本宮市内の子ども食堂をサポートしている「本宮市社会福祉協議会フードバンク」による支援品贈呈式が昨年12月15日、本宮市商工会館で行われた。同バンクは同社協と本宮市商工会が事業協定を結んで一昨年に始まったもので、民間事業所が「協賛会員」となり、同社協や子ども食堂に支援品を提供する。昨年から本宮ライオンズクラブ、本宮ロータリークラブも活動に加わっている。
今回支援品が贈られたのは同社協のほか、▽子ども食堂「コスモス」、▽一般社団法人金の雫「みずいろ子ども食堂」、▽社会福祉法人安積福祉会しらさわ有寿園「こころ食堂」、▽NPO法人東日本次世代教育支援協会NA―PONハウスふくしまキッズエコ食堂、▽a sobeba lab.(ア・ソベバ・ラボ)。支援品の内訳はコメ30㌔21袋、寄付金46・5万円、冷凍食品、うどん・ラーメン、レトルト食品、生卵、タオルなど。
本宮市商工会の石橋英雄会長は「人口減少抑制につながればという思いで始めた。マスコミなどで活動を周知していただいたこともあり協賛会員は38事業所まで増え、市民にも浸透してきた。長く続けていきたい」と述べた。本宮ライオンズクラブ、本宮ロータリークラブの関係者もあいさつした。
当日出席した子ども食堂の運営団体関係者は支援に対する謝辞を述べるとともに、活動報告を行った。その後、意見交換会の時間が設けられ、現状や課題について語り合った。
それぞれの話から見えてきたのは、支援を必要としている生活困窮者は多く存在していること、そして食事を提供する場がその情報を得るきっかけとなっているということだ。
同社協では生活困窮者に食料を提供しているが、今年度は上半期を終えた時点で昨年度の件数を上回っているという。生活困窮者と一口に言っても、ニート生活を過ごしていたが親の死を機に独り立ちを余儀なくされ安定した収入を得られない人、派遣社員として本宮市に来たものの契約終了し生活に困っている人、年金暮らしで過ごす老老介護状態の親子など、背景は多岐にわたる。
ある子ども食堂関係者は「多くの人にもっと気軽に足を運んでほしいが、自分から『支援してほしい』とうまく伝えられない人もいる。そうしたところには協力者や元民生委員などを通じて食料品を持っていってもらっている。子ども食堂がたくさんできて近所のことを把握できる状態になるのが理想だ」と話した。
一方で、「企業から個別に提供してもらっていた食料品の数が半分に減った。物価高の影響だと思われる」、「自宅のスペースを使って子ども食堂を開いているので、電気代・燃料費値上がりの影響が大きい」といった報告も聞かれた。市からは運営経費に関する補助金が給付されているが、1回開催につき1万円程度で、決して余裕があるわけではないという。自宅を使って運営している人は、食料品を保管するスペースがないという問題もあるようだ。
このほか、開催していることを近隣に周知する難しさを訴える声も上がった。まずは同商工会内でPR・サポートする案が話し合われたが、小中学校や放課後児童クラブ、子ども会などと連携してチラシを配ったりイベントと同時開催し、利用を呼びかけるのも一つの方法だろう。
このように課題は少なくないようだが、経済界が先頭に立って子ども食堂を応援し、地域振興につなげようとする取り組みには意義がある。引き続き注目していきたい。