています。 また、河川の水位を下げて水を流れやすくする河道掘削については、全体計画約220万立方㍍のうち、6割にあたるおよそ130万立方㍍(昨年9月末時点)の掘削が完了しています。 遊水地整備につきましては、鏡石町・矢吹町・玉川村の沿川自治体で住民説明会を行っており、昨年からは用地協議に着手したところです」 ――遊水地整備について、対象となる地元住民の反応はいかがでしょうか。 「先述の通り、遊水地整備に関しては住民説明会を実施しており、令和2年からこれまでに6回の説明会を開催しました。遊水地整備の必要性や効果、範囲や規模について住民の皆さまにお伝えし、ご理解とご協力をお願いしているところです。 住民の皆さまの中には遊水地の必要性や、より安全な場所に移転していただくことに対してご理解いただいている方もいらっしゃいます。 とはいえ、約150戸の家屋移転や約300㌶という広大な農地を住民の方々からご提供いただくことになるので、移転先の確保や生業の継続、これからの生活に関する住民の皆様の声をしっかりと受け止め、それを可能な限り事業計画に反映させ、住民の皆さまの意向に寄り添いながら整備を進めていき...
昨年7月の参議院選挙福島県選挙区で初当選した星北斗氏(58、自民)は医師であり、病院経営者である立場から新型コロナウイルスの出口戦略を描き、政策に反映させようと奔走している。だが、内閣支持率は低迷しているのが現状だ。岸田文雄政権に苦難が待ち構える中、与党の一員として政権運営をどう捉えるのか。単刀直入に聞いた。 ――あらためて、初当選を果たした選挙戦を振り返ってどのような思いですか。 「大きく感じたことが三つあります。一つ目は『福島県は本当に広いんだなあ』ということ。二つ目は自分が身を置く医療界というのは、数ある業界の中の一つに過ぎないのだということ。農林水産業、商工業含めてあらゆる方々が苦心されているのを目の当たりにして感じました。三つ目は希望の持てる発見ですが、小さな町村の首長が元気で積極的ということ。それぞれの地域が独自性を打ち出し、魅力的な場所にしようと努力されています。広い県内を回り、そのことを強く認識しました。 参議院議員としてさまざまな立場の声を聞き、国政に反映させる責任は非常に重いですが、同時にやりがいを感じています」 ――新型コロナウイルス感染拡大が依然収束しませんが、今後の対応と出口戦略についてうかがいます。 「新型コロナウイルスはBA・5に変異が進み非常に感染しやすくなっています。ただ、ワクチン接種と治療薬の環境は整ってきています。あとは重症化対応のために医療をどう集約するかでしょう。政治判断や法の整備が必要になると思います。一般医療への影響を防ぐためにどうするか、出口戦略を今年度中に見いださなくてはなりません。 感染拡大の真っ只中に出口戦略を大々的に訴えるのはいかがなものかとの指摘もありますが、今真剣に考えておかなければなりません。感染が落ち着いてからだと、どうしても希望的観測が頭をよぎるからです。 2類相当から5類に変える場合には、国が一方的に決めるだけではだめです。国民が『これならいける』と納得する安心領域に入らないといけません。経済との天秤にかけるのではなく、自分の生活の中で新型コロナを5類の感染症として受け入れられるかどうか。そうでなければ出口は見えないと思います。 一般医療に感染を持ち込まないため、既にある発熱外来のような仕組みは5類になったとしても続けていく必要があるでしょう。新型コロナへの感染が疑われたら医療にアクセスできる仕...
