福島県は3月28日、公用車のカーナビや携帯電話など、テレビ受信機能がある計93台の機器について、NHKと受信契約を結んでおらず、受信料が未払いになっていたことを発表した。
県によると、全国の自治体で同様の事例があり、調査を行ったところ、公用車87台に設置されたカーナビと、ワンセグ付きの携帯電話6台の計93端末分のNHK受信料が未払いになっていたという。カーナビやワンセグ付きの携帯電話が受信契約の対象であることを認識していなかったのが原因。今回の調査で確認できたもので、最も古いものは2009年に導入した公用車だった。
それをどこまで遡って支払うか、「現在、NHKと協議中」(県総務課)とのことだが、未払い額は600万~700万円ほどになると試算されている。
NHK受信料は放送法で規定され、第64条に「協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会と受信契約を締結しなければならない」とある。これに基づいて、総務大臣の認可を得て定めた日本放送協会放送受信規約第5条では「放送受信契約者は、放送受信料を支払わなければならない」と規定されている。
つまりは、受信機(テレビやテレビ機能付き端末など)を設置したら、NHKと受信契約を結ばなければならず、受信料の支払い義務が発生するということ。
これは見る・見ないに関わらず、「公共放送としてのNHKの運営を支える財源は、テレビ等の受信機を設置しているすべての方に負担していただく受信料によることが、最も適切であるとの考え方に基づくもの」(NHKホームページ「よくある質問集」より)という。
ただし、個人の場合は世帯単位での契約となるため、1世帯にテレビ、カーナビ、スマホなどが何台あっても、その度に追加契約や支払い義務は生じない。要するに、2台だったテレビを3台に増やしたとか、以前はカーナビが付いていなかったが、自家用車の買い替えに合わせてカーナビを付けたとしても、すでにその世帯で受信契約を結んでいれば、追加契約・支払いの必要はないということ。
これに対して、法人・事業者は受信できる端末(テレビ、カーナビ、スマホなど)ごとに個別契約が必要になる。県(自治体)は法人・事業者と同じ扱いになるため、カーナビやワンセグ付きの携帯電話など1台ごとに個別契約が必要になるが、それが漏れていたというのが今回の問題だ。
同様の事例は全国の自治体で確認されている。ただ、それらニュースに対するネットのコメントなどを見ると、「制度自体がどうかと思う」という内容であふれていた。
法律に基づくルールだから、県などの公的機関がそれに従うのは当然のことで、「知らなかった」で済まされるものではない。
その一方で、自治体が受信料を支払う場合、その原資は言うまでもなく税金である。国・自治体は住民の福利のためにある、という大原則に倣えば、公用車に付けられたカーナビについて、NHK受信料を支払うことが、「住民の福利のため」になるとは思えない。そう考えると、「制度自体がどうかと思う」というのも理解できる。