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インタビュー

  • 【郡山商工会議所】滝田康雄会頭インタビュー

    【郡山商工会議所】滝田康雄会頭インタビュー

     たきた・やすお 1944年生まれ。郡山市出身。安積高、学習院大法学部卒。東北アルフレッサ最高顧問。郡山青年会議所理事長、郡山商議所青年部会長などを歴任。  滝田康雄氏が郡山商工会議所会頭に再任され、3期目の任期がスタートした。1期目は震災・原発事故からの復興、2期目は新型コロナ禍への対応と10年、20年後を見据えた民間発想のまちづくり「郡山グランドデザイン」の具現化にまい進し、3期目は、中小企業の活力強化と地域経済の活性化についても取り組む。滝田氏に今後の方針と取り組みについて聞いた。  ――3期目の任期がスタートしました。抱負をお聞きします。 「これまでは、1期目(2016年11月)当時に東日本大震災・東電福島第一原発事故からの復旧・復興を念頭に『会員事業所の皆様がこの街に希望が持てるようにする』との姿勢で事業を推進してきました。3期目は『中小企業の活力強化』と『地域経済の活性化』をスローガンに掲げます。中小企業の活力強化については、業績の向上が課題です。そのために経営者の意識改革、専門人材の育成、補助金の活用促進に当会議所は『伴走型支援』で臨みます。 地域経済の活性化については、企業・団体が主体となって開催する大規模セミナーや国際会議、展示会などのビジネスイベントの誘致や広域連携を軸とした観光振興に取り組みます」 ――新型コロナが収束しない中、会員事業所からはどのような声が寄せられていますか。現状と郡山商議所の取り組みを教えてください。 「一般論として、内需拡大には至っていません。地域経済は、いまだ需要の回復途上にありますので、企業は、自助努力だけでは対応できない厳しい経営環境にあります。実質無担保無保証人の融資(ゼロゼロ融資)を活用し、緊急事態を耐えた事業所が多く、返済も厳しい状況にあると聞きます。 当会議所はウィズコロナの中、いかに事業を進めていくかを考えています。職員には、『コロナ禍だからだめ』なのではなく『コロナ禍だからこそこうしたい』と考えを転換せねばと訴えています。ビール祭も開催に対する懸念の声が寄せられました。中小企業の状態、飲食業、観光業を見るとこのままにしてはおけない。地域経済再生に向けて行動を起こそうという思いがあり、感染拡大防止策を入念にし、開催にこぎ着けました。 閉塞感が漂っていた中、開催したことで、『よくやってくれた』と市民の皆様や各業界から、大きな賞賛をいただきました。タクシーの運転手さんから『今までは商売にならなかったのに、フル回転で体がいくつあっても足りない』と聞いた時は嬉しかったです。会議所にわざわざお礼を言いに来てくださった方もいます。開催に向け奮闘した職員にも私からねぎらいの言葉を掛けたい。 今冬はイルミネーションを規模を拡大して取り組みます。新酒まつりと組み合わせて、イベントを計画しています。若い職員たちが考えてくれました。柔軟性がある企画で若者たちを頼りにしています。 もちろん、感染防止対策は大前提です。気を抜かずに、コロナ禍での地域経済活性化に取り組んでいきます」 ――昨年2月、今年3月と続いた福島県沖地震の影響も深刻です。管内への影響はどうですか。郡山商議所の取り組みについても教えてください。 「当会議所では、早くから国のグループ補助金活用に動き、会議所グループとして、46社約12億円の被害に対して8億6000万円の補助申請を支援しました。その他の被災事業者に対しては、事業継続力の強化を支援するためにBCP計画(企業継続計画)の策定に向けて、中小企業診断士・税理士などの専門家派遣や、福島県よろず支援拠点などと連携し、個別支援事業を実施しています」 ――円安と物価高騰も深刻な問題となっています。また、政府や県、市への要望がありましたら教えてください。 「中小企業は原材料の輸入割合が高いため、円安はデメリットの面が強いです。加えて、原油・原材料の高騰を価格に転嫁できていないようです。そのような中、最低賃金の引き上げや消費税インボイス制度の実施が求められています。必要性は理解できますが、運用面、技術面を含めて小規模事業者への負担が大きいです。政府や県、郡山市にはこれらの運用支援に加え、物価高対策と経営基盤の強化支援の必要性を訴えたいです。 また、適正な利益の確保・価格転嫁の円滑化が進められる制度の必要性を感じます。増加している新規開業の相談については、経営指導員による相談体制を強化して事業計画づくりを支援しておりますが、補助制度・フォローアップ事業等支援メニューの充実を求めたいです」   ――滝田会頭が就任以来掲げていた「若い世代のまちづくりへの参加」について、進展したことをお聞かせください。 「10年後、20年後の郡山をどうしたいかの観点から、当会議所では2018年に民間発の『グランドデザインプロジェクト』を打ち出しました。未来を担う若者の考えを重視しています。交通の中枢である郡山と近隣市町村のそれぞれの持ち味を生かして企業誘致を図ったり、行き来をしやすくするための鉄道利用の構想が盛り込まれるなど、魅力的な地域にすること、そして、人を集め、活性化を進めることを目的としています。 『夢のような話』に聞こえるかもしれませんが、まず理想を掲げなければ実現には至りません。理想の街をこれからの世代の視点で描き、そのために交通、企業、住環境を行政などと一緒に整えていきたいです。 若者の意見の具現化については、一歩ずつ進んでいます。バスロケーションシステムが実施されました。福島交通の路線バスにおいて、スマホアプリを活用することで簡単にバスの位置を把握でき、利便性が向上しました。 教育環境でも大きな進展がありました。安積高校が2025年度に中高一貫校になるとの決定がありました。県立の中高一貫校は会津地区の会津学鳳、浜通り地区のふたば未来学園に続き、安積は県内3校目で、県中地区では初となります。新しく設置される中学校では、高い学力や志を持った子どもたちの育成に力を注ぐことで次世代のリーダーを育成する拠点校となるよう、期待をしています。 歩きやすい道路については県が昨年度から事業に着手しています。歩いて暮らせるまちづくり実現のために今後の推移を見守りたいです。 時間はかかりますが、実現すればエリアバランスが取れた日本一魅力のあるまちになるでしょう。3期目は積極的にまちづくりにシフトしたいと考えています」 郡山商工会議所ホームページ 政経東北【2022年11月号】

