伊達市堂ノ内地区で大型商業施設「イオンモール伊達」の工事が着々と進められており、来年秋の開業に向けて期待が高まりつつある。そんな同施設について、関係者から「実は現時点で整備する予定がないシネマコンプレックス(複数のスクリーンを有する映画施設)を将来的に増設する計画がある」というウワサが聞こえてきた。真相はどうなのか。
複数の関係者が「整備は既定路線」と証言

イオンモール伊達は、国道4号と相馬福島道路(東北中央自動車道)伊達桑折インターチェンジに面した場所に整備される。
同施設を整備・運営するイオンモール(千葉県)によると、敷地面積約16万9000平方㍍、延べ床面積約9万4000平方㍍、店舗面積約6万2000平方㍍。メーンとなるモール棟は鉄骨造3階建て。駐車台数3650台。集客予定数は1日当たり5万7000人。
開業時期は2026年秋。県への申し出では新設予定日が2026年12月21日となっている。
今年2月に行われたテナント出店に関する説明会では、全フロアに総合スーパー(GMS)が入るほか、1階に食物販・物販施設、2階にレストランや地域共創コミュニティー施設、3階にフードコート、エンターテイメント施設、屋外パークなどを設置する方針が示された。テナント数200店舗、従業員数約3000人。敷地内にはホームセンター・ダイユーエイトをはじめコインランドリーなども整備される。
相馬市から車で約40分、宮城県白石市から約30分、山形県米沢市から約45分でアクセスできるので、広範囲からの集客が期待される。県北地域初の大規模商業モールがオープンすることで周辺の商業地図は大きく塗り替えられそうだ。
昨年11月に着工し、6月中旬にはモール棟の一部と思われる鉄骨が組み立てられていた。今後テナントの詳細が明らかになってくるものと思われるが、その中で伊達市内の事情通から気になる情報が寄せられた。
「イオンモール伊達の関係者から、『現在進められているのはいわば〝1次計画〟で、将来的に行われる〝2次計画〟ではシネコンも整備される』という話を聞いたのです。同施設にはシネコンが入らない予定だと聞いていたが、水面下では検討が進められているのかもしれません」
イオンモールは同施設について、当初からシネコンを整備しない方針を示しており、県商業まちづくり推進条例に基づく住民説明会でも「コロナ禍で映画館の需要が減っている中、アマゾンビデオやネットフリックスなどのコンテンツも出てきているので、これからは5Gの活用などによるものを検討していきたいと思っています」と明言していた。
同施設から約10㌔の距離にある福島市中心部のMAXふくしまにはイオンシネマ福島が入っている。県商業まちづくり推進条例の関係で、周辺自治体の合意がないと大規模商業施設を整備できないため、あえて競合するシネコンを造らないようにしたという事情もあったと推測される(イオンモールは「シネコンを出さないという条件を福島市との間で設定した事実はない」としている)。
にもかかわらず、陰でこっそりシネコン整備を検討しているのではないか、と指摘しているわけ。
伊達市に問い合わせたところ、「将来的にシネコンを整備するという話は聞いていない」(総合政策課)との回答だった。
そこでイオンモール伊達の内情を知る複数の人物に接触して確認したところ、現時点で明確な計画として定められたわけではないが、いずれシネコンを整備していこうという考えが一部関係者の間で共有され〝既定路線〟となっているようだ。
「おそらく駐車場に増設することになる」、「シネコンというより、映画や演劇や音楽ライブなども楽しめるホール的な施設になりそうだ」とも話していたから、構想はある程度固まっているようだ。
イオンモールの回答

あらためてイオンモールに対し、イオンモール伊達にシネコンを整備する予定があるか確認したところ、「当社から現在、映画館等の整備について決定している事項はございません。決定しましたら、改めてリリース等でご案内させて頂きます」との回答だった。
一般社団法人日本映画製作者連盟によると、昨年の年間興行収入合計は2069億8300万円。コロナ禍以降、初めて前年割れしたが、2000億円規模を維持しており、『名探偵コナン』など子どもから若年層に人気のアニメ作品が興行収入上位を占める。
県内でロードショーの映画を楽しめる映画館・シネコンは福島市、郡山市、いわき市の3カ所にしかない。会津地方など映画館空白エリアの住民は気軽に話題の映画を見に行ける環境を望んでおり、本誌ではこれまでシネコンに関する記事をたびたび掲載してきた。
本誌2024年1月号「郡山市フェスタ建て替えで膨らむシネコン待望論」という記事では、映画業界関係者の声を次のように紹介した。
× × × ×
ある映画業界関係者は「以前某映画館の建設費が1館当たり1億2000万円と聞いたが、いまは建設費高騰でその倍以上かかるはず。費用対効果を考えて、いま新規でシネコン建設に踏み切る業者はなかなか現れないのではないか」と指摘する。
一方で、別の映画業界関係者は次のように語る。
「映画館空白地域に立地するイオンモールとなみ(富山県砺波市)は、もともとシネコンがない商業施設だったが、住民からの熱望を受け、リニューアルを機に、テナント跡を使ってコンパクトなシネコンを新設した。行政がシネコン誘致を後押しして実現した事例もある。郡山市、伊達市も市民の要望次第で風向きが変わるかもしれません」
× × × ×
開業後にリニューアルする際、住民からの要望を受けて、シネコンを新設する可能性もあるということだ。
前述の通り、同施設にはエンターテイメント施設が入居する予定だが、映画が見られる施設が加われば地元住民は喜ぶだろうし、集客面でもプラスに働く。宮城県名取市のイオンモール名取など、既存の大型商業施設との競合が予想される中、同施設がどれだけ集客できるかは未知数。そうした中で、シネコンは集客面での「2段ロケット」としての役割を期待されているのかもしれない。
イオンモールでは「地元の皆さまのお声をお伺いしながら、今後もお客さまにご愛顧いただける施設づくりを目指していきたいと考えております」と述べている。全国的にシネコン新設が減少傾向にある中、同社はどのような判断をするのか、注目が集まる。

