――新型コロナウイルスの感染拡大による村内の影響についてうかがいます。 「このところ、子どもから親に感染する家庭内感染や高齢の感染者の死亡が目立っており、第8波を痛感しています。地域内連携やコミュニティーにも影を落としている状況です。一方で、規模縮小など制約はありますが、文化活動やイベントを段階的に再開し、にぎわいや活気を取り戻しつつあります」 ――新型コロナウイルス関連の村独自の支援策についてうかがいます。 「この間、コロナ禍により冷え込んだ地域経済の再生を図るべく、湯川村商工会と連携し、村民1人当たり5000円分の『あじさい商品券』を交付したのをはじめ、地元飲食店の利用促進を狙いとする『がんばる地元の飲食店応援券』、『ゆがわまいちゃん20%プレミアム商品券』など、消費刺激策を講じてきました。村民からも好評で一定の成果が挙がったと実感しています。併せて非農家世帯に対して1人当たり5㌔分の『お米券』を配布し家計の負担軽減を図りました」 ――本年度の重点事業について。 「1つは、本村の基幹産業である農業支援です。この間、コロナ禍の影響や米価下落など、ただでさえ厳しい環境にあった中、今年度は燃料、肥料、資材などの物価高騰が追い打ちをかけている状況です。村では農業経営の安定化を図るため、夏季に『湯川米生産意欲向上対策』として10㌃当たり4100円、秋季に『湯川村農家支援助成金』として10㌃当たり2500円を支給するなど対策を講じています。2つは、村とJA会津よつばとの共同出資による農業法人㈱会津湯川ファームを旗振り役とする大規模農業の振興です。現在の生産面積30㌶から50㌶まで拡大させる考えです。3つは、道の駅あいづ湯川・会津坂下における販売力向上とそれに伴う農業出荷量の維持です。現在、コメをメーンに魅力ある地元産品を提供していますが、今後は年間100万人を超える利用者をさらに取り込むため、商品開発や販売戦略の構築に努めていきます」 ――結びに抱負についてうかがいます。 「約1200年の歴史を誇る国宝・勝常寺を核とした、歴史が息づく村づくりに取り組みたいと考えます。現在、屋根の葺き替えが完了し、勝常地区の住民による『黒塀プロジェクト』、『角屋プロジェクト』の新設などにより、門前町としての景観や参道の整備が着実に進んでいます。今後も、村民とともに観光資源とし...
いわき商工会議所会頭にオノエー(株)社長の小野栄重氏が再任され新体制がスタートした。コロナ禍や物価高など様々な課題が経済を覆うが「挑戦」と進化・伸化などあらゆる意味を持たせた「シン化」をテーマに解決に取り組む。JRいわき駅前の再開発や、いわきFCのJ2昇格はその起爆剤となりうるか。小野会頭に今後の見通しを聞いた。 ――5期目の抱負を教えてください。 「現在、いわき地域は、自然災害、原発事故、コロナ禍からの復興に加え、エネルギー・仕入価格の高騰、世界的なインフレの進行、AIやデジタル技術の進展、カーボンニュートラルへの対応、若者流出や長寿社会の到来などさまざまな課題に直面しています。こうした課題を乗り越え、次のステージへ進むためには、事業所も、事業所を支える人財も地域も、大きく変化する環境に果敢に『挑戦』し、新化して行くことが重要です。商工会議所のミッションは、ネットワーク力を生かしながら、こうした挑戦を支援し、地域全体の持続力、革新力、成長力を底上げすることにあると考えます。 今期3年間のテーマを『挑戦、シン化(進化、伸化、深化、新化)。そして未来へ』としました。『世界に誇れる復興モデル都市の実現』に向けて取り組んでまいります」 ――新型コロナの影響について会員事業者からどのような声が寄せられていますか。 「国・県の需要喚起策により、幅広い業種で売り上げは回復傾向にあります。しかし、観光業や飲食業においては、コロナ前の水準にまでは需要が回復しない中、コロナ融資の返済を危ぶむ事業主が多いです。観光旅館は『全国旅行支援のスタートにより、団体客・個人客ともに増えてきているが、コロナ前の7割程度の回復に留まっている』、また飲食店からは『ゼロゼロ融資の返済が始まったが、返済財源の確保が難しい』といった声が上がっています」 ――円安や物価高、燃料高騰の影響を教えてください。 「コスト上昇が収益を圧迫し、資金繰りが悪化している会員事業所からの相談が日を追うごとに増えています。『30%コストアップしたが、取引先との交渉が上手くいかず、価格転嫁は10%しかできない(部品製造業)』、『仕事は好調だが、資材の高騰に苦しんでいる。儲からない(工務店)」、『客離れが怖く、値上げしないで頑張ってきたが、もう限界。値上げに踏み切った(飲食店)』、『SNS広告への移行がどんどん進み...
