【浪江町】吉田栄光町長インタビュー

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【浪江町】吉田栄光町長インタビュー

よしだ・えいこう 1963年12月生まれ。浪江町出身。双葉高卒。県議を5期務め、自民党県連幹事長、県議会議長などを歴任。昨年7月の浪江町長選で初当選を果たした。

 ――昨年7月に町長に就任しました。

 「首長の仕事は想像以上に忙しいですね。職員とのチームワークも良くなっており、日々の行政執行は良い形でできています。当町は復興という大きなミッションがあります。前町長が行ってきた施策により、成熟しつつある分野と新たな分野がありますが、いずれも芽を出し始めており、民間企業からも多くの興味を示していただいています」

 ――帰還困難区域の津島、末森、室原3地区内に設定された特定復興再生拠点区域の避難指示が3月31日、解除されます。

 「3つの拠点に共通する産業は農業です。将来を見据えた農業の再建を進めるために、大規模化や効率化など、外部からの投資が活発化することを期待しています。

 住民帰還に関しては、町民の5割以上が避難先で新たな居を構えていることや、帰還することの経済的な不安なども踏まえ、バランスよく考えていかなければなりません。ただ、この半年間、帰還意欲の高まりを感じています。福島国際研究教育機構(F―REI)やJR浪江駅周辺整備計画などの復興プランが表に出てきて、故郷とともに復興を肌で感じたい町民が多くなっているからだと思います」

 ――F―REIと浪江駅周辺整備計画について。

 「F―REIは浪江町だけのものではありません。浜通り全体として、研究者の方々の住みやすい環境を整えることが大切だと考えています。社会環境の変化や人口減少の時代を担う〝次の世代〟が競争力を持てる技術力や仕組みが必要であり、同機構にはその牽引役を担ってほしいです。浪江駅周辺整備事業は同機構におけるフロントの役割を担っています。復興まちづくりのためにこうした事業を成功させるには、周辺自治体を含めた国・県と町の協働(協同)が不可欠です」

 ――育苗施設が供用を開始しました。

 「既に稼働している『カントリーエレベーター』と育苗施設の完成によって、育苗から収穫後の乾燥までが担保されました。さらなる水田の利活用を促進するため、6次化を考えていかなければならないと思います。町の新たな特産品であるタマネギや花卉など、水稲以外にも多様化が必要だと思っています」

 ――今後の抱負。

 「今後、民間が投資しやすい環境を整え、経済の活性化を図っていきたい。現在、当町の町民は町内外にお住まいですが、興味を持っていただけることが、われわれにとって刺激になっています。町民が復興を支援できる・応援したくなるような町をつくっていくことが使命だと思っています」

浪江町ホームページ

掲載号:政経東北【2023年4月号】

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