働き易く、魅力ある業界の構築に努める
――協会の現状についてうかがいます。
「福島県電設業協会の会員数は現在50社であり、年々減少傾向にあります。内線工事、外線工事の有資格者・技術者不足による退会企業もあります」
――業界を取り巻く課題についてうかがいます。
「まず、喫緊の課題として挙げられるのが『働き方改革』であると考えます。12月1日には自民党本部に陳情にうかがい、現状についてお話しさせていただきました。
労働における時間的な制限と工期がマッチングしなければ働き方改革の根本が揺らぐ事態となります。発注者側に対しては、残業など労働実態を反映させた工期を強く求めたいと思います。
今年は猛暑に見舞われ、作業も過酷を極めましたが、福島県では熱中症対策の一環として気温が35度以上になり作業を止めた場合に、その日の分を工期に加算し、期限を延ばす仕組みを確立していただいております。これは大変画期的なことである点を付言したいと思います。まずは人命が最優先ですので、ぜひ業界全体において浸透を図っていきたいと考えます。
次に、業界内における週休2日制の問題です。単独で受注する工事については完全に実施できますが、建築工事の現場となると大変難しいのが現状です。
建築工事は本体工事、電設工事、設備工事の三つの業者で基本的に構成されていますが、電設・設備業は建築物が完了したタイミングで工事に着手するという事情があります。もし建築工事で遅れが生じても、電設工事や設備工事は建築の工期に合わせなければなりません。その遅れにより作業工程が圧迫され、結果的に残業を余儀なくされてしまうのが実態です。
一方、県では現在この問題に対して、設備調整期間を設定し、特記仕様書にきちんと盛り込むなど適切な対応をしていただいています。運用に関してはこれからの課題となっていますが、設備調整期間が2週間と設定されれば、建築工事概成後、電設工事、設備工事で2週間の期間があらためて認められるようになるため、電設・設備業としては大変助かっています」
――その他の重点事業についてうかがいます。
「各自治体に対しては、最低制限価格が担保される建築・電気・設備の3分割による分離発注を行っていただけるよう積極的に要請しています」
――結びに、抱負をお聞かせください。
「業界の発展に向けてはまず魅力づくりが重要と考えます。完全週休2日制の実現など休日の確保をはじめ、電気がいかに日常生活や地域に寄与しているかについて、電設業の立場から効果的なPRを展開することで、電設業界に興味・関心を持っていただけるような取り組みについて議論を重ねていきたいと考えています」