  • 【中島村】加藤幸一村長インタビュー

    【中島村】加藤幸一村長インタビュー

     かとう・こういち 1952年生まれ。岩瀬農業高卒。JAしらかわ理事、中島村農業委員などを歴任し、2004年から村議を2期務める。2010年9月の村長選で初当選。今年9月の村長選で4選を果たした。  ――2022年9月の村長選で1953票を獲得し4選を果たしました。現在の率直な感想は。 「前回、無投票でしたが、今回は8年ぶりの選挙戦となりました。この間支持者の年齢構成は変化しており、苦労した選挙戦だったというのが正直なところです。 選挙期間は新型コロナウイルス感染の〝第7波〟のピークに当たってしまい、公開討論会や総決起大会などは開けませんでした。村民に直接公約などを訴える機会が少なくなったのは残念でしたが、少しでも村民との対話の機会を設けたいと考え、感染対策に気を使いながら、各地域を歩きました。 おかげ様で再選させていただきましたが、投票率は8年前を10ポイント以上も下回る結果となりました。コロナ禍真っ只中の選挙だったことに加え、選挙権年齢が18歳以上となった影響も大きいです。住民票の住所は村内にあっても、進学などで県外に在住している若者が投票できず、投票率が低下したとの指摘もあります。そういう意味で、選挙をめぐる課題は多いと感じました」 ――選挙戦ではどのようなことを訴えたのでしょうか。 「最も強く訴えたのは少子化対策と子育て支援の充実です。保護者の経済負担を軽減する観点から、国に先駆けて保育所・幼稚園の給食費を含む保育料の無償化を実現しました。今年度からは、小学校から中学校までの学校給食費無料化も実施しています。 2017(平成29)年に開設した『児童館輝らキッズ』は、日中保護者がいない家庭の児童・生徒が安全で快適に過ごせる場所として高い評価を得ています。保護者にとっても安心して働けると思います。今後も運営を継続していきたいと考えています。 併せて児童・生徒の学力向上を目指し、教育費を増額してきました。具体的には、『ほめて伸ばす』を基本理念に掲げ、教育委員会を中心に幼稚園、小学校、中学校が緊密に連携し、それぞれの教育課程で連携会議を定期的に実施しています。その成果もあってか、学力は以前に比べて着実に向上しており、小中学生を対象とした全国学力テストの点数では全国平均を上回っている教科も見られます。 ICT教育も推進したいと考え、村内の全小中学生にタブレットを配布し、村独自の取り組みとしてICT支援員を各校に配置するなど、教師と一体となって指導体制の充実を図っています。 このほか、グローバル化を見据えて中学生のマレーシアへの修学旅行も実施してきましたが、現在はコロナ禍で中断しています。感染状況を注視しながら、来年度の再開に向けて準備を進めていく予定です。 人口減少対策にも取り組みます。住宅地13区画を造成し、すでに6区画が分譲済みとなっています。村外からの移住者も多く、できるだけ早い完売を目指しながら、さらなる総合的な施策を実施し、移住定住者の増加を図っていきます。 村民の健康づくり、高齢者の介護予防事業の充実も図っていきます。健康診査受診率向上はもちろん、専門のトレーナーを配置した『健康づくり交流センター輝らフィット』を整備するなど、介護予防にも積極的に取り組んできました。介護保険料が県内で2番目に低い金額となるなど、その効果の大きさを実感しています。 新型コロナウイルス感染対策は最重要課題です。4回目のワクチン接種が始まりましたが、国・県と緊密に連絡を取りながら、感染対策に取り組んでいきます」 ――ロシアによるウクライナ侵攻や円安などの影響で物価高となっています。村としての対策は。 「コロナ禍に加えて、物価高が発生したことで経済はすっかり冷え込んでおり、村内の商店の売り上げは落ち込んでいます。村では商工会に対し、継続して補助金を交付しているほか、『輝らめき商品券』事業第3弾として、臨時交付金を利用して村民に一人当たり1万円分の商品券を配布しました。ガソリン価格高騰を受け、事業者には30万円を限度に助成する事業も行っています。今後もプレミアム商品券の販売といった形で支援を継続したいと考えています」 ――役場庁舎改築の進捗状況は。 「8月から工事が始まり、来年5月に1期工事が完了します。2024(令和6)年完成予定です。現庁舎は手狭で災害発生時に防災拠点として使用するのは困難でした。バリアフリーにも対応しておらず、期日前投票などの際には非常に心苦しく感じていました。そこで新たにエレベーターを設置するほか、来庁者が気軽に使用できるトイレ、職員用の休憩室・更衣室といった設備も設けます。 物価高の影響により、原材料費が高騰していますが、村長就任時から基金を10億円以上積み増して準備してきました。市町村役場機能保全緊急対策事業という国の起債事業を利用して建設しており、通常の庁舎建設に比べて村負担は少なく済むと思います」インフラ整備に注力する ――今後取り組んでいきたい重点事業について。 「村長に就任してから令和元年東日本台風などの水害により、代畑・松崎地区が2度にわたって大きな被害を受けました。そこで内水を阿武隈川に放出する排水ポンプの設置に向けて準備を進めています。来年度設置を目指し、準備が整い次第、早急に着工したいと思います。 また、継続事業ではありますが、農道・村道の長寿命化といったインフラ整備をさらに進めていきます。選挙期間中にも住民から多く要望があがった事業です。 私自身の選挙公約にも『社会資本インフラ整備等の地域格差解消に向けて光が一隅を照らすことができる村政』と掲げ、きめ細かい政策を訴えてきました。公約実現のためにも、未整備個所の整備や長寿命化に向けて取り組んでいきます。 村内の農業所得は県内でもトップクラスです。認定農業者への農地の流動化も加速しており、新規農業者支援制度もスタートしています。こうした流れをうまく活用し、遊休農地解消につなげていきたいと考えています」 ――今後の抱負。 「村政に対する村民の皆さんの要望は複雑・多岐にわたります。4期目を終えたとき、村民の皆さんに『村長職を託してよかった』と言われるような村政を執行していきたいと思います。もう一度原点に戻り、足元を見つめ直して、村に何が必要なのか職員と一緒になって考えていきます。来年度からは第6次中島村総合振興計画が始まります。その実現を目指しつつ、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた村づくりを進めていきたいですね」 中島村ホームページ 政経東北【2022年11月号】

