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鏡石町議会

  • 【鏡石町】議員同士の〝場外バトル〟

    【鏡石町】議員同士の〝場外バトル〟

    鏡石町議会で、議員同士の〝場外バトル〟が勃発しているという。円谷寛議員が込山靖子議員に公開質問状を送付したというのだが、その背景には何があったのか。 議長落選者が同僚に質問状送付  任期満了に伴う鏡石町議選が昨年8月22日告示、27日投開票の日程で行われた。定数12に対し、現職6人、新人6人の計12人が立候補し、無投票で当選が決まった。その後、正副議長や常任委員長などが選任されたが、議会内のポスト絡みで議員同士の〝場外バトル〟が勃発しているという。  ある関係者はこう話す。  「円谷寛議員が込山靖子議員に公開質問状を送付したのです。その内容は、円谷議員が込山議員を糾弾するようなものです」  両議員は、どちらかと言うと議会内で近い立場にあったが、なぜ、円谷議員が込山議員に公開質問状を送付したのか。本誌はその公開質問状を入手した。内容は次の通り。   ×  ×  ×  ×  1、あなたはネットで「町はドブに金を捨てている」と主張していますが、内容をもっと詳しく教えてください。どんな無駄にいくらの金を捨てたのですか。  2、ネットで一般の人にそのように公言しながら、本定例会の本会議でも決算委員会においても、この件について一言も発言していません。これは前のネット発言でこの問題を知った町民はあなたがきっとこの問題を質してくれると思っていたのでは、と思います。これをどう説明するのですか。なぜ全く発言しないのですか。  3、あなたたち町政刷新の2人は、町議選後の8月26日、2回以上当選の議員の集まりから排除され、その中で私以外の3人はあなた(副代表)と代表の吉田孝司氏をこれからも排除することに合意しました。私はこれに反発し、「議長選に出てくれ」というあなたと吉田氏の要請で議長選に出て敗れました。その後にあなたの態度は急変しました。メールは全く返信なく電話もそそくさと切り、訪問しても玄関の中にも入れず話も聞いてくれませんでした。そのような態度の急変はなぜですか。  4、それ以上におどろいたのは相手側のあなたの変わりようです。あなた達を排除すべきことに同意していた小林議員は議長選後の人事について「込山」の名前の連発で副議長と同格とも言われる監査にも推薦する始末です。あなたを今回の決算審査特別委員長に推薦したが、あなたは辞退し、吉田氏が立候補すると、対立候補に畑氏が立候補し、吉田氏を排除しました。このように同じ会派の代表と副代表を徹底的に差別する相手の意図はどこにあると思いますか。あなたは議長選の票と監査のポストの取引はなかったのですか。  正直にお答えください。    ×  ×  ×  ×  文書(質問状)の日付は昨年10月15日付で、同月25日までの回答を求めていた。 関係者証言を基に解説 込山議員(「議会だより」より)  この内容について、本誌が関係者から聞いた話を基に解説していく。  1、2番目については、込山議員は以前、自身のSNSで「これは税金の無駄遣い」といった投稿をしたようだ。ただそれは町政についてではなく、もっと広い範囲での投稿だったという。  問題のポイントは3、4番目。吉田孝司議員と込山議員は「町政刷新かがみいし」という地域政党を組織しており、吉田議員が代表、込山議員が副代表という立場。この2人と新人議員6人を除いた4人の議員が集まった際、「吉田議員、込山議員とは一線を引く」といった話が出たようだ。それに円谷議員は反発し、そのことを吉田議員、込山議員に伝えたところ、両者から「向こう(吉田議員、込山議員とは一線を引くとした議員)に対抗するため、議長選に出てほしい。そのために支援する」旨を言われたのだという。もっともそれは円谷議員側の捉え方で、込山議員からすると、「もし、議長選に出るなら支援してもいい」程度の考えだったようだ。まず、この時点で両者の思いにズレが生じている。  ともかく、そうして円谷議員は議長選に出た。角田真美議員との一騎打ちになり、円谷議員は「どんなに少なく見積もっても4票は入るはず」と見込んでいたようだが、実際は3票しか入らず、角田議員が議長に選任された。