「福島県農業経営・就農支援センター」(福島市)は4月3日に県自治会館で開所式を実施してから、4カ月経過した。同センターは、農業経営基盤強化促進法の改正で各都道府県に設置されることになったが、県および県農業会議・県農業振興公社に加えJAグループが参加し、17名が常駐するワンストップ・ワンフロアの支援体制は全国でも福島県が初めてとなる。
従来の窓口は団体ごとに異なり、手続きが煩雑になるなど相談者の負担となっていた。各団体が1カ所に集まることで団体の連携を密にし、実効性ある支援策を講じることができるようになった。
相談件数は4月に開所して以来、6月末時点で、地域段階のサテライト窓口も含めて298件(就農相談186件、経営相談103件、企業参入相談9件)となった。この相談件数は昨年同時期と比較すると約2倍になっており、新規就農希望者やこれからの経営改善を計画する農業経営者から大きな期待が寄せられ、順調なスタートとなっている。
今後、年間1200件の相談件数を目指したPRや掘り起こし活動を積極的に行うとともに、就農相談を通じて、県農林水産業振興計画に掲げる2030(令和12)年度までに年間340名以上とする新規就農者の確保を目指す。
また今後の課題として、相談者の就農実現に向けた研修受け入れ機関(農家や公的機関)の紹介をはじめ国等の支援事業の対応や農地のあっせん等を含めた伴走支援を進める必要がある。
経営相談については300件を超える重点支援対象者を設定しており、既存の経営者から寄せられた法人化や経営継承等の課題解決に向けた対応に加え、就農後5年以内の認定新規就農者に対する就農定着と経営発展に向け、センターおよびサテライト窓口職員による訪問活動や専門家派遣などに取り組んでいく。
JA福島グループでは、相談件数の増加が就農者の増加と定着、さらには農業経営者の経営課題解決という成果に着実につながっていくよう、関係機関の連携を一層強めて取り組んでいく考えだ。