  • 【金山町】押部源二郎町長インタビュー

    【金山町】押部源二郎町長インタビュー

     おしべ・げんじろう 1949年生まれ。県立川口高校卒。1970年に金山町役場に入庁、副町長などを歴任。2018年9月の金山町長選挙で初当選。2022年10月、無投票で再選を果たした。  ――任期満了に伴う金山町長選挙で無投票での再選を果たしました。まずは現在の率直なご感想についてお聞かせください。 「結果的に無投票当選と相成りましたが、2期目における重責をひしひしと実感しており、身が引き締まる思いです。無投票に慢心することなく、今後も町民の声にしっかり向き合いながら謙虚な姿勢で2期目に臨んでいきます」  ――前回の町長選では、①安心・安全な生活環境の実現、②地域資源を生かした産業の振興、③次代を担う若者・子育て世代への支援――の3つの柱に基づいた選挙公約を掲げていました。これらの公約は1期目でどの程度実現できたとお考えですか。総括をお聞かせください。 「まず①安心・安全な生活環境の実現については、新型コロナへの対応として、円滑なワクチン接種、マスク・消毒液の配布、広報媒体を活用した注意喚起や感染防止対策の推進に注力してきました。 快適な生活環境を充実させるため、ホームヘルプ事業継続支援に取り組んできたほか、有害鳥獣や害虫駆除を円滑にすべく補助対象者を拡大し、新たな補助制度も創設しました。さらに災害時などの危機管理対策として、大型非常持ち出しリュックの配布、主要個所への監視カメラの設置に努めました。 町民の健康促進の観点から、人間ドック助成期間を5年から3年に短縮し、補助率を45%から60%に引き上げました。併せてインフルエンザワクチンの無料接種、高齢者へのエアコン設置、灯油購入の補助に取り組みました。そのほか、自動車の急発進防止装置への補助を実施したり、空き家改修補助を100万円から150万円に引き上げました」 ――②地域資源を生かした産業の振興についてはどのように取り組んできましたか。 「農業分野への支援として、農業機械購入補助を100万円から150万円に増額しました。加えて赤カボチャやアザキ大根、エゴマ等のブランド化推進と付加価値の向上を図る観点から、種子の固定化事業にも取り組みました。このほか、生産振興補助率の引き上げ、地元農産物の6次化商品開発を狙いとする加工施設の整備、稲作経営の持続化に対する臨時交付金事業、新規就農支援事業の創設などを行いました。 商工業分野の支援としては、町内の消費拡大を図るため、従来のプレミアム率10%から25%にアップしたプレミアム商品券を発行しました。さらに商品宅配事業の制度化、本県初となる特定地域づくり事業協同組合支援事業、小規模企業基本条例の制定、レジの改修や更新時の支援、原油高騰・物価高騰支援事業に努めました。 さらに、観光誘客や観光需要の掘り起こしに向けて、ホームページ・テレビ・新聞・ミニコミ等の広報媒体を活用した積極的な観光PR・情報発信、観光タクシー運行補助制度の創設、主要観光スポットに位置づけられる『霧幻峡の渡し』へのトイレ設置や船着き場といった関連施設の整備事業を実施しました」 ――最後に③次代を担う若者・子育て世代への支援について。 「快適環境下での保育と学びを充実させるため、町内保育所・小中学校へのエアコン設置、小・中学校での外国語指導助手の単独配置、英検等の中学生各種検定受講料の公費負担などの事業を進めてきました。 子育て世代の負担軽減策として、幼児に関しては、保育料無料化、延長保育・土曜保育無料化、チャイルドシート無料貸し出し事業を実現しました。小中学生に関しては、給食費・教材費無料化、修学旅行費支援(交通費・宿泊費無料)、入学準備品支援(運動着・制服各1セット無料)、夏休み学習塾事業を行っています。県立川口高校の生徒に関しては、通学費半額補助、部活動補助、寮生支援(寮費・食費等の補助)を実施してきました。 併せて子育て世代の住宅環境改善策として、上横田地区に町営住宅9戸を建設・整備しました。 そのほか、JR会津川口駅前に移住支援センターを開設し、結婚祝い金を5万円から10万円に増額しました。出産祝い金も一律5万円から第1子・第2子30万円、第3子以降50万円に増額し、不妊治療の個人負担ゼロなどの事業にも着手してきました。  1期4年間の中で、公約を果たせた施策がある一方、まだまだ不十分な点や新たな施策が求められることが少なくありません。住んでいる町民が〝住みたい〟と思うまちづくりに向け、先述した3つの柱をさらに進化・充実させていきます」 ――平成23年7月新潟・福島豪雨で甚大な被害を受け、一部不通となっていたJR只見線が10月1日、全線再開通の運びとなりました。今後、観光振興や地域活性化にどう取り組んでいく考えですか。 「只見線の全線再開通は全国的に注目され、沿線各地では大変なにぎわいを見せています。このにぎわいが一過性のブームに終わることがないよう、今後は沿線自治体や観光地との連携を強化し、持続的な観光交流人口の創出に尽力していきたいと考えています。 全線再開通に伴い、金山町観光物産協会を運営主体とするレンタカー事業がスタートしました。これまで本町の自然を気軽に楽しんでもらえるよう観光タクシーやレンタサイクルなど来訪者の移動手段の確保に努めてきましたが、レンタカー事業が始まったことで、利便性が一層高まることは間違いありません。 昨年秋には、只見柳津県立自然公園とその周辺が越後三山只見国定公園に編入されました。町内の大塩炭酸泉、滝沢川の甌穴群も同国定公園に加わることで、本町にある自然遺産の存在感はさらに増しています。 今後は、道の駅奥会津かねやま、東北電力奥会津水力館『みお里』、天然炭酸温泉、『霧幻峡の渡し』、沼沢湖などの観光資源についてさまざまな情報媒体を活用し、きめ細かな魅力発信に取り組みます。併せて玉縄城址遊歩道やビューポイントの整備に努め、来訪者の滞在時間延長や回遊性の向上に注力していく考えです」 ――その他の重点事業について。 「まず、1期目で不十分だった高齢者世帯に対する除排雪体制の強化と支援の拡充について、重点的に取り組みます。次いで地域Wi―Fiの整備です。通信環境の改善による生活利便性の向上をはじめ、若年層における通信費の負担軽減、移住・定住の促進につなげていきたいと考えます。また、大規模自然災害が頻発する昨今、町民における危機意識の向上と防災・避難体制の確立や既存の公共施設や観光施設の長寿命化を図っていきます」 金山町ホームページ 政経東北【2022年11月号】

  • 【柳津町】小林功町長インタビュー

    【柳津町】小林功町長インタビュー

     1963年2月生まれ。国士舘大学卒。2008年4月から柳津町議を務め、副議長などを歴任。2019年6月の町長選挙で初当選。現在1期目。  ――新型コロナウイルス感染拡大における町内の現状と地域経済への影響について。 「新型コロナの影響により、観光入り込み客数は令和元年の約88万人と比べ、令和2年約55万5000人(令和元年比63%)、令和3年約66万人(同年比75%)と大きく落ち込んでいます。社会的にもウィズコロナを念頭に置いた取り組みが浸透しつつあり、回復傾向にはありますが、観光業が基幹産業である本町では未だその影響は大きいです。これまで複数の事業者が廃業に追い込まれるなど依然として厳しい現状です」 ――町独自の新型コロナ関連支援策についてうかがいます。 「本年度の事業としては、新型コロナウイルス感染症および物価高騰などの影響により売り上げが落ち込んでいる町内事業所や企業の支援をはじめ、町民の消費喚起を刺激すべく、プレミアム率30%の『やないづ福満商品券』を販売し好評をいただいています。また、新型コロナウイルスの影響で苦戦している旅館・事業所を支援すべく、町内の宿泊施設を利用した宿泊者に商品券を贈呈する『宿泊助成事業』も実施しています。コロナ禍での原油高騰・物価高騰対策として町内の水稲農家の事業継続を支援するため、『水稲経営安定化事業』も展開しています」 ――10月1日、JR只見線が全線再開通の運びとなりました。 「待望の全線再開通ですが、今後いかに地域振興につなげていくかが大きな課題と認識しています。同路線は、上下分離方式により、県ならびに沿線自治体に負担がかかるため、地域住民が納得する取り組みと成果が求められます。一方、只見線と奥会津の景色が織りなす絶景は国内外を問わず多くの方々を魅了しています。特にタイ、台湾で非常に高い人気を誇っています。地域振興にインバウンド誘客は大変有効な手段ですので、県や沿線自治体との連携強化を図りながら積極的なPRをはじめ、受け入れ態勢の整備に努めていきたいと考えています。 現在、JR会津柳津駅駅舎の町有化に向けJR東日本と協議を進めており、令和5年度には改修工事に着手する予定です。本町が発祥地とされる赤べこの張子工房やカフェを設置し、駅と赤べこの魅力を融合させ、新たな観光の目玉にしたいと考えています」 ――その他の重点事業について。 「斎藤清美術館大コレクション展開催事業による観光交流人口の創出をはじめ、本町の歴史・文化の維持・発展を狙いとする歴史的風致維持向上計画の策定に向け鋭意取り組んでいきます」 柳津町ホームページ 政経東北【2022年11月号】 あわせて読みたい 【米アップル出身】藤井靖史さんに聞く「DXって何?」

