本誌2021年12月号に「特定コンサル業を重用する玉川村 試験中のサテライトオフィスに本社移転登記」という記事を掲載した。
同記事で指摘した「特定コンサル」とは、たまかわ未来ファクトリーという会社のこと。同社は2018年9月26日設立。資本金は50万円だったが、2020年9月に500万円増資された。会社設立時の本店所在地は札幌市で、そのわずか5日後(同年10月1日)に玉川村小高字北畷49―2に移した。その後、2019年7月に同村中字山ノ根23―1に移転し、2021年7月に南須釜字奥平290に再移転した。

事業目的は、旅行業、コンピューター情報処理業、不動産業、倉庫業、金銭貸付業、労働者派遣事業、ブライダル業、飲食店業、印刷業、総合リース業、警備業、エネルギー事業、物品の企画・開発・輸出入・インターネットを利用した電子商取引業、キャラクター商品の企画・開発・制作・イベント事業、投資調査、放送番組の企画・制作・販売業、広告の企画・制作・コンサルティング業、医療施設に関するコンサルティング業など、約60項目にわたる。
同社には親会社があり、それが札幌市中央区のインサイトという会社。たまかわ未来ファクトリーの最初の本店所在地が札幌市だったのはそれが理由。インサイトのHPによると、1975年設立。資本金1億3925万円。2008年に札幌証券取引所アンビシャス市場上場。
事業内容は、住宅・不動産の広告・販促企画の制作と総合プロデュース、娯楽・情報・サービス業の広告・販促企画の制作と総合プロデュース、流通・小売業の広告・販促企画の制作と総合プロデュース、地方自治体・公共団体のイベント・広報計画の企画・制作の総合プロデュース、マーケティングリサーチサイトの運営、市場調査分析・CS調査・広告効果測定、情報紙誌の発行。
一言で言うと、総合コンサル業ということになるのだろうが、その中に「地方自治体・公共団体のイベント・広報計画の企画・制作の総合プロデュース」とあり、その関連で玉川村に子会社(たまかわ未来ファクトリー)を設立した模様。
同社は全国に数ある自治体の中から、なぜ玉川村に子会社を設立したのか。その経緯は不明だが、当時の同村では、「たまかわ未来ファクトリー優遇」を思わせることが多々あったため、2021年12月号記事ではその背景に迫った。
そんなたまかわ未来ファクトリーだが、昨年5月に事実上撤退した。正確には親会社のインサイトがたまかわ未来ファクトリーから手を引き、複数の別会社に譲渡したのだ。
ある議員はこう話す。
「石森春男前村長は同社を重用していたが、2023年4月の村長選には立候補せず退任した。新村長になってから1年もしないうちに撤退したのは、石森村長の後ろ盾がなくなり、いままでのようにはいかないと思ったからだろう」
こうして、たまかわ未来ファクトリーは別会社に譲渡されたわけだが、同村内では同社主導とされる事業がいくつもあり、それが村に何をもたらしたのかはあらためて検証する必要があろう。