その後、「吉田議員、込山議員とは一線を引く」としていた議員(小林政次議員)の推薦で込山議員は監査に就いた。一方で、吉田議員が決算審査特別委員長に立候補した際、「吉田議員、込山議員とは一線を引く」としていた議員らがそれを阻止した。すなわち、吉田議員の「排除」は継続されているのに、込山議員の「排除」は解除されたということができる。  そのため、込山議員は議長選で角田議員に投票する代わりに監査に推薦するといった裏約束があったのではないか、というのが3、4番目の質問の趣旨である。要するに、円谷議員は裏切られたとの思いを抱いているわけ。  もっとも、本誌が聞いた限りでは、前述したように、議長選について、込山議員は「もし、円谷議員が議長選に出るなら支援してもいい」程度の考えだったようだ。監査に就いたのは、同町議会は昨年8月の改選で、半数が新人議員になったため、2期以上の議員を優先に役職を割り振っていく中で、込山議員に役職が回ってきた、という側面もあるようだ。 当事者に聞く 円谷議員(「議会だより」より)  円谷議員に話を聞いた。  「私はネット(SNS)を見ないので分からないが、知り合いに聞いたところ、込山議員が『町はドブに金を捨てている』というようなことを書いていた、と。そういう人が監査になったので、これは見過ごせないと思い、どういう意図だったのか等々を聞こうと思いました。もう1つは、質問状に書いたように、私に議長選に出るよう要請しながら、対立候補と結託して、別の役職を得ました。さらにネットでは、私のことをだいぶ悪く書いているそう。ですから、その辺のところを明らかにしようということです」  円谷議員によると、質問状に対する回答はなかったという。  一方の込山議員はこう話していた。  「正直、誤解されている部分もあるし、いろいろと言いたいことはあります。ただ、私が反論すると、ことが大きくなりそうなので、これ以上は……」  前述したように、両議員はどちらかと言うと議会内で近い立場にあったが、これ以降はお互いがお互いを「信用できない」という状況になっているようだ。  一方で、町内では「もっとほかにやることがあるだろう」との声もあり、「仲良くやれとは言わないが、とにかく議員には『町の課題解決』を最優先に活動してほしい」といった思いを抱いている。 あわせて読みたい 【鏡石町】政治倫理審査後も続く議会の騒動

  • 鏡石町議会】不適切言動の責任を問われる渡辺定己元議員

    【鏡石町議会】不適切言動の責任を問われる渡辺定己元議員

     前号に「鏡石町 気になるアノ話 渡辺元議員に対する政倫審設置へ」という記事を掲載した。その後、動きがあったので続報をお届けする。 擁護派議員は政倫審委員に選任されず  この問題を取り上げた発端は8月下旬に「鏡石町の渡辺定己議員が辞職した」との情報が寄せられたことだった。9月号の締め切り直前だったため、ひとまずその時点で分かったことをミニ記事(9月号情報ファインダー)で取り上げた。内容は次の通り。× × × 鏡石町の渡辺定己議員が辞職した。町議会事務局に確認したところ、「8月23日付で辞職願が受理された」という。辞職理由は「健康上の問題」とのこと。会期中ではなかったため、古川文雄議長に辞職願が提出され、古川議長がそれを許可したという流れになる。 渡辺氏は通算5期議員を務め、その間、議長も務めた。同町議会では〝長老〟的な存在だった。 そんな渡辺氏の辞職について、ある関係者はこう話す。 「議員7人の連名で、渡辺議員に対する政治倫理審査請求書が出され、政治倫理審査会での審査を待たずに辞職したのです」 政治倫理審査会(政倫審)は文字通り、政治家の倫理(政治的・道義的責任)を審査する機関で、条例で定められている。 渡辺議員が政倫審にかけられた詳しい理由は分かっていないが、「同僚の女性議員に対して、不適切な言動があった」(前出の関係者)とか。いずれにしても、議員定数12のうち、半数を超える7人の連名で政倫審請求書が出されたのだから余程のことと言える。 「逆に、渡辺氏は『名誉毀損だ』と言っているようで、場合によっては訴訟も辞さない構えだとか」(同) この件については、詳細が分かればあらためて報じることにする。   ×  ×  ×  × 10月号にこの続報を掲載した。 政治倫理審査請求書提出の代表者は込山靖子議員(56)。現職議員の死去に伴い、今年5月の町長選と同時日程で行われた町議補選(欠員2)に立候補し初当選した。同町唯一の女性議員で、渡辺議員から不適切な言動を受けたと訴えた本人だ。 込山議員は議会の非公開の場で、全16項目に及ぶ渡辺議員から受けた不適切な言動を訴え、8月19日付で政倫審請求書を提出したという。渡辺議員はその4日後(同23日付)に辞職したことになる。 込山議員が訴えた内容だが、本誌は本人から、「選挙期間中、あるいは当選後の議員活動の中で、渡辺議員からこんなことを言われた」、「こんなことをされた」といった話を聞いている。とはいえ、その一部は、同僚議員や町職員らが見ている場でのことだったが、ほとんどは2人のときか、2人に加えて渡辺議員に有利な証言をするであろう人しかいないときのことだった。客観的な証拠があるわけではなく、言った・言わないの話になる可能性があるため、詳細は触れなかった。 そのほか、前号記事では、県町村議会議長会に「政倫審請求書提出後に辞職した議員について、審査することは可能か」と問い合わせたところ、「可能」と返答があり、9月16日に開かれた議会全員協議会で、古川議長からその旨の報告があったことに加え、「今後、政倫審を立ち上げて、審査することになる」との関係者コメントを紹介した。 6人の政倫審委員  ただ、その後は具体的な動きがなかったことから、10月3日、込山議員を含む3人の議員で全員協議会開催を要請、同13日に開催された。 その際、本誌に伝わっていた情報では、「渡辺元議員を擁護したい議員らで政倫審委員を固めようとしている」ということだった。 結局、その日は委員選任には至らず、同21日に開かれた全員協議会でようやく「大枠」が決まった。委員は議会から3人、民間人3人の計6人で、議会からは畑幸一議員(副議長)、大河原正雄議員、角田真美議員の3人。このうち畑議員と大河原議員は政治倫理審査請求書に賛同した7人のうちの2人、角田議員は中立の立場という。 「渡辺元議員は『鏡政会』という議会会派のリーダー的存在で、古川議長などがそのメンバーです。言わば、古川議長は渡辺元議員に議長にしてもらった立場。ですから、古川議長は今回の件についても、渡辺元議員を擁護しようという姿勢がアリアリでした。ただ、10月13日の全員協議会で、『鏡石町議会は近隣自治体議会から低レベルだと揶揄されるような状況。いまこそ、きちんとした形で政倫審を行うべき』といった指摘があり、それが古川議長にも響いたのではないでしょうか。その結果、渡辺元議員を擁護しようという形ではなく、しっかり審査できるようなメンバー構成になった、と」(ある議員) 民間委員3人はいずれも女性を入れたい意向で、弁護士1人と、町内の女性団体の役員や町第三者委員経験者などを軸に選定する方針だが、まだ具体的には決まっていない。 ともかく、当初、本誌に伝わっていた「政倫審委員を渡辺元議員擁護派で固めようとしている」といった形にはならず、きちんと審査されそうなのは進展と言えそうだ。 ところで、前号記事で「今後、政倫審が設置され……」と書いたが、条例文の解釈では、要件を満たした状況で、議長に政倫審請求書を提出し、それが受理された段階で「政倫審は立ち上がっている」ということになるようだ。 つまり、8月19日に政倫審請求書を提出した時点で、政倫審は発足している、と。その4日後に渡辺議員が辞職したわけだが、「町議会事務局が県町村議会議長会の顧問弁護士に確認したところ、審査を行うことは可能で渡辺元議員への招致要請もできるが、強制はできないとのことでした」(前出の議員)という。 民間委員は10月末に開催される全員協議会で決定するようで、本誌は締め切りの関係上、その成り行きを確認できていない。ただ、いずれにしても民間委員の選任が行われ、込山議員が訴えた「渡辺議員から受けた不適切な言動」の真偽や、倫理に反するかどうかが明らかにされていくことになろう。 最後に前出の議員はこう話した。 「今回の件は、渡辺元議員を罰することが目的ではありません。議会のあり方、町民から付託された議員はどうあるべきか、ということを明確にするのが目的で、そのためにも政倫審ではしっかりと審査していかなければならないと思います」 あわせて読みたい 【鏡石町】政治倫理審査後も続く議会の騒動