  • 【飯舘村】杉岡誠村長インタビュー

    【飯舘村】杉岡誠村長インタビュー

     1976年生まれ。日大理工学部卒。東京工業大大学院理工学研究科博士前期課程修了。飯舘村農政第一係長などを経て2020年10月の村長選で初当選。  ――蕨平地区で「飯舘みらい発電所」の建設が進められています。 「飯舘みらい発電所は、『飯舘バイオパートナーズ』が事業実施主体となって建設・運営をするもので、出力7500㌔㍗、年間売電量5300万㌔㍗時(一般家庭約1万7000軒相当)規模を計画しています。使用燃料は村内間伐材のほか浜通り地域を中心に県内の間伐材や製材の過程で発生するバークなどを年間9万5000㌧使用する計画です。これにより、村内をはじめ県内の森林整備が促進され、里山再生や林業活性化、経済効果、脱炭素社会の推進などに貢献できると期待しています。また、村では発電所からの排熱を利用した『未来志向型農業』として新たな農業展開にも期待しているところです」 ――2022年9月23日から特定復興再生拠点区域の準備宿泊が始まるなど、避難指示解除に向けた取り組みが進められています。 「長泥地区の特定復興再生拠点区域は来春解除を目標に協議や準備を進めています。避難指示解除に当たっては、引き続き住民の皆様のご意見をうかがいながら、国・県各関係機関と協議を進めていきます」 ――移住・定住促進に向けて新規就農者向けの研修宿泊施設の整備が進められています。 「新規就農者向け施設はまだ構想段階ですが、移住・定住促進事業として、7月に『いいたて移住サポートセンター』を開所しました。これは、民間事業者のノウハウを生かし、さらなる移住を推進するほか、交流・移住の最初の窓口対応を担うためのものです。また、8月、9月に村主催で初めて移住体験ツアー『ミチシル旅』を実施しました。第3回目は11月26日から27日に予定しています」 ――その他重点事業について。 「被災から11年半以上が経ち、飯舘村は『選んで住む、住み直す』場所になっています。一方で純農山村として農畜産業が主幹産業の本村ですが、高い技術、経験を必要とする農畜産業以外にも、あらたな意欲的な取り組み、『なりわい』の創出を支援しています。具体的には、木質バイオマス発電事業等による関連産業の強化発展、企業誘致による雇用の場の確保と併せ、商工業分野における『起業』を支援しています。また、ハンドメイド作品の販売など、小規模に事業をスタートさせたい方を支援する『スタートサポート補助金』というメニューも準備し、村でなりわいを興すにあたって細かなニーズに合うように組み立てました。福島県創業促進補助金や自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金など、事業活用希望者への支援も継続して行っており、強力な『なりわい』の創出を推進しています」 飯舘村ホームページ 政経東北【2022年11月号】

  • 【石川町】塩田金次郎町長インタビュー

    【石川町】塩田金次郎町長インタビュー

     1947年生まれ。学法石川高校、亜細亜大学中退。石川町議2期、県議4期を歴任し、2018年9月の町長選で初当選。現在2期目。  ――8月の町長選で2度目の当選を果たしました。率直な感想をおうかがいします。 「2期目当選という責任の重さを感じています。コロナ禍という厳しい時代に入り、さらに物価や原油の高騰、ウクライナ問題、円安など、厳しい状況は続いています。町の生き残りをかけて、町民の声に寄り添い、町民のニーズに応えながら、しっかりと町づくりに取り組んでいかなければならないと思っています」 ――新型コロナウイルスのワクチン接種状況はいかがでしょうか。 「順調に進んでおり、65歳以上の町民の84%が4回目の接種を終えました。今後はオミクロン株対応ワクチンの接種を県や国の指導を受けながら進めていきます。これまで『町民の命と健康を守っていく』という基本理念のもと『広報いしかわ』などで感染防止のマナー、エチケット、ルールなどを啓蒙してきました。今後も町民へのワクチン接種の呼びかけなど、精力的に取り組んでいきます」 ――道の駅整備計画の進捗について。 「令和7年度の完成に向けて計画を進めています。場所は西部工業団地付近の大橋地区に決まり、2万5000平方㍍規模になります。また道の駅の運営は公民連携で行っていく方針です」 ――重点事業についておうかがいします。 「1つは石川町に合った医療体制の構築です。8月にドクターヘリポートが完成し、郡山には15分、福島には30分でアクセスできるようになりました。今後は町にある8つの医院と連携を強化し、町民の安心を確保していきます。 2つは人口減少対策として子育て支援を充実させます。小中学校の給食費全額補助、お子さんの一時預かりや送迎などのファミリーサポートの充実、最高200万円の補助や5年間の固定資産税免除などの若者世代の一戸建て推進補助に取り組んでいきます」 ――今後の抱負。 「『聞く力』、『交渉する力』、『発信する力』の3つに注力して取り組んでいきます。聞く力は、町の集会所や自治センターに直接出向き、町民と対話し、どのような要望があるかを聞いていきます。交渉する力は、必要な情報や有用な事業がないか、積極的に県や国に出向き交渉していければと思っています。発信する力は、本町の弱点であるPR不足を解消していきます。温泉、桜、鉱物、自由民権運動の発祥の地など、町の魅力がたくさんある中で、石川町観光物産協会を法人化することによって、より専門的に、よりダイレクトに情報発信できるよう取り組んでいきます」 石川町ホームページ 政経東北【2022年11月号】

  • 【三春町】坂本浩之町長インタビュー

    【三春町】坂本浩之町長インタビュー

    1956年生まれ。田村高、専修大法学部卒。1979年に三春町職員となり、総務課長、副町長などを歴任。2019年9月の町長選で初当選を果たした。  ――今年は「滝桜」が天然記念物指定100周年を迎えた記念の年でした。 「昨年度から準備を進め、今年の開花時期には『ぐるっと滝ザクラ』と銘打った期間限定の周遊歩道整備のほか、メモリアルライトアップを行い大変好評でした。来場者数は今年の開花期間が短かったことや、コロナの影響もあって団体客は戻っていませんが、メモリアルライトアップの効果で夜間に訪れる方が多く、最終的に約8万7000人の方においでいただきました。今後もインバウンドを意識した多言語によるPR動画の作成等を行いながら、さらなる観光客誘致に努めていきます」 ――スマートフォンアプリを使用し、三春城をVRで再現する取り組みを進めています。 「広島大学の三浦正幸名誉教授の監修を受け、町民俗資料館所蔵の資料を基に制作しました。制作過程で三春城には日本一険しい崖の上にある三階櫓など3つの日本一があることが分かりました。利用者に大変好評で今後は教育面での利用も考えています。また、来年には新たなVR映像が完成予定です。街なかには神社・仏閣が多々あり、そのうちの10カ寺を2時間ほどで散策できる数珠めぐりなど、観光客の街なか誘致に積極的に取り組んでいますが、新たな起爆材になればと期待しています」 ――来年は河野広中没後100年の記念の年です。 「今年は河野広中の書を中心とした企画展を行いましたが、来年度は没後100年を記念した特別展を開催し、講演会も企画しています。また、自由民権運動を開始した石川町とも連携していきたいと思っています」 ――以前から地域主体となるまちづくりを行っています。 「まちづくり協会を中心にさまざまな取り組みが行われています。特に地域の身近な場所に様々な人が集える場所を設けるサロン事業は町長就任後40カ所ほどとなりました。サロンを通して定期的に地域住民が集まることで、顔なじみの輪が広がり、災害時には地域住民の安否確認やスムーズな避難につながります。今後は生涯学習の場につなげるなど、地域の独自性を生かした場にしたいと思います」 ――今後の抱負を。 「岩江地区は郡山市に隣接し、郡山市より土地価格が安く、転入が多い地域で、子どもの数が増加しています。そこで認定こども園の建設を進め、いよいよ来年度から実施設計が始まります。今後も町の特徴を生かした人口増加策を行っていきたいと思います。また、来年は任期最終年ですので精一杯やっていきたいと思います」 三春町ホームページ 政経東北【2022年11月号】

