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古殿町

  • 「議員定数議論」で対応分かれた古殿町・玉川村・平田村

    「議員定数議論」で対応分かれた古殿町・玉川村・平田村

     古殿町、玉川村、平田村の石川郡3町村は3月に同時日程で議員選挙が行われる。それに先立ち、それぞれの町村議会で、昨年から議員定数のあり方を議論してきたが、結果は三者三様のものだった。(末永) 重要なのは住民にとって有益な存在かどうか 3町村の基礎データ面 積人 口議員定数古殿町163・29平方㌔4655人10玉川村46・47平方㌔6191人12平田村93・42平方㌔5413人12※人口は古殿町が昨年12月31日、玉川村が今年1月1日、平田村が昨年12月1日時点  任期満了に伴う古殿町議選、玉川村議選、平田村議選が3月19日告示、24日投開票の日程で行われる。それを前に、各議会では昨年から議員定数をどうするかを検討してきた。結果から言うと、古殿町は2減(12人→10人)、玉川村は現状維持(12人)、平田村はひとまず現状維持(12人)として改選後の議会で再度議論する――という三者三様のものだった。同じ石川郡ということもあり、関係者はそれぞれの議会の動きに注目していたようだ。関係者だけでなく、住民から「向こう(近隣町村)はこうだったが、ウチは……」といった話を聞く機会もあった。 古殿町議会 古殿町役場  古殿町議会は、昨年10月から12月まで、全員協議会で5回にわたり議論を重ねてきた。同町議会は2012年までは定数が14だったが、同年3月の改選時に12に減らした。それから12年が経ち、あらためて議員定数のあり方を議論したのである。  根底にあるのは、2012年に定数削減したころから、人口が約1500人減少していること。もう1つは、町民から「人口が減少しているのだから、それに倣って、議員定数も減らすべき」といった声が出ていたこと。  なお、3町村の基礎データを別表にまとめたが、古殿町は行政区分こそ「町」だが、玉川村、平田村より人口が少ない。反して、面積はだいぶ広く「町内全域に目を向ける」という点では、3町村の中では最も大変な地域と言える。  そうした中で議論を重ね、昨年12月議会で、議員発議で定数削減案(条例改正案)が出され、採決の結果、賛成7、反対4の賛成多数で可決された。反対意見としては、町民の声が届きにくくなること、若い人や女性などが議員になるハードルが高くなること、議論が十分でないこと――等々が挙げられた。議案審議(討論)の中でも、そうした意見が出たが、結果は前述の通り。  ある関係者は「反対する人もいましたが、人口減少、時代の流れなどからしても、(2減は)妥当だったのではないか」と話した。  一方、選挙に向けた動きについては、「削減によって枠が2つ減るわけだから、常に上位当選している人以外は、いろいろと気にしているようだ。ただ、いま(本誌取材時の1月中旬時点)は、それぞれが様子見という段階で、現職の誰が引退して、新人のこんな動きがある、といった具体的なことは見えてこない」(前出の関係者)という。 玉川村議会 玉川村役場  玉川村議会は、昨年10月から11月にかけて、議員定数に関する住民アンケートを実施した。対象は全1799世帯、回答数は1029件(回収率57・2%)だった。  もっとも多かった回答は現在の定数12から2減の「10人」で402(39・1%)。以下、現状維持の「12人」が382(37・1%)、「8人以下」が156(15・2%)と続く。この3つで全体の90%超を占める。2減の「10人」と、現状維持の「12人」が拮抗しているが、「8人以下」を含めた「削減」という点で見るならば、半数を超えている。  少数意見としては、「18人」が22、「16人」と「14人」がそれぞれ1あり、増員を求める回答もあった。逆に「0人」、「1人」、「2人」という回答がそれぞれ1ずつあった。  ちなみに、議会は「最低人数は何人」といった規定はないが、「議長を置いたうえで議論できる」ことが条件になる。つまり、議長1人と、議長を除いて議論するために最低2人が必要だから、議員の最小人数は3人という解釈になり、それ未満はあり得ない。一方、地方自治法(94条、95条)では、議会を置かず、それに代わって選挙権を有する住民による総会(町村総会)を設けることができる、と規定されている。60年以上前はその事例があったが、近年はない。 賛成、反対意見の中身  話を戻して、玉川村議会はアンケート結果を踏まえ、全員協議会で検討した。そのうえで、昨年12月議会で議員発議によって、議員定数を10にする条例改正案が提出された。採決の結果、賛成5、反対6の賛成少数で否決された。  以下、その際に行われた討論の概要を紹介する。  賛成討論  小林徳清議員▽少子高齢、人口減少にあえぐ市町村情勢は、議員定数削減の方向となっている。アンケートの結果からも民意は削減を求めており、現状維持は村民の理解が得られないばかりか、アンケートの意味をなさない民意無視となり、議会・議員に対して不信感を招き、保身と批判を受けることになる。議員として、多くの民意を反映させる職務と責務から、アンケートに基づく定数2削減に大いに賛成。  塩澤重男議員▽今回のアンケートでは様々な意見があった。その中でも、削減が過半数の58%を占めている。人口減少が加速する中、議員定数も減らすべきであり、村民の意見を真摯に受け止め、定数削減に賛成する。  大和田宏議員▽アンケート結果で、当然、少数派意見も尊重しなければならないが、やはり多数派意見に重点を置かなければならないので賛同する。削減した場合はメリット・デメリットが出るが、デメリットは今後協議しながらカバーしていけばいいと思う。それぞれの議員がすぐに活動できる環境を進めていき、デメリットを克服しながら十分対応できると考えるので賛成。  石井清勝議員▽近隣の市町村では10人で運営しているところも多くある。人口だけでなく、予算も考慮しながら、住民の代表として、村をいかに良くしていくか、活性化していくかを考えていく必要がある。議員自ら身を削ってやっていかないと村も活性化しないと思うので賛成する。  反対討論  佐久間安裕議員▽議員定数見直しに反対するものではなく、今回は十分に議論する時間がない中での削減のため反対する。