――夜の森・大菅地区の特定復興再生拠点区域で、来春の避難指示解除に向けた準備が進められています。 「避難指示解除が現実的なものとなるまで長い年月を要しましたが、再び生活できる地域として生まれ変わろうとしているのは大変喜ばしいことです。本町では、故郷での生活を希望する方々が心地よく暮らしていける環境を整え、いつでも『おかえりなさい』と言える状況を築き上げていきます」 ――2021年、拠点区域外の地域に関しても「除染して希望するすべての住民が帰還できるよう2020年代をかけて避難指示の解除を進める」という政府方針が示されました。政府に求めることは。 「帰還困難区域を有する自治体の『再生を決してあきらめない』という気持ちと、団結した姿勢により実現した政府方針だと考えています。ただ、我々が求めているのはあくまで〝早期〟の帰還であり、町の全域除染です。現在の方針では帰還を望む人の家だけ除染されることになりますが、隣家の空間線量が高ければ意味がない。政府には住民の意向に沿った方針を示してほしいと思います」 ――「復興まちづくり」の見通しについて。 「将来を切り開くための基礎はできつつありますが、医療、福祉、教育、産業、絆の維持、住宅、移住促進など、取り組まなければならないことは多いです。希望と笑顔あふれるまちにするため、町民一人ひとりの声を丁寧に聞いて、着実に取り組んでいきます。今後はソフト事業に注力していく考えです。具体的には、元々住んでいた住民と、移住してきた方々をつなぐイベントを積極的に開き、交流を促していきます」 ――そのほか取り組んでいる重点事業は。 「短期的には、帰還者の多くが高齢者であることから、2022年開設した『共生型サポートセンター』を円滑に運営し、福祉の充実を図っていきます。一方で、子どもたちの健全育成を目的に造られた『富岡わんぱくパーク』を生かし、子どもの体力向上や運動不足の解消及び子育て世代の交流を促進していきます 中長期的には、人材育成・確保が重要になると考えているので、教育費用の無償化、移住者への住宅支援などに努めていきます」 ――今後の抱負。 「本町は全町避難した自治体なので、これから復興・再生していくにはかなりの労力・時間を要するものと考えています。それでも、将来を見据えた町政運営を進めていくのが我々の使命です。全国に避難...
昨年秋、全国の商工会議所で役員の一斉改選があり、相馬商工会議所は草野清貴会頭(草野建設代表取締役会長)の続投が決まった。3期目の任期をスタートさせた草野会頭に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う会員事業所への影響や、昨年3月の福島県沖地震からの復旧状況などについて話を聞いた。 ――3期目がスタートしました。 「東日本大震災以降も度重なる災害で大きな被害を受け、旅館などでは未だ再開できていないところもあります。加えて、コロナ禍に伴う消費低迷やエネルギー価格・資材高騰により、経済環境は悪化し各事業所の業績はますます低下しています。そうした中、会頭に再任したのは非常に身の引き締まる思いです。今後も職員と一緒に会員が少しでも元気を取り戻せるよう個々の課題に寄り添いながら重責を全うしていきたいと思います」 ――昨年3月に福島県沖を震源とする地震が発生しました。 「被害額は合計約81億円で、会員事業所93%に何らかの被害がありました。2021年2月の地震と比較すると5倍の被害額です。会議所では、直ちにグループ補助金適用の要望を行い、制度適用に至りました。ただ、2021年2月の地震でも申請している事業所が多く、職員も申請手続き支援を行いましたが、複雑な作業となりました。現時点で施設復旧のための見積金額は約91億円、うち補助金申請金額は約79億円となっています。一方で、二重の借金を抱えることになるところが多く、後継者問題もあって再開をためらう事業所が多いのが現状です。そんな中、市内に一軒だけあった豆腐店が震災の影響で閉店してしまい非常に残念です。宿泊施設は、再開を決めたものの、人手不足や資材調達遅延の影響もあり、まだ着工になっていない事業所もあります。県内では宿泊割引などが行われていますが、市内の事業所はそういった経緯から参画できなかったところも多くあるため、継続して宿泊割引支援を行ってほしいと思います」 ――コロナに加え、円高や物価高など厳しい状況が続いています。 「東日本大震災、新型コロナ、福島県沖地震など、際限なく苦境に立たされながら必死に営業努力を続ける管内事業所には敬意を表したいと思います。会議所としても、少しでも会員事業所のお役に立てるよう職員に呼び掛けています。 新型コロナに関しては、国の方針は新たな行動制限を行わず、感染拡大防止と社会経済活動両立を図る、まさにウ...
