【二本松信用金庫】朝倉津右エ門理事長インタビュー

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【二本松信用金庫】朝倉津右エ門理事長インタビュー

 あさくら・つうえもん 1975年に二本松信用金庫に入庫。常務理事、専務理事を経て、今年6月から同信金初のプロパー理事長に。

 ――6月に開催された総代会・理事会で理事長に選出されました。

 「歴代理事長は地元有力者や監督官庁といった外部から選出され、私が初めての生え抜き理事長になります。また、今年で創立75周年という記念すべき年に8代目理事長に就任しました。常務や専務などを経験し、前理事長の下で仕事をしてきましたが、理事長はいままでの立場とは全く違うものだと実感しています。

 当信金は14期連続で黒字決算を続けており、前会長や現会長が健全な経営を継続してきた成果だと思います。これをしっかりと継続していくことが私に課せられた経営課題であり、地域の皆様や利用されるお客様の信用・信頼につながると思っています」

 ――新型コロナウイルスが5類に移行され、経済活動も正常化しつつある一方で、原材料費・燃料費高騰や人材不足の影響が続いています。

 「5類移行により、飲食店等も回復しつつありますが、コロナ前の水準にはあと1歩というところだと思います。また、原材料費・燃料費高騰により、製造業や建設業で大きな影響を受けているところは少ないものの、今後については原材料高騰分を製品に価格転嫁しなければならないなど、不安視する事業所が多いのが現状です。当金庫では3カ月に1度、景気動向調査を行っていますが、今後を見据えると物価がさらに上がることは間違いありません。消費者がそれを理解するには時間がかかると思います。

 人材不足については、将来的な展望がもう少し開けなければ人件費を上げるのも簡単ではありません。ただ、賃上げについて調査したところ半数ほどの企業が何らかの形で賃上げを行いたいと回答しています。

 様々な課題はありますが、暗い話ばかりではなく明るい話題もあります。地域の企業が良くなれば、我々もおのずと良くなると思います。そういった好循環を生み出すきっかけづくりを様々な形で行っていきたいと思います」

 ――「まつしんビジネスサポートクラブ」の活動状況について。

 「『まつしんビジネスサポートクラブ』は1998年に設立し、管内の若手経営者や事業継承者を対象に勉強会や講演会を行っています。最近ではIT導入や事業後継問題、人材育成、異業種交流も活発に行われています。以前はISO取得を目指す事業所が多かったですが、最近はSDGsが重要になってきましたから、そのためのサポートも行っていきたいと思っています。

 また、サポート事業とは別に、商工会議所からの依頼で、海外進出に向けての勉強会も行っていきたいと考えています。そういった支援活動を行うことで、地域企業の底上げにつなげていきたいと思います」

 ――10月にはインボイス制度がスタートします。

 「4月に取引企業を対象に行った調査では、85%が対応を終えており大きな心配はしていません。今後は帳票関係書類の電子化が課題になりますが、そういったサポートも行い、本業に集中して取り組んでいただけるよう支援していきたいですね」

 ――今後の抱負。

 「当信金では『お客様』『地域社会』『信用金庫』の三位一体の経営というのが創業当時から経営方針ですが、これらが皆良くならないと全体的な底上げにはなりません。そういった考えのもと、そのためのお手伝いをしていきたいと思います。

 また、狭い管内で営業をしていますので、不採算店舗があったとしても、大手金融機関のように閉鎖するのではなく、地域の方が不便を感じないように店舗を維持していきたい。加えて、地域の行事等に積極的に参加するため、ボランティア休暇を設けるなど、地域とのつながりを大事にしていきたいと思います」

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