【下郷町】星學町長インタビュー

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【下郷町】星學町長インタビュー

 ほし・まなぶ 1947年1月生まれ。日本大学東北工業高卒。下郷町建設課長、助役、副町長などを経て、2013年9月の町長選で初当選。2017年9月の町長選で再選、2021年9月の町長選で3選を果たした。

 ――新型コロナウイルスの町内への影響と対策について。

 「当町は大内宿や湯野上温泉に代表されるように県内有数の観光地があり、新型コロナウイルス感染症の影響は他市町村と比較しても大きいものがあります。今年度に入り、観光客数は増加傾向にあったものの、第8波の到来により、観光客数が減少し、地域経済の停滞が懸念されます。一般家庭においても、原油・物価の高騰もあり、収入の減少やそれに伴う個人消費の落ち込みが予想され、経済面・生活面の両方での対応が不可欠と考えています。

 そこで町では、昨年11月の第2回臨時議会において、消費の下支えを通じた生活者の支援や地域経済の活性化を図ることを目的に、全ての町民を対象とした町内店舗で利用できる商品券を一人当たり1万円発行する『電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金』の予算を計上しました。さらには、電力・ガス・食料品等の価格高騰対策として、非課税世帯等1世帯当たり5万円を給付する『電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金』の予算を計上し、経済面・生活面の両方から住民の皆さまを支援していく所存です。

 また、昨年12月より『Welcome しもごう ご褒美 宿プラン』を実施しており、こちらは対象となる町内の民宿・旅館で宿泊料金税込み5500円以上の利用に対して45%の割引を付与するなど、観光振興にも注力しており、町内経済の活性化を図ってまいります。

 町内のワクチン接種率については、昨年12月2日時点で60歳以上の方々の4回目接種率が88・9%、75歳以上の方々については91・8%となっており、県の平均よりも上回っていると見ています。5回目接種も始まっているので、より多くの方々が接種を受けられるよう円滑に進めていく考えです」

 ――今年度は第6次下郷町総合計画の3年目となっています。

 「新型コロナウイルス感染症の影響により、各種イベントや式典等が中止となっておりますが、新型コロナウイルス感染症が終息し、人の流れが戻ってきたタイミングに備えて、観光資源の磨き上げと新たな素材の創出に取り組んでいきます。全国でも珍しい茅葺の駅舎である湯野上温泉駅は、多くの観光客が訪れることもあり、現在駅前広場の整備を進めており、今後、住民と観光客の交流の場となる観光産業の拠点としての役割が期待されています。また、紅葉シーズンに多くの観光客が訪れる観音沼森林公園においては、屋外で楽しめるイベントの創出と観光客の長期滞在化を目的に、ライトアップ事業を実施し、新型コロナウイルスの感染拡大のさなかにあっても、歩みを止めない、さらに町を発展させていくための施策を講じてまいります。新型コロナウイルス感染症が終息したあかつきには、第6次下郷町総合計画において目標に掲げた、観光入込客数230万人を達成すべく取り組んでまいります」

人口減対策に注力

 ――2025年度の開通に向けて整備が進められている国道121号湯野上バイパス事業について、開通効果と今後の展望をうかがいます。

 「会津縦貫南道路の開通により、町の空洞化を懸念される方もいらっしゃるかと思いますが、湯野上バイパスの整備事業によって町が活性化するチャンスであると私は捉えています。将来的に会津縦貫南道路、その先の栃木西部・会津南道路が開通することで、関東方面へのアクセスが向上し、観光客の皆さまには下郷町をもっと身近に感じていただける絶好のチャンスになると考えていますし、下郷町を訪れる観光客の増加も期待しています。

 また、大内宿はゴールデンウイークや紅葉シーズンになると、国道121号の渋滞が目立つことが長年の課題でしたが、会津縦貫南道路の開通によって生活車両と観光車両が分散し、渋滞緩和につながると見込まれるため、多くの観光客の方々が利用しやすく、今までよりも魅力的な観光地と感じていただけるのではないかと考えています。

 今後もさらに既存の観光資源の磨き上げや新たな素材の創出、観光資源のルート化に努め、観光客の皆さまを飽きさせない、また来たいと思っていただけるようなまちづくりを進めていく所存です。

 さらに、会津縦貫南道路の開通によるアクセス向上は観光面だけでなく産業面にも大きく寄与するところなので、今後は積極的な企業誘致や工場立地を推し進めるほか、定住人口の増加にも役立てていきたい所存です。いずれにせよ、会津縦貫南道路の開通は本町のみならず会津地域全体に経済効果をもたらすことが期待されるため、早期開通に向けてこれからも国・県と連携を図ってまいります」

 ――移住・定住政策は全国どの自治体でも喫緊の課題です。
 「本町の人口は1955(昭和30)年の1万4979人をピークに、昨年4月時点で5231人まで減少しており、移住・定住政策は本町におきましても喫緊の課題となっています。本町は少子高齢化が著しく、若い世代の方々の移住・定住を推し進めることがまず重要であり、そのためには安心して子育てできる環境づくりが不可欠であると考えています。その一環として、子育て世代の負担軽減を図るため、子宝祝金や給食費の無償化などに取り組んでいます。

 今年度からは、新婚生活応援のために結婚者1組につき10万円の『しもごろー商品券』を給付する結婚祝金事業や、独身男女の婚姻促進のために結婚マッチングシステム会員登録補助事業も実施しており、結婚から子育てへと繋げ、人口増加を目指す施策の充実を図っているところであります。

 また、空き家・空き地バンク事業も展開しており、実際に制度を利用して移住した方々も増えてきているので、町内の空き家・空き地を解消するとともに定住人口増加へと繋げていきたい所存です」

 ――今後の抱負について。

 「まず一番は第6次総合計画の進行が重要で、諸所の課題解決に向けて着実に取り組んでいかなければなりませんし、私のスローガンでもある〝よりそう行政 挑戦する下郷〟の実現を目指します。これまで高齢者を対象にタクシー料金の一部助成や一人暮らしの高齢者の方々の生活の安全確保のために除雪作業の援助を行っているほか、学校給食や保育所の無償化という形で子育て世代への支援も並行しており、多くの町民に寄り添いながら、会津縦貫南道路の早期開通など新規事業の整備によって町内に新たな風を呼び込み、町政発展に努めてまいります」

下郷町のホームページ

掲載号:政経東北【2023年1月号】

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