福島県の衆院小選挙区は5から4に減る。現1区の地盤が分断される亀岡偉民衆院議員(67、自民、比例東北)は「1票の格差」という人口を尺度にした考え方が都市と地方の格差をより広げていると問題視する。また、岸田文雄首相が訴える企業への賃上げ要請には、大都市と地方の経済格差是正の視点が必要と注文を付ける。 ――小選挙区の「10増10減」が行われました。亀岡議員が地盤とする福島1区は新たに福島市、伊達市、二本松市、伊達郡、安達郡に改定されました。影響を受ける議員としての見解をうかがいます。 「国会議員の意見をもっと聞くべきです。審議会が勝手に決めればいいというものではないですし、人口ベースで形式的に決めればいいというものでもありません。そもそも私は『1票の格差』という考えが、都市と地方の均衡の観点から間違っていると思います。『違憲状態』とされていますが、ある意味では地方の実情に合わせて憲法改正が必要になってきたのではないかと思います。地方のために『人口ベースの格差』という考えをなくすべきです」 ――新1区の支部長について、地元は亀岡議員を推薦し、自民党本部は「保留」としました。 「比例で2回復活したことを考えなければいけないのは確かだとしても、地元の方々の応援を受け、10万票以上を得て戦ってきました。『保留』という決定について、党執行部との協議は全然ありませんでした。県連から推薦が上がれば通常は公認されますが、おかしな話になっています。結論がいつになるか知りません。一生懸命地元の皆さんとやってきて支部長に認めないというのはあり得ないことと思っています。他県でも似たようなことが起きており、当該議員から反発が起きかねない状況です。一生懸命やってきた議員たちが自民党を離れる可能性すらあります」 注:2月10日、亀岡偉民氏が正式に新1区の支部長に就いた。 ――地元紙には、自民党本部が公認しなかった場合、無所属での立候補もあるという記事が載りました。 「出るに決まっています。我々はもともと自民党のために働いているわけではない。国民のために働いているんですから。その目的を達成するために、一緒に働く政党を自民党にしようと言っているだけです。勘違いしたら大変なことになります」 ――そのような中、現在描いている選挙戦略についてうかがいます。 「全く考えていません。支部長ではないので動けない...
澁川問屋会長の澁川惠男氏が会津若松商工会議所の会頭に再任され、3期目が始動した。経済は新型コロナウイルスによる打撃から回復傾向にあるが、円安、物価高、燃料高騰が企業の経営を圧迫。澁川氏は「全国旅行支援」の効果をより高めるため、観光のオフシーズンにも実施することを提言する。 ――会頭職3期目を迎えました。これまでを振り返っての感想をお聞かせください。 「2016年に初めて会頭に選任いただいた時から、長期的視野による『持続可能な地域の創生』をテーマに掲げ、2500会員の負託に応えるべく、地域経済発展の牽引役として全力で取り組んでまいりました。若者が暮らして楽しいまちづくりを目指す『市街地再開発事業』をはじめ、行政とともに実施した『プレミアム商品券事業』、国のコロナ対策に合わせた『独自の事業者支援制度』、正常な企業活動再開に向けた『コロナワクチン職域接種事業』など、数々のコロナ対策事業を実践し、これらの事業展開が会員の皆様から大きな支持を得ることにつながって、今回3期目の職責をお任せいただくことになったと受け止めております。気を引き締めて負託に応えられるよう努めてまいります」 ――新型コロナウイルスの第8波が到来しています。管内の経済状況を教えてください。 「日本商工会議所の11月調査によると、新型コロナによる経営への影響は、『続いている』とした回答がようやく6割を下回りました。インバウンド復活や全国旅行支援により活動回復が進み、業界は改善傾向にあります。ただ、感染拡大の兆候から消費マインドの低下を懸念する声もあります。 コロナ禍での忘年会シーズンは3度目となります。大半の飲食業にとって12月は最も売り上げが伸びる書き入れ時です。第8波の影響は懸念されますが、行動制限が緩和されていますので、客足回復の兆しが見られています。『コロナ禍前にはほど遠いが、前年よりは増えている』といった状況だと思います」 ――円安、物価高、燃料高騰が続いていますが、管内への影響について教えてください。 「物価高で仕入価格が上昇し、利幅が小さくなっていることに加え、電気代やガス代などの光熱費も上昇し、経営を圧迫しています。深刻なのは『儲けが出ない』ということです。全業種的にB tо Bにおけるコスト増加分の価格転嫁についても、なかなか進んでおりません。価格転嫁できた企業は1割に...
