いわき市民が熱望する【ラウンドワン】誘致の実現度

いわき市の若い世代が誘致を熱望している施設といえばラウンドワンだろう。ボウリング、アミューズメント(ゲームセンター)、カラオケ、ビリヤード、多彩なスポーツが楽しめる「スポッチャ」などが集約された屋内型複合レジャー施設だ。

グループ運営会社は㈱ラウンドワン(杉野公彦社長、大阪市)。資本金256億6500万円。2025年3月期の連結売上高は1770億5700万円。国内店舗数99店舗、海外62店舗(今年2月時点)。

主な利用顧客層は20代の大学生や社会人、30~40代の子育て世帯。ティックトックやインスタグラムなどのSNSではボウリングや「スポッチャ」で遊ぶ姿が投稿され、口コミで魅力が広がっている。

福島県には福島市、郡山市に1店舗ずつ出店しており、一番人気の「スポッチャ」設置店のため、県外から訪れる人もいるとか。

ところが、2市よりも人口が多いいわき市には店舗がなく、地域的につながりがある茨城県も店舗空白地帯となっていることから、同市民が郡山市まで足を延ばしたという話も聞かれる。そのため、若者を対象としたワークショップや会議では、地域に欲しい施設として高確率でラウンドワンが挙げられる状況となっているのだ。

そうした声を受けて、2017年、2021年、2025年のいわき市長選に立候補した宇佐美登氏(2月の総選挙でチームみらいから東京26区に立候補し、落選したものの比例東京ブロックで復活当選)はラウンドワンと会員制大型量販店コストコの誘致を公約に掲げていた。

一方、現職・内田広之氏は選挙戦で「私は夢物語をぶち上げない」とけん制し、次点の宇佐美氏に4万票以上の大差で勝利した。このような経緯から誘致の可能性は遠のいたかに思われたが、内田市長は市議会12月定例会の一般質問で、1月に同社の東京オフィスに赴き、いわき市の魅力を伝えるとともに、誘致に向けた依頼をする方針を示した(昨年12月11日付いわき民報)。

実は内田氏、市長選告示前の時点で、ラウンドワン関係者と非公式に懇談し、誘致に向けて水面下で動いていたという。

その後の対応を市に確認したところ、産業振興部の斉藤和哉部長が次のように回答した。

「内田市長に同行して、運営会社を訪問しご挨拶してきました。詳細は明かせませんが、いわき市がどういう場所か紹介し、こちらの考えはお伝えしてきたところです」

運営会社にも問い合わせたが、期日までに回答は寄せられなかった。

市が実際に動き出したことで誘致実現への期待は高まるが、いわき市の経済界では冷ややかに見る向きもある。というのも、震災・原発事故後、一部の経済人らが誘致を試みたものの、頓挫した経緯があるためだ。

市内の事情通がこのように明かす。

「震災・原発事故直後、『子どもたちが放射性物質の影響を恐れて運動を控えている環境を少しでも解消したい』と考えた経済人有志が『土地を無償提供するので小名浜地区への出店を検討してほしい』と打診したのです。実際にラウンドワン担当者とやり取りもしたそうだが、『出店戦略を郊外型から都市部集約型に転換している』と難色を示され、そのまま頓挫したそうです。その後も出店方針は変わっていないから、実現は簡単ではないと思います」

ラウンドワンは単なるレジャー施設でなく、若い世代の象徴となりつつある。それを察知して動き出した内田氏。いわき市に「スポッチャ」の歓声が響く日は訪れるのか。

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