  • 【郡山商工会議所】滝田康雄会頭インタビュー

     たきた・やすお 1944年生まれ。郡山市出身。安積高、学習院大法学部卒。東北アルフレッサ最高顧問。郡山青年会議所理事長、郡山商議所青年部会長などを歴任。  滝田康雄氏が郡山商工会議所会頭に再任され、3期目の任期がスタートした。1期目は震災・原発事故からの復興、2期目は新型コロナ禍への対応と10年、20年後を見据えた民間発想のまちづくり「郡山グランドデザイン」の具現化にまい進し、3期目は、中小企業の活力強化と地域経済の活性化についても取り組む。滝田氏に今後の方針と取り組みについて聞いた。  ――3期目の任期がスタートしました。抱負をお聞きします。 「これまでは、1期目(2016年11月)当時に東日本大震災・東電福島第一原発事故からの復旧・復興を念頭に『会員事業所の皆様がこの街に希望が持てるようにする』との姿勢で事業を推進してきました。3期目は『中小企業の活力強化』と『地域経済の活性化』をスローガンに掲げます。中小企業の活力強化については、業績の向上が課題です。そのために経営者の意識改革、専門人材の育成、補助金の活用促進に当会議所は『伴走型支援』で臨みます。 地域経済の活性化については、企業・団体が主体となって開催する大規模セミナーや国際会議、展示会などのビジネスイベントの誘致や広域連携を軸とした観光振興に取り組みます」 ――新型コロナが収束しない中、会員事業所からはどのような声が寄せられていますか。現状と郡山商議所の取り組みを教えてください。 「一般論として、内需拡大には至っていません。地域経済は、いまだ需要の回復途上にありますので、企業は、自助努力だけでは対応できない厳しい経営環境にあります。実質無担保無保証人の融資(ゼロゼロ融資)を活用し、緊急事態を耐えた事業所が多く、返済も厳しい状況にあると聞きます。 当会議所はウィズコロナの中、いかに事業を進めていくかを考えています。職員には、『コロナ禍だからだめ』なのではなく『コロナ禍だからこそこうしたい』と考えを転換せねばと訴えています。ビール祭も開催に対する懸念の声が寄せられました。中小企業の状態、飲食業、観光業を見るとこのままにしてはおけない。地域経済再生に向けて行動を起こそうという思いがあり、感染拡大防止策を入念にし、開催にこぎ着けました。 閉塞感が漂っていた中、開催したことで、『よくやってくれた』と市民の皆様や各業界から、大きな賞賛をいただきました。タクシーの運転手さんから『今までは商売にならなかったのに、フル回転で体がいくつあっても足りない』と聞いた時は嬉しかったです。会議所にわざわざお礼を言いに来てくださった方もいます。開催に向け奮闘した職員にも私からねぎらいの言葉を掛けたい。 今冬はイルミネーションを規模を拡大して取り組みます。新酒まつりと組み合わせて、イベントを計画しています。若い職員たちが考えてくれました。柔軟性がある企画で若者たちを頼りにしています。 もちろん、感染防止対策は大前提です。気を抜かずに、コロナ禍での地域経済活性化に取り組んでいきます」 ――昨年2月、今年3月と続いた福島県沖地震の影響も深刻です。管内への影響はどうですか。郡山商議所の取り組みについても教えてください。 「当会議所では、早くから国のグループ補助金活用に動き、会議所グループとして、46社約12億円の被害に対して8億6000万円の補助申請を支援しました。その他の被災事業者に対しては、事業継続力の強化を支援するためにBCP計画(企業継続計画)の策定に向けて、中小企業診断士・税理士などの専門家派遣や、福島県よろず支援拠点などと連携し、個別支援事業を実施しています」 ――円安と物価高騰も深刻な問題となっています。また、政府や県、市への要望がありましたら教えてください。 「中小企業は原材料の輸入割合が高いため、円安はデメリットの面が強いです。加えて、原油・原材料の高騰を価格に転嫁できていないようです。そのような中、最低賃金の引き上げや消費税インボイス制度の実施が求められています。必要性は理解できますが、運用面、技術面を含めて小規模事業者への負担が大きいです。政府や県、郡山市にはこれらの運用支援に加え、物価高対策と経営基盤の強化支援の必要性を訴えたいです。 また、適正な利益の確保・価格転嫁の円滑化が進められる制度の必要性を感じます。増加している新規開業の相談については、経営指導員による相談体制を強化して事業計画づくりを支援しておりますが、補助制度・フォローアップ事業等支援メニューの充実を求めたいです」   ――滝田会頭が就任以来掲げていた「若い世代のまちづくりへの参加」について、進展したことをお聞かせください。 「10年後、20年後の郡山をどうしたいかの観点から、当会議所では2018年に民間発の『グランドデザインプロジェクト』を打ち出しました。未来を担う若者の考えを重視しています。交通の中枢である郡山と近隣市町村のそれぞれの持ち味を生かして企業誘致を図ったり、行き来をしやすくするための鉄道利用の構想が盛り込まれるなど、魅力的な地域にすること、そして、人を集め、活性化を進めることを目的としています。 『夢のような話』に聞こえるかもしれませんが、まず理想を掲げなければ実現には至りません。理想の街をこれからの世代の視点で描き、そのために交通、企業、住環境を行政などと一緒に整えていきたいです。 若者の意見の具現化については、一歩ずつ進んでいます。バスロケーションシステムが実施されました。福島交通の路線バスにおいて、スマホアプリを活用することで簡単にバスの位置を把握でき、利便性が向上しました。 教育環境でも大きな進展がありました。安積高校が2025年度に中高一貫校になるとの決定がありました。県立の中高一貫校は会津地区の会津学鳳、浜通り地区のふたば未来学園に続き、安積は県内3校目で、県中地区では初となります。新しく設置される中学校では、高い学力や志を持った子どもたちの育成に力を注ぐことで次世代のリーダーを育成する拠点校となるよう、期待をしています。 歩きやすい道路については県が昨年度から事業に着手しています。歩いて暮らせるまちづくり実現のために今後の推移を見守りたいです。 時間はかかりますが、実現すればエリアバランスが取れた日本一魅力のあるまちになるでしょう。3期目は積極的にまちづくりにシフトしたいと考えています」 郡山商工会議所ホームページ 政経東北【2022年11月号】

