【福島県看護協会】佐藤博子会長インタビュー

【福島県看護協会】佐藤博子会長インタビュー

経歴

さとう・ひろこ 1957年生まれ。宮城県出身。福島県立医科大学大学院医学研究科博士課程修了。東京大学医科学研究所附属病院副看護部長、福島県立医科大学看護学部准教授。2023年に県看護協会長就任。

 ――県内の看護師不足は深刻な課題ですが、協会ではどのような対策を行っているのでしょうか。

 「当協会では、看護職専門の無料職業紹介所であるナースセンターを設置し、求人する医療機関と仕事を求める看護職のマッチング事業を行っています。民間の職業紹介所と異なり、医療機関から紹介料等はいただいておりません。また、専門の看護職が相談に応じ、ハローワークや県とも連携しながら、県内を巡回しての就職相談会や医療機関への求人開拓も行っています。昨年4月には、いわき市に続き会津若松市にナースセンターのサテライトを開設し、県内での就職支援を強化しています」

 ――若年層へのアプローチも重要です。

 「将来の医療人材となる若年層へのアプローチとして、小学生や中学生を対象とした普及啓発活動に力を入れています。具体的には、ナイチンゲールの誕生日である5月12日を『看護の日』と定め、県内各地でイベントを開催し、子どもたちに看護職への理解と興味を持ってもらうための活動を行っています。子ども用のユニフォームを着ての写真撮影会や、看護協会のキャラクター『かんごちゃん』の着ぐるみが登場するなど、楽しい企画を通して看護の魅力を伝えています。また、高校生を対象とした一日看護体験も実施しており、進路選択の一助となるよう、看護の現場を実際に体験する機会を提供し、好評をいただいております」

 ――現役の看護職が働き続けられるようにするための環境づくりも重要です。

 「現役の看護職が働き続けられる職場環境づくりとして、研修制度の充実や復職支援などに力を入れています。具体的には、実務経験2年目から5年目の看護職を対象としたリフレッシュ研修のほか、定年退職を迎える看護職や60歳以上のプラチナナースを対象とした研修会などを開催し、キャリア形成やモチベーション維持、多様な働き方の提案などを行っています。また、ナースセンターでは、復職を希望する看護職を対象とした研修会を開催し、復職支援につなげています」

 ――今後の重点事業について。

 「当協会では、2025年度までの事業方針として4つの柱を掲げています。1つ目は『あらゆる場で役割を発揮できる看護職の育成支援』、2つ目は『地域包括ケアシステム推進のための看護機能の強化』、3つ目は『看護職の確保・定着のための働き続けられる職場環境づくりの推進』、4つ目は『組織経営基盤の強化』です。特に2つ目の、地域包括ケアシステムの推進に向けては、今年4月から訪問看護総合支援センターを協会内に開設し、在宅ケアを支援するための体制を強化いたしました。県内に約200の訪問看護ステーションがありますが、小規模な事業所や経験の浅い管理者が多いという課題があります。このため、訪問看護総合支援センターでは、県内の訪問看護ステーションからの経営相談に対応するとともに、人材確保支援や研修等の機会を提供するなど、関係機関とも連携しながら総合的な支援を行うことで、地域の看護機能の強化に貢献したいと考えています」

 ――今後の抱負。

 「当協会は定款で『県民の健康な生活の実現に寄与すること』を目的としています。社会の変化に伴い、看護職に求められる役割も多様化・高度化していますが、今後とも会員一人ひとりの声を大切にしながら、教育の充実や危機管理の強化、労働環境の改善などに取り組み、県民の健康な生活の実現に貢献できるよう努めてまいります」

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