アンケート結果でも50代以下は現状維持が多く、「現状維持」と「10人」も僅差だった。そういった若い世代の意見を切り捨ててもいいのか疑問を感じる。議会基本条例策定とともに議会改革を進め、内容を公開していくことが求められる中で、いまだ議論の準備段階であり、様々な観点から十分な議論を尽くしていくべき。アンケート結果の民意だから即削減すべきではなく、今回は拙速であるので反対する。  飯島三郎議員▽病人が多数出たりして欠席が多くなってしまうと議会が成り立たなくなる恐れがあるとの思いで、現状維持の判断をした。今回新たな特別委員会が設置され、業務が多くなり、議員1人当たりの業務負担が増加している中で、これ以上人数が少なくなると村内の隅々まで行き届かなくなり、本来の活動ができなくなることは間違いないので、削減に反対する。  三瓶力議員▽今回のアンケートをすべて確認し、皆様の思いや考えをいろいろな方面から検討した。アンケート結果を見ると、現状維持の12人の意見が多かったのは、20代から50代だった。回答数では60代以上からの回答が多く、偏っているのではと感じる。20代から50代の貴重な意見を尊重すべきであり反対する。 深刻ななり手不足  こうした意見があった中、前述したように、議員定数削減案は反対多数で否決された。  賛成した議員は「村民からは、だったらなぜアンケートを実施したのかと言われた」と、早速、批判があったことを明かした。  「住民の意見」がハッキリ出ている中で、「現状維持」の判断をしたのだから、そうした批判が出るのは当然か。  今回取材した近隣町村の関係者からも、「玉川村は住民アンケートまでやって、住民の多数派意見を洗い出したのに、『現状維持』にして批判は出ていないのか? 他村のことながら気になってしまう」との声が聞かれた。  改選後の議会は、そうした批判とも向き合っていかなければならないことを覚えておいた方がいい。  選挙に向けた情勢としては、4人の現職議員が引退する見込みという。昨年4月の村長選に議員を辞して立候補した須藤安昭氏、林芳子氏の2人が議員復帰を目指す可能性はありそうだが、現状はほかに立候補の可能性がありそうな人の動きは見えてこないようだ。  ある議員は、地元行政区で「自分は今期で引退して、誰かにバトンタッチしたい」旨を伝えたところ、自薦他薦ともに後継者になり得る人が出てこなかったという。かといって、「この地区から議員がいなくなるのは困る」との意見もあったことから、やむなく「自分がもう1期やるしかない」という結論に至った事例もあると聞く。それだけ、なり手がいないということだ。  そのため、村内では「『現状維持』にしておきながら、定数割れが起きるのではないか」と懸念する声もあり、もしそうなったら、より批判が大きくなるだろう。  定数割れにならないまでも、「タダでなれるなら」と、何の考え・信条もなく、立候補する人が出てくる可能性もあり、「そうなったら、議会の質の低下を招くのではないか」と憂える住民は少なくない。 平田村議会 平田村役場  平田村議会は、昨年9月に3回の全員協議会を開き、議員定数について検討した。  その中で出された意見は、「人口が減少していることや、住民の声などを踏まえると、削減すべき」というものと、「削減ありきではなく、総合的に考えるべき」というもの。そのほか、「20年以上の議員は引退して後継者に託すべき」、「若い人が立候補できるような条件整備が必要」、「仮に議員を2人削減しても、費用面での効果は予算総額の0・17%に過ぎない」といった意見もあった。当初は、条件付きでの「削減派」が8人、「現状維持派」が4人だったという。  その後、検討が進められる中で、定数を削減した場合、現状維持とした場合のメリット・デメリットが挙げられた。  削減のメリット▽経費削減、意見の集約が早い、議員のレベルアップにつながる、住民からの意見を反映した議員活動がしやすくなる、議員と村民の距離が縮まり議員活動がしやすい。  削減のデメリット▽議員のなり手を狭める、意見が偏る傾向がある、多くの意見が上がらない、委員会が少人数になる、住民の意見が反映されにくくなる、少数意見になり村民のニーズから遠くなる、執行者への監視が不十分になる、多様な意見や考えが反映されず結果十分な議論ができずに決定されてしまう、行政と住民の橋渡しが薄れる、現職議員が有利で若年層・女性の進出が困難になる。  現状維持のメリット▽村民の意見が届きやすい、議員のなり手の門扉を開く、委員会の構成人数が良い、多数精鋭を目指し広く村民の声を反映できる、多数の意見を集約できる、多様性が維持される、新たな立候補者が出やすくなる。  現状維持のデメリット▽議員の資質低下、意見の集約に時間がかかる。賛否拮抗で結論持ち越し  こうして、意見が出されていくうちに、「削減派」と「現状維持派」が拮抗していき、最終的には6対6になった。そのため、「今回は現状維持とし、これらの問題に対しては、住民からの意見等も聞きながら、次期議員で引き続き協議を進めるべきである」との結論に至った。  つまりは、結論を改選後の議会に持ち越したのである。  同村が古殿町、玉川村と少し違うのは、早い段階で新人2人が立候補の動きを見せているのだという。現職は引退する意向の人はおらず、ほかに元職1人が立候補するのではないかと言われている。現状、現職12人、元職1人、新人2人で、選挙戦になるのが濃厚だ。「それだけ、なり手がいるのはいいことだ」と見る向きもあれば、「現職議員は、厳しい選挙戦が予想されるから、減らしたくなかったのだろう」といった批判もあるようだ。  以上、古殿町、玉川村、平田村の議員選挙に向けた定数削減議論について見てきたが、3町村で完全に対応が分かれた格好。同じ石川郡で、同時日程で選挙が行われるだけに、当該町村の住民・関係者などからは「ウチはこうだったけど、向こうはどういう流れであの結論に至ったのか気になる」と、それぞれが気にしている様子。そんな中で、何が正解かと言ったら、「住民にとって有益な議会・議員であるかどうか」しかない。住民にとって有益な存在であれば、「定数を削減すべき」といった意見は出てこないだろうから。削減したところも、現状維持としたところも、一番に意識すべきはそこだ。

