【齋藤元彦】疑惑の兵庫県知事「飯舘村派遣時代」の評判

【齋藤元彦】疑惑の兵庫県知事「飯舘村派遣時代」の評判

【9月号】

 兵庫県知事・齋藤元彦氏のパワハラ疑惑・〝おねだり〟疑惑が文書で内部告発された問題は、県議会に調査特別委員会(百条委員会)が設置され、実態が明らかになりつつある。

 発端は県西播磨県民局長の男性X氏が3月、知事らのパワハラや企業からの贈答品受け取りなど7項目の疑惑に関する告発文書を一部の県議や報道機関に送ったことだった。

 齋藤氏は即座に「うそ八百」と完全否定。告発者X氏はすぐに特定され、局長を解任されて、県の外郭団体に出向となった。X氏は4月、県の公益通報制度を使って同様の内容を通報したが、齋藤氏は「核心的な部分においてすべてが事実無根」と否定、県はX氏を停職3カ月の懲戒処分にした。ところが、その後、告発文書を裏付ける事実が掘り起こされた。

 その後、X氏は「死をもって抗議する」とのメッセージを残して7月に自死。なお、告発文書には「プロ野球阪神・オリックス優勝パレードを企業からの寄付金で募ることになり、信用金庫への県補助金を増額し、それを寄付金としてキックバックさせることで補った。担当課長は寄付集めの負担と調整に精神が持たず病気療養中」と記されていたが、このパレード担当課長も4月に自死した。

 百条委が県職員を対象に実施したアンケートの中間報告では、およそ4割が知事のパワハラを目撃、人づてに聞いたことがあると回答し、「怒るとバンバン机をたたき出す」、「暴言を吐く」、気に入らないことに対し「無視」するなどの行為がみられたという。企業に贈答品を要求する〝たかり〟行為を目撃したという情報も多かった。内部告発は事実だったことになる。

 齋藤知事は神戸市須磨区出身。東大経済学部卒。2002年に総務省に入省し、2018年から大阪府に出向。府財政課長などを歴任し、2021年の兵庫県知事選で初当選。

 齋藤氏のホームページや飯舘村の今年の広報6月号によると、震災・原発事故直後の2011年4月から3カ月間、飯舘村の政府現地対策室に「総務省大臣官房企画課長補佐 内閣官房副長官補付」として派遣され、計画的避難や全村避難後の防犯体制構築などを担当していたという。

 飯舘村議員や元役場職員に齋藤氏の印象を尋ねたところ、「いたことを覚えている職員もいるようだが自分は全く記憶にない」、「当時は国、県からさまざまな人物が出向していた。その中で優秀な人や仲良くなった人はいまでも名前を覚えているが、齋藤氏はよく分からない」とのこと。

 同村に確認したところ、当時から勤めている職員が教えてくれた。

 「政府現地対策室は国と村の連絡役として設置された組織で、優秀な職員が集まっていた。すべての職員を覚えているわけではないが、齋藤氏とは頻繁にやり取りしていたのではっきりと記憶している。いま、さまざまな疑惑で騒がれていることは承知しているが、当時そんな様子はうかがえなかったし、お世話になった思い出しかありません」

 村広報6月号によると、齋藤氏は騒動の渦中にある5月10日、大阪・関西万博に合わせて開催される「創造的復興サミット」への参加を要請するため、飯舘村を訪れている。村職員出身の杉岡誠村長と接点があったのか親密に話すシーンもあり、齋藤氏からは「兵庫県は但馬牛の産地であり、畜産をテーマに交流もできるのでは」と提案があったという。

 原発被災地ではその〝本性〟を隠していたということなのか。今後発表される百条委の報告が待たれる。

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