  • 【中島村】加藤幸一村長インタビュー

     かとう・こういち 1952年生まれ。岩瀬農業高卒。JAしらかわ理事、中島村農業委員などを歴任し、2004年から村議を2期務める。2010年9月の村長選で初当選。今年9月の村長選で4選を果たした。  ――2022年9月の村長選で1953票を獲得し4選を果たしました。現在の率直な感想は。 「前回、無投票でしたが、今回は8年ぶりの選挙戦となりました。この間支持者の年齢構成は変化しており、苦労した選挙戦だったというのが正直なところです。 選挙期間は新型コロナウイルス感染の〝第7波〟のピークに当たってしまい、公開討論会や総決起大会などは開けませんでした。村民に直接公約などを訴える機会が少なくなったのは残念でしたが、少しでも村民との対話の機会を設けたいと考え、感染対策に気を使いながら、各地域を歩きました。 おかげ様で再選させていただきましたが、投票率は8年前を10ポイント以上も下回る結果となりました。コロナ禍真っ只中の選挙だったことに加え、選挙権年齢が18歳以上となった影響も大きいです。住民票の住所は村内にあっても、進学などで県外に在住している若者が投票できず、投票率が低下したとの指摘もあります。そういう意味で、選挙をめぐる課題は多いと感じました」 ――選挙戦ではどのようなことを訴えたのでしょうか。 「最も強く訴えたのは少子化対策と子育て支援の充実です。保護者の経済負担を軽減する観点から、国に先駆けて保育所・幼稚園の給食費を含む保育料の無償化を実現しました。今年度からは、小学校から中学校までの学校給食費無料化も実施しています。 2017(平成29)年に開設した『児童館輝らキッズ』は、日中保護者がいない家庭の児童・生徒が安全で快適に過ごせる場所として高い評価を得ています。保護者にとっても安心して働けると思います。今後も運営を継続していきたいと考えています。 併せて児童・生徒の学力向上を目指し、教育費を増額してきました。具体的には、『ほめて伸ばす』を基本理念に掲げ、教育委員会を中心に幼稚園、小学校、中学校が緊密に連携し、それぞれの教育課程で連携会議を定期的に実施しています。その成果もあってか、学力は以前に比べて着実に向上しており、小中学生を対象とした全国学力テストの点数では全国平均を上回っている教科も見られます。 ICT教育も推進したいと考え、村内の全小中学生にタブレットを配布し、村独自の取り組みとしてICT支援員を各校に配置するなど、教師と一体となって指導体制の充実を図っています。 このほか、グローバル化を見据えて中学生のマレーシアへの修学旅行も実施してきましたが、現在はコロナ禍で中断しています。感染状況を注視しながら、来年度の再開に向けて準備を進めていく予定です。 人口減少対策にも取り組みます。住宅地13区画を造成し、すでに6区画が分譲済みとなっています。村外からの移住者も多く、できるだけ早い完売を目指しながら、さらなる総合的な施策を実施し、移住定住者の増加を図っていきます。 村民の健康づくり、高齢者の介護予防事業の充実も図っていきます。健康診査受診率向上はもちろん、専門のトレーナーを配置した『健康づくり交流センター輝らフィット』を整備するなど、介護予防にも積極的に取り組んできました。介護保険料が県内で2番目に低い金額となるなど、その効果の大きさを実感しています。 新型コロナウイルス感染対策は最重要課題です。4回目のワクチン接種が始まりましたが、国・県と緊密に連絡を取りながら、感染対策に取り組んでいきます」 ――ロシアによるウクライナ侵攻や円安などの影響で物価高となっています。村としての対策は。 「コロナ禍に加えて、物価高が発生したことで経済はすっかり冷え込んでおり、村内の商店の売り上げは落ち込んでいます。村では商工会に対し、継続して補助金を交付しているほか、『輝らめき商品券』事業第3弾として、臨時交付金を利用して村民に一人当たり1万円分の商品券を配布しました。ガソリン価格高騰を受け、事業者には30万円を限度に助成する事業も行っています。今後もプレミアム商品券の販売といった形で支援を継続したいと考えています」 ――役場庁舎改築の進捗状況は。 「8月から工事が始まり、来年5月に1期工事が完了します。2024(令和6)年完成予定です。現庁舎は手狭で災害発生時に防災拠点として使用するのは困難でした。バリアフリーにも対応しておらず、期日前投票などの際には非常に心苦しく感じていました。そこで新たにエレベーターを設置するほか、来庁者が気軽に使用できるトイレ、職員用の休憩室・更衣室といった設備も設けます。 物価高の影響により、原材料費が高騰していますが、村長就任時から基金を10億円以上積み増して準備してきました。市町村役場機能保全緊急対策事業という国の起債事業を利用して建設しており、通常の庁舎建設に比べて村負担は少なく済むと思います」インフラ整備に注力する ――今後取り組んでいきたい重点事業について。 「村長に就任してから令和元年東日本台風などの水害により、代畑・松崎地区が2度にわたって大きな被害を受けました。そこで内水を阿武隈川に放出する排水ポンプの設置に向けて準備を進めています。来年度設置を目指し、準備が整い次第、早急に着工したいと思います。 また、継続事業ではありますが、農道・村道の長寿命化といったインフラ整備をさらに進めていきます。選挙期間中にも住民から多く要望があがった事業です。 私自身の選挙公約にも『社会資本インフラ整備等の地域格差解消に向けて光が一隅を照らすことができる村政』と掲げ、きめ細かい政策を訴えてきました。公約実現のためにも、未整備個所の整備や長寿命化に向けて取り組んでいきます。 村内の農業所得は県内でもトップクラスです。認定農業者への農地の流動化も加速しており、新規農業者支援制度もスタートしています。こうした流れをうまく活用し、遊休農地解消につなげていきたいと考えています」 ――今後の抱負。 「村政に対する村民の皆さんの要望は複雑・多岐にわたります。4期目を終えたとき、村民の皆さんに『村長職を託してよかった』と言われるような村政を執行していきたいと思います。もう一度原点に戻り、足元を見つめ直して、村に何が必要なのか職員と一緒になって考えていきます。来年度からは第6次中島村総合振興計画が始まります。その実現を目指しつつ、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた村づくりを進めていきたいですね」 中島村ホームページ 政経東北【2022年11月号】