  • 【古殿町】岡部光徳町長インタビュー(2023.10)

    【古殿町】岡部光徳町長インタビュー(2023.10)

     おかべ・みつのり 1959年生まれ。学校法人中央工学校卒。株式会社トーホク・オカベ取締役を経て、2003年4月の町長選で初当選。現在6期目。  ――4月の町長選で6選を果たしました。  「自分なりの選挙を展開でき、それに町民の皆様が応えてくださったのは非常に身に余る思いです。当選させていただいた以上は新たな気持ちで行政運営に当たっていきます」  ――6月には4年ぶりに流鏑馬大会が開催され、秋の例大祭も開催されます。  「町内に流鏑馬保存会という組織があり、これは射手の育成を目的としていますが、その成果発表として例年、春と秋に流鏑馬大会を実施しています。春の陣が4年ぶりに開催され、この間、練習の成果を披露する場に恵まれなかったので、そうした意味でも開催できたことには大きな意義があり、秋の例大祭の前段としても弾みがついたと考えています。ただ、5類に移行したとはいえ、新型コロナウイルスの影響はまだまだ考慮しなければなりませんし、この4年間様々な事情で中止してきた経緯もあるので、再開というよりは新たなスタートを切る気持ちで取り組むべきだと考えています。その一環として例大祭の行列のスタート地点を郵便局から公民館に変更し、今後も様々な変更点やポイントを見直し、次年度の開催に向けて関係各所との協議・検討を進めていきます」  ――林業活性化に向け、町内業者と協力して持続可能な林業を目指す取り組みが進められています。  「まだ具体的な内容は完全に定まっていませんが、国・県の制度を踏まえた中で、間伐を中心に森林整備を実施しているところです。また、県と町と地元事業体で団体を組織し、経営収支をプラスに転換させる経営モデル構築の実証事業を行っています。この取り組みは林業事業体のレベル向上にもつながり、現在、町の森林経営計画は森林組合が森林所有者の代理で構築していますが、ゆくゆくは事業体自身で経営計画を構築することも可能になると考えています」  ――今後の重点事業について。  「以前から道の駅拡張について取り組んでおり、地権者の皆様のご理解が得られそうなところまで来ましたので、これを重点事業の一つに据えて取り組んでいきたいと考えています」  ――6期目の抱負について。  「基礎自治体は厳しい状況にありますが、町民の皆様が、笑顔で住んで良かった、ふるどので良かったと思えるようなまちづくりに邁進していかなければなりません。そのためには町民の皆様のご理解とご協力が不可欠です。『今後ともよろしくお願いいたします』という思いで町政運営に取り組んでいきたいと思います」