――最初に新年の抱負を。 「昨年は、国道118号鳳坂トンネルや国道252号本名バイパスの開通、令和元年東日本台風で被災した河川の改修など、本県の復旧・復興に向けたプロジェクトが大きく前進した年でありました。 一方で、3月の福島県沖地震や8月の豪雨災害、年末の鳥インフルエンザ発生など度重なる災害に見舞われた年でもありました。そうした中でも、会員企業が一致団結し災害対応等に尽力した結果、県民生活の安全安心の確保に努めることができたと考えています。 本年は、昨年末に成立した補正予算により、防災・減災、国土強靭化関連工事が相次いで発注される見込みであることに加え、復興関連の道路整備、令和元年東日本台風関連の河川整備も大詰めを迎えることから、会員企業の総力を挙げて施工体制を強化し、円滑な受注や工事進捗を図ることで県土の発展に貢献していきたいと考えています」 ――コロナ禍、物価高など中小企業を取り巻く環境は厳しいものとなっていますが、県内の建設業界においてはいかがでしょうか。 「長引く新型コロナウイルス感染症の影響に加え、ロシアのウクライナ侵攻以来、原油及び原材料価格が高騰し、世界経済に大きな影響が生じています。 本県建設業界においても、生コンクリートやアスファルト合材及び鋼材など各種建設資材の値上がりに伴うコスト増の影響により、民間建築を中心に工事の中止や先送りが相次ぎ厳しい受注状況が続いています。加えて経費の増大に伴う価格転嫁が困難なことから会員企業の経営環境にも大きな影響を及ぼしています」 ――2023年度の重点事業について。 「2024年4月から、建設業においても時間外労働時間の罰則付上限規制が適用となります。今後は働き方改革への取り組みがより重要になります。当協会としては、発注者の協力を得ながら遠隔臨場などICTを活用した工事管理の効率化を進めるとともに、協会内のワーキンググループにおいて好事例の情報共有を図るなど、各会員企業における働き方改革の取り組みを積極的に支援していきたいと考えています。 建設業は高齢化が進んでおり、担い手の確保が長年の課題となっています。若者に建設業を選んでもらうためには、建設業界全体で週休2日の実現や他業種に見劣りしない収入も必要です。 当協会としては、地域の暮らしを支えるやりがいのある仕事として、一層の労働環境の改善や、ものづくりの楽し...
――新型コロナウイルスの町内への影響と対策について。 「当町は大内宿や湯野上温泉に代表されるように県内有数の観光地があり、新型コロナウイルス感染症の影響は他市町村と比較しても大きいものがあります。今年度に入り、観光客数は増加傾向にあったものの、第8波の到来により、観光客数が減少し、地域経済の停滞が懸念されます。一般家庭においても、原油・物価の高騰もあり、収入の減少やそれに伴う個人消費の落ち込みが予想され、経済面・生活面の両方での対応が不可欠と考えています。 そこで町では、昨年11月の第2回臨時議会において、消費の下支えを通じた生活者の支援や地域経済の活性化を図ることを目的に、全ての町民を対象とした町内店舗で利用できる商品券を一人当たり1万円発行する『電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金』の予算を計上しました。さらには、電力・ガス・食料品等の価格高騰対策として、非課税世帯等1世帯当たり5万円を給付する『電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金』の予算を計上し、経済面・生活面の両方から住民の皆さまを支援していく所存です。 また、昨年12月より『Welcome しもごう ご褒美 宿プラン』を実施しており、こちらは対象となる町内の民宿・旅館で宿泊料金税込み5500円以上の利用に対して45%の割引を付与するなど、観光振興にも注力しており、町内経済の活性化を図ってまいります。 町内のワクチン接種率については、昨年12月2日時点で60歳以上の方々の4回目接種率が88・9%、75歳以上の方々については91・8%となっており、県の平均よりも上回っていると見ています。5回目接種も始まっているので、より多くの方々が接種を受けられるよう円滑に進めていく考えです」 ――今年度は第6次下郷町総合計画の3年目となっています。 「新型コロナウイルス感染症の影響により、各種イベントや式典等が中止となっておりますが、新型コロナウイルス感染症が終息し、人の流れが戻ってきたタイミングに備えて、観光資源の磨き上げと新たな素材の創出に取り組んでいきます。全国でも珍しい茅葺の駅舎である湯野上温泉駅は、多くの観光客が訪れることもあり、現在駅前広場の整備を進めており、今後、住民と観光客の交流の場となる観光産業の拠点としての役割が期待されています。また、紅葉シーズンに多くの観光客が訪れる観音...