  • 【金山町】押部源二郎町長インタビュー

     おしべ・げんじろう 1949年生まれ。県立川口高校卒。1970年に金山町役場に入庁、副町長などを歴任。2018年9月の金山町長選挙で初当選。2022年10月、無投票で再選を果たした。  ――任期満了に伴う金山町長選挙で無投票での再選を果たしました。まずは現在の率直なご感想についてお聞かせください。 「結果的に無投票当選と相成りましたが、2期目における重責をひしひしと実感しており、身が引き締まる思いです。無投票に慢心することなく、今後も町民の声にしっかり向き合いながら謙虚な姿勢で2期目に臨んでいきます」  ――前回の町長選では、①安心・安全な生活環境の実現、②地域資源を生かした産業の振興、③次代を担う若者・子育て世代への支援――の3つの柱に基づいた選挙公約を掲げていました。これらの公約は1期目でどの程度実現できたとお考えですか。総括をお聞かせください。 「まず①安心・安全な生活環境の実現については、新型コロナへの対応として、円滑なワクチン接種、マスク・消毒液の配布、広報媒体を活用した注意喚起や感染防止対策の推進に注力してきました。 快適な生活環境を充実させるため、ホームヘルプ事業継続支援に取り組んできたほか、有害鳥獣や害虫駆除を円滑にすべく補助対象者を拡大し、新たな補助制度も創設しました。さらに災害時などの危機管理対策として、大型非常持ち出しリュックの配布、主要個所への監視カメラの設置に努めました。 町民の健康促進の観点から、人間ドック助成期間を5年から3年に短縮し、補助率を45%から60%に引き上げました。併せてインフルエンザワクチンの無料接種、高齢者へのエアコン設置、灯油購入の補助に取り組みました。そのほか、自動車の急発進防止装置への補助を実施したり、空き家改修補助を100万円から150万円に引き上げました」 ――②地域資源を生かした産業の振興についてはどのように取り組んできましたか。 「農業分野への支援として、農業機械購入補助を100万円から150万円に増額しました。加えて赤カボチャやアザキ大根、エゴマ等のブランド化推進と付加価値の向上を図る観点から、種子の固定化事業にも取り組みました。このほか、生産振興補助率の引き上げ、地元農産物の6次化商品開発を狙いとする加工施設の整備、稲作経営の持続化に対する臨時交付金事業、新規就農支援事業の創設などを行いました。 商工業分野の支援としては、町内の消費拡大を図るため、従来のプレミアム率10%から25%にアップしたプレミアム商品券を発行しました。さらに商品宅配事業の制度化、本県初となる特定地域づくり事業協同組合支援事業、小規模企業基本条例の制定、レジの改修や更新時の支援、原油高騰・物価高騰支援事業に努めました。 さらに、観光誘客や観光需要の掘り起こしに向けて、ホームページ・テレビ・新聞・ミニコミ等の広報媒体を活用した積極的な観光PR・情報発信、観光タクシー運行補助制度の創設、主要観光スポットに位置づけられる『霧幻峡の渡し』へのトイレ設置や船着き場といった関連施設の整備事業を実施しました」 ――最後に③次代を担う若者・子育て世代への支援について。 「快適環境下での保育と学びを充実させるため、町内保育所・小中学校へのエアコン設置、小・中学校での外国語指導助手の単独配置、英検等の中学生各種検定受講料の公費負担などの事業を進めてきました。 子育て世代の負担軽減策として、幼児に関しては、保育料無料化、延長保育・土曜保育無料化、チャイルドシート無料貸し出し事業を実現しました。小中学生に関しては、給食費・教材費無料化、修学旅行費支援(交通費・宿泊費無料)、入学準備品支援(運動着・制服各1セット無料)、夏休み学習塾事業を行っています。県立川口高校の生徒に関しては、通学費半額補助、部活動補助、寮生支援(寮費・食費等の補助)を実施してきました。 併せて子育て世代の住宅環境改善策として、上横田地区に町営住宅9戸を建設・整備しました。 そのほか、JR会津川口駅前に移住支援センターを開設し、結婚祝い金を5万円から10万円に増額しました。出産祝い金も一律5万円から第1子・第2子30万円、第3子以降50万円に増額し、不妊治療の個人負担ゼロなどの事業にも着手してきました。  1期4年間の中で、公約を果たせた施策がある一方、まだまだ不十分な点や新たな施策が求められることが少なくありません。住んでいる町民が〝住みたい〟と思うまちづくりに向け、先述した3つの柱をさらに進化・充実させていきます」 ――平成23年7月新潟・福島豪雨で甚大な被害を受け、一部不通となっていたJR只見線が10月1日、全線再開通の運びとなりました。今後、観光振興や地域活性化にどう取り組んでいく考えですか。 「只見線の全線再開通は全国的に注目され、沿線各地では大変なにぎわいを見せています。このにぎわいが一過性のブームに終わることがないよう、今後は沿線自治体や観光地との連携を強化し、持続的な観光交流人口の創出に尽力していきたいと考えています。 全線再開通に伴い、金山町観光物産協会を運営主体とするレンタカー事業がスタートしました。これまで本町の自然を気軽に楽しんでもらえるよう観光タクシーやレンタサイクルなど来訪者の移動手段の確保に努めてきましたが、レンタカー事業が始まったことで、利便性が一層高まることは間違いありません。 昨年秋には、只見柳津県立自然公園とその周辺が越後三山只見国定公園に編入されました。町内の大塩炭酸泉、滝沢川の甌穴群も同国定公園に加わることで、本町にある自然遺産の存在感はさらに増しています。 今後は、道の駅奥会津かねやま、東北電力奥会津水力館『みお里』、天然炭酸温泉、『霧幻峡の渡し』、沼沢湖などの観光資源についてさまざまな情報媒体を活用し、きめ細かな魅力発信に取り組みます。併せて玉縄城址遊歩道やビューポイントの整備に努め、来訪者の滞在時間延長や回遊性の向上に注力していく考えです」 ――その他の重点事業について。 「まず、1期目で不十分だった高齢者世帯に対する除排雪体制の強化と支援の拡充について、重点的に取り組みます。次いで地域Wi―Fiの整備です。通信環境の改善による生活利便性の向上をはじめ、若年層における通信費の負担軽減、移住・定住の促進につなげていきたいと考えます。また、大規模自然災害が頻発する昨今、町民における危機意識の向上と防災・避難体制の確立や既存の公共施設や観光施設の長寿命化を図っていきます」 金山町ホームページ 政経東北【2022年11月号】

  • 【柳津町】小林功町長インタビュー

     1963年2月生まれ。国士舘大学卒。2008年4月から柳津町議を務め、副議長などを歴任。2019年6月の町長選挙で初当選。現在1期目。  ――新型コロナウイルス感染拡大における町内の現状と地域経済への影響について。 「新型コロナの影響により、観光入り込み客数は令和元年の約88万人と比べ、令和2年約55万5000人(令和元年比63%)、令和3年約66万人(同年比75%)と大きく落ち込んでいます。社会的にもウィズコロナを念頭に置いた取り組みが浸透しつつあり、回復傾向にはありますが、観光業が基幹産業である本町では未だその影響は大きいです。これまで複数の事業者が廃業に追い込まれるなど依然として厳しい現状です」 ――町独自の新型コロナ関連支援策についてうかがいます。 「本年度の事業としては、新型コロナウイルス感染症および物価高騰などの影響により売り上げが落ち込んでいる町内事業所や企業の支援をはじめ、町民の消費喚起を刺激すべく、プレミアム率30%の『やないづ福満商品券』を販売し好評をいただいています。また、新型コロナウイルスの影響で苦戦している旅館・事業所を支援すべく、町内の宿泊施設を利用した宿泊者に商品券を贈呈する『宿泊助成事業』も実施しています。コロナ禍での原油高騰・物価高騰対策として町内の水稲農家の事業継続を支援するため、『水稲経営安定化事業』も展開しています」 ――10月1日、JR只見線が全線再開通の運びとなりました。 「待望の全線再開通ですが、今後いかに地域振興につなげていくかが大きな課題と認識しています。同路線は、上下分離方式により、県ならびに沿線自治体に負担がかかるため、地域住民が納得する取り組みと成果が求められます。一方、只見線と奥会津の景色が織りなす絶景は国内外を問わず多くの方々を魅了しています。特にタイ、台湾で非常に高い人気を誇っています。地域振興にインバウンド誘客は大変有効な手段ですので、県や沿線自治体との連携強化を図りながら積極的なPRをはじめ、受け入れ態勢の整備に努めていきたいと考えています。 現在、JR会津柳津駅駅舎の町有化に向けJR東日本と協議を進めており、令和5年度には改修工事に着手する予定です。本町が発祥地とされる赤べこの張子工房やカフェを設置し、駅と赤べこの魅力を融合させ、新たな観光の目玉にしたいと考えています」 ――その他の重点事業について。 「斎藤清美術館大コレクション展開催事業による観光交流人口の創出をはじめ、本町の歴史・文化の維持・発展を狙いとする歴史的風致維持向上計画の策定に向け鋭意取り組んでいきます」 柳津町ホームページ 政経東北【2022年11月号】 あわせて読みたい 【米アップル出身】藤井靖史さんに聞く「DXって何?」