  • 【古殿町】岡部光徳町長インタビュー

    【古殿町】岡部光徳町長インタビュー

    おかべ・みつのり 1959年1月生まれ。学校法人中央工学校卒。有限会社岡部設備工業取締役、株式会社トーホク・オカベ取締役を経て、2003年4月の町長選で初当選を果たした。現在5期目。  ――4月23日投開票の古殿町長選に、6選を目指して立候補することを表明しました。まずは立候補に至った経緯をお聞かせください。 「『5期で一区切り』と考えていましたが、後援会に相談したところ、『まだ若いんだからもう少し頑張ってみろ』と背中を押していただきました。あらためて熟慮した結果、町議会の昨年12月定例会で立候補を表明しました」 ――5期目の4年間を振り返って。 「令和元年東日本台風、新型コロナウイルスなど有事への対応に追われた印象が強いです。コロナ対策に関しては、感染対策の徹底やワクチン接種、各種支援などに全力で取り組み、不安払拭に努めてきたと自負しています。町民の皆さんにご協力いただいたこともあって、現在は感染状況がかなり落ち着きつつあり、重症化するケースも多くないようなので安堵しています」 ――昨年から祭りやイベントなども再開されるようになっていますが、古殿町ではいかがですか。 「できるだけ再開する方針を打ち出しています。昨年は、町が委託して古殿町商工会が主催している『憩いの森フェスタ』を実施しました。課単位の小規模な忘新年会に関しても、町職員には『自粛せずやってほしい』と話しています。町職員や町議が率先して経済を回す姿勢を示すことも必要だと思います」 ――人口減少が大きな課題となっています。町では体験宿泊施設を設けるなどして、移住定住人口の増加を目指しています。 「町民が案内人となって体験イベントを提供する取り組み〝フルドノタイム〟を昨年に引き続き実施する予定で、現在準備を進めています。27件のプログラムが行われる予定で、協力していただける町民には心から感謝しています。今後のまちの活性化につながっていくことを期待しています。 『大網庵』という茅葺屋根の古民家を改修して、宿泊・テレワーク需要に対応する施設を整備しました。利用者はまだ少ないですが徐々に増えています。このほか、『ふるさと工房おざわふぁーむ』など農業体験を受け入れている農業法人もあり、関係人口増加に貢献しています」 ――子育て支援・教育にも力を入れており、タブレット端末と電子黒板を導入しています。児童・生徒の反応は。 「新たな取り組みなので現場の反応を注視していましたが、ゲーム感覚で勉強できるのか、児童・生徒には大きな抵抗はなかったようです。むしろ指導する教員の方が付いていけない面があるようなので、ICTに精通している地域おこし協力隊を募集し、支援員として配置して、サポートをお願いしています。公共施設にはWi―Fi(公共無線LAN)が整備されています。自宅での学習も滞りなく進めるため、保護者の皆さんに意向調査を行ったうえで、インターネット環境整備へのご協力をお願いしているところです。 子育て支援策にも力を入れています。出産祝い金として第一子5万円、第二子10万円、第三子30万円、第四子以降50万円を支給しており、4月以降は、第三子も50万円に引き上げたいと考えています。 このほか、こども園の保育料や中学校までの給食費、高校生までの医療費を無料にしており、中学校までの各種検定試験費用、スポーツ活動で子どもたちにかかる交通費や宿泊費などの経費も町が負担しています」 ――高齢者が安心して暮らせる環境づくりについて。 「古殿町健康管理センター、古殿町社会福祉協議会と連携しながら、デイケアの利用など、高齢者の相談に応じる体制を構築しています。生活に支障が出てきた方の受け皿としては、社会福祉法人石川福祉会の特別養護老人ホーム『ふるどの荘』、旧大久田小学校舎を再利用した介護老人保健施設『大久田リハビリテーション・ケアセンター』があります。 旧鎌田小学校跡には、公募により高齢者向けグループホーム『けあビジョンホームふるどの』が入居しています。隣接地には、単身高齢者や高齢世帯を対象とした『古殿町高齢者居住施設』を整備し、家族が町外にいる高齢者世帯でも安心して暮らせる環境を整えています。 運転免許を返納した場合なども含め〝交通手段の確保〟が高齢者にとって大きな問題となっています。町では『へき地医療バス・福祉バス』を決まった時間に走らせていますが、さらに公共交通システムを充実させたいと考えており、デマンド交通を含めて研究しているところです。 併せて買い物難民の解消に向け、『道の駅ふるどの』を中心に配食サービスを展開したり、高齢者でも利用できるデジタル端末を配布する構想も検討しています。元気な高齢者が知識・技術を生かして活躍できる場も設けたいですね」 一次産業活性化が基本  ――6期目に実現したい施策を教えてください。 「本町の基幹産業は農林業であり、これら一次産業を活性化させる施策がまちづくりの基本と考えています。 具体的には、米価が下がっており、消費量も落ち込んでいるため、地元産米を学校給食として消費することで応援していきます。 本町の町土の約8割は森林が占めていますが、皆伐した後の対応については国・県による補助制度の対象となっています。森林環境譲与税も含め、補助制度を活用しながら林家が収入を得られる仕組みを確立したいですね。農業振興と交流人口増加につなげるべく、『道の駅ふるどの』の拡張も計画しています。 人口減少対策としては、住宅地の造成・整備を進めています。すでに6区画が分譲済みで、2軒の家が建っています。移住・定住も含めて、『これから暮らしていく場所』として、本町を選んでいただけるまちづくりを進めていきます。 そういう意味でも、重要になるのが教育環境の充実です。学校統合を進めた結果、町内の小中学校は古殿小学校・古殿中学校の2校になりました。今後、学力向上につなげていくにはどうすればいいか、ICT技術導入を進め、文部科学省の動向も見つつ、対応していきます。 高齢者福祉に関しては、先ほどもお話しした通り、どのような形でも町内で暮らせるように環境を充実していく考えです。 古殿町商工会、各事業所と一丸となって、町を元気にする施策を打ち出していきたいと思います」 ――町民に向けて一言。 「町民の皆さんにはさまざまな面でご意見・ご理解をいただきながら町政運営に取り組んできました。再び町政を預からせていただけるのであれば、『初心忘るべからず』という思いを持って頑張るので、よろしくお願いいたします」 古殿町のホームページ 掲載号:政経東北【2023年3月号】

