にへい・せいいち 1953年生まれ。中央大学経済学部卒。1977年に福島民報社入社。2008年に退社後、民報印刷代表取締役、道の駅猪苗代駅長などを務め、2023年の町長選で初当選。
災害に強いまちづくりと人口減少対策に取り組む。
――町長就任から2年が経過しました。この間を振り返って。
「就任当初から『故郷猪苗代を、住んでよかったーと思えるまちにしたい』との思いを胸に様々な問題に取り組んでおり、少しずつですが進展が見られます。JR猪苗代駅前周辺の整備については、地権者との協議が進まない状況ですが、まずは駅前駐車場や近くの公園に花壇をつくるなど、できることから始めています。就任時には小・中学校の統合がありましたが、大きな混乱もなくスムーズに移行しています」
――7月20日に猪苗代町は合併70周年を迎えました。
「合併70周年を迎え、ソフト面を中心としたPRを検討しています。10月24日には記念式典を行い、熊本県小国町と友好都市締結を予定しています。1000円札の肖像を引き継いだ野口英世と北里柴三郎が師弟関係にあったことなどの縁で、今後は商工会やロータリー、ライオンズクラブ、学校間などの交流を図っていくつもりです」
――今年春に猪苗代ブランド「いいな!いなわしろ」を立ち上げ、町内産の農産物や加工物を認定する制度がスタートしました。
「これは猪苗代町農業活性化協議会の取り組みの一環で、農産物や加工品、いわゆる6次化加工品を『いいな!いなわしろ』ブランドとしてPRしています。令和2年度に福島大学食農学類と連携し、昨年度から『プレミアム』と『スタンダード』の2種類に分けて認定はしていますが、認定しただけで終わらず、今回、『いいな!いなわしろ』のPRや商品の販売促進を進めていきます」
――今年度の重点事業について。
「今年度の重点事業は、主に『災害に強いまちづくり』と『猪苗代高校の生徒増、ひいては人口減少対策』の2点です。昨年の水害や今年の豪雪を踏まえ、災害に強いまちづくりを進めています。また、町民の要望を反映し、災害対策に生かしていく考えです。猪苗代高校の活性化は、過去最低の入学者数(11人)から、来年は22人、できれば定員の40人を目標としており、町外・県外からの生徒誘致のため、宿舎を整備し、下宿代の補助や、学校への送迎など支援を強化し、民間の協力を得ながら受け入れ態勢を整えています。人口減少対策としては施設投資ではなく『人への投資』を重視し、災害時の指導ができる人材育成や、猪苗代湖のラムサール条約登録による湿地環境整備と観光活用を推進し、若い世代の定着に加えて県外からの親世代にも町の魅力を伝え、関係人口の拡大を目指していきます」