  • 【飯舘村】杉岡誠村長インタビュー

     1976年生まれ。日大理工学部卒。東京工業大大学院理工学研究科博士前期課程修了。飯舘村農政第一係長などを経て2020年10月の村長選で初当選。  ――蕨平地区で「飯舘みらい発電所」の建設が進められています。 「飯舘みらい発電所は、『飯舘バイオパートナーズ』が事業実施主体となって建設・運営をするもので、出力7500㌔㍗、年間売電量5300万㌔㍗時(一般家庭約1万7000軒相当)規模を計画しています。使用燃料は村内間伐材のほか浜通り地域を中心に県内の間伐材や製材の過程で発生するバークなどを年間9万5000㌧使用する計画です。これにより、村内をはじめ県内の森林整備が促進され、里山再生や林業活性化、経済効果、脱炭素社会の推進などに貢献できると期待しています。また、村では発電所からの排熱を利用した『未来志向型農業』として新たな農業展開にも期待しているところです」 ――2022年9月23日から特定復興再生拠点区域の準備宿泊が始まるなど、避難指示解除に向けた取り組みが進められています。 「長泥地区の特定復興再生拠点区域は来春解除を目標に協議や準備を進めています。避難指示解除に当たっては、引き続き住民の皆様のご意見をうかがいながら、国・県各関係機関と協議を進めていきます」 ――移住・定住促進に向けて新規就農者向けの研修宿泊施設の整備が進められています。 「新規就農者向け施設はまだ構想段階ですが、移住・定住促進事業として、7月に『いいたて移住サポートセンター』を開所しました。これは、民間事業者のノウハウを生かし、さらなる移住を推進するほか、交流・移住の最初の窓口対応を担うためのものです。また、8月、9月に村主催で初めて移住体験ツアー『ミチシル旅』を実施しました。第3回目は11月26日から27日に予定しています」 ――その他重点事業について。 「被災から11年半以上が経ち、飯舘村は『選んで住む、住み直す』場所になっています。一方で純農山村として農畜産業が主幹産業の本村ですが、高い技術、経験を必要とする農畜産業以外にも、あらたな意欲的な取り組み、『なりわい』の創出を支援しています。具体的には、木質バイオマス発電事業等による関連産業の強化発展、企業誘致による雇用の場の確保と併せ、商工業分野における『起業』を支援しています。また、ハンドメイド作品の販売など、小規模に事業をスタートさせたい方を支援する『スタートサポート補助金』というメニューも準備し、村でなりわいを興すにあたって細かなニーズに合うように組み立てました。福島県創業促進補助金や自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金など、事業活用希望者への支援も継続して行っており、強力な『なりわい』の創出を推進しています」 飯舘村ホームページ 政経東北【2022年11月号】

  • 【石川町】塩田金次郎町長インタビュー

     1947年生まれ。学法石川高校、亜細亜大学中退。石川町議2期、県議4期を歴任し、2018年9月の町長選で初当選。現在2期目。  ――8月の町長選で2度目の当選を果たしました。率直な感想をおうかがいします。 「2期目当選という責任の重さを感じています。コロナ禍という厳しい時代に入り、さらに物価や原油の高騰、ウクライナ問題、円安など、厳しい状況は続いています。町の生き残りをかけて、町民の声に寄り添い、町民のニーズに応えながら、しっかりと町づくりに取り組んでいかなければならないと思っています」 ――新型コロナウイルスのワクチン接種状況はいかがでしょうか。 「順調に進んでおり、65歳以上の町民の84%が4回目の接種を終えました。今後はオミクロン株対応ワクチンの接種を県や国の指導を受けながら進めていきます。これまで『町民の命と健康を守っていく』という基本理念のもと『広報いしかわ』などで感染防止のマナー、エチケット、ルールなどを啓蒙してきました。今後も町民へのワクチン接種の呼びかけなど、精力的に取り組んでいきます」 ――道の駅整備計画の進捗について。 「令和7年度の完成に向けて計画を進めています。場所は西部工業団地付近の大橋地区に決まり、2万5000平方㍍規模になります。また道の駅の運営は公民連携で行っていく方針です」 ――重点事業についておうかがいします。 「1つは石川町に合った医療体制の構築です。8月にドクターヘリポートが完成し、郡山には15分、福島には30分でアクセスできるようになりました。今後は町にある8つの医院と連携を強化し、町民の安心を確保していきます。 2つは人口減少対策として子育て支援を充実させます。小中学校の給食費全額補助、お子さんの一時預かりや送迎などのファミリーサポートの充実、最高200万円の補助や5年間の固定資産税免除などの若者世代の一戸建て推進補助に取り組んでいきます」 ――今後の抱負。 「『聞く力』、『交渉する力』、『発信する力』の3つに注力して取り組んでいきます。聞く力は、町の集会所や自治センターに直接出向き、町民と対話し、どのような要望があるかを聞いていきます。交渉する力は、必要な情報や有用な事業がないか、積極的に県や国に出向き交渉していければと思っています。発信する力は、本町の弱点であるPR不足を解消していきます。温泉、桜、鉱物、自由民権運動の発祥の地など、町の魅力がたくさんある中で、石川町観光物産協会を法人化することによって、より専門的に、よりダイレクトに情報発信できるよう取り組んでいきます」 石川町ホームページ 政経東北【2022年11月号】

  • 【三春町】坂本浩之町長インタビュー

    1956年生まれ。田村高、専修大法学部卒。1979年に三春町職員となり、総務課長、副町長などを歴任。2019年9月の町長選で初当選を果たした。  ――今年は「滝桜」が天然記念物指定100周年を迎えた記念の年でした。 「昨年度から準備を進め、今年の開花時期には『ぐるっと滝ザクラ』と銘打った期間限定の周遊歩道整備のほか、メモリアルライトアップを行い大変好評でした。来場者数は今年の開花期間が短かったことや、コロナの影響もあって団体客は戻っていませんが、メモリアルライトアップの効果で夜間に訪れる方が多く、最終的に約8万7000人の方においでいただきました。今後もインバウンドを意識した多言語によるPR動画の作成等を行いながら、さらなる観光客誘致に努めていきます」 ――スマートフォンアプリを使用し、三春城をVRで再現する取り組みを進めています。 「広島大学の三浦正幸名誉教授の監修を受け、町民俗資料館所蔵の資料を基に制作しました。制作過程で三春城には日本一険しい崖の上にある三階櫓など3つの日本一があることが分かりました。利用者に大変好評で今後は教育面での利用も考えています。また、来年には新たなVR映像が完成予定です。街なかには神社・仏閣が多々あり、そのうちの10カ寺を2時間ほどで散策できる数珠めぐりなど、観光客の街なか誘致に積極的に取り組んでいますが、新たな起爆材になればと期待しています」 ――来年は河野広中没後100年の記念の年です。 「今年は河野広中の書を中心とした企画展を行いましたが、来年度は没後100年を記念した特別展を開催し、講演会も企画しています。また、自由民権運動を開始した石川町とも連携していきたいと思っています」 ――以前から地域主体となるまちづくりを行っています。 「まちづくり協会を中心にさまざまな取り組みが行われています。特に地域の身近な場所に様々な人が集える場所を設けるサロン事業は町長就任後40カ所ほどとなりました。サロンを通して定期的に地域住民が集まることで、顔なじみの輪が広がり、災害時には地域住民の安否確認やスムーズな避難につながります。今後は生涯学習の場につなげるなど、地域の独自性を生かした場にしたいと思います」 ――今後の抱負を。 「岩江地区は郡山市に隣接し、郡山市より土地価格が安く、転入が多い地域で、子どもの数が増加しています。そこで認定こども園の建設を進め、いよいよ来年度から実施設計が始まります。今後も町の特徴を生かした人口増加策を行っていきたいと思います。また、来年は任期最終年ですので精一杯やっていきたいと思います」 三春町ホームページ 政経東北【2022年11月号】