  • 「議員定数議論」で対応分かれた古殿町・玉川村・平田村

     古殿町、玉川村、平田村の石川郡3町村は3月に同時日程で議員選挙が行われる。それに先立ち、それぞれの町村議会で、昨年から議員定数のあり方を議論してきたが、結果は三者三様のものだった。(末永) 重要なのは住民にとって有益な存在かどうか 3町村の基礎データ面 積人 口議員定数古殿町163・29平方㌔4655人10玉川村46・47平方㌔6191人12平田村93・42平方㌔5413人12※人口は古殿町が昨年12月31日、玉川村が今年1月1日、平田村が昨年12月1日時点  任期満了に伴う古殿町議選、玉川村議選、平田村議選が3月19日告示、24日投開票の日程で行われる。それを前に、各議会では昨年から議員定数をどうするかを検討してきた。結果から言うと、古殿町は2減(12人→10人)、玉川村は現状維持(12人)、平田村はひとまず現状維持(12人)として改選後の議会で再度議論する――という三者三様のものだった。同じ石川郡ということもあり、関係者はそれぞれの議会の動きに注目していたようだ。関係者だけでなく、住民から「向こう(近隣町村)はこうだったが、ウチは……」といった話を聞く機会もあった。 古殿町議会 古殿町役場  古殿町議会は、昨年10月から12月まで、全員協議会で5回にわたり議論を重ねてきた。同町議会は2012年までは定数が14だったが、同年3月の改選時に12に減らした。それから12年が経ち、あらためて議員定数のあり方を議論したのである。  根底にあるのは、2012年に定数削減したころから、人口が約1500人減少していること。もう1つは、町民から「人口が減少しているのだから、それに倣って、議員定数も減らすべき」といった声が出ていたこと。  なお、3町村の基礎データを別表にまとめたが、古殿町は行政区分こそ「町」だが、玉川村、平田村より人口が少ない。反して、面積はだいぶ広く「町内全域に目を向ける」という点では、3町村の中では最も大変な地域と言える。  そうした中で議論を重ね、昨年12月議会で、議員発議で定数削減案(条例改正案)が出され、採決の結果、賛成7、反対4の賛成多数で可決された。反対意見としては、町民の声が届きにくくなること、若い人や女性などが議員になるハードルが高くなること、議論が十分でないこと――等々が挙げられた。議案審議(討論)の中でも、そうした意見が出たが、結果は前述の通り。  ある関係者は「反対する人もいましたが、人口減少、時代の流れなどからしても、(2減は)妥当だったのではないか」と話した。  一方、選挙に向けた動きについては、「削減によって枠が2つ減るわけだから、常に上位当選している人以外は、いろいろと気にしているようだ。ただ、いま(本誌取材時の1月中旬時点)は、それぞれが様子見という段階で、現職の誰が引退して、新人のこんな動きがある、といった具体的なことは見えてこない」(前出の関係者)という。 玉川村議会 玉川村役場  玉川村議会は、昨年10月から11月にかけて、議員定数に関する住民アンケートを実施した。対象は全1799世帯、回答数は1029件(回収率57・2%)だった。  もっとも多かった回答は現在の定数12から2減の「10人」で402(39・1%)。以下、現状維持の「12人」が382(37・1%)、「8人以下」が156(15・2%)と続く。この3つで全体の90%超を占める。2減の「10人」と、現状維持の「12人」が拮抗しているが、「8人以下」を含めた「削減」という点で見るならば、半数を超えている。  少数意見としては、「18人」が22、「16人」と「14人」がそれぞれ1あり、増員を求める回答もあった。逆に「0人」、「1人」、「2人」という回答がそれぞれ1ずつあった。  ちなみに、議会は「最低人数は何人」といった規定はないが、「議長を置いたうえで議論できる」ことが条件になる。つまり、議長1人と、議長を除いて議論するために最低2人が必要だから、議員の最小人数は3人という解釈になり、それ未満はあり得ない。一方、地方自治法(94条、95条)では、議会を置かず、それに代わって選挙権を有する住民による総会(町村総会)を設けることができる、と規定されている。60年以上前はその事例があったが、近年はない。 賛成、反対意見の中身  話を戻して、玉川村議会はアンケート結果を踏まえ、全員協議会で検討した。そのうえで、昨年12月議会で議員発議によって、議員定数を10にする条例改正案が提出された。採決の結果、賛成5、反対6の賛成少数で否決された。  以下、その際に行われた討論の概要を紹介する。  賛成討論  小林徳清議員▽少子高齢、人口減少にあえぐ市町村情勢は、議員定数削減の方向となっている。アンケートの結果からも民意は削減を求めており、現状維持は村民の理解が得られないばかりか、アンケートの意味をなさない民意無視となり、議会・議員に対して不信感を招き、保身と批判を受けることになる。議員として、多くの民意を反映させる職務と責務から、アンケートに基づく定数2削減に大いに賛成。  塩澤重男議員▽今回のアンケートでは様々な意見があった。その中でも、削減が過半数の58%を占めている。人口減少が加速する中、議員定数も減らすべきであり、村民の意見を真摯に受け止め、定数削減に賛成する。  大和田宏議員▽アンケート結果で、当然、少数派意見も尊重しなければならないが、やはり多数派意見に重点を置かなければならないので賛同する。削減した場合はメリット・デメリットが出るが、デメリットは今後協議しながらカバーしていけばいいと思う。それぞれの議員がすぐに活動できる環境を進めていき、デメリットを克服しながら十分対応できると考えるので賛成。  石井清勝議員▽近隣の市町村では10人で運営しているところも多くある。人口だけでなく、予算も考慮しながら、住民の代表として、村をいかに良くしていくか、活性化していくかを考えていく必要がある。議員自ら身を削ってやっていかないと村も活性化しないと思うので賛成する。  反対討論  佐久間安裕議員▽議員定数見直しに反対するものではなく、今回は十分に議論する時間がない中での削減のため反対する。