  • 【鏡石町】議員同士の〝場外バトル〟

    鏡石町議会で、議員同士の〝場外バトル〟が勃発しているという。円谷寛議員が込山靖子議員に公開質問状を送付したというのだが、その背景には何があったのか。 議長落選者が同僚に質問状送付  任期満了に伴う鏡石町議選が昨年8月22日告示、27日投開票の日程で行われた。定数12に対し、現職6人、新人6人の計12人が立候補し、無投票で当選が決まった。その後、正副議長や常任委員長などが選任されたが、議会内のポスト絡みで議員同士の〝場外バトル〟が勃発しているという。  ある関係者はこう話す。  「円谷寛議員が込山靖子議員に公開質問状を送付したのです。その内容は、円谷議員が込山議員を糾弾するようなものです」  両議員は、どちらかと言うと議会内で近い立場にあったが、なぜ、円谷議員が込山議員に公開質問状を送付したのか。本誌はその公開質問状を入手した。内容は次の通り。   ×  ×  ×  ×  1、あなたはネットで「町はドブに金を捨てている」と主張していますが、内容をもっと詳しく教えてください。どんな無駄にいくらの金を捨てたのですか。  2、ネットで一般の人にそのように公言しながら、本定例会の本会議でも決算委員会においても、この件について一言も発言していません。これは前のネット発言でこの問題を知った町民はあなたがきっとこの問題を質してくれると思っていたのでは、と思います。これをどう説明するのですか。なぜ全く発言しないのですか。  3、あなたたち町政刷新の2人は、町議選後の8月26日、2回以上当選の議員の集まりから排除され、その中で私以外の3人はあなた(副代表)と代表の吉田孝司氏をこれからも排除することに合意しました。私はこれに反発し、「議長選に出てくれ」というあなたと吉田氏の要請で議長選に出て敗れました。その後にあなたの態度は急変しました。メールは全く返信なく電話もそそくさと切り、訪問しても玄関の中にも入れず話も聞いてくれませんでした。そのような態度の急変はなぜですか。  4、それ以上におどろいたのは相手側のあなたの変わりようです。あなた達を排除すべきことに同意していた小林議員は議長選後の人事について「込山」の名前の連発で副議長と同格とも言われる監査にも推薦する始末です。あなたを今回の決算審査特別委員長に推薦したが、あなたは辞退し、吉田氏が立候補すると、対立候補に畑氏が立候補し、吉田氏を排除しました。このように同じ会派の代表と副代表を徹底的に差別する相手の意図はどこにあると思いますか。あなたは議長選の票と監査のポストの取引はなかったのですか。  正直にお答えください。    ×  ×  ×  ×  文書(質問状)の日付は昨年10月15日付で、同月25日までの回答を求めていた。 関係者証言を基に解説 込山議員(「議会だより」より)  この内容について、本誌が関係者から聞いた話を基に解説していく。  1、2番目については、込山議員は以前、自身のSNSで「これは税金の無駄遣い」といった投稿をしたようだ。ただそれは町政についてではなく、もっと広い範囲での投稿だったという。  問題のポイントは3、4番目。吉田孝司議員と込山議員は「町政刷新かがみいし」という地域政党を組織しており、吉田議員が代表、込山議員が副代表という立場。この2人と新人議員6人を除いた4人の議員が集まった際、「吉田議員、込山議員とは一線を引く」といった話が出たようだ。それに円谷議員は反発し、そのことを吉田議員、込山議員に伝えたところ、両者から「向こう(吉田議員、込山議員とは一線を引くとした議員)に対抗するため、議長選に出てほしい。そのために支援する」旨を言われたのだという。もっともそれは円谷議員側の捉え方で、込山議員からすると、「もし、議長選に出るなら支援してもいい」程度の考えだったようだ。まず、この時点で両者の思いにズレが生じている。  ともかく、そうして円谷議員は議長選に出た。角田真美議員との一騎打ちになり、円谷議員は「どんなに少なく見積もっても4票は入るはず」と見込んでいたようだが、実際は3票しか入らず、角田議員が議長に選任された。