えんどう・さとし 1961年4月生まれ。福島工業高等専門学校、東京経済大卒。広野町議2期を経て2013年11月の広野町長選で初当選を果たした。現在3期目。
――大震災・原発事故から14年が経過し、町民帰還率が9割を超えています。9月30日を「広野町復興創生の日」に制定しました。
「広野町は2011年9月30日に緊急時避難準備区域が解除されました。2023年9月30日に復興・創生へと希望に満ちた未来に邁進することを目的に毎年9月30日を『広野町復興創生の日』に制定しました。帰還した方や新たに移住した方が幸せに暮らせるよう、インフラの復旧・整備、商業施設や医療福祉施設の整備、広野こども園、ふたば未来学園中高一貫校など教育環境の整備を進めてきました。町民の生活を守る取り組みがあってか、大震災から10年目の2021年1月には町民帰還率9割を達成しました。さらに廃炉・復興事業関係者や移住者を受け入れて町は新たな賑わいを見せています」
――昨年から全国高等学校総合体育大会(インターハイ)の男子サッカー競技がJヴィレッジで固定開催されています。5月17、18日には「巨木を語ろう全国フォーラム」が町を会場に県内で初開催されます。
「固定開催決定後初のインターハイでは、全国から52チームの選手、スタッフ、観客の皆様にお越しいただきました。町ではJFAアカデミー福島や県立ふたば未来学園中高一貫校など、プロ選手を目指して活動する生徒が夢に向かって日々精進しています。
町は5月に町制施行85周年を迎え、記念事業として『巨木を語ろう全国フォーラム』を開きます。『震災を乗り越え千年後の未来へおくる巨木』をテーマに、未曽有の複合災害を乗り越えてきた町として、森林の大切さや美しい里山の魅力を全国に発信し、環境保全を啓発する場にしていきたいです」
――今年度の重点施策について。
「まずは広野駅周辺の開発です。復興計画の拠点として定めた駅東側エリアは、バス・タクシー乗降場や駐車場を備えた広場が整備されたほか、『広野みらいオフィスビル』、ビジネスホテル、町商工会、医療機関やIT関連企業が入ります。今年度は新たに航空宇宙関連企業が進出する予定です。第2期開発として47戸の住宅団地を整備し、移住定住の受け皿になります。
町は脱カーボン社会を目指しています。今後、公共施設や町有地、駐車場上部空間などに太陽光発電設備を設置し、複数の公共施設間で再エネ電力を融通し自家消費することで、二酸化炭素の排出を削減するとともに非常時の電源確保に役立てます。今年を復興・創生の漸進の年と位置付け、医療福祉、教育の充実、自治体DX、防災などに力を入れながら着実に歩みを進めていきます」