アンケート結果でも50代以下は現状維持が多く、「現状維持」と「10人」も僅差だった。そういった若い世代の意見を切り捨ててもいいのか疑問を感じる。議会基本条例策定とともに議会改革を進め、内容を公開していくことが求められる中で、いまだ議論の準備段階であり、様々な観点から十分な議論を尽くしていくべき。アンケート結果の民意だから即削減すべきではなく、今回は拙速であるので反対する。  飯島三郎議員▽病人が多数出たりして欠席が多くなってしまうと議会が成り立たなくなる恐れがあるとの思いで、現状維持の判断をした。今回新たな特別委員会が設置され、業務が多くなり、議員1人当たりの業務負担が増加している中で、これ以上人数が少なくなると村内の隅々まで行き届かなくなり、本来の活動ができなくなることは間違いないので、削減に反対する。  三瓶力議員▽今回のアンケートをすべて確認し、皆様の思いや考えをいろいろな方面から検討した。アンケート結果を見ると、現状維持の12人の意見が多かったのは、20代から50代だった。回答数では60代以上からの回答が多く、偏っているのではと感じる。20代から50代の貴重な意見を尊重すべきであり反対する。 深刻ななり手不足  こうした意見があった中、前述したように、議員定数削減案は反対多数で否決された。  賛成した議員は「村民からは、だったらなぜアンケートを実施したのかと言われた」と、早速、批判があったことを明かした。  「住民の意見」がハッキリ出ている中で、「現状維持」の判断をしたのだから、そうした批判が出るのは当然か。  今回取材した近隣町村の関係者からも、「玉川村は住民アンケートまでやって、住民の多数派意見を洗い出したのに、『現状維持』にして批判は出ていないのか? 他村のことながら気になってしまう」との声が聞かれた。  改選後の議会は、そうした批判とも向き合っていかなければならないことを覚えておいた方がいい。  選挙に向けた情勢としては、4人の現職議員が引退する見込みという。昨年4月の村長選に議員を辞して立候補した須藤安昭氏、林芳子氏の2人が議員復帰を目指す可能性はありそうだが、現状はほかに立候補の可能性がありそうな人の動きは見えてこないようだ。  ある議員は、地元行政区で「自分は今期で引退して、誰かにバトンタッチしたい」旨を伝えたところ、自薦他薦ともに後継者になり得る人が出てこなかったという。かといって、「この地区から議員がいなくなるのは困る」との意見もあったことから、やむなく「自分がもう1期やるしかない」という結論に至った事例もあると聞く。それだけ、なり手がいないということだ。  そのため、村内では「『現状維持』にしておきながら、定数割れが起きるのではないか」と懸念する声もあり、もしそうなったら、より批判が大きくなるだろう。  定数割れにならないまでも、「タダでなれるなら」と、何の考え・信条もなく、立候補する人が出てくる可能性もあり、「そうなったら、議会の質の低下を招くのではないか」と憂える住民は少なくない。 平田村議会 平田村役場  平田村議会は、昨年9月に3回の全員協議会を開き、議員定数について検討した。  その中で出された意見は、「人口が減少していることや、住民の声などを踏まえると、削減すべき」というものと、「削減ありきではなく、総合的に考えるべき」というもの。そのほか、「20年以上の議員は引退して後継者に託すべき」、「若い人が立候補できるような条件整備が必要」、「仮に議員を2人削減しても、費用面での効果は予算総額の0・17%に過ぎない」といった意見もあった。当初は、条件付きでの「削減派」が8人、「現状維持派」が4人だったという。  その後、検討が進められる中で、定数を削減した場合、現状維持とした場合のメリット・デメリットが挙げられた。  削減のメリット▽経費削減、意見の集約が早い、議員のレベルアップにつながる、住民からの意見を反映した議員活動がしやすくなる、議員と村民の距離が縮まり議員活動がしやすい。  削減のデメリット▽議員のなり手を狭める、意見が偏る傾向がある、多くの意見が上がらない、委員会が少人数になる、住民の意見が反映されにくくなる、少数意見になり村民のニーズから遠くなる、執行者への監視が不十分になる、多様な意見や考えが反映されず結果十分な議論ができずに決定されてしまう、行政と住民の橋渡しが薄れる、現職議員が有利で若年層・女性の進出が困難になる。  現状維持のメリット▽村民の意見が届きやすい、議員のなり手の門扉を開く、委員会の構成人数が良い、多数精鋭を目指し広く村民の声を反映できる、多数の意見を集約できる、多様性が維持される、新たな立候補者が出やすくなる。  現状維持のデメリット▽議員の資質低下、意見の集約に時間がかかる。賛否拮抗で結論持ち越し  こうして、意見が出されていくうちに、「削減派」と「現状維持派」が拮抗していき、最終的には6対6になった。そのため、「今回は現状維持とし、これらの問題に対しては、住民からの意見等も聞きながら、次期議員で引き続き協議を進めるべきである」との結論に至った。  つまりは、結論を改選後の議会に持ち越したのである。  同村が古殿町、玉川村と少し違うのは、早い段階で新人2人が立候補の動きを見せているのだという。現職は引退する意向の人はおらず、ほかに元職1人が立候補するのではないかと言われている。現状、現職12人、元職1人、新人2人で、選挙戦になるのが濃厚だ。「それだけ、なり手がいるのはいいことだ」と見る向きもあれば、「現職議員は、厳しい選挙戦が予想されるから、減らしたくなかったのだろう」といった批判もあるようだ。  以上、古殿町、玉川村、平田村の議員選挙に向けた定数削減議論について見てきたが、3町村で完全に対応が分かれた格好。同じ石川郡で、同時日程で選挙が行われるだけに、当該町村の住民・関係者などからは「ウチはこうだったけど、向こうはどういう流れであの結論に至ったのか気になる」と、それぞれが気にしている様子。そんな中で、何が正解かと言ったら、「住民にとって有益な議会・議員であるかどうか」しかない。住民にとって有益な存在であれば、「定数を削減すべき」といった意見は出てこないだろうから。削減したところも、現状維持としたところも、一番に意識すべきはそこだ。

