【会津若松市】室井照平市長インタビュー

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【会津若松市】室井照平市長インタビュー

 むろい・しょうへい 1955年生まれ。東北大卒。会津若松市議2期。県議1期を経て2011年8月の会津若松市長選で初当選。今年7月に4選を果たす。

 ――7月に行われた市長選で4選を果たしました。

 「厳しい選挙戦の中、4選を果たすことができたのは市民の皆様のご支援があってこそで、あらためて御礼申し上げます。

 4期目の抱負は、市民の皆様それぞれに夢を持っていただくことです。東洋経済新報社が全国812市区を対象に実施している『住みよさランキング』によると、2022年は全国66位で県内自治体では1位、2023年版では全国119位で県内自治体では3位の結果となりました。こうした結果の要因として、子育て支援をはじめとした施策が評価されたものと受け止めています。今後も子育て支援をはじめとしたさまざまな施策に注力し、市民の皆様に住みやすい町に住んでいるという実感を持っていただけるように取り組まなければなりません。住み続けたい、訪れたい、選ばれるまちの実現に向けて今後も全力で取り組みます。

 1期目から掲げている『子どもたちには夢と希望を、若者には仕事・雇用を、お年寄りや障がいのある方には安心できるまちづくりを』というテーマを変わらず根幹に据えて、市民の皆様一人ひとりの思いを受け止めながら、市政運営にあたっていきます。また、様々な施策を通して、市民の皆様が郷土に愛着を持ち、地域に対する誇り『シビックプライド』を醸成し、誰もがこのまちで暮らし続けられるように、市民の皆様と共にまちづくりを着実に進めていきます」

 ――新型コロナウイルスの5類移行が実施されましたが、観光業をはじめ市内経済への影響はいかがでしょうか。

 「観光入込は、コロナ禍前の2019年度には及ばないものの、回復傾向にあります。具体的には、コロナ禍前が300万人だったのがコロナ禍では83万人にまで落ち込み、昨年は146万人にまで回復しました。5類移行後の5月以降はコロナ禍前の水準にさらに近づき、お盆時期を中心に家族旅行での来訪が目立っており、今年は250万人を越える入込が見込まれます。当面はコロナ禍以前の300万人に戻すことが目標です。また、インバウンドはコロナ禍前が2・5万人、コロナ禍には800人にまで減少しましたが、順調に回復しています。今後はコロナ禍前の10倍の25万人まで増加させることを目標としています。教育旅行については、コロナ禍でも好調を維持しており、5類移行後においても平日の観光需要を底上げしています。観光業以外でも、市内の経済状況は回復基調となっており、飲食業界や酒造業界への聞き取りでも、観光客の増加によって売り上げも堅調となっています。一方、原材料や電気代等の高騰は市内事業者に広く影響が出ており、今後も景況感は注視していく必要があります」

 ――市役所新庁舎整備事業の進捗状況についてうかがいます。

 「昨年10月に設計が完了し、今年3月に建設工事が始まりました。9月上旬時点で基礎工事が行われています。来年には庁舎周辺の道路拡幅工事や駐車場・駐輪場の工事を予定しており、順調に進めば2025年3月に新庁舎が完成し、同年度からの供用開始を予定しています。

 新庁舎は、1937年から市の歴史を見続けてきた旧館を引き続き庁舎として保存・活用し、その隣に旧館のデザインを取り入れた地上7階建て、高さ30㍍の庁舎となります。全体の面積は約1万3700平方㍍で、免震構造を採用しているほか、高い省エネ性能を持ち、環境にも配慮しています。また、多くの部局が新庁舎に集約され、窓口利用が多い部局を低階層に配置するなど、市民の皆様の利便性の向上を図っています。この新庁舎が市民の皆様の安全・安心な暮らしを支え、災害時には被災対応の活動拠点となり、さらにはまちの要として、人が集い賑わいを作り出す会津のランドマークとなるよう、引き続き整備を進めていきます」

 ――「スマートシティ会津若松」の取り組みが加速しています。

 「スマートシティとは、〝便利で住みやすいまち〟を意味しており、本市では2013年3月より『スマートシティ会津若松』を掲げ、生活を取り巻く様々な分野でICTを活用することで、将来に向けて持続力と回復力のある力強い地域社会、安心して快適に暮らすことのできるまちづくりを目指してきました。

 昨年度、本市は『国のデジタル田園都市国家構想推進交付金デジタル実装タイプ タイプ3』に東北地方で唯一採択され、食・農業、決済、観光、ヘルスケア、防災、行政という6つのデジタルサービスを実装しました。この間、市、会津大学、AiCTコンソーシアムの三者で『スマートシティ会津若松』に関する基本協定を締結したほか、市民の皆様を対象とするスマートシティサポーター制度や、地域の業界団体の方々を構成員とするスマートシティ会津若松共創会議を創設するなど、地域が一体となった推進体制を構築し、取り組みのさらなる深化・発展を目指してきました。

 次なる取り組みとして、今秋以降、デジタル地域通貨『会津コイン』を使ったプレミアムポイント事業を開始するほか、今後は国の支援策等も活用しながら、引き続き会津大学およびAiCTコンソーシアムとの連携のもと、市民の皆様や企業の方々が『スマートシティ会津若松』の取り組みの成果を実感していただけるようなサービスを実装し、市民の皆様が生き甲斐と幸せを感じ、〝住み続けたい〟と思えるまちづくり、進学等で本市を離れる若者が、〝いずれ戻ってきたい〟と思えるまちづくりを目指し取り組んでいきます」

 ――今後の重点事業について。

 「少子化・人口減少対策は市の最重要課題であり、想定以上に出生数が減り、死亡者が増えているのが現状です。こうした現状を打破するためにも、Uターンや県外のお孫さんが祖父母の住む本市に移住する孫ターンの給付金制度、住宅取得支援や賃貸家賃補助、移住婚祝い金といった形で移住・定住支援に注力していきます。また、昨年実施した『ベビーファースト宣言』のもと、安心して子どもを産み育てる環境づくり、子どもたちがふるさとに誇りを持ちながら多様な学力を身に着ける環境づくりを進めていきます。

 ほかにも新規就農者支援、新たな雇用に繋がる工業団地の整備も重要ですので、今後4年間でさらに内容を深化させていきたいと考えています。また、観光庁の『国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業』において、本市と磐梯町、北塩原村でのスキーと観光を軸にする計画が県内で唯一採択されました。今後は他自治体や関係団体との連携を図りながら、冬季間のインバウンド強化に向けて取り組んでいきます」

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