その後、「吉田議員、込山議員とは一線を引く」としていた議員(小林政次議員)の推薦で込山議員は監査に就いた。一方で、吉田議員が決算審査特別委員長に立候補した際、「吉田議員、込山議員とは一線を引く」としていた議員らがそれを阻止した。すなわち、吉田議員の「排除」は継続されているのに、込山議員の「排除」は解除されたということができる。  そのため、込山議員は議長選で角田議員に投票する代わりに監査に推薦するといった裏約束があったのではないか、というのが3、4番目の質問の趣旨である。要するに、円谷議員は裏切られたとの思いを抱いているわけ。  もっとも、本誌が聞いた限りでは、前述したように、議長選について、込山議員は「もし、円谷議員が議長選に出るなら支援してもいい」程度の考えだったようだ。監査に就いたのは、同町議会は昨年8月の改選で、半数が新人議員になったため、2期以上の議員を優先に役職を割り振っていく中で、込山議員に役職が回ってきた、という側面もあるようだ。 当事者に聞く 円谷議員(「議会だより」より)  円谷議員に話を聞いた。  「私はネット(SNS)を見ないので分からないが、知り合いに聞いたところ、込山議員が『町はドブに金を捨てている』というようなことを書いていた、と。そういう人が監査になったので、これは見過ごせないと思い、どういう意図だったのか等々を聞こうと思いました。もう1つは、質問状に書いたように、私に議長選に出るよう要請しながら、対立候補と結託して、別の役職を得ました。さらにネットでは、私のことをだいぶ悪く書いているそう。ですから、その辺のところを明らかにしようということです」  円谷議員によると、質問状に対する回答はなかったという。  一方の込山議員はこう話していた。  「正直、誤解されている部分もあるし、いろいろと言いたいことはあります。ただ、私が反論すると、ことが大きくなりそうなので、これ以上は……」  前述したように、両議員はどちらかと言うと議会内で近い立場にあったが、これ以降はお互いがお互いを「信用できない」という状況になっているようだ。  一方で、町内では「もっとほかにやることがあるだろう」との声もあり、「仲良くやれとは言わないが、とにかく議員には『町の課題解決』を最優先に活動してほしい」といった思いを抱いている。 あわせて読みたい 【鏡石町】政治倫理審査後も続く議会の騒動

  • 【鏡石町議会】不適切言動の責任を問われる渡辺定己元議員

     前号に「鏡石町 気になるアノ話 渡辺元議員に対する政倫審設置へ」という記事を掲載した。その後、動きがあったので続報をお届けする。 擁護派議員は政倫審委員に選任されず  この問題を取り上げた発端は8月下旬に「鏡石町の渡辺定己議員が辞職した」との情報が寄せられたことだった。9月号の締め切り直前だったため、ひとまずその時点で分かったことをミニ記事(9月号情報ファインダー)で取り上げた。内容は次の通り。× × × 鏡石町の渡辺定己議員が辞職した。町議会事務局に確認したところ、「8月23日付で辞職願が受理された」という。辞職理由は「健康上の問題」とのこと。会期中ではなかったため、古川文雄議長に辞職願が提出され、古川議長がそれを許可したという流れになる。 渡辺氏は通算5期議員を務め、その間、議長も務めた。同町議会では〝長老〟的な存在だった。 そんな渡辺氏の辞職について、ある関係者はこう話す。 「議員7人の連名で、渡辺議員に対する政治倫理審査請求書が出され、政治倫理審査会での審査を待たずに辞職したのです」 政治倫理審査会(政倫審)は文字通り、政治家の倫理(政治的・道義的責任)を審査する機関で、条例で定められている。 渡辺議員が政倫審にかけられた詳しい理由は分かっていないが、「同僚の女性議員に対して、不適切な言動があった」(前出の関係者)とか。いずれにしても、議員定数12のうち、半数を超える7人の連名で政倫審請求書が出されたのだから余程のことと言える。 「逆に、渡辺氏は『名誉毀損だ』と言っているようで、場合によっては訴訟も辞さない構えだとか」(同) この件については、詳細が分かればあらためて報じることにする。   ×  ×  ×  × 10月号にこの続報を掲載した。 政治倫理審査請求書提出の代表者は込山靖子議員(56)。