  • 【古殿町】岡部光徳町長インタビュー(2023.10)

     おかべ・みつのり 1959年生まれ。学校法人中央工学校卒。株式会社トーホク・オカベ取締役を経て、2003年4月の町長選で初当選。現在6期目。  ――4月の町長選で6選を果たしました。  「自分なりの選挙を展開でき、それに町民の皆様が応えてくださったのは非常に身に余る思いです。当選させていただいた以上は新たな気持ちで行政運営に当たっていきます」  ――6月には4年ぶりに流鏑馬大会が開催され、秋の例大祭も開催されます。  「町内に流鏑馬保存会という組織があり、これは射手の育成を目的としていますが、その成果発表として例年、春と秋に流鏑馬大会を実施しています。春の陣が4年ぶりに開催され、この間、練習の成果を披露する場に恵まれなかったので、そうした意味でも開催できたことには大きな意義があり、秋の例大祭の前段としても弾みがついたと考えています。ただ、5類に移行したとはいえ、新型コロナウイルスの影響はまだまだ考慮しなければなりませんし、この4年間様々な事情で中止してきた経緯もあるので、再開というよりは新たなスタートを切る気持ちで取り組むべきだと考えています。その一環として例大祭の行列のスタート地点を郵便局から公民館に変更し、今後も様々な変更点やポイントを見直し、次年度の開催に向けて関係各所との協議・検討を進めていきます」  ――林業活性化に向け、町内業者と協力して持続可能な林業を目指す取り組みが進められています。  「まだ具体的な内容は完全に定まっていませんが、国・県の制度を踏まえた中で、間伐を中心に森林整備を実施しているところです。また、県と町と地元事業体で団体を組織し、経営収支をプラスに転換させる経営モデル構築の実証事業を行っています。この取り組みは林業事業体のレベル向上にもつながり、現在、町の森林経営計画は森林組合が森林所有者の代理で構築していますが、ゆくゆくは事業体自身で経営計画を構築することも可能になると考えています」  ――今後の重点事業について。  「以前から道の駅拡張について取り組んでおり、地権者の皆様のご理解が得られそうなところまで来ましたので、これを重点事業の一つに据えて取り組んでいきたいと考えています」  ――6期目の抱負について。  「基礎自治体は厳しい状況にありますが、町民の皆様が、笑顔で住んで良かった、ふるどので良かったと思えるようなまちづくりに邁進していかなければなりません。そのためには町民の皆様のご理解とご協力が不可欠です。『今後ともよろしくお願いいたします』という思いで町政運営に取り組んでいきたいと思います」

