2020年1月に田村市で発生した自動車の追突事故を捜査した当時田村署小野分庁舎の青木優太巡査長(37)が、虚偽の捜査書類を作成したなどの罪に問われ、無罪を主張している事件では、交通事故捜査の詰めの甘さが露見した。
交通事故捜査の詰めの甘さが露呈
一例を挙げると、事故現場に一番先に到着した警察官からの引き継ぎメモを現場で確認しなかったり、後日事故当時者の住所を特定するため2003年版の電話帳を参照し、現在も住んでいるか電話確認せずに捜査書類に記入する等々。青木巡査長は法廷で「小野分庁舎内では他の警察官も2003年版の電話帳をそのように使っていた」と発言した。
虚偽捜査書類作成事件の本質は、警察官による不適切な交通事故の書類作成、さらに警察署内のチェックの抜かりから、実際のけが人は2人なのに「けがを負った被害者は1人」と誤った捜査書類が検察に届けられ、起訴判断を歪めた点にある。被害者2人は、病院の診断書を小野分庁舎に届けたが、交通事故捜査担当の青木巡査長は1人分しか処理していなかった。事故の加害者は、1度は不起訴になったが、検察審査会を経て略式起訴され、罰金の略式命令を受けた。
検察官や裁判官は、冒頭に挙げたような警察署内での捜査手法について質問を投げかけた。青木巡査長が「分庁舎内では問題ないやり方だった」と答えたため、不適切な書類作成の責任が組織(小野分庁舎)に波及する事態となっている。秘匿性が高い捜査機関の内部事情が明らかになる貴重な裁判だ。次回は論告弁論で、2月28日午前10時15分に開廷する予定。