現職議員の死去に伴い、今年5月の町長選と同時日程で行われた町議補選(欠員2)に立候補し初当選した。同町唯一の女性議員で、渡辺議員から不適切な言動を受けたと訴えた本人だ。 込山議員は議会の非公開の場で、全16項目に及ぶ渡辺議員から受けた不適切な言動を訴え、8月19日付で政倫審請求書を提出したという。渡辺議員はその4日後(同23日付)に辞職したことになる。 込山議員が訴えた内容だが、本誌は本人から、「選挙期間中、あるいは当選後の議員活動の中で、渡辺議員からこんなことを言われた」、「こんなことをされた」といった話を聞いている。とはいえ、その一部は、同僚議員や町職員らが見ている場でのことだったが、ほとんどは2人のときか、2人に加えて渡辺議員に有利な証言をするであろう人しかいないときのことだった。客観的な証拠があるわけではなく、言った・言わないの話になる可能性があるため、詳細は触れなかった。 そのほか、前号記事では、県町村議会議長会に「政倫審請求書提出後に辞職した議員について、審査することは可能か」と問い合わせたところ、「可能」と返答があり、9月16日に開かれた議会全員協議会で、古川議長からその旨の報告があったことに加え、「今後、政倫審を立ち上げて、審査することになる」との関係者コメントを紹介した。 6人の政倫審委員  ただ、その後は具体的な動きがなかったことから、10月3日、込山議員を含む3人の議員で全員協議会開催を要請、同13日に開催された。 その際、本誌に伝わっていた情報では、「渡辺元議員を擁護したい議員らで政倫審委員を固めようとしている」ということだった。 結局、その日は委員選任には至らず、同21日に開かれた全員協議会でようやく「大枠」が決まった。委員は議会から3人、民間人3人の計6人で、議会からは畑幸一議員(副議長)、大河原正雄議員、角田真美議員の3人。このうち畑議員と大河原議員は政治倫理審査請求書に賛同した7人のうちの2人、角田議員は中立の立場という。 「渡辺元議員は『鏡政会』という議会会派のリーダー的存在で、古川議長などがそのメンバーです。言わば、古川議長は渡辺元議員に議長にしてもらった立場。ですから、古川議長は今回の件についても、渡辺元議員を擁護しようという姿勢がアリアリでした。ただ、10月13日の全員協議会で、『鏡石町議会は近隣自治体議会から低レベルだと揶揄されるような状況。いまこそ、きちんとした形で政倫審を行うべき』といった指摘があり、それが古川議長にも響いたのではないでしょうか。その結果、渡辺元議員を擁護しようという形ではなく、しっかり審査できるようなメンバー構成になった、と」(ある議員) 民間委員3人はいずれも女性を入れたい意向で、弁護士1人と、町内の女性団体の役員や町第三者委員経験者などを軸に選定する方針だが、まだ具体的には決まっていない。 ともかく、当初、本誌に伝わっていた「政倫審委員を渡辺元議員擁護派で固めようとしている」といった形にはならず、きちんと審査されそうなのは進展と言えそうだ。 ところで、前号記事で「今後、政倫審が設置され……」と書いたが、条例文の解釈では、要件を満たした状況で、議長に政倫審請求書を提出し、それが受理された段階で「政倫審は立ち上がっている」ということになるようだ。 つまり、8月19日に政倫審請求書を提出した時点で、政倫審は発足している、と。その4日後に渡辺議員が辞職したわけだが、「町議会事務局が県町村議会議長会の顧問弁護士に確認したところ、審査を行うことは可能で渡辺元議員への招致要請もできるが、強制はできないとのことでした」(前出の議員)という。 民間委員は10月末に開催される全員協議会で決定するようで、本誌は締め切りの関係上、その成り行きを確認できていない。ただ、いずれにしても民間委員の選任が行われ、込山議員が訴えた「渡辺議員から受けた不適切な言動」の真偽や、倫理に反するかどうかが明らかにされていくことになろう。 最後に前出の議員はこう話した。 「今回の件は、渡辺元議員を罰することが目的ではありません。議会のあり方、町民から付託された議員はどうあるべきか、ということを明確にするのが目的で、そのためにも政倫審ではしっかりと審査していかなければならないと思います」 あわせて読みたい 【鏡石町】政治倫理審査後も続く議会の騒動