【国見町】引地真町長インタビュー

contents section

【国見町】引地真町長インタビュー

ひきち・まこと 1959年12月生まれ。東北学院大法学部卒。国見町総務課長兼町民相談室長などを歴任。2020年3月に退職後、同年11月の国見町長選で初当選。

――町長就任から2年4カ月経過しました。

 「この間、新型コロナ感染症をはじめ、2021、22年に発生した震度6強を超える福島県沖地震、基幹産業である農業に被害を与えた凍霜害と降雹、昨年の過疎指定、昨今の物価高騰など、難しいかじ取りを強いられた2年4カ月でした。その都度、適切に判断しながら町民の生活支援と不安払しょくに努めてきました」

 ――昨年3月16日に発生した本県沖地震の復旧状況について。

 「昨年の地震による被害は一昨年に比べ甚大でした。全壊から一部損壊までの被害棟数は1500以上と前年の地震の2倍強で、生活再建の予算確保は至上命題でした。この間、できる限りの対策を講じたつもりです。町職員の高い危機対応意識で地震翌日には被災・罹災証明の受付窓口を開設しました。また、交流・連携を深める北海道ニセコ町、岩手県平泉町、栃木県茂木町、岐阜県池田町に救援依頼をしたところ、ブルーシートや土嚢袋など応急資材の提供や職員の派遣など迅速に対応していただきました。一昨年の地震の教訓から通常業務と地震対応業務の両立が図られたのだと思います。一方で、住家・非住家の公費解体に伴う国の災害査定に時間を要したり、建築業界の慢性的な人手不足や資材不足などの影響があったりして、丸1年が経過しても応急処置が施されたままの住宅があります。地震被害からの復旧はまだ道半ばで、生活再建支援に引き続き注力する考えです」

 ――保・幼・小・中一貫教育を柱とする「くにみ学園構想」の進捗状況について。

 「この構想は、第6次国見町総合計画と国見町過疎地域持続的発展計画に基づいて整備を進めたいと考えた、くにみ学園の基本理念をまとめたものです。町の将来や存続に関わる重要な事業に位置づけられます。現在、本町には保育所1所、幼稚園1園、小学校1校、中学校1校がありますが、町内に分散・点在しています。2014年度から取り組んできた『国見学園コミュニティ・スクール』事業では地域住民の協力を得ながら、自ら学ぶ力や郷土愛を育む教育を展開してきましたが、この10年で急激に少子化が進んだうえ、社会環境の変化による学力の二極化や運動能力の低下、支援が必要な子どもたちの増加などが顕著になっています。これらの課題を踏まえ、保・幼・小・中を1つに集約し、子育てと教育の充実、機能強化を図ることが同構想の基本理念です。くにみ学園構想は、教育と子育て施策の核となるものですから、議会も含め町民の皆さまとの対話を通して、基本構想への理解・共感を得ていきたいと考えています」

国見町ホームページ

掲載号:政経東北【2023年4月号】

related post

関連記事