令和元年東日本台風での水害を受け、福島河川国道事務所では〝令和の大改修〟と呼ばれる10カ年計画「阿武隈川緊急治水対策プロジェクト」を実施している。昨年5月に赴任した同国道事務所の丸山和基事務所長に、プロジェクトの進捗状況に加え、管内の道路事業やその他の重点事業等について話を聞いた。 ――昨年、事務所長として赴任されました。福島県、東北地方の勤務は初めてとのことですが、管内の印象はいかがでしょうか。 「福島県には大変温かい人柄の方が多く、海や山や湖など豊かな自然に囲まれ、空気も美味しいと感じています。福島県は北海道、岩手県に続いて3番目に広い都道府県なので、まだ訪問できていない地域もありますが、これから時間をかけて足を運んで地域への理解を一層深めていきたいと考えています」 ――〝令和の大改修〟と呼ばれ、令和10(2028)年度までの計画で事業が進められている「阿武隈川緊急治水対策プロジェクト」の進捗状況はいかがでしょうか。 「阿武隈川緊急治水対策プロジェクトでは、阿武隈川本川・支川における抜本的な治水対策を実施しているところです。現在の進捗状況は、被災した80個所の施設復旧が完了しています。 また、河川の水位を下げて水を流れやすくする河道掘削については、全体計画約220万立方㍍のうち、6割にあたるおよそ130万立方㍍(昨年9月末時点)の掘削が完了しています。 遊水地整備につきましては、鏡石町・矢吹町・玉川村の沿川自治体で住民説明会を行っており、昨年からは用地協議に着手したところです」 ――遊水地整備について、対象となる地元住民の反応はいかがでしょうか。 「先述の通り、遊水地整備に関しては住民説明会を実施しており、令和2年からこれまでに6回の説明会を開催しました。遊水地整備の必要性や効果、範囲や規模について住民の皆さまにお伝えし、ご理解とご協力をお願いしているところです。 住民の皆さまの中には遊水地の必要性や、より安全な場所に移転していただくことに対してご理解いただいている方もいらっしゃいます。 とはいえ、約150戸の家屋移転や約300㌶という広大な農地を住民の方々からご提供いただくことになるので、移転先の確保や生業の継続、これからの生活に関する住民の皆様の声をしっかりと受け止め、それを可能な限り事業計画に反映させ、住民の皆さまの意向に寄り添いながら整備を進めていき...
