うえすぎ・けんたろう 1975年生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。荒井広幸元参院議員秘書などを経て2017年の衆院選(比例東北)で初当選し、2期務める。その間外務大臣政務官などを歴任。5月に自民党福島第3選挙区支部長に就任。
――自民党の福島第3選挙区支部長に選任されました。経緯と率直な感想を聞かせてください。
「支部長に選任されたことは非常に重く、身が引き締まる思いです。この間の経緯としては、昨年の総選挙で落選後、自民党内の制度上、支部長の任期は選挙から次の選挙までと定められているため、一旦任期満了となりました。
以前は旧3区の支部長を務めておりましたが、2年前に選挙区の区割り変更があり、旧3区と旧4区が合併して新3区となりました。その際、旧4区の支部長であった菅家一郎先生が新3区の支部長となり、私は比例区の支部長となりました。これは、私が当時まだ若手であったこと、菅家先生が期数も、出身大学も先輩であったこと、また、会津地域から県南地域を含む広大な選挙区となった際に、会津地域の方が人口が多いことなど、さまざまな状況を考慮した結果、先輩を立てるという形で私が譲るという結論に至った次第です。その後、総裁選を経て、菅家先生が石破茂政権下で非公認となり、選挙に出馬しない事態となり、私自身も比例区の支部長を辞退しました。そのような状況下で、自民党として候補者がいないという状況は避けなければならず、県連からの要請もあり、公認申請期限後の直前の出馬であったため無所属で立候補させていただき、落選という結果になりました。
次期選挙に向けての支部長選任が進められる中で、県連と自民党本部で協議を重ね、最終的に3区内にある40の地域支部全てから私を推薦する意見が出たことをもって県連が総務会において決定し党本部へ上申していただき、5月14日付で正式に支部長に就任の運びとなりました」
――自民党派閥のいわゆる裏金問題では、引き続き説明責任を果たすことを求められています。
「いわゆる裏金問題、不記載問題については、政治に携わる者として、これまでの価値観からの脱却、いわば心の刷新が必要であると強く思います。民間企業では、経費はきちんと計上・管理し、修正すべきは適正に修正申告するのが当然です。
また今回の問題に限らず、有権者の皆さまから疑われたことについては真摯に受け止め反省するとともに、しっかりと説明していく必要があると考えます。世の中は常に変化しており、政治家も変わらなければなりません。慣習や政治の常識なるものは今や通用しません。政治家自身が根本から意識を変えていかなければならないと考えます」
――昨年10月の衆院選に急遽無所属で立候補された際の手応えと今後の課題について聞きます。
「会津地域において知名度がほとんどない中での選挙でした。会津での知名度が大きな課題と認識しています。まずは、会津地域の皆様に『上杉謙太郎』という名前と顔を覚えていただき、人となりを知っていただこうと思っています。そのために地域をくまなく歩いていきます。また皆様から地域の課題やお困りごとを聞きながら、県議の先生方や市町村議員の皆さんと共に新たな政策を立案し、その政策を訴え、支持を広げていこうと思っています。
もちろん、これは会津地域に限らず、県南地域においても同様です。これまでの実績を訴えつつ、あらためて膝を交えて地域の皆様と交流しながら地域の課題を聞き取り、実際に現場を見て、解決策を提案していくことが重要だと考えています。11年前初出馬で落選し3年間浪人した時も、ひたすら地域を回り課題を聞き取り、省庁別に課題を整理したノートを作成していました。その時の経験が、1期目当選後の活動で非常に役立ちました。今回も地域の皆さまからさまざまな課題をお聞きし、解決に向けての政策を具体的にまとめていきたいと考えています。
会津と県南では、それぞれで課題が異なります。さらに会津、県南の各市町村、各地域によっても課題が異なります。会津と県南、またそれぞれの地域の特性を理解し、きめ細かい政策を提案していくことが重要です。じっくり地域を回り、浪人というこの時間を皆様のために有効活用し、次の選挙に向けてしっかりと準備を進めていきたいです」
――福島3区の課題について。
「福島3区には、実に多くの課題が存在します。端的に言えば〝全て〟が課題と言っても過言ではありません。農業、商工業、観光、原発問題、震災の風評・風化、人口減少・少子高齢化、医療、福祉、教育など、多岐にわたります。中でも、少子高齢化と人口減少は、最も大きく深刻な課題です。これによって地方が疲弊していく、国が衰退していくという状況を何とか食い止めなければなりません。
その上で、地域ごとの課題にきめ細かく対応していく必要があります。そのために、国会議員が旗振り役として国、県、市町村、各種団体が連携しながら、チームとして一丸となって取り組んでいくことが重要だと考えています」
――昨年10月の衆院選で自民党は惨敗し、県内でも当選したのは新人2人という結果でしたが、どう受け止めますか。
「まず、先の選挙で長年震災復興に尽力されてきた先生方が全員引退もしくは落選してしまったことは、非常に憂慮すべき事態だと感じています。復興はまだ道半ばであり、これまでの政策の継続性を考えるとこれは大きな損失です。また党勢拡大のためには、自民党に対する厳しい目が向けられている状況だからこそ、我々がきちんと襟を正し、有権者の皆様との対話を通じて、再び支持していただけるよう努力を積み重ねることが大切です。その上で、参議院選挙を7月に控えていますので、県内の有権者の皆様から信任を得て、森まさこ候補予定者をしっかり当選に導くことが大切です。また政治離れも進んでいる状況を打開すべく、特に市町村議会議員選挙において若手や女性候補を積極的に増やしていくことが重要と考えます」
――今後の抱負について。
「3区と国とを繋ぐ役割を再び担うため次の衆院選で必ず当選できるよう3区全域で活動してまいります。7月の参院選において3区の選対本部長を拝命しましたので、当面は参院選の森まさこ候補必勝に向け努力します。私の政治の原点は、辻立ちと挨拶回りです。朝、交差点に立って皆さまにご挨拶する辻立ちは当選以来ずっと続けてきた活動です。これを会津含めて継続します。また、会津、県南共に挨拶回りをしながら、顔と名前を知っていただくだけでなく、しっかりと地域の課題、お困りごとを見聞きし、課題を集約していくことを大切にしたいと考えています。2期7年の実績がありますので、ある程度課題が集約した段階で政策として立案していきます。これはいただいた要望を次当選後すぐに解決していくためです。衆議院はいつ解散総選挙があるか分かりません。国政に皆さまの声を届けるため、また届けるだけでなく解決し、地方の時代の見本となるような素晴らしい会津県南を興していくために努力する所存です」