障がい者と健常者の共生を推進していく
――「さんしゃいんクレハ」が7月1日に設立10周年を迎えました。
「障がい者と健常者が分け隔てなく生活できる社会を目指す『ノーマライゼーション』が浸透する中、クレハ70周年の節目の年であった2014年7月1日、障がい者の社会参加と自立支援を目的に特例子会社として設立した経緯があります。
身体、知的、精神に障がいがある社員9人と、共に働くスタッフ7人の計16人でスタートし、現在は障がいがある社員24人、スタッフ10人の計34人となっています。
業務内容は、名刺作製、パソコンの貸し出し、シェアリングカー管理、逓送業務、弁当集計・配達、清掃業務など多岐にわたっています。
この10年を経てクレハ社員との交流が活発になり、障がい者との共生や連帯意識が醸成されてきたことを実感しています。次の10年に向けてはクレハ単体での支援からグループ全体にすそ野を広げるとともに、新たな業務にチャレンジしていくことも視野に置いています」
――7月1日には同社の設立10周年を祝う記念式典が行われたそうですね。
「約40人が出席し、クレハの小林豊社長からは『さんしゃいんクレハがクレハグループの業務効率化、生産性向上に貢献していることがとてもうれしい』、いわき市の内田広之市長からは『さんしゃいんクレハは先進的なモデル事業。いわき市はこれからも多様な働き方、働きやすい環境づくりに協力していく』とのあいさつ・祝辞をいただきました。そのほか、永年勤続10年を迎えた社員5人に表彰状を贈呈しました」
――4月にクレハいわき事業所長に就任されました。
「いわき地区のクレハグループ約3000人のうち、中核となる当事業所では約1000人が勤務しています。危険物や高圧ガスなどを扱う化学工場として『安全第一』は重要な使命です。地域の皆さまにご迷惑を掛けてはなりませんし、社員、協力会社の安全が第一なので、『安全はすべてに優先する』を肝に銘じ重責を果たしていく所存です」
――今後の抱負を。
「社員の幸せの実現について考えなければならない立場であり、常に『ONE TEAM』で各種課題に取り組んでいきたいと考えています。
現在、事業所内で『ワイガヤ』というスローガンを掲げています。風通しの良い職場づくりに向け、勤務時間中はコミュニケーションを図りながら『ワイワイガヤガヤ』と充実した会社生活を過ごしてほしいという思いを込めています。
社員には仕事を他人任せにせず〝自分事〟として責任を全うしてほしいという思いもあるので、そうした点も今後広めていきたいです」
――クレハ創業80年の節目の年に過去最大の700億円を投じポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製造工場の増設工事に着手しました。
「PVDFはリチウムイオン電池(三元系)の正極材バインダーや水処理膜など先端分野に用途が広がっている製品で、日本で製造しているのは弊社のみです。世界市場で約40%のシェアを持っています。2026年3月完工、同9月の商業生産開始に向け鋭意工事が進められています」