昨年7月の参議院選挙福島県選挙区で初当選した星北斗氏(58、自民)は医師であり、病院経営者である立場から新型コロナウイルスの出口戦略を描き、政策に反映させようと奔走している。だが、内閣支持率は低迷しているのが現状だ。岸田文雄政権に苦難が待ち構える中、与党の一員として政権運営をどう捉えるのか。単刀直入に聞いた。 ――あらためて、初当選を果たした選挙戦を振り返ってどのような思いですか。 「大きく感じたことが三つあります。一つ目は『福島県は本当に広いんだなあ』ということ。二つ目は自分が身を置く医療界というのは、数ある業界の中の一つに過ぎないのだということ。農林水産業、商工業含めてあらゆる方々が苦心されているのを目の当たりにして感じました。三つ目は希望の持てる発見ですが、小さな町村の首長が元気で積極的ということ。それぞれの地域が独自性を打ち出し、魅力的な場所にしようと努力されています。広い県内を回り、そのことを強く認識しました。 参議院議員としてさまざまな立場の声を聞き、国政に反映させる責任は非常に重いですが、同時にやりがいを感じています」 ――新型コロナウイルス感染拡大が依然収束しませんが、今後の対応と出口戦略についてうかがいます。 「新型コロナウイルスはBA・5に変異が進み非常に感染しやすくなっています。ただ、ワクチン接種と治療薬の環境は整ってきています。あとは重症化対応のために医療をどう集約するかでしょう。政治判断や法の整備が必要になると思います。一般医療への影響を防ぐためにどうするか、出口戦略を今年度中に見いださなくてはなりません。 感染拡大の真っ只中に出口戦略を大々的に訴えるのはいかがなものかとの指摘もありますが、今真剣に考えておかなければなりません。感染が落ち着いてからだと、どうしても希望的観測が頭をよぎるからです。 2類相当から5類に変える場合には、国が一方的に決めるだけではだめです。国民が『これならいける』と納得する安心領域に入らないといけません。経済との天秤にかけるのではなく、自分の生活の中で新型コロナを5類の感染症として受け入れられるかどうか。そうでなければ出口は見えないと思います。 一般医療に感染を持ち込まないため、既にある発熱外来のような仕組みは5類になったとしても続けていく必要があるでしょう。新型コロナへの感染が疑われたら医療にアクセスできる仕...
――新型コロナウイルスの感染拡大による村内の影響についてうかがいます。 「このところ、子どもから親に感染する家庭内感染や高齢の感染者の死亡が目立っており、第8波を痛感しています。地域内連携やコミュニティーにも影を落としている状況です。一方で、規模縮小など制約はありますが、文化活動やイベントを段階的に再開し、にぎわいや活気を取り戻しつつあります」 ――新型コロナウイルス関連の村独自の支援策についてうかがいます。 「この間、コロナ禍により冷え込んだ地域経済の再生を図るべく、湯川村商工会と連携し、村民1人当たり5000円分の『あじさい商品券』を交付したのをはじめ、地元飲食店の利用促進を狙いとする『がんばる地元の飲食店応援券』、『ゆがわまいちゃん20%プレミアム商品券』など、消費刺激策を講じてきました。村民からも好評で一定の成果が挙がったと実感しています。併せて非農家世帯に対して1人当たり5㌔分の『お米券』を配布し家計の負担軽減を図りました」 ――本年度の重点事業について。 「1つは、本村の基幹産業である農業支援です。この間、コロナ禍の影響や米価下落など、ただでさえ厳しい環境にあった中、今年度は燃料、肥料、資材などの物価高騰が追い打ちをかけている状況です。村では農業経営の安定化を図るため、夏季に『湯川米生産意欲向上対策』として10㌃当たり4100円、秋季に『湯川村農家支援助成金』として10㌃当たり2500円を支給するなど対策を講じています。2つは、村とJA会津よつばとの共同出資による農業法人㈱会津湯川ファームを旗振り役とする大規模農業の振興です。現在の生産面積30㌶から50㌶まで拡大させる考えです。3つは、道の駅あいづ湯川・会津坂下における販売力向上とそれに伴う農業出荷量の維持です。現在、コメをメーンに魅力ある地元産品を提供していますが、今後は年間100万人を超える利用者をさらに取り込むため、商品開発や販売戦略の構築に努めていきます」 ――結びに抱負についてうかがいます。 「約1200年の歴史を誇る国宝・勝常寺を核とした、歴史が息づく村づくりに取り組みたいと考えます。現在、屋根の葺き替えが完了し、勝常地区の住民による『黒塀プロジェクト』、『角屋プロジェクト』の新設などにより、門前町としての景観や参道の整備が着実に進んでいます。今後も、村民とともに観光資源とし...
