新聞の販売部数が、新型コロナ禍を経て減少のペースが深刻だ。同じ活字媒体で、新聞報道のスキマを埋める本誌のような雑誌にとっても死活問題。いま一度、現状を県民と共有する。
新聞・雑誌社、広告主、広告会社からなる一般社団法人「日本ABC協会」は、新聞や雑誌の販売報告部数を調査し、レポートにまとめている。 2024年10月時点の県内の日刊紙の販売報告部数は次の通り。
福島民報 20万0437部
福島民友 13万7565部
読売新聞 3万2380部
朝日新聞 3万0774部
毎日新聞 1万0499部
日本経済新聞 1万0420部
産経新聞 2812部
河北新報 (朝刊)790部
(夕刊)8部
なお公開されている発行社レポートの部数は、新聞の発行社が報告した部数。ABC協会の公査員が裏付けして確認した部数は、別にある「公査レポート」にまとめ、会員専用のサイトで共有される。本誌は非会員。

新型コロナ禍前の本誌2019年11月号記事「部数減に直面する地元2紙の電子版の行方」では、公表されている媒体資料に基づいて当時の部数を報じた。それによると、福島民報は24万7072部(2019年4月時点)、福島民友は18万4603部(2014年1月時点)。
2020年初頭から世界で蔓延した新型コロナ感染症は、非対面のコミュニケーションを促し、ネット化がより加速。リモートワークの推進や、行政手続きや商取引のオンライン化などあらゆる業種がそれまでの業態の転換を迫られた。その動きは定着しつつある。
ネット化で、新聞・雑誌もより厳しい状況が続く。新型コロナ禍前の県内販売報告部数(2019年10月時点)は次の通りだった。
福島民報 24万1291部
福島民友 17万0930部
読売新聞 4万9407部
朝日新聞 (朝刊)4万4451部
(夕刊)1部
毎日新聞 (朝刊)1万6184部
(夕刊)1部
日本経済新聞 1万7185部
産経新聞 3850部
河北新報 (朝刊)857部
(夕刊)8部
新型コロナ禍を経た5年間の部数減少幅は次の通り。
福島民報▲4万0854部(16・9%減)
福島民友▲3万3365部
(19・5%減)
読売新聞▲1万7027部
(34・5%減)
朝日新聞▲1万3677部
(30・8%減)
※夕刊1減でゼロに
毎日新聞▲5685部
(35・1%減) ※夕刊1減でゼロに
日本経済新聞▲6765部
(39・4%減)
産経新聞▲1038部 (27・0%減)
河北新報▲67部 (7・8%減)
※夕刊は8部で変動なし。
活字媒体の部数が減る状況は、人口が減少し、ネット化でニュースがスマートフォン上で消費されるようになった中では抗しようのない流れだ。「暗い話や難しい話には触れたくない」と、ニュース自体を避ける「ニュース離れ」も起きている。
地元2紙は電子版を始めたが、ネット化を進めてもすぐには購読にはつながらないし、ネットユーザーには「無料の情報が当たり前」との意識が染みついているので、電子版が経営的に成功するのは難しい。各新聞社が導入するのは、新たな時代に紙以外でも読者とのつながりを維持するためだろう。
本誌は取材先から、「以前取材してくれた地元紙の記者が、役場の職員になった」と聞いた。新聞社上がりの公僕にも最近よく会う。
「オールドメディア」
本誌のような雑誌は新聞が報じないスキマを深く掘り下げることで成り立っている。新聞社は「オールドメディア」と揶揄されているが、組織力であらゆる事象を網羅し、丹念な取材をしている媒体は今のところ思い当たらない。ネットにニュースを提供しているのもほとんど新聞・雑誌、テレビなどのオールドメディアであることを忘れてはいけない。