  • 【古殿町】岡部光徳町長インタビュー

    おかべ・みつのり 1959年1月生まれ。学校法人中央工学校卒。有限会社岡部設備工業取締役、株式会社トーホク・オカベ取締役を経て、2003年4月の町長選で初当選を果たした。現在5期目。  ――4月23日投開票の古殿町長選に、6選を目指して立候補することを表明しました。まずは立候補に至った経緯をお聞かせください。 「『5期で一区切り』と考えていましたが、後援会に相談したところ、『まだ若いんだからもう少し頑張ってみろ』と背中を押していただきました。あらためて熟慮した結果、町議会の昨年12月定例会で立候補を表明しました」 ――5期目の4年間を振り返って。 「令和元年東日本台風、新型コロナウイルスなど有事への対応に追われた印象が強いです。コロナ対策に関しては、感染対策の徹底やワクチン接種、各種支援などに全力で取り組み、不安払拭に努めてきたと自負しています。町民の皆さんにご協力いただいたこともあって、現在は感染状況がかなり落ち着きつつあり、重症化するケースも多くないようなので安堵しています」 ――昨年から祭りやイベントなども再開されるようになっていますが、古殿町ではいかがですか。 「できるだけ再開する方針を打ち出しています。昨年は、町が委託して古殿町商工会が主催している『憩いの森フェスタ』を実施しました。課単位の小規模な忘新年会に関しても、町職員には『自粛せずやってほしい』と話しています。町職員や町議が率先して経済を回す姿勢を示すことも必要だと思います」 ――人口減少が大きな課題となっています。町では体験宿泊施設を設けるなどして、移住定住人口の増加を目指しています。 「町民が案内人となって体験イベントを提供する取り組み〝フルドノタイム〟を昨年に引き続き実施する予定で、現在準備を進めています。27件のプログラムが行われる予定で、協力していただける町民には心から感謝しています。今後のまちの活性化につながっていくことを期待しています。 『大網庵』という茅葺屋根の古民家を改修して、宿泊・テレワーク需要に対応する施設を整備しました。利用者はまだ少ないですが徐々に増えています。このほか、『ふるさと工房おざわふぁーむ』など農業体験を受け入れている農業法人もあり、関係人口増加に貢献しています」 ――子育て支援・教育にも力を入れており、タブレット端末と電子黒板を導入しています。児童・生徒の反応は。 「新たな取り組みなので現場の反応を注視していましたが、ゲーム感覚で勉強できるのか、児童・生徒には大きな抵抗はなかったようです。むしろ指導する教員の方が付いていけない面があるようなので、ICTに精通している地域おこし協力隊を募集し、支援員として配置して、サポートをお願いしています。公共施設にはWi―Fi(公共無線LAN)が整備されています。自宅での学習も滞りなく進めるため、保護者の皆さんに意向調査を行ったうえで、インターネット環境整備へのご協力をお願いしているところです。 子育て支援策にも力を入れています。出産祝い金として第一子5万円、第二子10万円、第三子30万円、第四子以降50万円を支給しており、4月以降は、第三子も50万円に引き上げたいと考えています。 このほか、こども園の保育料や中学校までの給食費、高校生までの医療費を無料にしており、中学校までの各種検定試験費用、スポーツ活動で子どもたちにかかる交通費や宿泊費などの経費も町が負担しています」 ――高齢者が安心して暮らせる環境づくりについて。 「古殿町健康管理センター、古殿町社会福祉協議会と連携しながら、デイケアの利用など、高齢者の相談に応じる体制を構築しています。生活に支障が出てきた方の受け皿としては、社会福祉法人石川福祉会の特別養護老人ホーム『ふるどの荘』、旧大久田小学校舎を再利用した介護老人保健施設『大久田リハビリテーション・ケアセンター』があります。 旧鎌田小学校跡には、公募により高齢者向けグループホーム『けあビジョンホームふるどの』が入居しています。隣接地には、単身高齢者や高齢世帯を対象とした『古殿町高齢者居住施設』を整備し、家族が町外にいる高齢者世帯でも安心して暮らせる環境を整えています。 運転免許を返納した場合なども含め〝交通手段の確保〟が高齢者にとって大きな問題となっています。町では『へき地医療バス・福祉バス』を決まった時間に走らせていますが、さらに公共交通システムを充実させたいと考えており、デマンド交通を含めて研究しているところです。 併せて買い物難民の解消に向け、『道の駅ふるどの』を中心に配食サービスを展開したり、高齢者でも利用できるデジタル端末を配布する構想も検討しています。元気な高齢者が知識・技術を生かして活躍できる場も設けたいですね」 一次産業活性化が基本  ――6期目に実現したい施策を教えてください。 「本町の基幹産業は農林業であり、これら一次産業を活性化させる施策がまちづくりの基本と考えています。 具体的には、米価が下がっており、消費量も落ち込んでいるため、地元産米を学校給食として消費することで応援していきます。 本町の町土の約8割は森林が占めていますが、皆伐した後の対応については国・県による補助制度の対象となっています。森林環境譲与税も含め、補助制度を活用しながら林家が収入を得られる仕組みを確立したいですね。農業振興と交流人口増加につなげるべく、『道の駅ふるどの』の拡張も計画しています。 人口減少対策としては、住宅地の造成・整備を進めています。すでに6区画が分譲済みで、2軒の家が建っています。移住・定住も含めて、『これから暮らしていく場所』として、本町を選んでいただけるまちづくりを進めていきます。 そういう意味でも、重要になるのが教育環境の充実です。学校統合を進めた結果、町内の小中学校は古殿小学校・古殿中学校の2校になりました。今後、学力向上につなげていくにはどうすればいいか、ICT技術導入を進め、文部科学省の動向も見つつ、対応していきます。 高齢者福祉に関しては、先ほどもお話しした通り、どのような形でも町内で暮らせるように環境を充実していく考えです。 古殿町商工会、各事業所と一丸となって、町を元気にする施策を打ち出していきたいと思います」 ――町民に向けて一言。 「町民の皆さんにはさまざまな面でご意見・ご理解をいただきながら町政運営に取り組んできました。再び町政を預からせていただけるのであれば、『初心忘るべからず』という思いを持って頑張るので、よろしくお願いいたします」 古殿町のホームページ 掲載号:政経東北【2023年3月号】