いわき商工会議所会頭にオノエー(株)社長の小野栄重氏が再任され新体制がスタートした。コロナ禍や物価高など様々な課題が経済を覆うが「挑戦」と進化・伸化などあらゆる意味を持たせた「シン化」をテーマに解決に取り組む。JRいわき駅前の再開発や、いわきFCのJ2昇格はその起爆剤となりうるか。小野会頭に今後の見通しを聞いた。 ――5期目の抱負を教えてください。 「現在、いわき地域は、自然災害、原発事故、コロナ禍からの復興に加え、エネルギー・仕入価格の高騰、世界的なインフレの進行、AIやデジタル技術の進展、カーボンニュートラルへの対応、若者流出や長寿社会の到来などさまざまな課題に直面しています。こうした課題を乗り越え、次のステージへ進むためには、事業所も、事業所を支える人財も地域も、大きく変化する環境に果敢に『挑戦』し、新化して行くことが重要です。商工会議所のミッションは、ネットワーク力を生かしながら、こうした挑戦を支援し、地域全体の持続力、革新力、成長力を底上げすることにあると考えます。 今期3年間のテーマを『挑戦、シン化(進化、伸化、深化、新化)。そして未来へ』としました。『世界に誇れる復興モデル都市の実現』に向けて取り組んでまいります」 ――新型コロナの影響について会員事業者からどのような声が寄せられていますか。 「国・県の需要喚起策により、幅広い業種で売り上げは回復傾向にあります。しかし、観光業や飲食業においては、コロナ前の水準にまでは需要が回復しない中、コロナ融資の返済を危ぶむ事業主が多いです。観光旅館は『全国旅行支援のスタートにより、団体客・個人客ともに増えてきているが、コロナ前の7割程度の回復に留まっている』、また飲食店からは『ゼロゼロ融資の返済が始まったが、返済財源の確保が難しい』といった声が上がっています」 ――円安や物価高、燃料高騰の影響を教えてください。 「コスト上昇が収益を圧迫し、資金繰りが悪化している会員事業所からの相談が日を追うごとに増えています。『30%コストアップしたが、取引先との交渉が上手くいかず、価格転嫁は10%しかできない(部品製造業)』、『仕事は好調だが、資材の高騰に苦しんでいる。儲からない(工務店)」、『客離れが怖く、値上げしないで頑張ってきたが、もう限界。値上げに踏み切った(飲食店)』、『SNS広告への移行がどんどん進み...
――夜の森・大菅地区の特定復興再生拠点区域で、来春の避難指示解除に向けた準備が進められています。 「避難指示解除が現実的なものとなるまで長い年月を要しましたが、再び生活できる地域として生まれ変わろうとしているのは大変喜ばしいことです。本町では、故郷での生活を希望する方々が心地よく暮らしていける環境を整え、いつでも『おかえりなさい』と言える状況を築き上げていきます」 ――2021年、拠点区域外の地域に関しても「除染して希望するすべての住民が帰還できるよう2020年代をかけて避難指示の解除を進める」という政府方針が示されました。政府に求めることは。 「帰還困難区域を有する自治体の『再生を決してあきらめない』という気持ちと、団結した姿勢により実現した政府方針だと考えています。ただ、我々が求めているのはあくまで〝早期〟の帰還であり、町の全域除染です。現在の方針では帰還を望む人の家だけ除染されることになりますが、隣家の空間線量が高ければ意味がない。政府には住民の意向に沿った方針を示してほしいと思います」 ――「復興まちづくり」の見通しについて。 「将来を切り開くための基礎はできつつありますが、医療、福祉、教育、産業、絆の維持、住宅、移住促進など、取り組まなければならないことは多いです。希望と笑顔あふれるまちにするため、町民一人ひとりの声を丁寧に聞いて、着実に取り組んでいきます。今後はソフト事業に注力していく考えです。具体的には、元々住んでいた住民と、移住してきた方々をつなぐイベントを積極的に開き、交流を促していきます」 ――そのほか取り組んでいる重点事業は。 「短期的には、帰還者の多くが高齢者であることから、2022年開設した『共生型サポートセンター』を円滑に運営し、福祉の充実を図っていきます。一方で、子どもたちの健全育成を目的に造られた『富岡わんぱくパーク』を生かし、子どもの体力向上や運動不足の解消及び子育て世代の交流を促進していきます 中長期的には、人材育成・確保が重要になると考えているので、教育費用の無償化、移住者への住宅支援などに努めていきます」 ――今後の抱負。 「本町は全町避難した自治体なので、これから復興・再生していくにはかなりの労力・時間を要するものと考えています。それでも、将来を見据えた町政運営を進めていくのが我々の使命です。全国に避難...